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ちょっと待て!世界選手権のその前に
復習してみませんか?

  2000−2001年シーズンのエルビス♪




エルビスがいない―――



下手をするとこの一言で全て語れてしまいそうな2000−2001シーズンだが、もちろん何もなかったわけではない。むしろストイコファンにとってはエルビスが普通に試合に出るよりてんやわんやさせられたシーズンかもしれない。
せっかくだからネタにさせていただく。

エルビス、ケガ!(2000年10月終わり)
GPシリーズの第1戦スケートアメリカは私にとっては中国勢御用達の大会。エルビスは出ないんだから心置きなく中国モードに入るぞ♪という気分でいた10月25日に「エルビスが足首のケガでスケートカナダ(11/3−5)を欠場」というニュースが入った。
「ケガから開放されて6、7年前と同じくらい状態がいい」らしく、今シーズンとさらにオリンピックシーズンへ向けてえらくテンションの高いコメントを数日前に読んでいただけに、舞台が一気に暗転したような気分。
7−10日リンクから離れていなければならないが、大したケガではないらしい。もう一つ出場を予定しているラリック杯は出る予定とのこと。

ここで真っ先に思い浮かんだのがオリンピックのケガを引きずった98−99年シーズン。嫌な予感がする。ケガをしたと聞くと軽いものが想像できないのがエルビスのキャラクターなのだ。もう一つ出るっていったって、ラリック杯も本当に大丈夫か?というのが第一印象。
まあラリック杯までまだ一ヶ月あるのだから変に勘ぐるのはよして素直な気持ちでいよう(いや素直に勘ぐったのだが)。シーズンオフにやってしまってショーなどの予定が入らないうちに回復していたから関係者しか知ることのない、そういう程度のケガを試合の直前にやってしまったからニュースになるのかもしれない。


6つあるGPシリーズの中でエルビスがエントリーしていたのは2つ目のスケートカナダと5つ目のラリック杯。「リンクから離れていなければいけない」という期間が終わるのはちょうどスケートカナダが終わる頃。もしもう一つ出るならリンク復帰直後のスパルカッセンは外して、4つ目のロシアか6つ目のNHK杯だろう。その中でも後にある分NHK杯の方が可能性が高い。

え?
NHK杯、来るの?


上の言葉は抜き打ち検査を食らったノリに近い。ファンにあるまじき反応だが、私の中でエルビスとNHK杯がつながらなくなっているのだ。来日回数が少ないわけではないし過去NHK杯を連覇したこともあるのだが、ここ2、3年はGPシリーズは早めに終えてアイスショーやプロアマに続けて出るというパターンになっている。しかも去年のNHK杯は見事にカナダで唯一(多分)のプロアマオープン競技であるカナディアンオープンと重なっていたので、NHK杯はエルビス抜きで純粋にスケートのイベントとして楽しむものと認識していたのだ。完全に予想外の展開に面食らう。本当に来るの?というか、来られるの?


万が一来たらどこだろうが見に行くけど。


NHK杯?(11月前半)
数日後ISUのホームページに載っているエルビスのアサインメントがラリック杯とNHK杯に変更になるが、まだ旭川の準備はしない。シーズン始めにケガをして「大した事はない」というコメントの元出る試合を変更し、結局調整が間に合わず全部キャンセルするというのはよくある話である。私は根っからのペシミストなのだ☆(星つけて言う事かい)
そう簡単に答えが出る問題ではないのだから、とりあえずスケートアメリカとスケートカナダを楽しもう…と思いきや、郭君は欠場するし成江君は思いきり調子崩すし(泣)。

スケートカナダを見に行った人が現地でテレビの解説者に訊いたところによると、エルビスはもうリンクに戻っているらしい。本当に大したケガじゃなかったのね。


スケートカナダが終わった後、11月7日にラリック杯とカナディアンオープンに出場することをエルビス側が表明これ。ラリック杯しか出ないとなると、自動的にGPファイナルへの出場権がなくなる。今シーズンのファイナルは日本で開催されるだけに、寂しいとホッとした気持ちとが半分ずつ。読み進んでいくと「アキレス腱のケガで一番恐ろしいのは再発すること、もし充分に治りきっていないうちに再発して完全に断裂してしまったら選手生命が終わりになる可能性があるのでISUはそこを考慮してほしい」というカナダ連盟のトップ(?)であるDavid Dore氏のコメントも載っている。
やっぱりそれだけ悪いんじゃないか!そんなに予断を許さない状態なのなら、いっそラリックもオープンもキャンセルしてほしい。しかし出るつもりというのはそこまでは悪くないのか?テレビの解説者がああいう嘘をつくというのも考えにくいし…どうもこの辺がはっきりしない。
まあ出る方にとってはラリック杯→NHK杯よりラリック杯→カナディアンオープンの方がまだ楽だろう。日本に行くのは大変だから。


ところが思わぬどんでん返し。2日後の11月9日に一転してNHK杯出場を表明した。「アマチュア選手は適当な理由がない限りGPシリーズに二つ出てからオープンの試合に出ること」というISUのルールが適用され、それに従った様子。具体的にいうと、ラリック杯しか出ていない状態でNHK杯をやっている最中にカナディアンオープンに出ると、ISUの規則に引っかかってアマチュア資格を失う可能性があるらしい。
この件については海外のディスカッションボードで結構話題になり、関係する部分の条文を抜粋したりISUの人が書き込んだりしている。その抜粋を読んでみたが、なにせ英語でしかもお堅い文だからちんぷんかんぷん。ディスカッションボードの方でも人によって解釈が違い、このISUの対応がルール上是か非かは人によってまちまちのようだ。

こうなるとどうなっているんだと叫びたくなる。エルビスの状態を棚に上げてあれこれやっているようで、ファンとしてはどうも気分が悪い。
気分が悪いがうだうだ考えても無駄。ラリック杯の頃になれば全てわかる。試合に出られるか出られないかで。


NHK杯!(11月後半)
11月15日にラリック杯(11/24−26)キャンセルを表明。
コーチのUschiさんによるとNHK杯は出るつもりらしい。カナダで1週間治療を受けた後、普段トレーニングをしているフィラデルフィアに戻ってきているとのこと。


うだうだ考えるのも疲れるし、もうエルビス来ないのを承知で旭川行っちゃおうかな?
しかし奈良県在住の私。これが名古屋だったら迷わないのだが、旭川は遠いのだ。


ラリックのキャンセル発表が11月15日とするとNHK杯の出場がはっきり決まるのはその一週間後だろう。週が始まったあたりからキャンセルがいつ出るかいつ出るかと毎日がXデー、はっきり言って生殺し状態。キャンセルするならさっさとしろ!(こらこら)
結局エントリー締め切りの21日に出場を表明する記事がインターネットのあっちこっちから出てきた。中には具体的なケガのいきさつが書いてあるものもある。やっと出てきたよ!これが読みたくてじりじりしていたことにこの時初めて気がついた。

今シーズンは足に負担がかからないようなクワドの跳び方に変えて練習している。スケート靴ははいているうちに持ち主の足になじんでいくが、先シーズンと同じ靴で違う跳び方をしていたために今まで足に当たらなかった部分が圧迫を与え、始めは少し痛い程度だったのがだんだんひどくなってきたらしい。「これ以上続けると重傷になる」と医者からの忠告を受け、それに従って休養を取ったということ。症名はachiless tendodisと記されている。
現時点でも左足を使うジャンプ(トゥ、サルコー、アクセル)にまだ難はあるが、トリプルは跳べているらしい。とりあえず試合には出られそうだ。


やっとたがが外れた。こうなるとテンション上昇、旭川行きの準備も早い早い(笑)。
エルビスの今シーズン初めての試合、やっとシーズンインである。
ここで気がついた。

初めての試合ということは、初めて新作フリーを公開するということなのだ(アイスショーでもプロアマでも滑っていない)。つまり何、

世界で一番初めにグラディエーターを見られるって事!?

しかもいつものGPシリーズの放映とは違って五十嵐さんの解説つきで!?


「大きな損害には必ず小さな利益がついてくる」という言葉を読んだことがあるが、まさにこの小さな利益を独占することになった私達。うわー世界中のエルビスのファンのみなさんごめんなさい!そのかわりGPシリーズでは一番インターネットで情報が入りにくいと思われるNHK杯、フリーの写真は気合を入れて撮ります。なにせグラディエーターの衣装初公開なのだから。
まあ私が写真撮るの失敗してもぶうたろうさんがいるし、よるさんアップがんばってね〜♪(おいおい)



そこまで甘くはなかったか…………。



NHK杯…(12月4日〜)
ショートプログラム当日に棄権を決めたものの男子シングルだけでなく金曜日からほとんど全ての試合を観戦し、ファンの相手をするゆとりもあった旭川でのエルビス。
(場内飲食可だったとはいえ選手席でカップラーメン食うか。しかも違和感なく箸を使っていたらしい(笑))
事故があってケガがひどくなったということではなく、練習してみてやっぱりおかしかったから大事を取ったというあたりなのだろう。心配することはない。心配はしない。
試合会場にいる姿が見られただけでも私達は今シーズン世界で一番運がいいファンだったのだ。おまけにエルビスと同じ会場で一つの試合をずっと一緒に観戦するなんてそうそうないことだろう。これは後々自慢できるわね。

それに本命が棄権してもやはりNHK杯は生で見た方が数倍いい。いろんな人に会えたし旭川ラーメン食べたしロイズの生チョコ買えたし、美瑛へ行って冬の北海道に少し浸ってもきた。北海道へ連れ出してくれたと感謝することにしよう。開催される場所を知った時にも出るメンバーを知った時にも行くパワーがなかったのだから。
楽しかったね。


、家に帰ってから速攻ネットの記事を読む。
(しかし日本開催のNHK杯でカナダ発の情報をあてにするというのも妙なものだ)


まっ先にあったgroinの文字に一瞬凍りついたが、オリンピックシーズンに傷めた右とは違い今回は左。
数週間前から痛みを感じていたが、養生している間におさまった。しかし火曜日に旭川入りしてからは1日滑ると痛みを感じ、翌日休む。そしてその翌日練習するとまた痛みを感じるという状態で、コンスタントに練習ができなかったらしい。土曜の朝の練習で痛みを感じ、ドクターに相談して棄権を決めたということ。
今はtore(断裂?)してはいなくてtight(張りがある?)な状態のこと。無理をして滑ればその後でさらに悪くなる事が今までの経験でわかっているので「I'm just playing it smart.」ということらしい。


ファンは腹を据えて戻ってくるのを待っていればいいだけのことだ。
何シーズンかかろうがエルビスがそれを目指す限り。

…ってあなたそれは深刻に考えすぎ(- -;)。



誰もエルビスのグラディエーターを見ることがないまま2000年が終わる。




カナダ選手権(2001年1月)
日本ではお正月とジャパンオープンの余韻がようやく薄まった1月第2週頃、ぼちぼちエルビスの情報が入ってくる。カナダ選手権は翌週の15日からだが、それをひかえて状態が気になるのは日本のファンもカナダのメディアも同じこと。

エルビスのエージェント兼弁護士のEd Futermanさん曰く「100%だと言えたらいいんですが…」かかとの痛みは完全に取れているわけではなく、ベストの70%の状態。世界選手権に照準を合わせていくという。
ある記事は「来週ビデオでエルビスを見ても画面の調整はしないように」との文で始まっている。何のことかと思いきや、年末の2週間半の練習で体重が8ポンド(約3.6Kg)落ちたらしい。フィラデルフィアから離れてフロリダで年末年始を過ごしたが、帰ってきたエルビスを見たUschiさんが「足細くなって!」と驚いたし、ビデオで自分の姿を見ても明らかに細くなったのがわかるそう。「ダイエットはしていない」と答えたらしいが、ということはものすごくハイペースな調整だったってことじゃないの!?
やっぱりこの人恐ろしい人だわ………というかこういう形で体をコントロールできるスポーツ選手という人達は。


1月12日に棄権のニュースが入る……。


オフアイスのトレーニング中、箱に片足で上がって降りる練習をしている時に左膝をぶつけたらしい。partially torn tendonと記され、全治4週間から6週間かかるという。
4週間後は2月9日、6週間後は2月23日。
世界選手権は3月19日から始まる。



国内選手権といえば焦点の一つに四大陸選手権と世界選手権への代表選考がある。ケガをして今シーズン一つも試合に出ていないとはいえカナダ男子では力が飛び抜けているエルビス、過去の実績と実力を考慮して世界選手権の代表にすべきという見方とそれに反対する見方が両立し、インターネット上の記事の数もディスカッションボードの書きこみの数もバカにならない。

左足に体重をかけられないということだが、幸い練習ができないわけではないらしい。何かトリプルを跳んだ姿がテレビで放映されてもいる。元カナダのペア選手でオリンピックメダリストDebbi Wilkesのスケート番組でかなり踏み込んだ内容のインタビューが放映されるわカナダ選手権のテレビ放映の視聴率が去年より落ちるわなぜかペアの選手がエルビスの状態についてメディアに質問されてしまうわと、やはりカナダスケート界でのエルビスの存在の大きさは並ではない様子。
メディアへの露出が高いのは大変だろうが、ファンとしては情報が入りやすくて助かる。


カナダ選手権が終了した1月21日に連盟が派遣メンバーを発表。世界選手権への派遣は会心のフリー(やったね^o^)で優勝したサンデュー、そしてエルビスが決定。ただしエルビスは「in pencil」という状態で、医者からのレポートを連盟に提出し続け、3月7日までに試合に出られる状態であることを連盟に対し証明しなければならないらしい。
もし連盟に認められなかった場合はカナダ選手権2位のデノメ(ミ?)ーと3位のフェレイラのうち四大陸選手権で成績がよかった方が出ることになる。



カナダ選手権以降(2001年2月〜)
後から振りかえればこの期間はだらだら書く必要もないのだろう。結局順調に調整していって世界選手権に間に合いそう…いや、順調という域を通り越していたのではないだろうか。医者も驚く予定より2週間早い回復ペースだというのだから。カナダでエルビスのニックネームは「ターミネーター」と定着しているらしいのだが、こういう所がそうなのかもしれない。
頼むから飛ばしすぎて途中でつぶれないでよ〜〜


四大陸選手権を控えた2月の第1週にネット上の記事、四大陸選手権やファイナルのテレビ放映(ABC)にエルビスのインタビューが放映されるわと「どうしてるかな…」と思っている時に何かネタが出てくる。かゆい所に手が届くとはまさにこのこと、エルビスがカナダ人で助かった(笑)。
まあそれだけ需要が多いのだろう。さすが北米、マーケティングリサーチはバッチリ☆


大抵のスケートファンはファイナルで盛り上がっていた2月17日にカナダの首都、オタワでのアイスショー「Winterlude on Ice」でショートプログラムとエキシビナンバーを滑ったとのこと。ショートプログラムの方はテレビで放映され、この時跳んだジャンプは3トゥ+3トゥとルッツ。クワドのコンビネーションを入れるつもりなのね。
「この番組のビデオを連盟に送って見てもらえば、世界選手権に出られる状態なのが一発でわかるんじゃない?」というテレビ放映を見た人のコメント。いいなあ見られて。

2月20日に連盟の前でショートとフリーを滑り、クワドのコンビネーションもバッチリの出来で正式に代表に決定した。




それにしても。
世界選手権が始まる前に既に書きとめておきたくなるほど色々あった今シーズン。これを書いている時点で世界選手権まであと1週間少し。まだ何かどんでん返しがあるんじゃないかとこっちは既にトラウマになっている。

そしていかにもエルビスにハマリそうなグラディエーター。そろそろ映画のサントラを使うのをやめようかと思っていた矢先に見て「Oh my gosh!」と思ったらしいがここから下の方にある「interviews」へ)、だからといってNo.2から思いきりつき落とされる、映画の序盤のあらすじをなぞるようなシーズンを送ることになるとは。何も映画と同化することないでしょう(笑)



さてエルビスのグラディエーターのエンディングはどうなるのやら。
あ、彼の場合復讐じゃなくて逆襲か……。

(続く)