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急性白血病
Acute Leukemia

急性白血病とは
急性白血病とは未熟な白血球、主として芽球レベルの細胞が、骨髄で進行性で規律なく増殖する造血器腫瘍である。
急性白血病と慢性白血病の違いは、病勢が急性か慢性かに区別されるのではなく、白血病細胞が未熟な細胞からなっているのが急性白血病、成熟した細胞からなっているのが慢性白血病である。未熟な細胞からなっているものほど、症状が激しいし予後が悪い。
急性白血病は、急性骨髄白血病(acute myelogenous leukemia、AML)と急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia、ALL)に分けられる。
さらに形態学的に細かく分類されていて、現在、世界的に広く用いられている分類は、フランス、アメリカ、イギリスの学者の共同研究によるFAB(French-American-british)分類である。
急性リンパ球白血病(ALL)は小児に多いが、急性慢性白血病は(AML)は成人に多い。治療効果は成人より小児の方が良好である。小児ではALLの方がAMLより予後良好であるが、成人ではむしろALLの方が予後不良である。
骨髄に白血病細胞が増殖し充満すると、正常な造血細胞が抑えられ、正常な赤血球、白血病、血小板が減少する。このため貧血、感染症、出血傾向が現れる。
白血病
急性 未熟細胞からなる
慢性
成熟した細胞からなる
急性白血病の分類 FAB分類 従来の分類 細胞の特徴
急性リンパ性白血病
40%(うち80%は小児)

ALL(acute lympoblastic leukemia)
:芽球のペルオキシダーゼ3%以下
L1 ALL 小型芽球主体、胞体狭い
L2 ALL 大型芽球50%以上、大小不同
核小体大きい、胞体広い
L3 ALL 大型芽球主体
核小体明瞭、胞体広い、空胞あり
L3は稀なタイプでバーキット腫瘍型といわれる
急性骨髄白血病
60%(うち80%は成人)

AML(acute myelogenous leukemia)
:芽球のペルオキシダーゼ陽性率3%以上のもの
M1 骨髄芽球性(AMbL) 未熟な骨髄芽球が主体
M2 骨髄芽球性(AMbL) 前骨髄球、骨髄球と成熟傾向あり
M3 前骨髄球性(APL) 前骨髄球が主体、前骨髄顆粒著明
アウエル小体多数
M4 骨髄単球性(AMMoL) (骨髄芽球+前骨髄球)20%以上と
単球20%以上が混在している
M5a 単球性(AMoL) 未熟な単芽球が主体
M5b 単球性(AMoL) 前単球、単球と成熟傾向あり
M6 赤白血病(AEL) 赤芽球50%以上で異型赤芽球あり
芽球30%以上
M7 巨核芽球性(AMEGL) 巨核芽球が主体
M2は染色体異常(8:21)転座のあることが多い。M1に比べて予後は良好。
M3は染色体異常(15:17)転座のあることが多い。DICを合併する。
M4M5は歯肉浸潤が多い。リゾチーム高値、難治性。
M7だけは電子顕微鏡による血小板ペルオキシダーゼ(PPO)の確認が必要。

●症状の観察のポイントは、貧血、発熱、出血傾向の有無をみる
_貧血症状は倦怠感、息切れ、動悸、蒼白などである。
_発熱は白血病浸潤そのものによるものと、感染症の合併によるものとがある。
_出血症状には歯肉出血、鼻出血、点状出血がある。
●ごく初期の場合は、感冒様症状と点状出血を認める似すぎない場合もある。
●白血病細胞の臓器浸潤が強くなると、脾腫(軽度)、骨痛(特に胸骨叩打痛)、リンパ節腫大がみられることがある。
●白血病細胞が髄膜浸潤を起こすと、髄膜刺激症状、脳神経症状がみられる。強い頭痛、嘔吐、うっ血乳頭、顔面神経麻痺、けいれんなどが出現する。
症状
急性白血病 慢性白血病
全身症状 著明 少ない
発熱 高熱 微熱
貧血 著明 軽い
出血傾向 強い 少ない
脾腫 軽度 著明
骨痛 多い 少ない
神経症状 多い 少ない


治療の実際
●急性白血病の治癒を目的とするためには、完全寛解に導入する必要がある。
○化学療法
●完全寛解導入のためには、強力でかつ作用機序の異なる薬剤を組み合わせた多剤併用療法が必要である。
●完全寛解導入法の薬の投与法は連続的でなく、間欠的に行う。これらは正常細胞が回復する時間を考慮している。
_完全寛解が得られたら、強化療法を行う。これは寛解状態をより確実なものにするためで、寛解導入療法と同じ方法で行うことが多い。
_さらに寛解を維持するために寛解維持療法を行う。一般に単剤または2剤の内服薬を連続投与する。
●骨髄移植療法
_化学療法で寛解が得られ、HLA(主要組織適合抗原)の一致するドナーがいれば(兄弟4人に1人は一致する可能性あり)積極的にすすめるべき治療法である。
_年齢が若いほど成功する確率は高い。
●維持療法
_白血病の治療が円滑に行われるよう、これを支持するための治療法である。
_貧血に対しての赤血球輸血、出血に対しての血小板輸血、感染症に対しての抗生物質投与、DICに対してのヘパリン、FOY、フサン投与、悪心、嘔吐に対しての鎮土剤投与など、患者の状態を詳細に観察しながらこまめに行うことができる.
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