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白き魔女の受難


「ひぁっ」
いきなり、背中から納屋の壁にたたきつけられた。
目のまえには屈強な男たちが何人も、ゲルドをとりかこんでいる。
雨にぬれた子猫のように、ゲルドはその場にうずくまり、ふるえながら男たちを見あげた。
「おい、魔女さんよ。よりにもよって、おれたちの村を呪うことはねェじゃねえか」
瞳に憎悪のほのおを燃やし、男たちの一人がいった。
「おれたちにいろいろ教えてくれたのも、おれたちを油断させるためだったんだろう? それとも仕合せな気分に一回させといてっからどん底に落とすつもりだったのかい」
「えげつないな」
後ろの太った男が、ぽつりと言った。
「ちがいます!」
先頭の若い男が、ゲルドの艶やかな銀いろの髪の毛をつかんで引っぱる。
「痛い……」
「どうちがうんだ。答えろよ、ああ?」
男の剣幕に、ゲルドは身をすくませた。
ついこのあいだまで彼女の助言に耳を貸し、やさしくむかえてくれていた人々が──
そのときのおもかげは、いまの男たちには見るかげもなかった。
『大地が実りを忘れしとき、山は海を越え、人々のなげきがこだまする』
あと何十年かののちに世界をおそうであろう災厄にそなえ、ゲルドが村人たちに大事な警告を発しはじめたころからであった。
村人たちの態度が、変わった。
不吉なのろいをする魔女。
そういってゲルドをおそれ、ののしるようになったのだ。
「白き魔女」と綽名されたゲルドは、未来を見とおす力を持っていた。その力によって見えたものを伝え、ひとびとに警告するため、ゲルドは巡礼の旅をつづけてきたのだった。
不吉な予言をする彼女は、行くさきざきで迫害をうけた。いくら魔女といわれるほどの特別な力をもってはいても、まだ十八の娘だ。信じてくれていた人々の顔つきが、不信のいろに染まり、やがて憎悪に満ちためを彼女に向けるようになるのを見るのは、やはりかなしかった。
「解けよ、のろいを」
男がさけぶ。
「できません」
「なんだとお」
とたんに男の平手がゲルドの頬を打った。小さな悲鳴があがる。痛みと哀しみに涙をながしながら、
「の、のろいでは、ないからです。私はみなさんに、来るべき災いにそなえてもらおうと──」
何度繰り返したかわからぬ弁明。そんなもので男たちが納得するわけがなかった。
ふたたび、平手が飛ぶ。
「ひっ」
だれかが笑った。
怒り、憎悪、小動物をとらえていたぶる嗜虐欲。
ゲルドが自分をとりかこむ暗い情念を受け入れたときから、彼女の運命は決まっていた。
「魔女のいうことなんか信用できねえんだよ」
「な、なんでもします。だ、だから……私を信じてください」
片膝を立て、男たちに向って祈るようなしぐさで懇願するゲルド。ゲルドは真剣だった。信じてもらえるなら、この身なんかどうなってもいい。そこには、世界を災いから守るという大義のためだけでなく、もういちどこの人たちに受け入れてもらいたいという、切ない願いもかすかにまじっていたかもしれない。
「ほお。ほんとになんでもしてくれるのかよ」
「は、はい」
かすれる声で、答えた。
「おもしろいじゃないか」
へへへと男たちが下卑た笑い声をあげた。
「よく見りゃけっこうかわいい顔してるよな、こいつ」
「ヤっちまおうぜ」
びくっとゲルドは身をふるわせた。つぎつぎに男たちの手が、彼女の衣服に伸びる。
「いやっ」
マントの裾にかかった手を、とっさにふりはらう。
「おい」
「あ」
男たちの怒りに燃えた表情に、ゲルドはわれにかえった。
「イヤ、じゃなくて──してください、だろ?」
男の、すごみをきかせた低い声に、ゲルドは深くうなだれた。はい──と答える間もなく、男の手が衿もとにかかる。
「あ、あの」
「なんだよ、まだあるのか」
「乱暴に、し、しないでください……じ、じぶんで、脱げますから」
「ふふふ、いいぜ」
ゲルドは男たちが半円をつくって見まもるなか、壁を背にして立ちあがると、旅用のマントをとりはらい、上着をぬぎはじめた。
男が木綿の白い下着のうえから、十八にしては稚い胸をさすった。下着を腰からたくしあげると、予想どおり、うすい乳房が露わになった。
「もしかしておまえ、男をしらねえのか」
脂ぎった手が、こんどはじかにかたくてちいさい乳首をつまみ、指のあいだでころがした。はい、とゲルドがかすかに答えると、男たちの瞳がいっそう兇暴にひかった。
「気にせずに、先をつづけろよ」
ひっひっと笑って、乳首をもてあそびながら男がいう。そんなことをいわれても気にしないわけにいかなかったが、ゲルドは仕方なくストリップをつづけた。下もぜんぶぬぎ終えてしまうと、先頭に立つリーダー格らしき男に、衣服を渡すように命じられた。
「これはもう、おまえには必要の無いものだからな」
と男はいい、ゲルドの衣服は男たちの後方へ送られ、やがて見えなくなった。
全裸になったゲルドに、男たちが押しあいへしあいしながら近づき、われさきにとその身体にさわりはじめる。まるでもう、俺たちのものだといわんばかりに、ろくにふくらみのない乳房、股のあいだや太腿、腋の下などを愛撫する。ゲルドはされるがまま、ただ耐えるしかなかった。とつぜん、片方のしりたぶをだれかが強くつねった。
「ひゃっ」
びっくりしておかしな声をだすと、男たちが大声でわらった。……
いつの間にかへたりこんでしまったゲルドの両足を、男たちが左右にむりにひろげる。腿の付け根にある裂目が、男たちの好奇のめに曝された。
「ほお、きれいなもんじゃないか」
男の一人が、おどろきの声をあげた。ピンク色をした陰裂は貝殻のようにぴったりと閉じあわさり、その上のこんもりとした丘の上を、髪と同じ銀いろのうすい毛がおおっている。かたい肉のあわせ目を指で押すと、清楚な外見とはうらはらの、いかにも歳へた魔女といった感じのぶきみな様子のくちびるが片方、こぼれ落ちた。対照的なものが織りなす奇妙な光景に、しばし男たちは声をうしなって見惚れていた。
「もう、ゆるしてください……」
大事な場所を玩具にされていることに耐えられなくなったゲルドが、涙声でうったえた。

リーダー格のがっしりした体躯の男が、あお向けにされたゲルドの上にのしかかった。床の上で大の字にされ、手足を他の男たちに押さえつけられているので、動くこともままならない。いや、許されていない。
「あんまり濡れてないな」
と、リーダー格の男がゲルドの中に挿入しながら言った。
「あんなに撫でまわしてやったのに」
男たちが口々にいう。まあいいさ、といいながら男はゲルドの女陰に唾をつけ、力まかせにおのれの兇器をおしこんだ。ゲルドの口から、抑えた悲鳴があがる。

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「くくっ、きついな」
どう見ても不釣合な結合も、ゲルドが悲痛な叫びをあげ、悶え苦しむさまも、男はともに意に介さなかった。相手がなみだをながしてゆるしを請えば請うほど、男の情欲はたかぶった。彼女の中にすっかり精液を出しきってことが終わると、すぐに別の男に場所を譲った。その男の指示で、泣きはらして声も出なくなった彼女は、膝を立てて尻をあげた恰好で腹這いにされた。
男はゲルドのアヌスを指でひろげると、何の準備もなしにいきなり押し入った。ふたたび娘の金切り声があがった。臀がさけて血がながれ、男のモノが中でうごくたび、ゲルドはまるで動物みたいな声でうめいた。男は笑いながら腰を振った。
前と後ろの二つの穴から、血と精液のいりまじった淡紅色の液体をながし、ゲルドはぼろきれのように床に投げだされた。しかしそんな彼女に憐憫の情を向けるものなど、だれひとりとしてこの場にいやしない。休むひまもなく上半身を起こされ、跪いて口を大きくあけるように命じられた。
すっかり観念していわれたとおりの姿勢をとったゲルドのくちびるに、上から覆いかぶさるようにして男根が挿入された。
「歯ァたてるんじゃねえぞ」
その男はあらい息を吐きながら、脅した。ゲルドがうなずく。
「舐めろ」
命じられるまま、ゲルドは舌をうごかした。口腔をいっぱいにふさがれているので、ちろちろと筋のへんを舐めることができるだけだ。それでもその稚拙な舌技に興奮して、男は肉棒を乱暴に咽喉の奥まで突きこんだ。ゲルドが咳きこむ。しかし、頭をがっちりと抑え込まれているので、のがれることはできなかった。息苦しさのため眼に涙を浮かべながら、ゲルドは男を悦ばせようとけなげにも舌で肉棒を愛撫した。
ううっと唸って、ほどなく男は射精した。離れようと無益にあがく娘の顔をぴったりと身体に押しつけ、手いっぱいにつかんだ銀いろの髪の毛を抜けるほどに引っぱり、両耳を紫色になるほどつねってやりながら。
「すっかり呑みこむんだ」
ゲルドは懸命に努力したが、だめだった。呑みこもうとして口を動かすうちに、ねばっこくて熱い精液が唇のはしからどろりとこぼれ落ちた。ついには、口の中のものをぜんぶ吐き出してしまった。
「呑めって言ったよなあ」
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
哀れなくらいにおびえて、ゲルドは男に謝った。
「謝ればすむと思ってんのか?」
「どうしたらいいんですか」
「自分でこぼしたんだから、自分の口できれいにするんだよ」
彼女は懸命に身をかがめて、したたった精液をなめとった。男たちの視線が彼女に集中する。
「こいつ、ほんとに何でもいうこと聞くぜ」
「奴隷だな」
「ははは」
そのあとゲルドはその場にいる全員のあいてをさせられた。女の使える穴という穴をすべて陵辱され、それも何遍も何遍も犯された。いちどに六人、あるいは十人を相手にさせられることさえあった。身も心もぼろぼろになった彼女に、追い討ちをかけるように、納屋の中で性処理用の家畜として飼われることが宣告された。
ようやく飽満して男たちが去ったあとの枯れ草の匂いのする闇の中で、ゲルドはただふるえることしかできなかった。

納屋の中で、犬みたいに四つんばいにされ、ゲルドは前と後ろからつらぬかれていた。
「へへへ、だいぶ馴染んできたみたいだな。ぴったりと吸いついて、離れねェぜ」
そういいながら、バックから女陰を犯す男が、ぱしぱしと彼女の臀をたたく。
納屋で性奴隷として飼われているゲルドは、もはや人間扱いされていなかった。夜昼となく身体じゅうの穴をつらぬかれ、食事は日に二回、エサと称して運びこまれたが、ゲルドはそれを男たちの見ている前で手を使わず、口だけで食べねばならなかった。もちろん、食事中といえども姦され、辱められた。トイレに行くことも許可されず、糞尿は納屋の床でたれながし。汗と、精液と愛液のにおいと悪臭で、納屋の中はふんぷんたるありさまだった。
ゲルドの口腔を犯していた男が、こんどは菊座に挿入する。
「こっちも工合がいいぜ」
くくくと男が笑う。男の野ぶとい掌で床に押しつけられたゲルドの顔が、男たちやゲルドじしんの排泄物と精液にまみれる。
──おまえはぶちこまれるだけの穴なんだよ。
──犯られるだけしか役に立たねェんだ。
──魔女のぶんざいで、人間のつもりじゃねェだろうな。
穴奴隷。
メス犬。
毎日のようにそう罵られ、やすむ暇もなくつらぬかれ、よごされていると、だんだんとほんとうにそうなのではないかという気がしてくる。穴。私はただの穴なんだ。男に突っこまれるだけの。だいいち、こんなところで何か考えようというのが無理な話なのかもしれない。
男が腰を痙攣させた。ゲルドがよだれをたらしながらうめくと、男は満足そうな笑みを浮べた。もうひとりの男が、おなじ姿勢でゲルドをつらぬく。ゲルドはもう、声も出なかった。
「ふふ、しっかりしてくれよ。ほんとにおまえが村にのろいをかけてないのか──信じてくれるなら、なんでもするって言ったよな。だからこうしておまえの誠意を見せてもらおうとしてるんだ。まあ、いってみりゃ好意だな」
「好意ね。ほんとかよ?」
さっきの男が茶化す。
「わ、私は、のろいなんか……かけてません」
「だからさ──このくらいでへばってたんじゃ、まだまだおまえを信用するわけにゃいかねえな」
男たちは、ゲルドにたいする自分たちの優位を確認するかのように、いつもおなじことを言っていた。まだおまえを信じるわけにはいかない──と。
ふと、疑念がわく。
男たちは、ほんとうにゲルドを信用する気があるのだろうか。弱みをにぎって、ただいいように弄んでいるだけではないのか。信じるだの、誠意を見せろだのというのは体のいい口実で、そのじつはこうしてゲルドをつなぎとめて、その身体をむさぼりたいだけではないのか。
いちど黒雲のようにわいた疑念は、とめようがなく、ゲルドの心をどすぐろく覆っていく。男たちの陵辱にどれだけ耐えても、はじめからそれが終る保障などないのだとしたら──
男根が尻からすぽんっとぬけた。ゲルドが男の身体の下からはいだす。
「おい、なんだよ」
ゲルドのやけにしっかりした顔つきに、男たちはとまどいをかくせない。
「も、もう、あなた方の思いどおりにはなりません。信じてくれなくてもかまいません。災いがやってきたときに、あなた方は私の警告をきっと思いだすでしょう。あなた方でなくとも、だ、だれかが、私の予言を役立ててくれれば……」
立ちあがってしゃべり続けるゲルドの髪を引っぱり、男が床に叩きつけた。
「認めたな」
ひっ、ひっ、ともうひとりの太った男が笑った。
「おまえいま、信じてくれなくていい──って言ったよなあ。それはつまり、おまえがこの村にのろいをかけたことを認めたってことだ。だろ?」
「あ……ああ」
ゲルドの顔が恐怖で凍りつく。太った方の男はもう遠慮なしに大笑いしていた。その笑い声がゲルドの頭の中にがんがんと鳴りひびく。
そうだ。
そうだ。もう逃げ場なんてどこにも無いんだ。
「うあぁ」
ゲルドが悲痛な声をあげて、泣きくずれた。
自分から、最後の命綱を断ち切ってしまったのだ、という恐怖がゲルドの全身を支配していた。歯がカチカチと鳴る。とまらない。ふるえる腕で自分の両肩を抱き、身体を丸めて小さくなった。
「どうする?」
太った方の男が、もうひとりの男に訊いた。
「どうって……村にのろいをかけるような魔女は、火あぶりだろう」
そんな──とゲルドがつぶやく。
「でも、こいつを殺したからって呪いは解けるのか?」
「そういえばそうだな」
物騒な話をしながら、男たちは首をかしげている。
ばたん
いきなり、納屋の入り口の扉があいた。助けが?と一瞬あわい望みを抱いたが、すぐにおのれのあまりの甘さに笑ってしまう。納屋の入り口からはいってきたのは、ゲルドを最初に犯した、あのリーダー格の男以下二十人ほどの村の男たちであった。
「よお、どうした」
あいつが言う。
「ああ、ダメットか。こいつ、とうとう認めやがったぜ」
「そうか──だったらちょうどいいな。今朝、宮廷の占星術師様からお届けものがあってな」
「おまえのところにか」
「おお。何でも、この村に邪悪な魔女がいるとの噂を耳にされたそうでな、村長の息子である俺の許にじきじきに使者をおつかわしになったのさ」
ダメットが手に抱えていたものの包みを取ると、ガラスケースの中に蒼白い炎がゆらゆらと燃えあがっていた。一見、ランタンのようにも見える。しかし、どこにも火を点らせた芯がみあたらない。ガラスケースの中に、蒼い魔法のほのおが浮かんでいるのだ。ゲルドの目が、炎に釘づけになった。瞼をみひらき、膚に脂汗がにじみ出る。あれは──
「その焔は何なんだよ」
「コイツを使えば、魔女はその魔力ともども、きれいさっぱり、あとくされなく滅びる」ゲルドの真の生れ故郷である、魔女の島に、だれもがふれたがらない力が伝えられていた。すべてを滅ぼし、無に帰す魔の炎。魔力をもつ者たちは、ほんらい争いや破壊を好まない。だから、禁忌の魔法とされていた。
「じゃ、村にかけられた呪いも消えるのか」
「ああ、まちがいない」
肉体を殺すばかりでなく、精神をむしばみ、たましいまで焼き尽くす──
「聖なる火だ」
邪悪の火だ。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ゲルドが絶叫した。いま、ここで魂まで滅ぼされてしまったら、足の先から髪の毛まで、このちっぽけな自分は、ゲルドという存在は、なんの痕跡も残せず、この世界にあったというあかしは何も立てられないまま、終ってしまう。
そんなのはいやだ。
洟が出、涙がぼろぼろとこぼれた。
なにも無い──この感覚が、身をひき裂かれるより、陵辱され、辱められるよりつらかった。
「この、魔女の怖がりよう。ホンモノみたいだな」
男がいう。
ゲルドはなりふりかまわず男の足にすがりつき、男根を口にくわえ、吸いはじめた。男が頭をつかみ、ひき離す。
「いまさらおせェんだよ」
「お願いします! もう、逆らったりしません! みなさんの奴隷に、メス犬になります──いえ、さ、させてください。私は、私は、ただの穴です。みなさんがお使いになる便所です。だ、だから、もう一度だけチャンスを……」
可憐な少女がみずから、信じられないような汚猥を口にするのを聞いて、男たちは邪悪な笑みをかくせなかった。
「ほんとになんでもしてくれるのか」
リーダーのダメットが、以前したのとまったく同じ質問をくりかえす。
「はい……好きにしてください。信じてください!」
うたがわしげに顔を見あわす男たちに、ゲルドは必死でうったえた。
「これが最後たぞ」
「え」
「てめーの言葉を信じてやるよ」
男たちが笑う。ゲルドの顔に、壊れたような、恍惚とした表情が浮かんだ。

村を横切る街道の四辻に、ゲルドは脚をひらき、逆さまにされた窮屈な恰好で据えつけられた。
もう、彼女をだれも魔女とは呼ばない。
公衆便所。
衆人環視の場所にうつされただけで、されることは一緒だった。村人や、道ゆく旅人たちが、気の向くまま、思い思いに好きなだけゲルドを陵辱していく。日々の生活の中でどうしてもたまる鬱屈した想いを、ゲルドにぶちまけていった。
いまも、剥き出しにされた女陰に、たくましい男の二の腕がすっかり埋没している。腸の中までおしひろげられる強烈な感覚で、ゲルドは絶頂に達した。
あらい息を吐いていると、口に男根が押し込まれる。男が射精し、ゲルドは口の中にだされたものをぜんぶ呑みこんだ。そうすると男が悦ぶのが、彼女には嬉しかった。
男は射精したあとも口の中から男根を抜かず、ゲルドにフェラチオを強要しながら、
「いいしらせだ」
といった。
「俺たち、おまえを信じることにしたんだよ」
ゲルドが怪訝なおももちで男を見あげる。
「おまえが俺たちの村に呪いをかけてないって言い張ってたの、あれ、信じてみることにしたんだ」
ゲルドの顔に、驚きとよろこびの表情が浮かぶ。
「巡礼、続けたいんだろ」
拘束され、男根を咥えたままの窮屈な姿勢で、こくこくとゲルドが頭をうごかし、そうだという旨を伝える。
「いいぜ、行っても。でも、俺たちにはおまえが必要なんだ。こうやって、やるあいてがな」
いいながら、男はゲルドの咽喉の奥まで一気に男根を突き込んだ。ゲルドがうめき声をあげる。
「だから、帰ってきてくれるよな?」
はい──と、もういちど頭を動かして、ゲルドは自分の意志を男に伝えた。
その日、ゲルドは解放された。しかしそれは、別のかたちの隷属でしかなかった。