(11・9)
余談だとは思うのですが、ブッシュ候補に面白い話があります。ゴアと並んでディベート を行ったときのこと、ある記者が両者に質問した「あなたが一番思慮する政治哲学者(ポ リティカルフィロソファー)は誰ですか」という返答にブッシュはジーザスクライスト( イエスキリスト)と答えたそうです。それを聞いた観衆が盛大な拍手と歓喜したそうです。 勿論僕はその場にいませんからこれは噂話かもしれません。これが真面目な話として話す と、とんでもないことだと思います。政治哲学者というのは誰の思想を最も受け入れてい るかということになると思いますが、それがキリストなら政教分離以前の欧州世界に戻る ようなことです。それを喝采する人々に受け入れられるのはアメリカが宗教国家として宣 伝したようなものです。笑い話としてならこれほどのジョークはないのですけれど。ちな みにゴアはジョンロックと答えたと言います。これもゴアを表しているジョークですね。 つまりゴアはお金中心の主義ということです。
前回までの選挙の詳しいことはあまり調べていませんが、今回の選挙では投票所が教会と いうところも多かったそうです。たしかに教会は一番コミュニティーに接しているわけで すからなるほどとは思ったのですけれど、日本の神社で投票するのとはちょっと感じが違 いますね。アメリカの人々はキリストの像の下で、十戒を見ながら投票するわけです。ア メリカ人の知り合いはその場で大いに迷ってしまったと言っています。
宗教の話とは変わりますが、今回の選挙で最も注目されたのがフロリダ州です。フロリダ が決定権を持つと言う展開になりました。ではフロリダの選挙民はどのような特徴がある のかというと、これがまた問題です。フロリダは中南米系の移民が多く、仕事を退職した (リタイアした)老人の人口が多いので有名です。保守的な老人世代と、過激的な中南米 右翼が票を握っているわけです。特にアメリカではキューバ系右翼が問題になっています が、彼らが大統領選の決定権を持つというのは皮肉なことでしょう。キューバ系右翼は武 器売買を始め、ケネディー暗殺、ウォーターゲートにも深く関わっているとされています。 最近ではエリアン君の問題がありましたが、ここでその問題が関わってくるとは考えつか ない結果ではないでしょうか。他にフロリダにはユダヤ系住民も多いです。この独特の地 で両者は激しいキャンペーン活動をしたわけですが、それが最後まで問題になったわけで す。白人警察官によるマイノリティーへの選挙妨害やまぎらわしい選挙用紙など問題点も どんどん出てきている状態です。
選挙前にはゴアは選挙人は獲得するがポピュラーボウト(総獲得票)は取れないと言われ、 逆にブッシュはポピュラーボウトを獲得し、選挙人は落とすというようにいわれてきまし た。それが選挙では逆の結果になったというわけですが、この狭い差の中の戦いに、時期 大統領への不安が募っています。どういう最終結果となろうと、この両党の闘争や国民の 分離は今後ますます増長するように思えます。ワシントンポストでは「一つの国に二つの 国民がいるような結果」と伝えました。黒人の90%がゴアに投票したということが伝わ っています。50万人以上の都市の住民は7割がゴアに投票したということも伝わってい ます。2党制政治が2党間だけの問題におさまらず、人種の差、都市と地方の差、性別の 差など今後大きなギャップをかかえていくことだけは明確なようです。
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大学の政治学のクラスで大統領選を討論した時の生徒の面白い発言
(言うところのアメリカンジョークです)
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K.Wakabayashi
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