(11/24)
今回の不信任案秘訣で、自民党内の争いを見てても何の発展も感じられなかった。 今の政治家同士の争いは、つまり内側からの改革は全く期待できないと思った。彼 らの根本にあるのは所詮選挙のためということだと認識している。ここが最近思う 政治の限界点なのだが、政治家ってのは兎にも角にも落ちたらただの人ってところ にスポットを当てなくてはならない。そこが官僚と違うところだ。だから選ばれて 国会に行き、何かを変えようという人が選挙で勝てるのだろうか。選挙で勝つ人は 初めから選挙のみの事を考えて国会で従事していると思う。日本というところは囲 み制、つまりコネや付き合いという独特の文化の中で経済を発展させたわけだが、 政治のことになるとこれが逆に後退する要因となる。そもそも地盤というものが確 立されてしまうから、マニュアル通りに国会への道が開けている。欧米で生まれた 民主主義が日本に輸入されて生じた結果と思う。社会的には日本に自由主義は合っ ていると思うが、国民が国家のことを考えるという思考はないのではないか。選挙 を見ていると日本人は或る特権階級に政治を任せればいいと考えているのではない かと思うことがある。それは政治が、天皇(古代〜奈良)→貴族(平安)→武家( 鎌倉〜江戸)→元老(明治)→軍隊(昭和)と流れてきた日本の歴史を見るとあな がち間違ったものとも思えない。
今回のことも選挙を前提にしていると考えててもよさそうだ。今の森首相では支持 率が低すぎて、次回の総選挙では自民党の議席が危ないと見たわけだと思う。だか ら、何か掻き乱して国民のアテンションを自民党へ引こうと考えたと思う。自民党 へのアテンションが成功すれば、注目を受けただけで成功という図式。森首相が駄 目で自民党が不人気になるところを、自民党内部でも森批判があり、「森を辞めさ せるよ」という自民党のイメージがつけば、森の不人気が返って自民党への人気に なる。森の不人気さを利用した自民党の勝利。今回も正にそういう結果に取れる。 自民党は死なない。小癪だが、そう感じたものである。
僕が外交や経済で期待していることなんて考慮にないと考える。北朝鮮への米支援 も減反政策で余った米を処分するという農家や農協に対しての選挙での点数稼ぎと いうことまで考えられる。その選挙第一主義がなくならない限り、まっとうな政治 は行えない。これを解決するには相当なドラスチックな解決策が必要だが、僕は二 つの策を考える。
一つは選挙の体制を変えること。点数稼ぎに終始しなくても白黒はっきりできる選 挙の制度を作ること。小選挙区制なんて正に自民党の思うつぼと思う。これで比例 代表がなくなれば共産党は消え、少数政党が消え、民主も半分になる。小選挙区と いう制度により、殊更自民党の選挙活動が露骨になったと考える。これは難しいと いうより自民党が議会を握っている限り不可能と思える。自分たちの不利になる選 挙法に賛成する政治家はいない。
二つ目に期待薄に期待する。これは選挙民の考えを変えるしかないことである。つ まり利権が選挙を左右する今の国民の意識改革。ホントに今の選挙は自分たちの利 益になる地元のための政治家を選んでいる。選挙民はもっと「国家」単位の政治家 を選ばなくては何も始まらない。そのような国民になるまで、政治家は外交のこと も何を知らなくてもやっていける。外交は地域ではなく国家のことだから、票にな らないからだ。しかし外交は国家にとって最も重要な国益と防衛に関する最重要項 のはずだ。政治に対して求められる国益と防衛が何も選挙に関連しない。これが自 民党政治と現実の選挙制度、それに選挙民のマインドと言える。これはやはり国民 が国家ということをもっと認識しなければいけないが、右翼とレッテルを貼ったり、 政治家からの妨害がある。言わばこれは政治家と国民の戦いである。教育の内容も 変えなければいけない。日本について正論が言える教育が必要と思うが、文部省が 政治家の手の内にあるからこれも難しい。
今回の事件で変わったことは何もないと思う。改めて認識されられただけだ。今回 のことで期待した国民を多いと思うが、そのような人は逆に自民党にやられている と思っていいだろう。特に自民党内での改革に期待している人には特にだ。改革さ れても森が切られるだけで、何も変わらない。そうして日本は目まぐるしく首相を 変えてきた。政治に必要なチェック&バランスが長年独裁的だった日本にない。今 の政治はもう外圧からでしか何も変わらないと言える。特に平和というのは国家を 見ず地域を見るということになるようだ。国家を見るという基本的な政治選挙体制 を作るには悲しいが平和が危うい状態にならないといけないかもしれない。まるで 第二次対戦の時にイギリス国民がチャーチルを選んだように。それであっては困る と思うが、一国民としてなんとも無力を感じずにはいられない。
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K.Wakabayashi
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