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捕鯨について

(5/28/2001)

ここではずっと諸外国、特にアメリカについてのネガティブととれる意見を多数書いて きたが、僕は外国のよいところを見るよりネガティブなところを指摘していきたいと思 っているからである。それは外国が日本に対して批判的なのと同じで、勿論僕も外国が 日本を認めるのと同程度は外国を認めている。むしろ彼等が日本のことを語るより僕が 外国の事を多く語るほうが多く、より親愛的である。根拠のない批判はしないからだ。 だからあまり知らない国や文化圏に対しての観察を控えてしまっている。それらの国の ことをより知ってある程度意見が出来たら書いてみようと思う。

今回はまた欧米批判である。僕が欧米に対して決して誉められないことはその傲慢さに ある。欧米が他国と同じ間違いを犯し、それを欧米が先に問題としイニシアティブを取 って論ずるならいい。欧米は産業革命以来、世界の中で常に先進国であり、物事を他の 国より先に先にと行ってきた。国益のためにだ。そして他の国、特に後進国が欧米の真 似をし行ってきた。近代化、工業化が最も顕著な例である。そして欧米は先に行動を起 こし富を得ると、次にはそれを守ろうと謀る。欧米の手中で他国は行動を起こし、有益 な部分はねこそぎ欧米に持っていかれるということである。欧米はそれを支援という言 葉で正当化してきた。繰り返し言ってきたが、正当化は欧米の最も汚い、また上手い戦 法である。ちなみにこれは聖書をどう解釈するかに正義があったキリスト強の影響が強 いだろう。欧米が先に富を得て、国益的に興味がなくなると、続こうとする、またはそ れを重要としている他国に対して正義の名の元に規制しようとする。今日のアフリカの 全ての問題を作ったと言ってもいいベルリン会議(欧州の利益のためのアフリカ分断) が最もなものだが、僕が昔から疑問に思っていた問題が正にそれだった。捕鯨の問題で ある。捕鯨の問題には欧米の傲満さがはっきり見えると思う。

捕鯨は中世から世界各地で行われてきた。大航海時代以降は欧米が大型船を作り、北氷 洋などで盛んに捕鯨を行ってきた。そして20世紀には南氷洋へと漁場は移り、乱獲に より鯨の数は激減されたとされ問題となった。乱獲に加わったのは欧米に加えロシアと 日本という先進国である。特に米国の捕鯨は最も盛んで、江戸末期にペリーが日本に開 港を求めたのも太平洋での捕鯨が隆盛を極め、捕鯨船の停泊港を必要になったのが大き な理由だ。日本の教科書にそんなことが書いてあったという覚えはない。ペリーの目的 はアメリカの捕鯨のための港確保という完全に自分たちの国益であった。それを後から 日本を近代化に導いたなどと正当化した。アメリカは今は日本の捕鯨にクレームをつけ ているから過去の行動を隠したいのだろう。もちろん現在アメリカで鯨肉など見ること はないが、ボストン観光では有名なホエールウォッチングもあり、現在はないがコネチ カット州の州都ハートフォードには5年ほど前までホエーラーズというアイスホッケー のプロチームがあった。名の由来は勿論その辺りでは昔から捕鯨が盛んだったからだろ う。

重要なのは何故アメリカは捕鯨がそれだけ盛んだったのに今は反対しているかだ。捕鯨 に反対しているのは環境保護団体なのだが、これは英米から世界に発言権を持つように なった圧力団体である。英米というアングロサクソンは環境問題を盾にエネルギーと食 糧を一手にコントロールしている。そのために環境保護団体への支援もすごい。環境団 体というと一見平和的な保護団体だが、そう思ってはやはりアングロサクソンの術中に はまる。これはもはや英米の政治的な過激団体と言ってもいいだろう。日本の田中角栄 はこれらアングロサクソンに対して日本にメジャーを作る構想を打ち建てた。その後、 田中はロッキード事件で見事に失脚させられた。出た杭(邪魔者)は叩き潰すアングロ サクソンのやり方であろう。

話を本題に戻す。何故英米は捕鯨先進国から一点反対派にまわったのか、ということで ある。日本人からすれば気付きにくいが、英米の捕鯨の目的は日本の捕鯨の目的とは違 っていたということである。日本が食糧資源として捕鯨してきたが、英米は鯨油のため である。鯨油は食用油やランプなどに使う。つまりはエネルギーの確保だったわけだが、 これが石油に移ったので捕鯨役割を終えたのである。役割を終えた捕鯨に対して英米は 興味がなくなった。むしろ絶滅の危険や動物愛護などを言いだした。理想を武器とした 英米の政治的利益を求め出したのである。英米は捕鯨によって富を築いた。石油という 新たなエネルギーを確保した英米にとって、その後に行うことはその富を一人占めする ことである。しかしエネルギーとして捕鯨してきた英米に対し、北欧と日本は食糧とし て捕鯨してきたわけだから、英米のように必要性がなくなったわけではない。終戦直後、 日本が食糧難になったとき鯨肉は随分と助かった。米国を中心としたGHQもむしろ捕 鯨を奨励した。海に囲まれた日本にとって水産業は英米などよりはるかに重要である。 英米が鯨を食糧として見ず、要らないと言っても現に要る国もあるわけである。なにし ろ食生活が違う。日本人は取った鯨のほとんどを使う。確かに取り過ぎて数は減ったか もしれないが、少なくとも日本は無駄な使い方はしていない。それに比べて英米は鯨油 として使う部分以外はほとんど捨ててきた。そして、食糧として鯨を捕獲してきた日本 と、金の成る木として捕獲してきた英米と、どちらがより乱獲する可能性があるかと言 えば、それは英米のほうだろう。自分たちが富のために乱獲してきて、要らなくなると 食糧のために捕鯨してきた国にまで禁止を出すのはアングロサクソンの傲慢だと思う。

捕鯨の制限は確かに必要だったらしい。しかし問題は一部のクジラが減少しているだけ ということだったらしい。それも減少しているのは主に英米が捕獲してきた種でもある らしい。すべての捕鯨を制限する必要性の有無もまだ考えられる余地があったのに、英 米は強引にすべての捕鯨を禁止してしまった。その後は日本はかろうじて調査のためと して制限された捕鯨をしている。アメリカも勿論捕鯨している。偏見になるかもしれな いが、日本が捕獲するクジラ(ミンククジラ)よりアメリカが捕獲するクジラ(ホッキ ョククジラ)のほうがより絶滅の危機にあると言われている。ミンククジラは逆に数が 増えすぎてバランスが崩れ、かえって他の種のクジラの数を減らしているとも言われて いる。

動物愛護などとは虚言にしか聞こえないが、捕鯨をどう見てきたかの違いだろう。クジ ラを油の原料としてしか見ない英米からすると鯨を食べる日本は野蛮に映るはずだ。当 然かわいそうと思う。そして野蛮な日本に文句を言え、ということになる。日本人であ る僕からすると物としか見ていない(それも富をもたらす物として)英米人のほうがど うかと思うのだが。日本人は鯨を魚と同じ食糧として見るが、英米はホニュウ類として 見る。犬や馬と同じものと思っているのである。考えてみると英米は牛・豚・鶏など家 蓄とされているものを食べる。しかし日本は水産業など自然の動物に高く依存している。 英米は優れた民族は家蓄しか食べない、自然のものを食べるのは野蛮であると思ってい るのと思う。それは世界でも決して珍しくはない。僕は自然の中のものを食べるのは普 通であると思う。逆に英米のように家蓄しか食べないと言い、森林を破壊して放牧地を 確保するほうが自然に悪い。牛のゲップは温暖化に影響しているのではないのか。

英米は世界に英米の食生活を押しつけている気がする。僕としてはそれはやめてほしい。 世界が英米人のように油っこい太った人になってほしくはない。日本で鯨が減り、ハン バーガーが増えたのは偶然ではない。鯨の数が減っているから捕鯨禁止という単純な問 題ではない。英米の価値感で攻撃された日本の捕鯨は世界の食文化や真の環境を守ると いう重要な問題の一端だと思う。

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K.Wakabayashi
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