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アメリカの占領について

(6/4/2001)

昭和の歴史というのは実にわかりにくい。戦前、戦後の歴史についても各人でバラバラの意 見。明治以前の日本史は資料の解釈などで意見が別れているのだけど、明治以後特に昭和は 資料の解釈ではなくて、思想に基づいて意見が別れている。思想が真っ先に来るから、それ を正当化する解釈でしかない。つまり最初から意見は決まっている。これはアメリカで顕著 な方法。最も明治以前の解釈についてもマルクス的など思想から解釈している点もあるのが 日本史をややこしくさせたり所謂自虐的といわれている理由かなと思います。学校で習った のは実に単純で、軍部が暴走したファシズムが敗戦の理由だと。日本が弱くてダメな思想だ ったからアメリカに負けた、というような感じでした。中学などで教えるには時間的にも年 齢的にも限界だったと思いますが、実に単純すぎて大学でいろいろな視点から物事見えるよ うになるまでかなり誤解していました。ということはいつまでも誤解している人が大半なの ではないかと思う。選挙結果にしても政治体制にしても、なぜこうも情けないことにしかな らないかと考えるとやはり単純な教育に問題があると思ってしまいます。しかし真実を語る というのは無理だと思います。当時の政治家も各々で別の考えで動いていただろうし、善ば かりではなく悪もあり、世界の潮流もあったしやはりそこまで柔軟な考えは難しい。しかし 少なくとも多局的な見方をしないといけない。物事一つの理由や動機で動いていたという単 純な教えかたが一番いけないと思います。よく言われているように考える力を養っていない 教育だったのではないかと思うのです。ここでは多くの知識人たちが言っていたことを参照 に僕なりの意見を考えていきたいと思います。

戦前はずっと暗黒だったわけではなかったでしょう。第一次大戦後にインフラ地獄に陥った ドイツでもヒトラーが出てきて失業率を解決した頃は生活はどんどんよくなった。よくなっ ていなかったら少なくとも他国侵略など行えないからです。アメリカは世界大戦を横目に繁 栄を謳歌していましたし、第一次大戦終了後は安定の時期があった。日本だって国民が悲惨 な目に遭うのは日米開戦で物資が不足する辺りからだったと思います。大正14年には普通 選挙法が実施されていますし、言論が内閣を倒すことまでに民主的だった。日本経済はずっ と恐慌だったと言われますが、工業出荷量はニ倍に増えているから恐慌だけではなかったと 思います。中国に手を出してから日本は損をしだしますが、近衛文麿による農地の改革も進 んでいた。日本が戦後に復興できたのはやはり戦前から繋がっていると思います。米軍の占 領下で改革されたからではない。アメリカがそんな政策をするはずはないというのは僕がア メリカで感じたことだけではなく、過去や最近の外交政策を見ていてもはっきりする。アメ リカはひたすら自分たちの利益のためだけに行動する。たまにはそのアメリカの利益が日本 の利益と重なって日本にも得になったかもしれないが、それで感謝する必要はまったくない。 損している方が多いはずです。パチンコ屋を見ていて思うのですが、あんなにネオンをキラ キラさせられるというのはやはりかなり儲かっているからで、ということはやる人は損をし ているということになる。中には儲けている人もいるかもしれないが、少数である。アメリ カはパチンコ屋みたいなもの。少数の利益をあたかも宣伝して、大部分は儲けている。やは り戦後日本が復興できたのは日本人のおかげ。逆にアメリカに足を引っ張られながらよく頑 張ったと思う。

アメリカは今もかなり日本の足を引っ張っています。いつの時代も政権を奪った人は前の時 代を悪く言います。これは特に中国の歴史に凄いものがあります。戦後にアメリカが日本を 占領したときに同じように戦前の体制をけなしまくった。日本は負けたこともあり素直に聞 いてしまった。それで民主主義と自由主義はアメリカが戦後にもたらしたものみたいに思う ようになってしまった。僕はむしろ戦前のほうが民主的だったと思うますけど。とにかく普 通の歴史はほとぼりが醒めると過去をバランスよく見ることができるようになって、そこか ら歴史に学んでいくようになるのですが、未だに戦前は悪に思われています。原因は日米安 保(つまりアメリカの軍事的植民地状態)だけではなく、アメリカに良いようにコントロー ルされてきた上の世代(団塊の世代)です。自民党は勿論、どこにでも普通にいますので気 概を失った情けない彼等から教育を受ける今の世代は疑問を感じながらをそれから脱却でき ないでいると思うのです。

敗戦後の日本とマッカッサーとのやりとりは調べていてとても面白いです。アメリカが自分 たちが負かした日本に対し、どう妥協し、何に固執したかによって世界の流れやアメリカの 思想的背景が見えると思います。まずGHQによる改革。日本という国は何事も自発的に行 動すると思うので、マッカッサーが一言指示しただけで改革されたというのは過大評価と思 います。戦後マッカッサーが来る前に東久邇内閣が発足しますが、すでにそのとき言論・結 社の自由が行なわれた。マッカッサーは共産党の釈放は危ないと考えて反対しますが、東久 邇は釈放すべきと頑張った。地主を無力化させた農地改革も戦前から準備されていたし、婦 人参政権も同じ。これらは日本人が戦争前に既に考えていたこと。労動者の権利向上は戦時 中に既に達成されていたとされます。戦後、アメリカなど西側が主流になって世界が民主主 義を理想として行くので、元より民主度の高い日本はアメリカが占領しなくてもそうなった と思います。アメリカが来る前から準備されていたものは占領(つまりアメリカの影境力) とは関係ない。日本はアメリカなどの力を借りなくても戦後世界に対応できる社会が充分に あった。今はそれが否定され、アメリカが占領したからこそ日本が戦後世界に対応できたと 言われている。自分たち日本人の力を否定して、わざわざアメリカの株を上げることはない。 それが上の世代が与えた教育です。

次世代への準備というのは戦前からあった改革でした。ただそれが戦後まで準備段階で終わ っていたのは戦争中だったからです。日本はファシズムだっと言われますが、それあ違うと 思う。戦時体制というのが正しいんじゃないかな。傲慢な敵ばかりの世界を相手に少ない資 源で戦わなければいけない日本はああいう体制じゃないと対抗できなかったと思うのです。 日本はファシズムだったから戦争を起こしたのではなく、戦争を戦わなければいけない世界 の流れに対抗するためのシステム作りが一見ファシズムに見える体制になった。つまり根本 的なところで大きく違う。そこは正に日本が侵略者として誤解されている部分だ。ヨーロッ パの帝国主義から自国を守ろうと日本は果敢に日露戦争などを行ってきた。国土拡張は列強 相手に力をつけるための必要なことだった。韓国や中国や他のアジアは日本を侵略者として 非難するが、もし彼等が日本と同じ立場だったら他の選択ができたのかと言いたい。内に問 題を掲えていて列強に利用されるだけの立場のものが日本を非難する資格があるとは思えな い。ヨーロッパやアメリカは自分たちの行動を棚上げして非難しているが、これも日本人が 負けたからと思ってしまっているところが大きい。負けたからって全て悪だったと認めるこ とはない。日本にも言い分がある。誤解を解くために世界に対して大いに言うべきである。 日本は戦時体制だった。緊急事のことだから国内政治は二の次とされたのである。戦争が終 われば元の平和体制に戻るのである。アメリカによってファシズムが倒されて平和になった のではない。日本はちゃんと戦争が終わると平和に戻る体制だったのだ。もしアメリカと和 解できて(そんな国ではないから戦争になったのだが)米軍の危険がすこしでも解除され、 中国大陸からも利益を残して徹退できていたなら戦時体制は解消されて平和体制に戻ってい たと確心する。そうなれば日本は独自で民主主義へ移行できたと思う。もちろんアメリカや イギリスと言った鼻っ柱の強い資源を持った国からは常に敵視され続けていたとは思うが。

占領下で損したものとは何か。それは沢山あるが、僕からすればメンタル的敗北である。そ れを言ってもキリがない。では占領がなかったら日本にもたらされなかったものは何かとい うと全く日本人が関知していないものだ。まず憲法9条だろう。それから東京裁判史観もそ うだと言える。これらは日本人に関係なく、アメリカがもたらした「物」と「史観」である。 これらは現在の日本の問題の諸悪の根源と思いますが、そういうことです。日本はポツダム 宣言の受諾という条件付き降伏をしたのに、アメリカは無条件降伏だとアピールしてしまっ てそれが定説となってしまった。

見て見ると日本は世界にアピールをしない、出来ない体質です。日本人の行動はアピールの 上手いアメリカによって悪い方へと変えられてしまった。日本にも言い分があるのに言わな かったから悪者にされてしまって、例えば僕がアメリカの大学で日本側で主張しても定説と は違う(つまり事実が知られていない)から否定されてしまいます。納得がいかないのです が、これは日本政府の失敗です。今も失敗しています。日本は昔から外交が下手といわれて いますが、これは当たっていると思います。僕は日本人は悲惨で悪者ではなかったが、日本 の言い分を言わなかったために悲惨で悪者にされ、さらに日本人自身がそう思うようになっ て更に混乱していると思います。だから僕は戦前を知りたがることは右翼的だとは全く思い ません。まず戦前の様子がわかりにくい段階で、それをしっかり解ってから立場を話すべき で、ただ知ることが右翼なわけがありません。世界にアピールされた(アメリカによって) 定説だけしか知らないよりは自国の歴史をちゃんと自分たちの目で見ることのほうがよっぽ ど大事と思うのですが、そうなるにはまだすこし時間がかかりそうです。

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