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アピール下手の日本人

(6/5/2001)

日本はアピールが下手と言いましたが、それは日本人の美意識とはずれるからなのでしょ うか。シドニーで篠原が負けてしまった試合。篠原は内股すかしを決めたと思ってガッツ ポーズしたのに相手の有効となり負けました。問題はまずコーチがすぐに試合を止めて抗 議しなかったことです。柔道のルールを日本のコーチが知らないはずはない。しかし審判 が畳を降りるのを阻止できなかった。畳を降りたら抗議しても意味はありません。間違っ ていると思ったらすぐに抗議しなくてはいけないのに試合が終わってから言っても駄目で す。次に篠原の行動です。表賞台の上で泣いてしまいました。そして自分は弱かったから 負けたのだと言ってしまいました。これは日本人にとってみれば勝っていたのに敗れた悔 しさから泣き、それなのに文句は言いたくない美学なのだとすぐにわかりますが、外人は 素直に弱くて負けたから泣いたのだと思ってしまいます。抗議のつもりで泣いたのなら、 篠原はむしろ怒りの顔をして自分は負けていないことを強調しなければ抗議にはならなか ったと思います。コーチ達は主張すべきところで黙ってしまい、篠原は怒る権利を諦めて しまった。日本人は自分たちで納得してしまうことがあり、無理に相手に文句を言うのを 美学とは考えません。この文句がすなわちアピールとなるのです。僕も日本人です。美学 は大切ですし、むしろいつもそうして黙ることが多いです。しかし国際社会というのは日 本人的な美学を解ってはくれず、文句や権利とばかり言います。国際社会では醜いほど文 句を言い、馬鹿の一つ覚えのように権利を主張するほど良いのです。また日本人のように 納得という考えがありません。潔いという言葉も英語にありません。無理に訳すとフェア になりますが、それでは権利がついてくるわけですから結局日本の精神を世界にわかって もらうことはできません。勝った負けたで、ひたすら相手を倒すことこそが良いのです。 日本の新聞が篠原に勝ったドイエに対し、あんな勝ち方で嬉しいのか、と言っていました が、フランス人のドイエは勿論嬉しいでしょう。勝ったのですから。相手が抗議の権利を 主張せず、弱いから負けたとギブアップ宣言までしてくれたのだから、自分が負けたと思 うはずはない。こうして日本は負けを認めてしまう。ドイエはその後来日して「自分が敬 意を表す柔道の母国が審判の判定などでもめないで欲しい」と言いました。日本人はそれ を武道家だから彼も勝ち負けにこだわっているのではないのだなと取るかもしれませんが、 僕が思うにドイエは、篠原が負けを認めたのだから彼を責めるようなことはするべきでは ない、と言いたかったのだと思います。その後ドイエは「篠原は次回は必ず勝つ」と言い ましたが、これは彼が篠原に勝負で負けたから言っているのではなく、きっと世界一であ る自分が引退した後は二番である篠原が一番になるだろうと思っていただけに違いありま せん。勝負に勝って試合に負けるという考えかたは外国人にはないからです。試合に勝つ ということが唯一勝負に勝つということです。シドニーの一件は日本人らしさが出たもの だなと思ったが、柔道ならそれでもいい。篠原もぐちゃぐちゃの泥仕合で日本人から反感 を買わなくてよかった。しかし政治は違う。日本が悪者とされるのは主張しないから、つ まりちゃんとアピールしないから。僕が思うだけでもいろいろあります。

まず真珠湾のことです。以前も書いたことですが、日本は真珠湾攻撃の前に戦宣布告する つもりだったということを全然世界に知らせていません。今だに騙し討ちというイメージ が世界で定説になっている。戦前のアメリカの日本に対する挑発的な態度も知られていな い。東条内閣が提出した甲案や乙案についてもあまり知られておらず、日本がどのように 危惧していたのか、またそれに対するハルノートなどアメリカの応対など日米開戦に至る 過程、つまりなぜ真珠湾が起こったのかを日本がアピールしないままだから、世界にはま るで知られていない。その点アメリカはアピール度には長けていて、騙し討ちということ をことの他アピールした。日本は戦後の情報戦でも完全にアメリカに負けている。また杉 原千畝は最近少し知られてきたが、日本が人種差別をどう思っていたか、特に欧米人に対 してどうユダヤ人を見ていたかをもっとアピールするべきだ。ドイツの同盟国だからと言 ってナチスと同じと思われているイメージは日本がそれをアピールすることで正すことが できる。中国や韓国が被害者面して日本の人種差別を主張するのに日本は負けてはいけな い。中国は秩序が全くない国の上に内戦状態で中国人同士でめちゃくちゃしていた。それ を日本のせいにされては困る。韓国は少し被害者のアピールが強すぎだ。小林よしのりで はないが、同等の立場にあった台湾人の意見も聞かなければ的確な判断はできない。朝鮮 民族の気質から言っても事実を誇長して語っているのは想像できるのである。そして何よ り敵であったアメリカがどう事実をねじまげたか、それを世界に語るべきだ。アピールの 上手いアメリカ相手に世界の世論でいつまでもボロ負けしていてはいけない。国際法無視 の東京裁判や占領下の態度、それに何より2発の原爆。それに日本はファシズムではなか ったということもアピールしないといけない。現在はもうそうなっているが、日本人の知 らないところでアメリカの都合良い日本観が世界に伝えられて日本の標判をどんどん落と しめられていくのを日本人は阻止しなくてはならない。

そう考えると日本は戦前も敵ばかりだったが戦後も敵ばかりに囲まれている。アメリカは じめ、中国、朝鮮など、又それらの国によってヨーロッパやはては全世界に日本の悪いイ メージがある。しかし中国やアメリカはともかく、日本に好意を持ってもおかしくない国 は多いはずである。むしろ中国やアメリカのほうが世界に迷惑をかけているのはまず間違 いないので東亜で中国、太平洋で米国と戦争やっただけの日本が世界にそこまで迷惑をか けているとは思えないのである。長い間欧米に苦しめられ、今もその影響で苦しんでいる アフリカ諸国や東南アジアなどには反日感情を持ってほしくはない。日本が何かを言うだ けで随分とイメージが変わることもあるだろう。それはやはりいかに醜い姿になろうとも 世界に取りこまれた日本がしなければならないことなのだろう。篠原の美学は日本の精神 ということで理解してくれる外国人もいるでしょうが、政治のアピール不足を理解してく れる外国はありません。

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K.Wakabayashi
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