新しい教科書を読んで
(06/24/01)
新しい教科書が市販され随分と話題になっている。ベストセラーになったらしい。まあ、 あれだけ騒がしかったのだから、皆一度は目を通しておきたいと思ったのだろう。僕も そうだが、近頃の少年問題を始めとする諸問題に対してやはり教育が成すところが多い と感じている人が多いのだろうと思った。それにマスコミと中国・韓国だけが熱くなっ ていて、実は国民は冷静だと思った。新しい教科書に過乗に反応している人も多いが、 まず、幾つかある教科書の内の一つとしてなのだから、ただ言論の自由を実践している だけではないかと思う。なぜこんなに反対意見が多いのか、それのほうが日本の社会問 題であると言わんばかりである。縦社会の日本に言論の自由はないのではないかと思う こともあるが、出版の自由までなくてはどこかの国と同じではないかと情けなくなる。 とにかくこれまではマスコミが騒ぐだけ騒いだ。僕たちはその内容も知らなかったのに だ。
とにかく読んでみないとわからないと市販を待っていた。しかしやっぱり本を読んでみ てもマスコミや各国がなぜそんなに批判するかわからない。たしかにこれまでの教科書 っぽくはなく、日本の歴史を誇ろうという努力が隋所に見ることができた。はじめの日 本の美術のところでも、ヨーロッパに匹敵するとわざわざ書いてある。そのような書き 方をするとやはり凄いと思うと思うから、日本史に自信を持たせるという意味では確か に面白く、ためになる本だと思う。それと良かったと思うのは、絵ひとつ取ってみても 「何故描かれたか」を説明していることだ。従来のものは誰が描いた、いつ描かれた、 などの説明はあったが、何故描かれたか、つまりどのような思想背景があったかまるで わからなかった。それがきちんと説明されているのは良い教科書だと思う。これは教え 方の問題だから右だの左だのは関係ない。これまでの教科書は下手だったと言える。「 何故」かを教えないとしっかりした説明ができない大人になるし、物事を分析する能力 も育たない。
もう一つ、神武天皇や昭和天皇のことがきちんと説明されていた点が良いと思う。天皇 反対とか言っている情けない日本人でも、天皇が日本史に関係なかったとは思わないだ ろう。だからきちんと教えなければならない。天皇を知らないと日本史は語れない。昔、 僕は恥ずかしながら戦国時代や江戸時代に天皇はいないと思ってた。尊皇という意味も わからなかったし、鎌倉幕府成立の重要さもわからなかったし、南北朝がどういう意味 かもわからなかったし、昭和天皇の人間宣言や御前会議などと言われてもさっぱりわか らなかった。それどころか、神道という言葉さえも知らなかったのである。こんな状態 なのに、学校で勉強したから日本史はわかっているという気になっていたのだから恐ろ しい。こんな知識では外国人に日本のことを説明することさえできない。今僕が挙げた 「無知さ」の原因ははっきりしている。「天皇」を避けて教えられていたのだ。天皇を 避けて通る、または天皇の意味をなめて教えると昔の僕のような日本人が生まれる。こ れでは激動と言われる２１世期に日本をわかってもいない日本人が舵を取っていかなく てはならなくなるではないか。
戦争を経験した世代はどんどんいなくなっていく。今がギリギリだ。あと２０年もした ら戦争経験者はいなくなる。まるで第一次大戦前のヨーロッパのような状態になる。正 しい知識、つまり負の部分も交えてしっかりと事実を伝え、なおかつ自信をもたせるよ うな教え方ができなくなるということである。戦争を肯定しろとは言わないが、否定は できないだろう。ハーレムで銃をつきつけられて「金をよこせ」と言われることと同じ で、銃を否定していても、相手からつきつけられたら意味がない。日本はヨーロッパの ように周りを協力し合うフレンドリーな国で固められているか？中国、韓国、北朝鮮、 台湾、そしてアメリカ。どこを取っても信頼できそうな相手はいないではないか。むし ろ敵ばかりである。そういう状況になって、多少の想定は必要だろう。せめて相手につ けあがらせないようにしっかりした対応を持って交流しないと駄目である。しっかりし た対応とは、昔は朝貢などもあったが、現在では自分をしっかり持って相手と台頭に話 すことである。特に日本は貧しい小国ではなく、少なくとも世界を代表する大国である。 日本人として自信を持つのは当然だが、マスコミや中国の反応を見るとその当然のこと がいけないようである。正直ロクな情報も提供できないマスコミの言うことなど聞く必 要などないと思う。何がいけないの？国民はそう思っているはずである。日本は世論が 強力な力を発揮する。いつまでも世論を操作できると思っているマスコミは自分たちが 置いて行かれるとは思わないのだろうか。たしかに鼻の高い人間が多そうなイメージは あるが。
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K.Wakabayashi
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