今、相撲が面白い
(09/17/01)
大相撲秋場所が大荒れである。貴乃花が出てないのは珍しいことではないが、魁皇が綱取り どころか気迫のない相撲で連敗を重ねるとすぐに休場してしまった。更にカド番大関の雅山 はカド番を象澂するような元気のない相撲。ついに昨日元気な海鵬に足を潰されてしまった。 前日には千代大海が休場。大関の中で唯一応援していた千代大海だが引いてしまう悪い癖が 出て情けない負けが続いた後、ケガをした。武蔵丸でさえアップアップの状態で金星4つで ある。昨日の玉春日との試合を見ていたらこれからも増えるかもしれないと思えた。
そんなこんなで上位はボロボロである。かつて小錦と霧島が休んだとき(遥か前になるが) は当時大関の曙が一人大関の寛禄を見せつけ優勝した。曙がいる場所、貴乃花がいる場所で は大関の陰は薄くなるかもしれないが、上位がボロボロになる心配はしなくていい。今はは っきりと心配だ。新聞も全てこのことについて話題をふるまいている。但し、これは上位が 盛り上げてくれないというだけの話で、今場所の相撲はいつもより遥かに面白いことを書い ている新聞はない。
まだ中日を過ぎたくらいなのに平幕の優勝の可能性がかなり高いというのは確かに珍しいだ ろう。しかしそれは弱い平幕に簡単に負けている上位が悪いのではなく、平幕が若くて強く て元気のある相撲を上位以上に取っているだけである。今場所は始めから上位陣ははっきり 言って気迫が全くなかった。僕が相撲の中継をテレビで見るのは実に久しぶりである。結果 と記事だけは細めにチェックしていた。だから成積と記事だけ見る限りでは今の上位陣も強 いと思ったのである。しかし実際にテレビを見ると平幕の若い力士のほうが遥かに元気で強 そうではないか。具体的な名前を挙げると朝青龍である。力士には珍しく気迫が顔に出るタ イプ。初日に大関武双山に負けても睨みつけるように土表を降りた。その負けん気の強さに 惚れたものである。そしたらどんどん上位を倒し、今では一番強い力士ではないかと思うほ どになった。何しろ気迫が伝わる。雅山などは失礼だが全く気迫が伝わらない。やる前から 顔はブルーになっているのである。大関から落ちた出島も同じ。悲壮観で相撲をやっている ようだ。その朝青龍よりも強いのではないかと思う力士もいる。琴光喜だ。現在単独トップ。 一昨日の朝青龍と琴光喜の試合は前頭同士の試合なのに今場所で一番面白かった。上位を見 るときは大関が情けなく負けるんじゃないかと思ってしまい、面白い試合はない。恐らく琴 光喜は今一番強い。一番元気なのが朝青龍。この二人にもっとスポットを当てるべきだ。弱 い大関など落ちればいいのである。雅山は大関陥落が決まった。それでいい。多分負けるん だろうなと思われてしまう大関は大関にいてはいけないと思う。
新聞は上位の心配ばかりせず、伸び盛りの若手を見るべきである。実力のない権威は要らな い。正に不況の日本にぴったりの場所ではないか。新聞は上位がこけているからつまらない 場所と記事を書いているが、本当に相撲を見ているのか?書くべきは彼等上位(横綱、大関 全てである)に引導を渡している元気ある強い若手ではないか。彼等の相撲を見て、彼等に 期待した記事を書くことは相撲の面白さを充分に伝えられるものである。その証拠にNHK のテレビ中継では、注目はほぼ朝青龍と琴光喜になっている。ここのところ彼等の一番にな ると「この取り組みに注目です」と言う。上位はどうか。大関や横綱はこれ以上負けては恥 かしいから「プライドにかけても勝ちたい一番ですね」などと冷静に言っている。既にあま り注目していない。ただ荒れているのは事実だから、その珍しさが少し面白い程度だ。しっ かりと「相撲」をファンに伝えているNHKは相撲の面白さをわかっている。新聞が伝えて いるのは権威主義みたいなものだ。プロ野球で相手チームが如何に面白い野球をしても巨人 が負ければ、巨人負けたとしか伝えない情けないスポーツ誌と同じである。サッカー記事を 見ると新聞は何てサッカーをわかっていないのだと思う。はっきり言って日本のメディアは まだ本当のサッカーを見る目は養われていないのだ。メジャーリーグにしてもそう。イチロ ーだけが大リーグではないのに、イチローしか伝えない。彼等が報道しているのはスポーツ ではないということをわからなければならない。アイドルのおっかけ、ボムや明星のような ものだ。しかし日本人は相撲を見る目は肥えている。新聞がつまらないと言っても、やはり 見る人には今場所ほど面白い場所はないのである。それがわからない新聞は上位陣とともに 陥落していただきたい。
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K.Wakabayashi
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