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日韓ワールドカップ・1・大会を振り返る

<07/03/02>

ニュージャージーの大学を卒業して帰国したのはワールドカップ日韓大会の前日だった。帰国前にはニューヨークのケネディー空港では サッカーを見に日本にやってくる多くの者を見ることができるのでは、と少々期待したが、四人の男女一組がコロンビアのユニフォームを着て いただけだった。考えてみればサッカーのことでアメリカが騒ぐはずがない。大会をやっているのかも大半は知らないだろう。気になっているの は各々サッカーが盛んな地で育った比較的最近米国に来た移民達くらいのものだ。さて、長距離フライトの機内でへとへとに疲れて覇気を 失っていたコロンビア人達と共に日本に着いた私は早速次の日からサッカーを楽しませてもらった。

今大会は試合以外のことでも注目させてもらった。お隣の韓国である。サッカーより気になってしまった彼らの恥部は別に述べるとしよう。 先日、大会はブラジルの優勝をもって終わったわけだが、終わってみて考えたのは、世界の大半はこの大会に納得したのだろうか、という 疑問である。韓国は勿論、日本の関係者は大成功だったと口を揃えて言っているらしい。私の本音は否である。

決勝戦がブラジル対ドイツだということを大会前に予想していた人は世界にどれだけいるだろうか。どちらとも常連の強豪国だが、予選をギリギリで 通ってきたのも事実。ブラジルは南米予選でボロボロで、最低の代表という噂ばかりだった。南米予選で苦戦しなかったとしても、フランス大会の 決勝以来、優勝候補ではなくなっていたはず。意地でそこそこは勝ち進むが優勝のイメージは描けない。これが予想だった。ドイツはもっとひどかった。 これといった選手もおらず予選でイングランドに大敗、更に主力選手がケガしていた。強いドイツには必ず絡むベッケンバウワーすらも見放していた。 彼が見放した以上強いドイツのイメージはなくなる。8年前のアメリカ大会でブルガリアのレチコフのヘッドに葬られたときはまだ「強いドイツ」が 予想外に敗れたというイメージがあったが、前回クロアチアに敗れたときはそこまでのショックはなかった。今回もベスト8だろうと踏んでいた。 とにかく注目はブラジルやドイツには向けられてはいなかった。注目の的はまず、面子が変わっていないとはいえユーロで優勝したフランス、 最強の呼び声が高かったアルゼンチン、そしてジダンよりも注目されていたフィーゴ率いるポルトガル、この3ヶ国だった。それにイタリアが続く。 オランダが出場していればここに加わったはずだった。イングランドとスペインは選手層では負けていないが、これまでのワールドカップの実績 からして優勝を期待するイメージは薄かった。ドイツやブラジルもここに入る。ともかくこれらが潰し合いをしながらベスト8以降を盛り上げるはず だったのだ。そしてベスト8以前の戦いではオランダを退けて出場してきたアイルランドやアフリカ最強と言われたカメルーン、そしてトルコあたりが 列強に加わって盛り上げるはずだった。開催国の日本と韓国は決勝トーナメントに進めるかどうか、つまり強豪たちがさっさと通過していく一次 リーグの盛り上げ役であった。

さて、期待を裏切らなかったのはどの国だろう。決勝トーナメント進出決定チームが出揃ったところで見ると、シナリオ通りは3戦全勝のスペインと ブラジル、そして予選突破を果たした日本だけだろう。ただし日本の1位は意外である。ここまでシナリオが崩れた大会はない。フランス、アルゼンチン どころかポルトガルまで落ちた。目玉の3ヶ国が全部消えてしまったわけだ。彼らの代わりに決勝に進んだ国はセネガル、スウェーデン、そして アメリカ、もしくは韓国である。試合の結果とはいえなんだか横綱が3人とも場所の中日までに欠場してしまったような落胆ぶりだ。フランス対 アルゼンチンが当たるのでは、と予想された試合は結果スウェーデン対セネガルになってしまった。両国に悪気はないが、千秋楽、横綱決戦で 優勝が争われるというところが、小結対前頭の争いになってしまったようだ。正直これでは満員御礼は出にくい。他にもアメリカ対メキシコ、 ドイツ対パラグアイといったアレっと思うようなカードが続いた。強豪を力で破ってのしあがってきたというより、運よく勝ちあがってきてしまったという 感じがなくはない。事実上の決勝戦と言われたのがブラジル対イングランド、そして本当の決勝戦がブラジル対ドイツでは、なんだかユーロのほうが 強豪がどんどん当たりおもしろいのでは、と思ってしまう。だからどうも納得できない「世界最高の大会」という気がするのだ。

大会をどうも納得できなくさせた責任者は誰だろう。とにかく韓国だ。これまで1勝もできなかった国が無理やり1位で決勝トーナメントに進んだ 代償としてポルトガルが早々と消えた。それどころではない。決勝に残った数少ないスターたちであるイタリアとスペインをも消し去ってしまった。 3ヶ国を消してしまった罪は重い。ちなみに日本が「消して」しまった国はロシアだけである。ロシアというチームは別に優勝候補ではなかったし、 日本がフロックで勝ち進んだわけでもないので罪はないとしよう。話を韓国に戻す。もし全て無かったとしよう。ポルトガルがイタリアとぶつかり、 勝ったほうがスペインと当たる。更に次はドイツだ。こうして大会は盛り上がるのだ。それが全て韓国戦に変わってしまった。ドイツは決勝まで 進んだが、決勝までの相手を見ると、いわゆる強豪は予選で当たったアイルランドぐらいしか思い浮かばない。決勝に進出してから倒した相手は パラグアイにアメリカに韓国だ。結果は準優勝なのだが、対戦相手を見ると世界二位と堂々と言ってよいのかはばかってしまう。もしシナリオ通り だったらパラグアイはともかく以降はイタリア、そしてポルトガルかスペインだった。それならやはりドイツは予想通りベスト8だったはずである。 確かに意外性があるというのは面白い。それがスポーツだ。しかし意外続きで全部消えてしまってはつまらない。一つ、二つの意外は大会を 盛り上げる。それはそれは面白い大会になったはずだ。それが全部意外ではただのつまらない大会になってしまう。事実そうなった。終わってみて 印象に残るプレーヤーはというと、ドイツのカーン、ブラジルのロナウド、そしてベッカムくらいだ。アンリやトッティはプレーより退場した場面だけが 目立ち、ジダンは満身創痍の場面だけ、ビエリやトレゼゲ、クレスポ、ベロン、フィーゴらのプレーもほとんど印象にないのが悲しい。

アルゼンチンからは大会を無効にしろという声もあった。イタリアやスペインからは怒りの声しか聞かれない。そのうちヨーロッパから「やはりワールド カップはいらない」という声が出るだろう。白人はそう考えると思う。サッカーはやはり白人のものという意識が強い。コケにされるような大会よりは ユーロでヨーロッパ一を決めたほうがいいのである。それに恐らくヨーロッパの選手達はワールドカップにそれほど力を入れていない。 まず第一に金にならない。クラブチームで活躍するほうがよいのである。ワールドカップは名を売る場である。既に名声を手に入れた選手達は 次に名誉が来るが、それはヨーロッパ一(白人国家ナンバーワン)でも満たされるのだ。特に日本や韓国という遠く離れた地で1ヶ月も、それも 本当はオフであるはずの時期に試合を立て続けするというのはあまりやる気が出るものではないと思う。ヨーロッパ諸国はヨーロッパ以外で開催 された地で優勝したことがない。やはり推理は当たっているような気がする。更に韓国では国民が無礼ともいうべき態度でコケにした。海外の トッププレーヤーに無関心で、自国の選手たちしか興味がなく、プレーそのものより、とにかく自国が勝つところだけを見たがる。そんな中で気分よく やれるはずがない。日本はその点、ミーハーとは言え、スター達を注目したし、試合も楽しんだ。自国以外の試合への関心度が韓国との違いを もの語る。特に韓国はひどかった。まだ8年前のアメリカのほうがマシである。アメリカは恐らく世界一サッカーに興味がない。とはいうものの、 スポーツ大国である。特別サッカーにというわけではなく、スポーツの一大イベントとして、自国で開催されたので関心はある程度集まったのである。 誤審問題も全て韓国がらみであった。後味も悪いし、気分がイマイチ乗らない欧州の選手がサッカー後進国のアジアの国にコケにされたと思えば、 もうアジアでサッカーなどしないと思うのではないか。確かにこれは自分勝手な白人たちの勝手な言い分だ。それは承知している。しかし、だが、 日本人としてそう思われるのは癪である。日本は少なくともホスト国として責任は果たしたと思う。しかし関係者が言うほど成功したとは思えないのが 大会後の印象だ。その点、つまりホストとして大会を盛り上げる責任を果たせたか、共催は正解だったか、など、もっと議論する余地はあると思う。