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箱根駅伝03・スタート前

(12/30/02)

今年も楽しみにしていた箱根駅伝が近づいてきた。区間エントリーも発表され、あとは2日のスタートを待つだけ。じっくり箱根を見るのは今年で 3回目。幾度もビデオテープを繰り返して見た2年前の大会に出ていた選手達は既に実業団で走っている。そんな影響からか、いつもと違うのは 1月2日の箱根の前に元旦の実業団駅伝も楽しめるようになったことだ。今年は日本にいたのでマラソンも見ることができた。シカゴでの高岡の 熱い走りに魅入られて、これからの日本もマラソンで楽しめれることになるだろう。

さて今年の箱根のだが、昨年までと比べると2区が物足りない。前回走った徳本(法政)、神屋(駒澤)、原田(早稲田)、奥田(順天堂)、秋山(大東 文化)ら4年生が卒業し、今年も若い選手が出てきてほしいと思うのだが、どうしても小粒に見える。一番残念なのは下級生からエースを張ってきた 連中が最後の年に爆発するという期待がないことだ。故障が多すぎる。藤原(中央)や松下(駒澤)は明らかに以前より力がない。恐らく不調なのだ ろうが、過去を見る限りは大エースとして区間賞を期待するところだが、あまりに不調でズルズル落ちて行きそうなのである。確かに徳本や神屋も 今年のレースで散々だった。しかしレース前に予想された結果と違うだけで、今年はレース前から不調さが予想される感じがされるのである。2区の 区間賞をと一番期待した土井(法政)はなんとケガで欠場。吉村(神奈川)も不調で2区から外れ、当日に欠場となる可能性も大である。昨年にエース クラスでレース前から不調が言われたのは岩水(順天堂)だけだった。岩水は結局欠場したが順天堂には野口らエースクラスがまだ2,3人いたので 楽しめた。総合優勝するためには10人揃えなくてはならないが、往路の優勝争いに加わるには2,3人の実力者がいるだけでよい。それでこちらは 楽しめるのだ。今年はあまりに実績と比べて不調な選手が多いレース前で、優勝争いには加わる力がないが往路を荒らしてほしいと思われる下位 校のレースクラスが揃って不調とは残念でならない。

結局どこが優勝するかと言えばやはり駒澤である。しかし爆発力があった神屋や安定感抜群の高橋や揖斐という実力者が抜けて戦力は前回より ダウンしただろう。これまでは彼ら卒業生にひけをとらなかった今年の4年生が今年に入ってふがいない。松下や島村は出雲や全日本でエースと 言えない不安な走り。布施と松村は欠場という有様。一番安定感のあるのは3年の内田と2年の塩川だと思われる。他の下級生はまだ未知数。 これでもし他校に昨年の順天堂レベルのチームが1チームでもあったら駒沢とてピンチであった。しかし今のところ他校にも故障者は続出。残った 戦力で、ということならやはり駒澤の平均レベルが一番高いと思われる。駒沢が予想以上に不調で他が予想以上に好調なら、ライバルは山梨や 日大となる。ただ駒澤は毎年箱根デビューの下級生がしっかりと走る伝統がある。それだけの実力は持っているということか。エースクラスが無難に 走り、下級生が好調ならば今回も駒澤の独走になることだろう。

土井の欠場で2区がつまらなくなったが、法政は更にエース格の黒田まで欠場となった。黒田・土井の1・2区でレースを面白くしてほしかった法政 だったのだが、繰り上げギリギリのチームとなってしまった。出雲で善戦した神奈川も吉村がいてこそ盛り上がるわけだがあまり期待はできない。 藤原2区起用で盛り上がるはずの中央も昨年2区を走り安定感のあった野村が欠場。藤原が不調で更に野村欠場で安定感に欠ける池田や池上が 準エースとなってしまっていることからしても、シードは取るであろうが毎年恒例のそこそこの順位に終わってしまうだろう。

調子が良いと思われていた東海もエース格である河野が欠場。日体大もエース佐藤が欠場。強豪校も下位校も軒並みエースが欠場や不調である。 一番わからないのは山梨学院である。2区にエントリーしているモカンバはよほどのアクシデントがない限りまず区間賞は間違いない。モカンバの安定 感は今のところ全チームのエースの中で一番である。問題はモカンバ以外の3人のエース(橋ノ口、高見沢、カリウキ)である。山梨はこの4人の エースを全て往路にエントリーさせた。全員が2区を走れるようなこの面子が実力通りに走れれば往路優勝はほぼ間違いない。ただモカンバ以外は 好不調の波が大きい。ロードに弱いカリウキと駅伝に弱い橋ノ口は前回ブレーキーとなった。ケガがちな高見沢は前回欠場。不安は消えない。 全員が区間賞ということもあれば、全員が区間8位前後ということも考えられる。とにかくここ3年間、箱根では何かトラブルが起きる山梨のこと、 簡単には優勝の予想はできない。

駒澤以上に駒が揃うのは日大という気もする。目立たなかった清水兄弟がここにきて実に好調。エース藤井を他の区間に回せる余裕に加えて、 中谷や岩井など実力者が揃う。何より選手の調子が一番安定している。優勝候補大本命である駒澤のエース格である松下や島村らが不調に終わる ことがあればひょっとしてと期待できるのが今年の日大である。ただしやはり駒澤に勝つには全員が実力通り、それ以上の走りをしなければならない ことが必要だろう。

関東学院のエース尾田の走りには期待したい。実力が発揮されればモカンバと花の2区の区間賞を争う実力があるのは彼である。土井が欠場した 今となっては何とか尾田に頑張ってもらいたい。ただ関東学院というチームは最下位候補に予想できるチームである。2区の尾田には期待したいが 他は期待できない。前回は寺尾や秋葉など他校にひけを取らぬ選手もいたが今年は尾田だけ。1区で相当トップに離されると寂しいことになるかも しれない。

前回に比べて明らかに格が落ちたのが順天堂、帝京、亜細亜である。順天堂は岩水、野口、入船、坂井、奥田とエースが全員卒業した。帝京も 谷川、北島、中崎とエース3枚が卒業。亜細亜も前田、片岡とレースを盛り上げたエースが卒業。この3校は今のところ卒業したエースに並ぶ実力 を持った選手が出てきていない。シード争いになることは間違いないだろう。この3チームからは良い意味で予想外の選手が出てきてほしい。

実力未知なのが東洋。毎年予選で孤軍奮闘しながら出場叶わず昨年卒業したエース石川のチームというイメージが、今年の活躍ですっかり新しい イメージがついた。1区に久保田、2区に三行をエントリーし、実力者田辺も控えるメンバーは往路を盛り上げてくれそうだ。イメージ的には前回の 亜細亜と似ている。三行が前回の前田のような走りを見せれば東洋はシード権争い以上の成績を残すだろう。

また今回は選抜チームも出場する。チームとしては出場が叶わなかった、またこれからも当分叶わないであろう選手達が一度きりの箱根を走るという 新しいテーマが生まれる。選抜チームはいわば個人戦。チーム競技としての美しさが光る箱根駅伝においてはどこか違和感が隠せないが、それは それでまた新しい感動を見れるかもしれない。1区を走る坂斎(国士舘)、2区を走る重成(明治)には実力がありながら箱根を走れない運命を持つ 孤高のエースとして強豪校に一泡吹かせてほしい。その姿は走っても走ってもスーパーボウルに出場できなかった元NFLデトロイトライオンズの バリー・サンダースに似ている。意地の走りが楽しみである。

前回は花の2区に選手が集まるばかりか、準エースクラスが揃って5区に集まり、レース前は楽しみでいっぱいであった。今回は参加チームは20 チームに増えたが一校一校の実力は落ちている。それが実力不足ではなく不調や故障というのが原因なのが寂しい。貴乃花や高橋尚子を見ても 思うことだが、客が見たい実力をもった選手がケガで欠場するのはなんとも残念である。故障で欠場が決定した選手については残念だが、不調と 言われる選手には是非本番で実力を見せてほしい。レースとしては2区はモカンバが独走するだろうし、最終的には駒澤が優勝しそうだが、よい 勝負となる可能性は大きい。それは揃ってエースが不調な結果に終わるからかもしれないし、注目されていない選手の奮起によるものかも知れない。 駒澤や山梨に絡む意外なチームも出てきてほしい。エースが集うことで盛り上がった前回のレース。今回は意外な展開を期待しながらレースを 待ちたい気分である。

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K.Wakabayashi