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掲示板ログ(2000.6)

言葉 言葉 言葉 掲示板


いろは歌など

投稿者:野嵜健秀  投稿日:06月28日(水)07時15分19秒

色々あるんですねえ……。

http://archive.hoops.ne.jp/iroha.html


訂正

投稿者:森 洋介  投稿日:06月27日(火)03時08分45秒

下記の投稿ですが、

>[……]ヴェ(ヰ″)ーバーでなくウェ(ヱ)ーバーなら、[……] 色付き文字

正しくは「ヴェ(ヱ″)ーバーでなくウェ(ヱ)ーバーなら」でした。
 謹んで訂正申し上げます。


ワ行の濁音

投稿者:森 洋介  投稿日:06月27日(火)03時00分18秒

>高崎さま、ペトロニウスさま
 野嵜さんに続き、これも外来語の使用例ですが……。
 戦前の古本を読んでゐると、ワ、ヰ、ヱの濁音が出てきます。今日ではヴァ、 ヴィ、ヴェに該当し、ワ″イオリンとかヰ″オロンとか、神秘のヱ″ールとかで す。これは仮名の癖にJISコードにも入れて貰へず、作字しないとワープロで は出せません。この不遇な仮名も、どうか追加登録してやって下さい。
 「ヴ」はローマ字でVを用ゐた音の表記、とはペトロニウスさんのご説明です が、ドイツ語のWの時もあると但し書が要りませんか。
 音楽の都はウィーン(ヰーン)かヴィーン(ヰ″ーン)か。『論理哲学論考』の著 者はウィ(ヰ)トゲンシュタインかヴィ(ヰ″)トゲンシュタインか。『職業として の学問』の著者がヴェ(ヰ″)ーバーでなくウェ(ヱ)ーバーなら、その「学問」の 原語Wissenschaftを何故ウィ(ヰ)ッセンシャフトでなくヴィ(ヰ″)ッセンシャフ トと呼ぶか。等々。
 まあ、どちらが原発音に近いかを仮名で競ってもナンセンス、始まらない気も しますが。
 そもそもVとWとは初期活版本などでは一字で兼用してゐて、後になって区別 をするためV字を重ねてW字を作った、と何かで読んだ憶えがあります(記憶違ひ だったらご免なさい)。そしてW字ができた時に、はじめてV音とW音の音素(音 韻)の辨別も意識されたと言へませう。
 西欧でも混用してゐた位なら、日本人が辨別しかねるのも無理ないといふこと になりさうです。
 またもや文字と音とのややこしい関係、でした。


フョードル、キャプテン・フューチャー

投稿者:野嵜健秀  投稿日:06月27日(火)00時19分21秒

ペトロニウスさんのところで「仮名 かな カナ」と云ふコンテンツが登場し、 いろは歌に天地の詞、五十音圖が掲載されてをります。
發音、促音、濁音、……も掲載されてをります。
高崎さんの「正假名遣」にも、表記の一覽はあります。
……それでなのですが、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』にはフョードルが 出てきますし、エドモンド・ハミルトンのスペースオペラにはキャプテン・フューチャーが 登場します。「フュ」「フョ」と云ふ表記には取敢へず、このやうに使用例がありますので、 表に付け加へておいていただけますか>高崎樣、ペトロニウス樣。

http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/8882/kana/kanazukai-gen.html


『正假名遣』メーリングリスト開設

投稿者:高崎一郎  投稿日:06月22日(木)22時43分24秒

こちらの掲示板には尻切れとんぼで、申し譯なく思ってゐます。さて、 電腦文字研究會で檢討中の『正假名遣』につき、メーリングリストを開設 いたしました。最初は會員同士の同送メールでやってゐたのですが、次第に 送り先が増えてきた事もあり、半公開にいたします。私自身がこの形式に 慣れてゐないので、まだまだ運營上など手際が惡い次第です。發言數も さう多くはなく、數日に一通ぐらゐでせうか。
歴史的假名遣に反對意見の方が參加されても構ひません。特に本質的な 缺陷を衝いて下さる方は大歡迎します。生産的でない場合は登録削除します。 御諒承下さい。
參加方法ですが、どうやらこちらのページで「ユーザー登録」をするやうです。
http://www.freeml.com/index.cgi
メーリングリストの場所はこちらです。
http://www.freeml.com/Mess.cgi?Group=gimon

http://member.nifty.ne.jp/gimon/gimon.htm


seoul

投稿者:ペトロニウス  投稿日:06月22日(木)01時14分39秒

最近、朝鮮半島の南側のはうに行つて来ました。街中がみんな諺文で 表記されてゐて、異国に来たんだと云ふ事をいやでも思ひ知らされます。
華僑の学校では「漢城」と漢字表記されてゐましたが、日本語で漢字表記 させるとすれば××ですね。(検閲が入りました。)(^^;


Re: 仮名遣の出来た「特別な理由」

投稿者:ペトロニウス  投稿日:06月22日(木)01時12分39秒

>森 洋介 さん、はじめまして、
 ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。今後とも宜しくです。
人の考へは十人十色、色々な考へ方があつて当然だと思つてをります。
論には其のやうな可能性があるとは受取りますが、賛成なり反対なりの 意見は自分としては行ふ積りは有りません。
>  「特別な理由」とは、語意識といふより、伊呂波歌に帰因させられてゐるのです。
いろは歌に「ん」を加へて四十八種類の仮名が有りますね。此れ等の仮名を どう使つて国語の表記をさせやうかと云ふ事が仮名遣なんだと思ひます。
「聴覚映像」ですか、中々興味深い見解ですね。


仮名遣の出来た「特別な理由」(RE:音声・文字)

投稿者:森 洋介  投稿日:06月12日(月)22時34分38秒

>ペトロニウスさん  済みません、貴文のご主旨がよく掴めずにゐますので、下記に就てのみ応答致し ます。
>其処でこの「特別な理由」と云ふ事なのですが、私が考へるに「語意識」に
>よるものだと思つてゐます。歴史的使用の実態を残さうと云ふのも、漢字
>を使用しようと云ふのも「語意識」によるものだと考へます。
 橋本進吉「表音的仮名遣は仮名遣にあらず」をご参照下さい。
 前回後略した部分を引きますと――

[……]然るにこれら[「を」と「お」、「ひ」と「い」など]の仮名に限つ て、同音になつた後も仮名としては互に違つたものと考へられたのは、特別 の理由がなければならない。私は、この理由を当時一般に行なはれてゐた「伊 呂波歌」に求むべきだと考へる。即ち、これらは、伊呂波歌に於て別の仮名 として教へられてゐた為に、最初から別の仮名だと考へられ、それが同音に なつた後もさうした考はかはらなかつたので、同音に対して二つ以上の違つ た仮名がある事となり、それらの仮名を如何なる場合に用ゐるかが問題とな つて、ここに仮名遣といふ事が生じたものと思はれる。

 これは、高崎さんが引かれた、大野晋「假名遣の起源について」が挙げる「假名 遣の唱へられた國語史的條件」の(四)に該当します。
 「特別な理由」とは、語意識といふより、伊呂波歌に帰因させられてゐるのです。
 とすると、通常考へられてゐる如くまづ音があってそれを表はす仮名を用ゐたと いふより、逆に、伊呂波四十八字の仮名があって、そこから「音」が導き出されて ゐることになる筈です。文字を媒介にして、はじめて音声は音素として識別されて ゐるわけです。この点、どうも橋本進吉は論理的に転倒してしまってゐないか。
 固より、全く識字力無しで単に口語を交はす人々に、このやうな問題は生じない わけで、仮名遣とは、飽くまで書き言葉における視覚的形象たる文字の問題として 考察すべきではないでせうか。その意味では、或る仮名遣をどう発音しようとも、 問題にはならない筈です(敢へて極言すれば)。
 しかしながら、仮名が視覚だけでなく音=聴覚と関はるのは紛れも無い事実では ないか、と反論がありませう。
 ソシュール言語学の訳本を見ると、聴覚映像といふ訳語がでてきます。聴覚なの に映像といふ視覚的用語と結びつくのは撞著語法のやうな気がします。けれども、 そこで問題にされてゐる「音」が、耳で聴くそのままの音声でなく、実は、文字を 見てイメージする音の「観念」だとすれば……成程、聴覚映像でせう。
 仮名が「音」と関はるにせよ、それはこのやうな「音」といふ観念――謂はば、 視覚的な音、なのではないでせうか。
 文字と音とのややこしい関係でした。


假名遣/正書法と云ふ事で……

投稿者:野嵜健秀  投稿日:06月12日(月)21時10分47秒

spell v. - 1 (also absol.) write or name correctly the letters of (a word etc.). 2 a (spell ruin) form (a word etc.). b result in (spell ruin).
spell n. - 1 words used as a charm or incantation etc. 2 effect of these. 3 fascination exercised by a person, activity, etc.[Old English]
spell n. - 1 short of fairly short period (a cold spell). 2 period of some activity of work.[Old English, =substitute]
spelling n. 1 way a word is spelt. 2 ability to spell.
from THE POCKET OXFORD DICTIONARY(8th edition)


新舊字體對照表

投稿者:野嵜健秀  投稿日:06月12日(月)20時55分54秒

代々木ライブラリーの受驗參考書『多久の漢文公式110』から轉載。
なぜか「弁」の正字體である「瓣」が拔けてゐます。
ちなみに、明治書院の『新釋漢和』(吉田賢抗編)掲載の對照表でも、どう云ふ譯か 「辯」「瓣」が拔けてゐます。

http://www2.freeweb.ne.jp/~noz/kokugo/SKJitai.png


音声・文字

投稿者:ペトロニウス  投稿日:06月12日(月)02時03分33秒

音声は、人間の耳に訴へる言語表現です。文字は人間の目に訴へる 言語表現です。
音声と文字とは互ひに密接に関係し合ふものです。文字から容易に 其の言語の音声を見出せるもので無ければなりません。
又、文字或は文章から適切な意味をも読取れるものでなければなり ません。
日本には、いろは47文字(+ん)の仮名と、シナから齎された漢字が あります。どの語にはどの文字を用ゐるかを定めたものが仮名遣で あり、正書法であるのだと理解してゐます。そして、日本語に最も相応 しい仮名遣は「歴史的仮名遣」なのだと思つてゐます。
文字から読取れる音声が分つた処で、其の意味が適切に読取られな ければ、其れは単なる「音合せ」にしかなりません。

>   音になつた後も仮名としては互に違つたものと考へられたのは、特別の理由がな けれ ば
>   ならない。

お話したい件は大体分ります。理想的な言語の表記形態として、音素の 数丈の文字を用意して其の音素に従つて表記して行けばいいと云ふ考へ 方も有ると思ひます。
其処でこの「特別な理由」と云ふ事なのですが、私が考へるに「語意識」に よるものだと思つてゐます。歴史的使用の実態を残さうと云ふのも、漢字 を使用しようと云ふのも「語意識」によるものだと考へます。


RE:文字と音のややこしい関係

投稿者:高崎一郎  投稿日:06月12日(月)01時55分32秒

森洋介さん、詳細な御質問、どうも有難うございました。討論だけでは あやふやに流れてしまふところ、かうして文字になるとじっくり拜見できます。 「文字と音のややこしい関係」か…なるほどさうですなあ…
私は言語學の素養がありませんので、びしりと批判されるとあたふたして しまふのですが、例へば「デリダのエクリチュール論」は、適當な出版物が ありますか?もし御推薦ありましたら、早速注文してみます。
それで、やはり具體的な話から始めたいと思ひます。『和字正濫鈔』以來、 今日まで「○と○と紛るるもの」の組み合せがほとんど移動してをらず、 また世の假名遣教科書もまた同じ體裁をとり續けてゐるのは何故でせうか。 たとへば「思ふ」を「オモウ」と感じる人、「オモオ」と感じる人がゐても 不思議ではない。特に新假名の影響が無い戰前はさうであってもよい筈です。
なぜ假名遣教科書は「○と○と紛るるもの」としか掲げないのに、我々は 直感的に理解してしまふのか、ここを出發點にしてみませんか?
「假名遣とは、同音の假名を語によって使ひ分ける規則である」といふ、 假名遣の定義について、私は以下の文獻が一番簡にして要を得てゐると 感じました。土日はあまり時間がありませんでしたので、續きは明日以降に させて下さい。

-------------------------------------------------------(原文略字現假名)-
『假名遣の起源について』大野晉『國語と國文學27-11』(昭和25年)所收
假名遣の唱へられた國語史的條件
從來の諸研究によって明らかにされた所によれば、假名遣が唱へられるに至っ たのは、次の如き歴史的條件にもとづいてゐる。
(一) 奈良時代以降平安時代のはじめには、イヰ、エヱ、オヲは別の音韻とし て言ひ分け聞き分けられてをり、從って書き分けられてゐた。
(二) 然るに、古經卷の傍訓を見ると西暦一〇〇〇年頃からこの區別の亂れて ゐるものがある。これは、その頃から、それぞれの二つの音韻が混同され るに至ったからであらう。
(三) 然し、音韻の混同は必ずしも直ちに假名遣の問題を惹き起すものではな い。當時は變體假名が多數行はれてゐたのであるから、イとヰ、エとヱ、 オとヲは、同一の音韻を書き表はす文字と考へられるやうになり、特にこ れを書き分けなければならないといふ意識が明らかには存在しないこと約 二百年に及んだ。
(四) 然るに院政時代以降、手習のはじめに、弘法大師の作と信じられた伊呂 波歌がひろく用ゐられ、そこに含まれてゐる四十七字が書き分けるべき基 本の假名と意識されるに至った。
(五) ここに於て語と假名との關係を密接にして視覺的印象を安定せしめるた めに、この假名を如何に用ゐ分けるかを問題とする素地が成り立ったので ある。
------------------------------------------------------------------------


「ヒトラー」までが狩られる

投稿者:野嵜健秀  投稿日:06月11日(日)12時52分46秒

椎名林檎の「勝訴ストリップ」を、電波系かと勘違ひして買つた野嵜です。 聽いてみたらまるで普通の「最近の音樂」なのでがつかりしたのですが、それはまあどうでも良い。
このアルバムの十三曲目に收録されてゐる「依存症」の歌詞が言葉狩りに遭つてゐるとの事。
確かに歌詞カードには不自然な空白が。

シャーべッツのロゴが溶けている黄色い車の名は「    」

この空白「    」には「ヒトラー」の文字が入るとの事。椎名林檎の愛車の名前ださうです。
二月下旬、マスコミに配られた『勝訴ストリップ』の試聽テープには囘收騷ぎがあったとの由。
ユダヤ人の團體から抗議されるのを恐れた東芝EMIが「自主規制」したらしい。
「ヒトラー」が駄目では、ロジャー・ゼラズニイの傑作時間SF『ロードマークス』も復刊不能と 云ふ事になりますね。
HITLER IIさんに、御意見を伺ひたいところです。

http://www.interq.or.jp/tokyo/nuage-01/essay/ringo/SS.htm


IE5.5ベータ版導入

投稿者:野嵜健秀  投稿日:06月09日(金)14時36分41秒

試しに話題のInternetExplorer5.5Jベータ版を入れてみた。 修正を當て捲つた正式版5.01よりも高速かつ安定して動く邊りが妙。
この版から縱書き表示がサポートされてゐるので、早速對應スタイルシートとhtml文書を作成。 もつとも「言葉 言葉 言葉」閲覽者でIE5.5を入れてゐる人は皆無ではないかと思はれるが、 もしゐたら、試しに見てやつて下さい。 とんでもなく表示が遲いのでいらいらしますが。
なほ、なぜか「漢字御廢止之儀」で試してしまつたが、深い意味はないので眞意の穿鑿は無用。

http://user2.allnet.ne.jp/noz/hyoon/kanjihaishi2.html


(無題)

投稿者:野嵜健秀  投稿日:06月09日(金)10時27分31秒

●派生文法
時事問題でもさうですが、素人が寄つてたかつて議論しても、結論は出ませんね。 調べれば大抵のものは何でも既に研究があるやうです。
「日本語は活用しない」と云ふ前提の「派生文法」が既に提唱されてゐるさうです。

http://www.inagaki.nuie.nagoya-u.ac.jp/research/MOR/derivational.html
稲垣研究室では派生文法に基く日本語形態素解析システムMAJO(Morphological Analyzer of Japanese based On derivational grammar)の開發が進んでゐるさうです。
●「丸谷くん2000」6月9日版
素人にできる事は高が知れてゐると云ふ立場から、既存の新字新かな→正字正かな變換テーブル 「丸谷くん」の改造をやつてをります。また少し手を入れたので更新。 オリジナル版作者の追加した變な癖さへなければ、そこそこ使へるデータです。 「2000」は、癖のない變換をするやうに一部の語句を削り、不足してゐる機能を追加したものです。

http://user2.allnet.ne.jp/noz/IME/maruyanoz.html


追記

投稿者:森 洋介  投稿日:06月09日(金)03時10分46秒

 森です。論じる対象を示しておくのを忘れては不可ません。
 高崎さんの【正假名遣】(草案第四版)は下記URLにて見られます。
  http://member.nifty.ne.jp/gimon/sauan4.htm
 追記でした。


文字と音のややこしい関係

投稿者:森 洋介  投稿日:06月09日(金)02時32分44秒

 初めて書き込みます。森と申します。みなさん宜しく。
 さて、高崎さんの【正假名遣】(草案第四版)劈頭に「1、假名遣とは、同音の假名を語によ って使ひ分ける規則である」とあります。私は、この「同音」に疑問があるのです。
 同音の仮名? 確かに、仮名は表音文字と云はれますから、別に問題無いかに見えます。
 しかし、仮名であらうとアルファベットであらうと、文字といふものは単なる「音声」のシ ニフィアン(所記)ではありません。精確には「音素」を表記するものです。音声学phonetics は空気の振動といふ物理現象たる「音声」の研究ですが、音素論phonemicsはそれとは違ひます。「音素」とは、個々の言語において意味を区別する最少単位、です。
 ラング(国語)は音素から構成される差異の体系であり、だからこそ、外人には同じ音(音声) に聞えるものを別の音(音素)として聞き分けたり、人それぞれに異なる発音(音声)でも同一音 (音素)として聞き做したりしてゐるわけです。この音素を表はすものである以上、そもそも文 字とは表意的な記号なのです。
 音素とは、音声を――時枝誠記風に謂はば――言語使用者が「主体」的に把握した所のもの であります。因みに、この言語学的概念を敷衍して、人類学(民族学)でも、eticからemicへが 提唱されたのでした。外部の第三者としての客観的(を装った)観察ではなく、被調査対象の視 点(主観=主体)による内在的理解に努めねばならない、と。構造主義的人類学はソシュール言 語学を承けてゐますが、ソシュール批判者たる時枝の思考と意外に相通じます。
 ところで、如上の考へは、正仮名擁護派の筆頭たる山田孝雄の文字観に合致しませう。  橋本進吉「日本の文字について」」によれば、山田は文字の本質を、

一、文字は思想観念の視覚的形象的の記号である。
二、文字は思想観念の記号として一面言語を代表する。

としてゐた由。橋本はこれに反対するのですが、古代音韻の復元を目指した橋本の立場ゆゑで せう。山田孝雄の言ふ通り、文字は(音声の記号ではなく)音素といふ主体的な「思想観念」 の記号です。そして、仮名文字も然り。
 実際、橋本進吉と雖も、かの「表音的仮名遣は仮名遣にあらず」では、

もつとも、「を」と「お」、「い」と「ゐ」と「ひ」はそれぞれ違つた文字であるけ れども、当時、一般にどんな仮名にも同音の仮名としていろいろの違つた文字(異体の 仮名)があつて、区別なく用ゐられてゐたのである故、これらの仮名も同音になつた以 上は同音の仮名として用ゐて差支なかつた筈である。然るにこれらの仮名に限つて、同 音になつた後も仮名としては互に違つたものと考へられたのは、特別の理由がなければ ならない。

と認めてゐます。すなはち、文字としての変体仮名の問題。本来これをも「仮名遣ひ」の問題 とすべきなのではありませんか。
 これは表音文字でなく、山田謂ふ「視覚的形象的の記号」としての文字の問題ですから、こ こに「假名遣とは、同音の假名を語によって使ひ分ける規則である」といふ観点への疑問が生 じるわけです。却ってそれは、より表音的たる戦後の新仮名遣ひを支持する観点になってしまひはしませんか。
 また、そもそも音素なるもの、文字を介せずして識別されることがありませうか。古代音韻 を推測する材料は文字しかありません。言語学は音声中心主義に見えて、その実、文字に頼っ た学知なのです。我々が「同音」と見做すその「音」が、実は文字を経由してのものでしかな いとしたら……? 
 長くなるので止しますが、これに就てはデリダのエクリチュール論を参照するといいかしれ ません。
 この辺で失礼します。


いや、そこなんですがね

投稿者:高崎一郎  投稿日:06月09日(金)00時44分22秒

音韻や音聲を記録するのは「發音記號」といふ段は確かに間違ひありません。
さうではなくて、假名の綴りはどうしても音韻や音聲の影響を受けざるを得ない だらうといふ事なのです。
完璧な表音文字、例へばアラビア數字なら、どの言葉どの發音で讀んでも おとがめなしです。漢字となると、少々音韻に規制されますが、それでも 訓讀みとか、「石コク」のやうな讀み方も許されます。しかしながら、假名 文字は、出自が發音記號に近いゆゑもあって、殘念ながら「こほろぎ」を 「キリギリス」とは發音できないわけです。
時枝誠記博士「國語假名づかひ改訂私案」は架藏してゐないので、前後を 讀んでゐないのですが、さう、私のもやもやしてゐるのは此處なのです。
「一般の理解に共通した假名記載」をずばりと表す術語を求めてゐるのです。
尤も時枝博士の「假名づかひといふことは、」以下の説明は、つまり 昭和60年の『改定現代假名遣い(案)』で突然擴大された

>>假名によって語を表記するときのきまり

と同じ内容なのでありませう。
ではどうやって「一般の理解に共通した假名記載」が自然に形成されて ゆくのか。『現代假名遣』の條文に忠實なら「ばやい」とか「やもうえず」で よい筈なのだが、やはりそれでは世間さまに笑はれる。ではどうやってその 「常識」が形成されてゆくのか。「やむをえず」を「シカタナク」とは發音 できないから、形成の基本はやはり音聲ないし音韻なのであらうけれど、 もう少し何か加はって、また習慣を繼承してまとまるのだらうけれど、 そこが一言で表現できるとよい。表現できてゐないから、「假名遣は時代と 共に休みなく變化しつづけます」といった、實態と規範を故意に?混同した お説教への反論に苦勞するのです。
傳統的な「假名遣」の定義は「同音の假名を語によって使ひ分ける規則」 でして、「一般の理解に共通した假名記載」の一部分を擔ってゐるだけでは ないか、近頃そんな事を考へてをります。「オモウ」の「ウ」は「ふ」と 書くのが正しいんだよ、と誰でも直感的に理解しますが、では何故「オモウ」 だと感じるのでせうか…


(無題)

投稿者:野嵜健秀  投稿日:06月06日(火)14時21分49秒

●高崎樣
御疲れ樣です。
「音韻」だらうが「發音」だらうが、それを記録するものは全部「發音記號」ではないですか。 ちなみに、時枝誠記博士は「國語假名づかひ改訂私案」(『國語問題と國語教育』(中教出版)所收) で、かう述べてをられます。

<引用>
例へば、辭書に於いて、「場合」といふやうな文字は、[バアイ]と讀むか、[バヤイ]と讀むか といふやうなことを明かにするためにもこのやうな發音符號は必要である。しかし假名づかひと いふことは、これとは異なるのである。假名づかひといふことは、このやうな方言差や個人差を 離れて、一般の理解に共通した假名記載を取決めることである。
</引用>

<引用>
例へば、「場合」といふ語が、個人個人の發音の相違に從つて、表音的に正確に記載されても、 この語とその假名との間に一定した取決めがない場合には、「ばあい」とも「ばやい」とも 「ばわい」とも記載される結果、記載が決定的に或る語を喚起する譯には行かなくなる。
</引用>

●HITLERII樣
御久しぶりです。
私がzak_kに攻撃を受けてゐる間に、私と一緒にzak_kに反撃した「良識派」の人は 殆どゐませんでした。ならば今zak_kを攻撃してゐる「良識派」の人々は、私が「復歸」して 再び攻撃されたら、それを看過する事でせう。私はどうせ孤立無援となります。 そしてzak_kは私一人に再び攻撃目標を定める事が出來、勢ひを取戻します。
おまけにどこぞの大企業の人が、匿名を權利と勘違ひして、私のISPに壓力をかけてきてゐるので 私は現在、掲示板でもどこでも、まともにものを言へません。


「正かなづかひ早分り」掲載

投稿者:野嵜健秀  投稿日:06月06日(火)13時46分22秒

「言葉 言葉 言葉」は正字正かなサイトなのに、今の今まで正かな表記入門の記事が 存在しませんでした。本日突然思ひ立つて作つてみました。
高崎さんの「假名遣」や、會津士魂さん青方の中村さんのサイトにある記事よりも、 内容は詳しくありません。

http://user2.allnet.ne.jp/noz/SeikanaHayawakari.html


お元気ですか!

投稿者:HITLERU  投稿日:06月05日(月)18時12分44秒

 ヤフーの一方的な処分は残念です。しかし野崎氏もザコのように少し厚かましくなっていただ きたい。  しかし最近ザコは多方面で良識派の総攻撃を受けている状態です。再ログインしてもますます IDの寿命が短くなりそうです。一刻もはやく野崎氏の復帰を待ちます。


「音韻」以上のもの

投稿者:高崎一郎  投稿日:06月04日(日)02時15分56秒

野嵜さん、御常連の皆樣、しばらく御無沙汰いたしました。お蔭樣で『正假名遣』も 精簡になりつつあります。ただ、前囘の會合で、些か根本的な疑問が浮上しました。 nifty と重複になりますが、「音韻」以上のものがあるのではないか、といふ疑問です。 IE は、4.72.2106.9でした。『正假名遣』四版も罫線放置ですみません。
--(以下niftyに投稿)------------------------------------------------------------
この會議室も荒地になってしまったやうで、もっと話を樂しく展開できなかった のは、私にも責任の一端があるかなと、些か責任を感じてゐます。
さて歴史的假名遣をきちんと定義しようといふ企ても、お蔭樣で着々と進んで をります。何とか今年中に結論を出したいのですが、まあ國語審議會の各種答申にも 數年間かけて作成した例は多く、拙速は避けたいところです。どうか御批判下さい。
http://member.nifty.ne.jp/gimon/
改めて『現代假名遣(昭和61年)』を讀むと、緻密な構成になってゐる事に、改めて 感心します。ところが最近、根本的な疑問が湧いてきました。冒頭の

>>語を書き表すのに、現代語の音韻に従って、次の仮名を用いる。

といふくだりです。
あるいは議論の蒸し返しかもしれませんが、例の「タイクカン」「タイッカン」の 件。忠實に「現代音韻に從」ふなら、「たいくかん」と書く事こそ現代假名遣の定義 ならびに精神にふさはしい筈です。さらにまた「現代音韻」の解釋によっては 「じいぎおう」なども存外と馬鹿にできない氣がいたします。しかし現實には 「たいくかん」にせよ「じいぎおう」にせよ、知性を疑はれてしまふ。でも 『現代假名遣』を讀む限り、それを誤りとする説明はありません。
つまり、確かに假名は表音文字であり、おほむね現代音韻に從ってはゐるのだが、 時にはどんなにずれてゐても「さう發音してゐるのだ」と頭から信じ込んでゐて 疑はないものがあるのではないか。そしてそれは「音韻」だけでは説明できない、 もっと上位の概念ではないかなあと考へてゐます。
詳しい方がいらっしゃいましたら、是非御教示賜りたく、お願ひいたします。


トップページ・スタイルシートの修正

投稿者:野嵜健秀  投稿日:05月25日(木)18時01分47秒

IE3でチェックした所、p要素が全く見えない状態である爲、スタイルシートを修正しました。 ただし、IE3のスタイルシート機能は、話にならないほど非道いので、「言葉 言葉 言葉」閲覽 の際には必ず切つて下さい。 「言葉 言葉 言葉」は、IE4以上では問題なく、NN4以上でもそれなりに、閲覽出來る筈です。
高崎さんの環境では、ひよつとしてIE3を使用なさつてはゐませんでせうか。


seikana.html

投稿者:高崎一郎  投稿日:05月18日(木)22時41分34秒

いやどうも野嵜さん、お手間をとらせてすみません。電光石火の整形、恐縮です。 じつはお叱りのメールを他にもいただきまして、どうやら重なるらしい。私の 環境ではこれでちゃうどバランスがとれるのが不思議です。
winは、ネット接續專用機と化してゐまして、他の用事はすべて pc-98、最近やっと pc-9821 が増えてきたといふ、信じられない環境で、御迷惑のかけっぱなしです。 で、とにかく罫線の扱ひが面倒!と、勇み足になってしまひました。でも、後半は 罫線をまたぐ語句もあるので、html の整形もだいぶむつかしいかと存じます。
取り急ぎお禮まで。


新頁追加

投稿者:ペトロニウス  投稿日:05月18日(木)02時12分50秒

色々と考へてゐました。
「かな漢字変換」と云ふ技術は、パソコンやワードプロセッサ等で打込み可能な 文字を元に漢字を選択して変換させる為のものだと思つてをります。
細かい事で言ふと、仮名なり羅馬字なりで入力した「語」を正書法としての日本語 表現に変換させる事だと考へてをります。
例へば、或る文章を作る為のデータを持つて来て、此れを一気に変換させると なると、「変る」「替る」「代る」「換る」等の同じ仮名表現の詞はどうなつて仕舞ふ のか気になる処です。

追記:
 やつと古言枝延辯「乙類へ」を追加しました。
 ご意見を考慮して、宛字のはうも、スウェーデン・オックスフォード・ケンブリッジ  等の項目を追加しました。


前島密「漢字御廢止之儀」電子テキスト掲載

投稿者:野嵜健秀  投稿日:05月17日(水)17時21分38秒

國語國字改良論の嚆矢「漢字御廢止之儀」を電子テキスト化。 今時の右翼が言つてゐる事と全く變らない事を既に江戸時代末に前島が述べてゐるのには 驚かされます。

http://user2.allnet.ne.jp/noz/hyoon/kanjihaishi.html


高崎樣

投稿者:野嵜健秀  投稿日:05月17日(水)05時22分30秒

「正假名遣」第三版ですが、htmlの記述に問題があります。 span要素のline-heightに20%が指定されてゐますが、これでは行が重なりあつて、 本文が全く讀めません。
全體にhtmlらしく修正したものを個人的に作成して、下のuriにputして置きました。(未完成)

http://user2.allnet.ne.jp/noz/omake/seikana.html


「正假名遣」第三版

投稿者:高崎一郎  投稿日:05月17日(水)00時59分56秒

歴史的假名遣の標準化を目指して作成中の【正假名遣】ですが、 このたび「草案第三版」となりました。だいぶ内容に矛盾が減り、自信作です。
蛇足ながら、全國誌に初登場の「電腦文字研」の皆樣による眞摯な討議あってこそ、 ここまでの内容に仕上がりました。

http://member.nifty.ne.jp/gimon/