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ジュネーブ合意 調印へ
パレスチナとイスラエルの民間人


占領撤退し平和共存を

【カイロ9日akahata】パレスチナ情勢が混迷を続けるなか、イスラエルとパレスチナ双方の非政府・民間レベルの和平イニシアチブが注目されています。スイス政府が仲介したことから「ジュネーブ合意」と呼ばれる和平案は十二月初旬にジュネーブで調印式典が開かれます。これとほぼ同様の内容の「人民の声」署名にはイスラエル、パレスチナ双方で十六万人が署名しています。

アナン国連総長も歓迎
 ジュネーブ合意は、イスラエルのバラク前労働党政権のヨシ・ベイリン法相と、パレスチナのアベドラボ前自治政府国務相を中心に双方の政治家や文化・知識人らが二年以上の協議を通じてまとめ、十月半ばに合意しました。

米にも圧力
 国連、欧州連合(EU)、米国、ロシアが提案したロードマップ(行程表)が行き詰まるなか、EUもジュネーブ合意を暗黙に支持しているといわれ、シャロン・イスラエル政権を支持する米国にも圧力になるものとみられています。

 七日にエルサレムでベイリン氏とともに記者会見したアベドラボ氏は「われわれはイスラエル・パレスチナ両政府と各国の政府にたいし、(和平のための)公式な交渉を始めるようメッセージを送っているのだ」と合意の意義を強調しました。

 ロードマップは二〇〇五年のパレスチナ国家樹立とイスラエルとの共存にむけた道のりに関する取り決めで、パレスチナ国家の具体像についての言及はありません。これに対し、ジュネーブ合意は、パレスチナ国家の領土、ユダヤ人入植地、エルサレムの帰属、パレスチナ難民の帰還について具体的な内容を盛り込んでいます。また、合意の履行を監視し、援助・管理するための、米ロ、EU、国連で構成するグループが設置され、「特別代表」の権限の下に「多国籍軍」が置かれます。同軍はイスラエルが撤退したパレスチナ領土に一定期間展開されます。

 合意はあくまで非政府レベルのもので、両政府を拘束するものではありません。アラファト・パレスチナ自治政府議長は個人的な賛意を示していますが、イスラエルのシャロン首相は「仮想合意だ」「イスラエルの利益と相いれない」と無視する構えです。

署名は16万人
 しかし、今回の合意をうけ国連のアナン事務総長は五日、「現在の行き詰まりを打開し、和平への国民的支持をつくりだすための勇気ある試みであり称賛に値する」と歓迎。パウエル米国務長官は合意をベイリン、アベドラボ両氏に「イスラエルとパレスチナ双方が、交渉による解決という希望を持ち続けるための重要な試みだ」とのメッセージを送りました。ただ、駐イスラエル米大使館は米政府の公式支持ではないとしています。

 「人民の声」署名運動はイスラエル情報機関シン・ベトのアヤロン前長官とパレスチナのアルクッズ大学のヌセイベ学長の呼びかけでこの六月に始まったもので、九月初旬に集まった七万人の署名が、現在、十六万に達し、賛同者の輪が急速に広がっています。

ジュネーブ合意主な提案内容
 ジュネーブ合意は問題解決の焦点となっている問題で次のように提案しています。

 基本理念 イスラエルとパレスチナ双方は相互の国家を認め、対立と紛争の歴史に終止符をうち、歴史的和解を達成し平和的に共存する。

 パレスチナ国家の領土 一九六七年の第三次中東戦争でイスラエルが占領した地域からの完全撤退を求めた国連安保理決議二四二、三三八にもとづき、ガザ地区のすべてと、ヨルダン川西岸のほぼすべて(報道によれば98%とも)とする。西岸でイスラエルが併合する部分は同等の面積のイスラエル領土と交換する。

 入植地 イスラエルは、パレスチナ領土のユダヤ人入植地を領土外に移す責任を有する。

 エルサレムの地位と帰属 イスラエル、パレスチナ両国家の首都とする。東エルサレムのアラブ人居住区はパレスチナの主権、同ユダヤ人居住区はイスラエルの主権に。旧市街のイスラム教聖地「ハラム・アッシャリーフ」(神殿の丘)の主権はパレスチナに、隣接するユダヤ教の聖地「嘆きの壁」の主権はイスラエルに。

 パレスチナ難民 難民の帰還を求めた国連総会決議一九四などを解決の基本におく。パレスチナ難民は失った財産の補償をうける権利を有する。難民は永住先を、将来のパレスチナ国家、イスラエル、現在居住する国などから選択する。ただし、イスラエル領土への帰還者数は限定される(ベイリン氏は、難民の帰還権を保障したものではないと言明)。


2003年10月14日 毎日新聞
パレスチナ:
帰還権放棄を言及 神殿の丘領有と引き替えに
 【エルサレム】アラファト・パレスチナ自治政府議長側近のラボ前国務相は13日、イスラエルの左派系国会議員との間で、将来のパレスチナ国家がエルサレム旧市街の「神殿の丘」を領有する代わりに、パレスチナ難民の帰還権を放棄することなどを盛り込んだ和平案に合意したことを明らかにした。イスラエル放送が伝えた。パレスチナ指導部が帰還権放棄に言及したのは画期的で、今後の和平交渉にも影響を与えそうだ。

 和平案はラボ氏らパレスチナ指導部とイスラエルの野党・労働党を含む左派系国会議員らが、約2年半に及ぶ交渉で練り上げた。スイス外務省の仲介で実現したことから「ジュネーブ合意」と呼ばれる。95年11月に暗殺されたラビン・イスラエル首相を悼み、来月初めにスイスで署名される見通し。ただシャロン・イスラエル政権は和平案づくりに関与しておらず、法的拘束力はない。

 主な内容は(1)周辺アラブ諸国などに離散しているパレスチナ難民はイスラエル領への帰還権を放棄し、原則として将来のパレスチナ国家に移り住むか現住国にとどまる(2)エルサレムは分割し、東エルサレムをパレスチナ国家の一部とする(3)イスラム教の聖地である「神殿の丘」はパレスチナ領とする。ただしこれに隣接するユダヤ教の聖地「嘆きの壁」はユダヤ人支配下に置く――など。


イスラエル野党などの和平私案、米国務長官が支持か
11/08asahi
 イスラエル野党とパレスチナ自治政府幹部が先月つくった和平私案「ジュネーブ合意」について、パウエル米国務長官が支持する意向を示したと交渉責任者らが7日、公表した。

 米欧や国連などがつくった和平の枠組み「ロードマップ」(行程表)には、エルサレムや難民などの問題について「05年までに解決を図る」とだけ記されている。

 これに対し、私案「ジュネーブ合意」は、聖地エルサレムの主権をイスラエルとパレスチナで分割し、パレスチナ難民のイスラエルへの受け入れ人数を一定程度に限定するなど、和平の最終的なあり方を定めている。

 この案をまとめたイスラエル元法相ベイリン氏とパレスチナ自治政府前内閣相アベドラボ氏によると、パウエル長官は2人への手紙の中で「あなた方の努力は、希望と理解を維持する上で重要なものだ」と述べたという。

 一方、テルアビブの米大使館報道官は「米政府は今も行程表に専心している。長官の手紙は(政府の)公式な支持を表明したものではない」としている。




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