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日本国憲法は世の理想
 

作家・井上ひさし氏

 戦争を終わらせるために日本が受け入れたポツダム宣言に、「日本はかつてあった民主主義的な傾向を復活強化しなさい」という条件があります。連合国は日本には戦前、民主主義があったと見ていて、それは大正デモクラシーとともに、日本が国際連盟の常任理事国として世界の国々が不戦条約(一九二八年)を締結するために力を尽くしたことを指しています。
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日本はかつての戦争でたくさんの同胞とアジアの人々を不幸にしました。広島と長崎に落とされた原爆はいまだに被爆者の命を奪いながらゆっくりと爆発を続けています。日本は核戦争という未来の戦争の悲劇を予言的に背負ったのです。一方では、世界でもまれな理想的な憲法をもつことができました。
 この二つの事実をあわせると、日本は世界史や人類史に対して特別の使命を背負ったのではないかと考えられます。つまり、日本国憲法の理想を実現しないと未来には核戦争などさまざまな不幸が起きてしまうことを世界と人類に示すという、すごい使命です。
 
昨年五月にオランダのハーグで開かれた世界市民平和会議は、日本の憲法九条を二十一世紀の世界の理想としようというアジェンダ(行動計画)を採択しました。世界の良心が理想とすべきだというのですから、日本国憲法の意義はますます新しくなっています。世界史から負わされた使命と責任を捨てるのか、あるいは覇権のもとで飼い犬として生きるのか、いまこそ徹底的な議論をするべき時です(談)日赤労働者673号