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Feature music: FF VIII - Balamb

「オミテンの伝説:第1章」
(Original Title:The Legend of Ometin-Chapter 1)

出典:The Sakura and Syaoran Fan Station
(http://www.protinium.com/~piggy/index1.html)

作者:
Piggy Ho Ho
訳者:
alpha7

「ほえ?」
さくらは自分自身が何とも無い事を確認し、ベッドでくつろいで
いた。
「夢かぁ....。」
さくらはベッドから起き上がった。
そして、昨日の事を思い出したのであった。
それを聞いて飛び起きたケルベロスには目もくれず、さくらは身だ
しなみの為、浴室に向かった。
<一体、あの夢何だっただろ....?最後まで闘え?共に倒せって?>
彼女は朝食の為、階段を降りながら考えていた。
「おはよ!お父さん!」
「さくらさん、学校には行かなくてもいいんでしょ。どうして、
こんなに早く起きたんですか?」
「え、10時に....中央公園でお友達と会う事になっているの。」
「お友達?デートですか?」藤隆は笑って言った。
「え、何で?」
「冗談ですよ!」
「実は....当たってるかも....へへ....」
さくらは赤面したのであった。
「10時って言って見えましたよね....今、9時半ですよ。」
「えっ!!行かなくちゃ!!じゃあね、お父さん!」

〜〜〜〜〜

<おれ、何て言えば良いんだ。ハァイ、か?待てよ!どうして、
こんな事聞くんだ!おかしいじゃないか!いつも、綺麗だよ、と
か?違う!違う!違う!>
一方の小狼の方は公園のベンチに座っていた。彼は落ち着き、と
言う事を忘れたごとく、とてもソワソワしていたのであった。
公園来た人達には、彼が犯罪か何かをしでかすのでは、と考える人
もいたのである。
<よし、おれ、少し過剰反応してるんだよな....落ちつけ....落ち
つけ....>
「小狼君!」
「さ....さくら!」
小狼の落ち着きは一瞬にして吹き飛んでしまった。
「遅れてごめん。どの位待った?」
「そんなに待って無い....」
と言った小狼であったが、実は30分以上前から、ここに来ていた
のである。
「それで、どこに行こうか?」
「そ....そうだな。」
さくらは小狼の脇に寄り添い、彼と腕を組んだ。
「ハア?」小狼は尋ねた。
「だって、デートなんでしょ、ね?」
「ああ、そうだな....」
「オッケー、どこ行こうか?」
「あっ、あ....」
「....じゃあ、暫くその辺を歩いてみない?」
「そ....そうだな....」
2人は歩き出したが、小狼はデートって酷く退屈なんだな、と考え
ていたのであった。
すると、1分位の後、さくらのポニーテールが、ひとりでに崩れて
しまった。
「あれ、変だなぁ。こんな風に崩れちゃうなんて。トイレで直して
こなくっちゃ。いいでしょ?小狼君。」
彼女はトイレに向かい、そこで髪を直していた。
すると、床に何か光るモノがあるのに気がついた。
それは、星の様に輝いているクリスタルであった。
彼女は一旦、外に出たが、クリスタルを小狼に見せようとして引き
返し、それを拾い上げ、自分を待っている小狼の元に向かったので
あった。
「小狼君、こんなの見つけた....」
さくらは全てを言う事が出来なかった。
クリスタルが眩い光で輝きだしたのである。
その光はさくらの回りで渦巻き、彼女を包んで行った。
さくらが叫んだ。
小狼は彼女が危険にさらされている、と言う事を悟り、彼女の元へ
走った。
「さくら!!」
彼は彼女の腕をつかんだ。
だが、小狼も又、光の中へ引き込まれていった....
2人共、消えてしまった。
何が起きたか、分かる者は居なかった。
2人共、何処へ....行ってしまったのである....

〜〜〜〜〜

「今日はもう獲物は要らないよね。」
古代の中国服に身を包んだ少女は草色の山で狩りをしていた。
彼女の名前はシシ。黒髪で、年齢は10歳か12歳と言った所で
あった。
「1日の獲物の数を数えなくっちゃ。」
すると、ドスンと言う大きな音がした。
シシは音のした方向へゆっくり歩いて行くと、自分と同い年位の
不思議な服を着た2人の子供が草むらの上に横たわっていた。
「ハァ....?」
「ほえ....?」
さくらは酷い頭痛を抱えながら目を覚ました。
「ああ、目を覚ましたみたいね。」
「貴方....誰?」
「私はシシ。貴方は?」
「わ....私はさくら....小狼君は何処?」
「’小さな狼’?男の子の事?」
「うん!」
「彼は無事よ。実を言うと、貴方の右側で寝てるわ。」
さくらはゆっくりと回りを見渡し、シシが本当の事を言っている事
を悟ったのであった。
「おや!」突然、彼女の頭痛は消え去ってしまった。そして、世界
記録に迫る様なスピードで起き上がったのである。
「どうしたの?貴方、彼が嫌いなんじゃ....」
「違うわ!!そんな事無い!!」
これまた、世界記録を破る様な大きな声で、さくらは答えたのであ
った。
「....」シシは何も言えなかった。そして、そうなんだ、と考え、
冷や汗をかいたのであった。
「それで、つまりは、彼は男の子で、私は女の子....」
「そうね。分かってるわ。」
「ウッ....ここ、何処だ?」小狼は起き上がりながら、言った。
「だって、ここは私の家よ。」シシは満面の笑みを浮かべて言った。
「おれだって、そう言える。ここはどう言う所なんだ?」
「セントキロ山よ。」
「へ?」
「セントキロ山なんて場所、聞いた事あるか?」
「無いわ。ここ、何て国なの?」
「どういう事?ここはオミテンよ。」
「オ....何?」
「オミテン!」
「何....でも、おれ達、どうやってここに来たんだ?」
「貴方達、オミテンの人間じゃ無いの?」
「違う、おれ達は地球の人間だ。」
「地....」シシは「地球」と言う言葉を聞くと飛び上がった。
「それなら、貴方達は伝説の....」彼女はさくらと小狼を息が出来
なくなるほどギュッと抱きしめた。
「貴方達、私達を救ってくれる伝説の英雄なのね!」
「ほ....ほえ?」息がつまりながら、さくらは言った。
「ごめんなさい。説明しないといけないわね。ずっと昔から、オミ
テンにはこんな伝説が伝わってるの。『地獄より悪魔が現れし時、
我らを救う為、地球と呼ばれし魔法使いの住む場所から英雄達がや
ってくる....』」
さらに、シシが続ける。
「それで、貴方達がやって来た、と言う事はオミテンが救われる時
が来た、と言う事になるわ。地獄の使者、つまり悪魔達は1ヶ月以
上前から、我が者顔でこの世界にやって来ているの。どうも、私達
の先祖に封印された事への復讐に来たみたい。彼らは人間と同じ姿
で、私達の世界を内側から壊そうとして、街を徘徊してるの。それ
で....」
小狼がシシの話に割り込んだ。
「ちょっと待て!話をしてもいいか。どうして、おれ達があんた達
を助けなきゃならないんだ?」
「小狼君....」
さくらは小狼を落ちつかせようとしたが、小狼はそれを無視した。
「どうして、おれ達が悪魔を倒して、あんた達を助けなきゃならな
いんだ。つまり、おれ達はここの人間じゃないんだぞ!」
「でも、小狼君....」
「帰ろう、さくら。」
彼はさくらの腕をつかんだ。
「どうやって帰るの?」
シシが尋ねた。
「ここに来た時と同じ方法さ。あの変な石を使うんだ。」
「オミテン・クリスタルの事?見せてくれない。」
さくらはポケットからクリスタルを取り出した。
「黒く....なってる。」
「力が無くなってるわ。つまり、1回しか使えなかったのね。」
小狼はしかめ面をした。
「分かった。どうすれば、使える様になるんだ?」
「クリスタルは電池じゃないわ。貴方達が悪魔の魂を集めれば元に
戻るの。それが一杯になった時、貴方達は元の世界に戻れるわ。」
「集めていけばいいのか?」
「そうなるわね。」
「小狼君....」さくらは優しく言った。「私....助けたいの....」
小狼は振り返り、さくらの悲しそうな顔を見つめ、溜息をついた。
「それでいいのか?」
さくらは顔を上げ、幸せそうに笑って言った。
「ありがと。」
「オッケー!」シシが叫んだ。
「貴方達がオミテンで必要な事は、悪魔達に伝説の英雄である事が
分からない様にする事ね。そうしないと、貴方達が危険にさらされ
る訳だし、実際には、誰も貴方達の事を知らないけど。でも、こう
すれば、もっと安全よ。どうか、ついて来て。」

〜〜〜〜〜

<剣を持って来て、ラッキーだったな....>
オミテンの衣装に着替えながら、小狼はそう考えていた。
「どう!良いかなぁ?」
さくらがオミテンの衣装に着替えたのを見て、小狼は胸をドキドキ
させていた。
「....良いんじゃないか....」
すると、シシが横槍を入れて来た。
「本当、貴方、あの子が好きだって、顔に出てるわね。」
小狼が、それに答えた。
「この世界に悪魔がいるのなら、あんたもその1人じゃないのか。」
だが、シシはその言葉を気にも留めなかった。
「出発前に、大事な事を教えとくわ。第1に、悪魔達のアジトは南
の方角にあるの。もし、貴方達が、悪魔の首領を倒せば、その時に
は悪魔の全てが倒されるわ。第2に、悪魔は一見人間に見えるけど、
体のどこかに悪魔の形の入れ墨を入れてるの。そして、それが彼ら
の弱点よ。第3に、彼らの自分のパワーを....」
「ちょっと待った!書き留めとかないと!」
小狼は紙と鉛筆を手に取って、シシの言った事を書き留め始めた。
それを見たさくらは、笑わずにはいられなかった。

〜〜〜〜〜

「一緒に行けないのが残念だわ。」
シシが言った。
3人はドアの前に立ち、出発の準備をしていた。
「行けないの?シシ。」さくらは悲しそうに言った。
「そうなの。私はここに残らないといけないから。もう1つ、言っ
ておく事が有ったわ。いい?私の先祖は地獄の扉を封印した1人な
の。私の役目はここに残って、貴方達のガイド役になる事なのよ。」
「そうだったんだ....」
「ここにオミテンのお金があるわ。額は多くないけどね。でも、役
に立つと信じてるわ。」
「ありがとう。」
「行けるか?さくら。」小狼が大声で言った。
「うん!」
さくらと小狼は、シシに別れを告げ、手を振った。
「皮肉なもんだ。これが初デートなんて信じられないぜ。」
小狼は歩きながら、ブツブツと言ったのであった。
それを聞いて、さくらは笑って言った。
「でも、私達、一緒に行けるんだよ。」

(つづく)


Created by alpha7 at December 31,2001