#3
モンスターを叩き潰したライダーVi:。ゆらめくミラーワールド。
警視庁、モンスターに襲われた解析分室。
既に消火作業は終了し、周囲は白い粉だらけになっていて 水崎たちが、残された資料や、焼け残った研究機材や試作バックルをチェックするのに必死になっている。
怒りにまかせてライダーVi:の飛び込んだ鏡を割ろうとするBB(ブラストボイド)隊員。
要「待て!」
隊員を制止する要。隊員その手を止める。
鏡の中から彼らには聞こえない筈の共振音波が聞こえている。
ミラーワールド内、霞ヶ関ビル街。
ライダーと対峙するモンスター達。
別の遥か高所のビルに白い[鳥のようなモノ]がとまっている。
Vi:の戦闘を見つめる鳥の瞳。
・・・Vi:がベルトの変化に気づく。
ベルトのバックルは黒色に変化。金色の「蜂」のような紋章が浮き彫りになっていて
なぜか一枚のカードが右側にせり出してきている。引き抜くライダー。
同時に左腕の、やはり蜂型をした機械が開いた。
カードには槍型をした剣らしきものが書かれている。
[SWORD VENT − Vi: Lansor]
Vi:はカードを機械に読み取らせた、が・・・
ビートバイザー「モンスター認識不能。 B−−−B−−−」
代わりに空からVi:の目の前に空から剣が投擲される。
ライダー「・・・・・・?」
モンスターがうなっている。
それはカードの絵とは違う、細いセイバー型の剣だった。1stフェイズのVi:ランスに似ている。
Vi:はフェンシングの剣を調整する要領で、左に剣を持ちつつ、右手で剣の強度を調べる。ところが
ポキッ!
ライダー「?!」
・・・それは1stフェイズのランスより弱く、剣はあっけなく折れてしまった。
堰を切ったように、路上前方からモンスター達が襲い来る。
ライダー「!!」
ライダー、翼を広げ後方ジャンプ。
ナノゼール「!」
次の瞬間、ライダーは突進してくる1体目のナノゼールの頭の上に乗っていた。
頭にのり、怪物を乗りこなしつつ、折れたライドセイバーをナノゼールの目に突き立てるライダー
ナノゼール「グギャアアア」
苦しむナノゼールのマサカリのついた腕をねじりあげ、肩から引き千切る。
次の一瞬にライダーは先頭のナノゼールの両づのをマサカリで叩き折り、
折れた両づのを握りしめていた。
ライダー、ジャンプ。
ナノゼールたち「!!!」
ライダー、後続で襲ってくるナノゼールに真上から
角2本とマサカリをダーツのように後続の3体に向けて投げつける。
2体は頭頂部を貫かれ、1体はマサカリにより首を一瞬に切り落とされていた。
ライダー、着地。背後で大爆発。
更に襲ってくるモンスター。腕のマサカリをVi:は体がわしし、
腕をつかんだまま、警視庁ビル外壁へ投げ飛ばした。
ビルコンクリ外壁に投げつけられたナノゼール、そのまま爆発。
ミラーワールドの警視庁外壁が砕け散る。
残りのナノゼール数体、驚愕。
立ち上がるVi:。
リーダーのナノゼールが撤退のそぶりを見せ、ビル群のすきまに消え去ると
他のナノゼールたち全てもどこへともなく消えていってしまった。
Vi:はあっけに取られる。しかし、
自らの身体の表面が粒子化して蒸散を始めている事に気づく。腕を見つづけるVi:。
ライダー「?・・・?」
ふと上を見上げると、白い鳥のようなモンスターが空を舞っていた。
ライダーは一瞬攻撃態勢に入るが、そのモンスターは首で
爆発で穴の開いた警視庁の壁を示すしぐさをすると、どこへともなく飛んでいってしまった。
鳥を見上げたまま取り残されるライダー。
警視庁11F。解析分室の消火作業が一段落した中、突然一枚の鏡が光りだす。
驚いて振り向く消化班員と要たち。
発光する鏡の中から吐き出される木嶋、消化剤の粉末で真っ白に染まった床に突っ伏す。
要「木嶋!!」
手をついて起き上がろうとする木嶋。消化剤の粉末で咳。
ヨロヨロと歩き出そうとするが、足がもつれて倒れる。
受け止める要。
要 「良かった・・・よく帰ってこれたな!お前!!」
木嶋「鳥が教えてくれたんです。」
要 「鳥?」
要の顔を見上げる木嶋。
木嶋「・・・・怪我をした研究員は・・・・・・」
要 「今警視庁内の救護室で治療にあたっている所だ。・・・おまえ怪我してるじゃないか!見せてみろ!!」
木嶋の腕から血が噴き出している。ナノゼールに突かれた時の傷のようだ。
木嶋「こんなのは2時間もすれば治ります。・・・救護室に行って来る。」
要 「おい!!」
木嶋、ヨロけながら、解析分室を出ていってしまう。
声をかけられない要。その時入れ替わりに男が一人入ってくる。
「室長。警視総監たちが、お呼びです。」
叫ぶ要。「・・・・・・・・・・クソオ!!!」
木嶋、治安維持対策室に置いてあった医療カバンを持ってきている。
「すぐ救急車が来ますから!!」
木嶋の白衣に血がにじんでいるのを見て慌てる救護医師。
重症を負った研究班員には止血剤解熱剤鎮痛剤が投与されていた。
「どちらにしてもこの状態では動かせない事くらい、見れば判ります」
「・・・・・・」
「この角度だと肺出血か、横隔膜損傷の可能性もあるし、肝臓刺されてるかもしれない!」
「軽い手術用の設備はありますが・・・」
点滴設備もあるようだ。木嶋は彼の警察手帳で血液型を確認する。
自分の医療カバンを確認する木嶋。先のアンプル類は総入れ替えにはなったが
メスもかんしも日ごろ使っている人工血管用のチューブもある。内臓接合用の接着剤も運良く無傷のままだ。
「・・・・とにかく救急車が来る前に動脈系だけでも止血します。2人でなんとか・・・」
ライトを集めてメモを書き出す木嶋。救護班の医師、覚悟を決める。
やっと所轄の消防署から救急班員が来た。木嶋はメモを渡しながら段取りをつける。
木嶋「すいません。患者の手術をここで開始しますので、これに合わせて薬剤と血液と吸引機を運んで来てください。」
顔を見合わせる救急班員。
警視庁会議室内。ビデオを見ている、警視庁幹部たちと、要。
木嶋と科研分室のスタッフたちが襲われた時のビデオのようだ。
警視総監「君がいながら、この不始末は考えられないのだが・・・」
沈黙する要。
警視庁幹部「昨日も国道沿い、新宿と立て続けに2件ライダーVi:が目撃されている。消毒班の出動が一回で済んだのは幸いだったが、マスコミがかぎつけ始めてもいる。そこに直接警察行為に関係ない科研職員が重症・・・どうするのかね。」
要 「お言葉ですが、警視総監・・・あの場合」
机をダンと叩き、叫ぶ警視庁幹部。
警視庁幹部「警視庁の真横で爆発など、前代未聞だと言っている!!!」
警視総監「まぁ、待ち給え・・・」
警視庁幹部「はっ・・・」
救急病院。救急車から車輪つきベッドで運ばれて行く患者。付き添いの木嶋。
木嶋「しっかり!!」
手術服に着替えて手術室にそのまま入っていく木嶋。医師2人が会話をしている。
医師A「彼、警視庁からつきっきりだそうだよ」
医師B「へーーー」
マスクをした木嶋は、結局そのまま手術を継続していた。
木嶋「血小板追加!!」
警視総監「木嶋君が「対象Vi:」に変身せざるを得なかった理由はわかった。君も忸怩たる思いだろうが、問題はその後だ。鏡の中のモンスター、大量に虐殺された一般人。事実を知ってしまった我々はどうするべきなのかという事だ。」
要 「はっ・・・」
警視総監「君の仕事は治安の維持だ。警察庁の公安部が君を引き抜いた上で警視庁に「治安維持室」を設けたのも、その若年で警視正という階級を任ぜられたのも、全ては君の事後処理能力と情報管理力を見込んだ、「治安維持」を旨としたものだ。公表しても民衆がパニックになってしまうのでは意味がない。防ぎようがないというのでは発表のしようがない。早期に対処しなければならないのは確かだが、君にまず重要なのは、いかに治安を維持して行くのかという事だ。人員的協力は惜しまないが・・・・・・わかるかね?ライダーがいるという事はとりもなおさずその場所に「怪人がいる」と人々に知らしめる事なのだよ。」
深夜。
西新宿の駅北界隈と思われる町。よっぱらった頭のはげた男が歩いている。
男は会社員らしい。中年男性の悲哀。
中年男性「うぃいいいーひっく・・・部長のやっろー、リストラだって〜〜〜っバァロ〜〜〜わかりる?わかりる??」
道を歩くOL女性たちに同意を求める男。
中年男性「禿しく寂しい〜〜〜〜」
歩いていく男。
建物の隙間にモンスター。首をぐりぐり回転させた後・・・
ねらいを定め、中年男性に襲い掛かる。
中年男性「ぎゃあああああああ!!」
その叫び声を警邏中の自転車に乗った警官が聞きつけた。
自転車を現場まで走らせ、懐中電灯を取り出し、周囲をてらす。
ビルの屋上に光を向けた時に、怪物の姿が浮かび上がる。
警官「うわああああーーー!!!」
叫ぶ警官。懐中電灯に照らされた屋上のナノゼール、食いかけだった中年男性を落下させてしまう。
死んだ男を放したナノゼール、ビル屋上に姿を消す。
背後でガタン!と音がするので警官が振り向くと、
マンホールのふたが開いていて、ふたが穴の上でガランガランと音を立てている。
マンホール、下水道内。
下水管の暗黒の中をモンスターたちが独特の声を上げながら、集団で移動している。
翌日。対策室。木嶋は手術を終了して、日が明けて警視庁に戻ってきていた。
対策室に入ってくる要。
要 「乙彼さん。彼、命をとりとめたそうだよ。庁内で内臓動脈の出血を止めたのが良かったんだな。」
木嶋「ぶはぁ〜〜〜・・・」
長テーブルに突っ伏し、息をつく木嶋。
要 「で、『モンスター』はどうだった。」
木嶋「真剣さがないんですよ。のれんに腕押しというか。仲間が死んでも何も感じていないようなんです、あいつら。」
要 「感情が無いんでは、下等生命体には間違いない・・・か」
木嶋「ミラーワールドの本庁ビル、戦った時にもっと壊しちゃったんですが、現実のビルは初めの爆発の以外、傷ひとつはいってないし・・・」
要 「ナニ?」
木嶋「いえ、別に・・・(だうー(;;)」
更にそこに入ってくる水崎。手には木嶋の持ち帰ってきたカードデッキを持っている。
水崎「昨晩見てみたんですが、これ・・・スゴイですね。全く同じ数だけコピーされてますよ。ケースの構成物質まで変わってしまってる。もうこれ、分解できそうにありませんよ・・・」
カードデッキを返される木嶋。
水崎「監視カメラからだと戦闘限界時間は12分25秒って所ですか・・・・・・」
灰色のデッキは黒色になり、蜂の紋章が刻印され、更にデッキの中のカードは10枚に増えていた。
よく見てみると、その内の5枚、水に使っていた方のカードがつけていたカード裏のすり傷が
分裂したらしき5枚全てにコピーされてしまっている・・・
デッキが硬質化したのは木嶋の体内のキチンXのせいなのだが、その事に水崎も木嶋も気づいていない。
水崎は「ソードベント」のカードを見ている。
木嶋 「それを突っ込んだ時に手首の読み取り機が「モンスター認識不能」だ、と。・・・目の前にいたんだけどな。モンスター・・・」
水崎「それって「契約モンスター」の事じゃないですか?」
木嶋「?」
木嶋に要たちが、神崎の研究の概要を再度説明する。
要 「つまり絵に描いた餅に、人を丸めて食わせるって研究だ。医師のおまえなら知ってるんだろうが、俺たちの肉体を構成しているたんぱく質やアミノ酸は片一方周りの分子構造しか存在しない。」
木嶋「ビッグバン放射線か何かで逆周りのアミノ酸分子が死滅したからだというのが推定原因にはなってますが・・・それを一時的に逆周りタンパク質を転送再構成しなおす、って研究部分は、今読んでました」
要 「おまえが蒸発しかけたのはそのせいだろう。彼らは擬似生命体のようなモンだが、生命活動をしている以上、食物連鎖を必要とする。他の命を捕食しなければ、あの空間であれ、活動しつづける事はできないわけだ。」
沈黙する木嶋。
要 「で、あの新宿ビル街の遺体群数十人分のうち、数人以外の遺体は死亡推定時刻から1日以上10日未満は経過したものだった。つまりおまえが行ったからなのかもしれないが、あの当日ビル上で食われた被害者は5人前後だったという事だ。おまえが行かなかったらもっと多くの人間が食われていただろう。」
木嶋「・・・・・・」
医者である木嶋にそれらの言葉は慰めになっていない。「責任性」と「罪悪感」が少しやわらぎはするが。
要 「もう一つ。お台場のファッションビル周辺からは、何も発見されなかったんだよ。あれは例外というか、イレギュラーって事かもしれん。」
頭の後ろで手を組み、いすにふんぞり返る要。
要 「つまり、ここ数日の被害者は『イレギュラーを除けば』新宿の繁華街からしか出てないって事になる。だがプロパンガス爆発は起こった。学習能力は持ち合わせてるって事だ。次も同様の爆発を狙う確立が高い。」
要の説は、つまり、トラックのファッションビル突入事件で起きたプロパンガス爆発は偶発的なもので、その後の繁華街の爆発はそれを彼らが学習した事で仕組んだものなのではないか、という事だった。
要「どちらにしても相手側には「指揮系統」がいるという事になる。もしくは「伝令」に相当する奴だ。トラック爆発からの反応が早すぎる。」
その時部屋のドアを勢いよく開けて、捜査1課の刑事が駆け込んでくる。
刑事 「またです!モンスターが一般人を殺害しました!!」
要 「どこだ?池袋か?」
刑事「それが・・・西新宿なんです。」
木嶋、要、水崎、顔を見合わせる。
またも考え込む3人。
要 「過去の順繰り北上経路からすると次は池袋かと思ったが・・・西口北側のここも数年前、飲食店街火災のあった区域か・・・」
木嶋「またあの某横丁で火災が起きるとでも?」
要 「いや。ここは根本的に人通りは多いしプロパンガス使用店も昔は多かったが、再生プロジェクトでガス系統が地下化された。それに奴らが人を食らえるほどの高いビルがない。密集していて人通りが多すぎる。さらい込める裏通りもない。・・・というか、横丁自体が裏通りだろう。火災にしても人を食えないのでは奴らには意味がない。」
沈黙する3人と刑事。
しかし・・・・・・・
木嶋「ガスが必ずしもプロパンガスで無くてもいいとしたらどうです?」
要 「・・・?」
木嶋「ほら、新宿のビルではプロパンガスから出火したけど、結局都市ガスにまで引火したから。」
要 「都市ガスを直接爆破する事を学習した、という事か?」
要 「俺たち霞ヶ関から見れば新宿でなくて練馬のガスタンクでもいい気がするが・・・」
木嶋が地図を指先でたどる。
木嶋「あった!!西新宿地下の集中ガス配備施設!!」
ガタッと飛び起きる要敬羅。
要「ここは西新宿の各超高層ビルにガスを送っている供給源だ。
どちらにしてもこの事に奴らが気づいたら大惨事になる・・・」
木嶋「・・・・・・」
長テーブルで腕組みをしていた木嶋、要を見上げる。
木嶋「要さん。言わなきゃならなかったことが・・・」
要 「?」
対策室から出て行く木嶋。その後姿を見送った彼ら。
1課の刑事が要に言う。
刑事「いいんですか、彼に告知をまかして・・・しかも相手は不法就労者なのに・・・」
要 「この国に夢を持って来た娘に肉親を失う酷い思いをさせたままで、そのまま祖国に帰すというのか・・・・・?」
バイクで走りつづける木嶋。
木嶋は未だに告知をするかしまいか迷っていた。
だが、どちらにしろ真実を知ってしまった以上、告知しないわけにはいかない。
医者は、告知からは逃げられないからである。
西新宿ビル群。その超高層ビルの壁面に他のビルが写りこんでいる。
バイクで走る木嶋を見つめるように、
鏡に映ったそのビルの頂点に白い鳥のモンスターがとまっている。(空撮合成)
バイクで西新宿の柘植の診療所に到着する木嶋。
古めかしい診療所に入っていくと、そこには柘植と件の異国の少女がいた。
診療時間外らしく、他の患者はいない。
柘植「ん。どうした?木嶋。」
笑顔の少女。
少女「コンニチワ。アノ節はアリガトウ。」
木嶋、話し掛ける事ができない。少女は木嶋の顔を見て気配を感じ取る。
木嶋、顔を上げる。(以下無音)
見る見る青くなってゆく少女の顔。活き活きとしていた唇から血の気が消える。
何度も何度も少女は、白衣の木嶋の胸を叩き続ける。
’No!What!Why!!’
沈黙する木嶋。
’Please, turn me his body !’
首を横に振る木嶋。叫ぶ少女。
その口は’You tell a lie! I
don't believe you !
’と叫んでいる。
木嶋は彼女の肩を抱こうと手をあげかけるが、木嶋にはそれが出来なかった。
手を落とす木嶋。
少女はうなだれ、木嶋の胸を叩きながらひたすら泣きつづける。
アイキャッチ
柘植の診療所。古ぼけた待合室に腰掛けている木嶋。
柘植「・・・・・・彼氏もいるようだし、大丈夫さ。立ち直ってくれるよ。」
木嶋「・・・・・・」
沈黙する二人。やにわに木嶋が立ち上がる。
柘植「?」
木嶋「警視庁に戻ります。」
病院を出て行く木嶋。
柘植「おい・・・・!」
警視庁、治安維持室に戻って来る木嶋。
意気消沈して戻ってくると思っていた要と水崎たち、勢いに気押される要。
要 「どうした。息を切って・・・」
木嶋「(息をきらせ)・・・・・あの試作のベルト・・・・・・・使えるんですよね!?」
水崎「理論上ですが・・・」
要 「モンスターがいなけりゃ、カードは使えないだろう。あの山羊頭と契約するってのか?次に現れるのが西新宿だとしても、しばらくは今の体制で行く他・・・」
ムッとする木嶋。
木嶋「’モンスター’がいればいいわけだろ!?」
「!」
要、気づく。
警視庁地下駐車場。
要「ここには鏡やガラスはないから大丈夫だ。」
水崎たち、分室から実験計器や、デスクをじかに駐車場に置く形で持ってきている。
水崎「出ました。共振波動です。」
木嶋と研究員たちはホーネットの首に災禍を免れた、試作の大型のデッキつきベルトを取り付けていた。
いぶかるホーネット。Beep。
水崎「理論的にはモンスターを呼ぶわけですから、このデッキをホーネットが持っていれば周囲100kmまでのミラーワールドの共振波を通じ、周囲の鏡面から現実世界まで呼び出し周波数が届く計算になります。」
ホーネットにベルトを取付け終えた木嶋。内5枚をホーネット首のベルトに入れる。
木嶋「変身!」
まばゆい光。その光が消えた後には、ライダーVi:がいた。
驚く水崎たち。
ライダー、自らの羽を共振させ、あの共振派を再現する。ホーネットはその音に耳をすます。
蜂のデッキを持ちながらホーネットに語りかけるライダー。
ライダー「覚えるんだ、いいか?ホーネット。この波長を俺がおまえに送ったら、おまえは自分の姿が映る場所に飛び込むんだ。」
ホーネット「?・・・・?・・・」
ホーネットはまだ意味がよくわからない。
木嶋「じゃ、行って来ます」
警視庁地下から通常バイクで発進していく木嶋。
その後姿をみながら要がつぶやく。
要 「水崎・・・」
水崎「なんです?」
要 「いや。俺があの時「このカードは警視庁の物だ」と言ってしまったから、モンスターが襲って来たような気がしたんだ。」
水崎「まさかぁ・・・」
笑う水崎。厳しい表情のままの要。
首都高速を白衣をはためかせながら、バイクで走る木嶋。
木嶋「1日に西新宿と2往復か・・・!!」
こんな時にスカッドライナーがあれば・・・
木嶋「うぉーーーーーーー!!!」
首都高をハングオンで爆走してゆく木嶋。
新宿インターを既に降りた木嶋、西新宿へとバイクを走らせて行く。
その時、木嶋の耳に共振音が聞こえる。
バイクを止める木嶋。脇の歩道に風船を売っているクラウン(ピエロ)と彼から風船をもらおうとしていた子供。
木嶋、はっとして目の前を見る。風船が何物かに奪われるようにクラウンの手から離れ飛んでいってしまった。
子供「あーーーーーーっ、僕の!!」
木嶋はその風船を追ってまたバイクにまたがり走り出す。
風向きとは逆に流れて行く風船。それは木嶋をいざなっているようだった。
後方に流れゆくビルガラスに反射する、風船をくわえて飛ぶ鳥の影。
木嶋はすべてを理解していた。全てが偶然では無かった事を。
風船を追っていた木嶋、新宿中央公園の近くに到着する。
近くの歩道を歩いている公園帰りの母子。その脇の
案内板の表面にはまった透明のアクリル板がモンスターの姿を映し出している・・・
木嶋「!!!」
モンスター、母子を襲おうとダッシュ。
木嶋、ジャンプ。
モンスターにすんでのところでタックル。
モンスター「ヒィーーー」
弾き飛ばされて鏡に吸い込まれて行くモンスター。
木嶋「逃げて!早く!」
いぶかりながらも怯える母親と男の子、走って逃げて行く。
木嶋「変身!!」
ビーレイザーが腹部に発生。木嶋、ライダーに変身する。
フッと後ろを振り向き加減に、気をやるライダー。
すぐそこの角を曲がっていくと、そこは柘植の診療院だ・・・・・・
怒りに震えるライダー。瞳が赤く燃え立つ。
カードデッキを案内板にかざすVi:。全身が発光し、銀色の姿に変身する。
ライダー「タンクホーネット!!」
ベルトからカードを引き抜きカードをビートバイザーに装填する。
ビートバイザー「ADVENT」
ライダー、ミラーワールドに突入する。
警視庁地下駐車場。計器とモニターをにらんでいた研究班員が叫ぶ。
研究者B「来ました!召喚カードの周波数です!」
水崎、駐車場内にすえつけられた大型鏡の布を取り外し走ってくる。
水崎「いきなりぶっつけ本番かよ!」
要がホーネットに触れ、呟く。
要「行け。ホーネット。木嶋が危ない。」
Beep音を上げるホーネット。 ホーネットの双眼が輝き、エンジンが爆音を上げる。 ホーネット、起動、発進。
タンクホーネット、警視庁地下駐車場に据え付けられた大型ミラーから「ミラーワールド」に突入する。
ディメンションホールを突進するタンクホーネット。タイヤが収納され、主翼と副翼を展開させ
『モンスター:タンクホーネット』へと変形する。
警官 「要警視正。警視総監がお呼びです。」
要 「やれやれ・・・水崎・・・おまえも来い。」
コートを着ながら、駐車場のエレベーターに向かう要敬羅。水崎もついてゆく。
ミラーワールドに突入したVi:。西新宿ビル街。
Vi:をなぶり殺しにしようと数体ずつ増えるように現れるナノゼールたち。
マンホールのふたを吹き飛ばしながら、地下水道から現れるモンスター。
西新宿のガス供給地下施設の方向を気にするライダー。
すでにライダーは12体近くのナノゼールに囲まれていた。
首を回転させながら一歩一歩接近してくるナノゼールたち。
その中の一体は、何故か6角形の黒い星のような紋章を額につけている・・・
その時爆音。ライダー、ナノゼールたち、上を見上げる。
ライダー「来たか!!」
上空を爆音を上げて飛ぶ重爆撃機型モンスター=タンクホーネット。
腹部のVバックルがカードを吐き出す。
カードを引き抜きビートバイザーに装填するVi:
ビートバイザー「SWORD VENT」
ホーネットのテール部の毒針が分裂し、Vi:に向かって飛んでくる。
ソードを受け取るVi:。
[
SWORD VENT -
Vi:ランサー]
慌てふためくモンスター群。
ライダー「・・・・・・この時を待っていたんだろう・・・?」
警視庁会議室。
警視総監「要点が水崎君の言うならば、我々の方針は決定だ。・・・引き続き君にはモンスターの殲滅を担当してもらう。木嶋君の扱いは過去と同じ。生物災害特例体1号、対象Vi:とする。ミラー世界に突入するのだから、Vi:−Mとでもするかね?」
警視庁幹部「警察が使わねばならなかったカードケースと試作品まで木嶋氏に使用されてしまったのでは、彼の力を借りるしかないのは明らかだ。君もよくよく狡猾な男だな。」
要 「・・・・・・」
警視庁幹部「ただしだ、これには限定条件がある。」
要 「?」
ナノゼール「ゲエエエエエエーーーーーツツ!!!」
袈裟がけに切られ、惨殺されるナノゼール。爆発。
ライダー「オマエ達は人間じゃない。そうだな!!?」
Vi:ランサーで横になぎ払われるナノゼール。一瞬にしてまた1体が胴体を真っ二つにされる。
爆発。下に転がって行く、ナノゼールのしっぽの黒石。
ライダー「なら、何体だろうが殺していい、そうだな!!?」
それでも更に現れてくる新手のナノゼール。
ライダー「結局、おまえたちも弱者を多人数でなぶり殺しの類か・・・」
憂鬱な声のライダー。
要 「それは・・・・・・!」
要に警視庁幹部は続ける。
警視庁幹部「当面極力戦闘はミラーワールドの中だけ、対象Vi:の力を借りる、という事だ。一般人にモンスターの事が知られると困るのだよ。警察が対処もできない敵の存在を一般人にどうやって知らせろというのだ。」
警視総監「せめて、一般人に封印カードが行き渡るようにでもできればいいがいつの事になるかわからん。治安活動可能な者が対象Vi:以外いない以上、我々にはどうする事もできん。緘口令は引く。だが必要以上の情報漏洩は困る。木嶋氏の力は我々も借りたくはない。平穏無事に生きられるようになった彼を引き込むのは忍びない。だが人命がかかっているのだ。彼も理解してくれるだろう。」
警視庁幹部「従って木嶋氏の扱いは・・・判るな?」
顔をこわばらせる水崎。要の顔を見上げる。
水崎「要さん・・・・・」
ライダー。向かってきたナノゼールをすれちがいざまに斬る。また一体爆発。
ライダー「この程度が、集団で百数十人殺したわけか・・・」
向かってくるモンスター3体。ライダーVi:にとりつこうとする。
Vi:、剣の正面を向ける。剣の側面が展開し、高速で小型ニードルを射出する。
モンスターの身体に刺さる針。ひるんだ一瞬後、3体まとめて切り払われる。
ナノゼール「ウゲエエエエツ!」
モンスター更に3体が爆発撃破される。
ライダー「俺は、一人で、『人間』を、数百人も殺してきたんだ。」
モンスターと対峙するライダーVi:
ライダー「おまえたちと同類・・・・か・・・・」
警視庁会議室。顔をあげた要敬羅が、声を発する。
要 「・・・・仮面ライダーは我々にとって、最も有効かつ有用な兵器であります。変身した以上、私は彼を兵器としてしか見ません。」
ライダー「・・・・・・俺は『兵器』だ。戦う以上、自分の気持ちなど誰にも解ってもらえなくて構わない。要さんにも、柘植さんにも・・・・・」
一瞬思い浮かぶ美原の顔。
ライダー「・・・・・そしてもちろん、おまえ達にもだ。」
一斉に襲い来る7、8体のモンスター達。
ライダー「水円斬!!」
ライダー、Vi:ランサーでなぎはらう。爆風とソニックブーム。
ナノゼール達は横にひとしなみに斬られ、全身に亀裂が入ってゆく。
ナノゼール「グゲエエエエ!!」
ナノゼール群、連続爆発。総爆死。
足元にコロコロと転がる数多くのしっぽの黒石、そこから黒いエネルギー体のようなものが空に気体のように蒸散してゆく。
気体を放出した黒石群は次々と割れていく。
ライダー「!!」
その蒸散した黒い気体が、西新宿のビル街の路上で凝り固まり
形を成していったかと思うと、
更に巨大な、5m級の、しっぽも含めれば長さ12mはあるような、
醜悪な巨大モンスターを形成していった。
テラーゼール「グエエエエエエエアアア!!!!」
ライダー「!!」
テラーゼールが火炎ブレスを発する。ライダーVi:ジャンプして火炎をかわす。
ジャンプしながらカードを引き抜くライダー。バイザーに装填。
ビートバイザー「ADVENT」
ライダー着地。高空からやってくるタンクホーネット、散弾群をテラーゼールと周辺に撃ち込む。
巨大なテラーゼールの体表面とその周囲アスファルトで起こる爆発。
テラーゼール「グゲエエーーーーーーーーアア」
不思議な事にこのモンスターは、体の下半身が、完全に実体化していないように見える。
常に粒子をまきちらし、不安定なのだ。人形のように動くのも不気味である。
ライダーVi:の目の前に飛んできて地表すれすれでホバリングするタンクホーネット。
ライダー、べルトから全カードを引き抜き、
ホーネットの首元のデッキ部に残りのカードを挿入する。
ベスパバイザー「TRADING」
ホーネット首のデッキがかわりに数枚のカードを吐き出し、ライダーVi:は首のカードケースにそれらを入れる。
警視庁会議室から出てきた要と水崎。エレベーター前まで来た所で水崎が口を開く。
水崎「・・・要室長・・・本当にいいんですか!木嶋さん、一般人なんでしょう!」
そこにエレベーターが到着する。水崎をエレベーターに押し込める要。
要 「・・・俺は途中の階に用事があるから」
水崎「要室長・・・」水崎を乗せエレベーターの扉はしまる。
要、非常階段にたどりつく。
非常階段の防火用金属扉によろける要、扉をゴン、と叩く。
金属性の、鈍く重い音が響く。
Vi:ランサーを持ったままのライダー。
「貴様はただで殺すつもりはない。」
その時、テラーゼールがビル街の総ガラスの外観のビルを見つけた。
そのビルに向かって行こうとするテラーゼール。
そのビルからテラーゼールが現実世界に出れば、現実世界の西新宿ガス集中地下施設は目の前になってしまう。
ライダー「させるか!!」
ライダー、羽を展開させてジャンプ。高速移動。
ライダー「タンクホーネット、フルブースト!!」
ヴヴーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
ガトリング砲のような音を立ててテラーゼールの向かう高層ビルの外壁ガラスを全て吹き飛ばすホーネット。
バシャバシャと全て崩れて行く高層ビルの窓ガラス。
脱出口を塞がれ、テラーゼールは向き直る。
テラーゼールの巨大な黒石のついたしっぽが動く。
ライダー「!!」
テラーゼール、しっぽから黒球を射出。
Vi:「避けろ、ホーネット!」
ホーネット避ける。黒球、背後のビルを直撃。
ビルが黒球によって大きく円形にえぐられている。
「ブラックホール・カノンか・・・一筋縄とはいかないようだね。」
首から更にカードを引き抜くVi:。バイザーに装填
ビートバイザー「NEEDLE VENT」
ホーネットからニードルのコピー体がVi:の肩に取り付けられる
即時テラーゼールの顔面に向けてそれらを射出するVi:。
ホーミングニードラー、直撃。
その隙に更にテラーゼールの体と周辺ビルの全てにタンクホーネットから撃ち込まれる散弾
タンクホーネット、散弾フルブースト。
凄まじい音を立てて崩れ行くビル壁と窓ガラス。
テラーゼール「グゲエエエエーーーーーーーアアア!!」
更にホーネット、Vi:の離脱した空間に絨毯爆撃。
立ち止まり、その光景を他人事のように、哄笑するVi:。
Vi:「ハハハハハ!!・・・アーーハハハハハ!!!」
ライダーVi:「アルト(停止)!」
砲撃を停止するタンクホーネット。
テラーゼールが苦しみの吠え声をあげている・・・・
テラーゼール「グゲオオオオオオオオ!!!!!」
ライダー「ウオーーーーーーーー!!!!」
テラーゼールに近接、ライダーはVi:ランサーを叩き下ろす。
ライダー「直下斬!!」
テラーゼールを切り裂くソニックブーム。硬質の皮膚を真一文字に砕く。中から見える醜悪な内臓。
噴出す緑色の返り血を浴びるVi:。離脱。
致命的ダメージを与えるにはいたらず、
テラーゼールは醜くせせら笑う。だが・・・・
一瞬後、テラーゼールの足元のアスファルトが真っ二つに砕け散った。
自重で落ち込み、足をはさまれ、身動きを封じられるテラーゼール。のたうちまわって狼狽する。
どす黒い緑の血を浴びたVi:の元に再度飛来するホーネット。
首元のカードを全てホーネットのデッキに戻すライダー。
ベスパバイザー「RETURN」
デッキから戻ってくる一枚のカード。
そして引き抜かれた最後のカードは・・・・・・
『 FINAL VENT 』
ビートバイザー「 FINAL VENT 」
滑空飛行するタンクホーネットに飛び乗るライダーVi:
ビートバイザー「DOPE」
バイザーのしっぽが伸び、強化薬投与。左腕に激痛が走る。
バイザーの硬化液晶ゲージが体温70度、脈拍300を示す。
タンクホーネットが全弾斉射を開始。ライダーの肩にもミサイル状のものが装填され
次々とそれらが射出されてゆく。
動けないままでブラックホールカノンをまたも撃ち出すテラーゼール。
ライダーVi:が3つに分身する。全弾回避されるブラックホールカノン。
加熱してゆくライダーVi:の肩。振動を続けるライダーとホーネット。
全ての散弾がテラーゼールの肉体に命中し、突き刺さった散弾でテラーゼールの表面がひびわれ崩れてゆき
毒により黒色化した体液がテラーゼールの全身から噴出す!!
ホーネット、ホーンからメスニードルを射出。テラーゼールの心臓部周辺に突き刺さっていく。
ライダーVi:ダッシュ!!3RDフェイズの必殺タックル、ナパーム・ボムをテラーゼールに繰り出す。
爆雷投下を思わせる爆発。テラーゼールの全身が、毒薬の混ざった体液が、打ち出された針の全てが燃え上がる。
テラーゼール「ゲオオオオオオオオオオ!!!!」
ライダーVi:ホーネット上に反転着地。ホーネット再度全弾斉射し・・・
7つのニードルを滞空放出する。VI:のかかとの殻が吹き飛び、エマージェンススレッドが露出する。
メスニードルが結晶化し、テラーゼールの黒い核(心臓部)を体内からえぐり出す。
誘導ミサイルをかかとに装着するVi:
ライダー「ライダー・ブラスト・スティンガーッ!!!」
ライダー、キック。直後、ホーネットとライダーの羽が反発爆力。
全滞空ミサイルホーミングし、モンスターに突き刺さる。ロックされ黒く染まるモンスターの身体。
一瞬後、ライダーキック。かかとの弾頭がテラーゼールの心臓部に突き刺さる。
テラーゼールはもう、声一つあげる事ができなかった。
かかとのミサイルが爆発により切り離される。
モンスターの全身に起爆。
グガガガガアアアアアーーーーーーーーーーーンン!!!!!!!!!!!!!
細胞単位でボロボロに蹂躙された末、炎上爆発を起こすテラーゼール。
着地するライダーVi:、タンクホーネット。
だが、爆発はそれだけでは終わらなかった。
爆発したテラーゼールが足を挟まれていた足元のアスファルトから、亀裂が入り
路上両脇のビル群に亀裂が走り、ビル群までもがひびわれてゆく・・・
ひびは周囲500m、いや、1kmにも及ぼうとしていた・・・。
崩壊してゆくゼールステージ。
その時、ライダーの左から、羽音がひびいた。
音のした方向を見上げるライダーVi:。
倒壊し消えようとして行く高層ビルの上にあの白鳥型モンスターがとまっていた。
白鳥はしばらくライダーを見つめていたが
何かをあきらめたかのように空に飛び立つ。
空が鏡面か水面のような状態と化していて、
白鳥がその空に広がる水面へと消えてゆく。
その姿は、まるで天に昇っていくように、ライダーVi:には思えた。
「行こう、タンクホーネット。」
ライダー、タンクホーネットとともにミラーワールドを去る。
だが、ライダーVi:は、たった一体、額に紋章をつけたナノゼールがいなくなっている事に気づいていなかった。
要と水崎の待つ警視庁地下駐車場。大型ミラーが光り出す。
ミラーを通じ帰ってくるタンクホーネット。
研究員たち「おおーーー!!!」
ホーネットには帰巣本能があるので迷わなかったようだ。
要 「木嶋は!!」
うれしそうにBeep音を鳴らすホーネット。
要 「そうか・・・」
安堵する要と研究班員たち。
事件から数日後。新宿繁華街を歩く、木嶋と柘植。人ごみ。
柘植「この辺りも最近不法医がふえてなぁ・・・何かと絶えないんだが・・・・・。そういえば、俺が治療してやったあんちゃん、結構義理堅い奴でなぁ。あの弟分が何もってきたと思う?」
木嶋「?」 両手を広げる柘植。
柘植「でっかい「くまで」だぞ!くまで!!こおんな。招福くまでだぞ。七福神だぞ。どうすんだよオイ、って感じだろ。」
笑い転げる木嶋。
木嶋「あははははは!!熊だけに。」
柘植「人事だと思ってよー・・・しばらく飾ったら、部屋か納屋にしまうしかないわな、ありゃあ・・・」
別れの時が近づく。
木嶋「それじゃ。」
柘植「ああ。」
木嶋、柘植と別れる。その時、前からあの異国の少女が歩いてきた。
木嶋と少女は会釈をして別れる。
少女、柘植に気づく。
少女「コンニチワ。」
柘植「おお!・・・あれからどうしてる?」
少女「カレシの勧めで、ワタシ新しいオ店で働いてるヨ。」
柘植「ほぉ。どこで?」
少女「サービス業、ブロージョブね。サービスするヨ。おヒマだったら、来て下さい♪」
柘植の目の前で、仕事の手つきをしてみせる褐色の肌の少女。
歩いて行く木嶋を見つめながら、木嶋にはこの言葉が聞こえていただろうなと、柘植は思った。
彼らを背に歩き続ける木嶋。悲しいとも厳しいとも見える表情。
彼女の言葉は、彼の耳に届いていた筈だが、
うつむいた髪に隠れて木嶋の目を見る事はできない。
揺らぐ廃墟と化したミラーワールド。
ミラーワールド床のアスファルト群が、鏡面化してゆく。
廃墟と化したビル街の足元に逆さに映し出される、傷一つない同じビル街。
一瞬それらが反転したかと思うと、廃墟にされたビル群に重なり合い
ミラーワールドのビル群は、元の姿に再生されてしまっていく。
新宿アルタビジョンのニュース。
N「昨日、西新宿ビル街のガス供給施設付近において、先日の爆破事件にからむ暴力団の抗争と思われる乱闘銃撃事件が発生し、彼らから十数名の死傷者が出た模様です。その際数名の警察官が負傷、1名が死亡しました。」
死亡した構成員の写真群。その中にチンピラの弟分の姿。
画面は死んだ警官の写真に切り替わる。
爆発事件の直後、繁華街で摘発をしていた巡査部長・・・・
N「死亡した警察官は新宿警察所管内の46歳の巡査部長で、新橋や目黒など都内各派出所を転任した後は、新宿での暴力団や風俗店取締り、交通取締りなどにも功績をあげていました。彼は数年前のビル火災事件でも先陣に立って活躍した警察官でしたが、新宿警察署は取材に対しまことに遺憾であるとのコメントを・・・・」
第3話−完
モンスター:ナノゼール
テラーゼール
ブランウイング 登場。
予告
主婦 「きゃああああああーーーーーーーっ!」
食べ物を差し入れようと入ってきた主婦の目の前、パソコンキーボードに残されている2つの毛むくじゃらの手首。
ライダーVi: 「うおおおーーーーーーーー!!」
森林を駆け、枯れた木々を叩き切るライダーVi:。
要 「今度の事件は職業はまちまちだがネットフリークばかり。敵さんが何を考えてるかは全く皆目検討つかないな」
ミラーワールドの秋葉原で敵と向かい合うライダーVi:
ドグマスパイダー「グルグrグrグrグル・・・・・・・・・」
城空大学研究室で握手する木嶋と敷山
敷山「大事に使ってくれよ?」
白衣の女一人が眼鏡を指で上げる仕草をする。
白衣の女「木嶋くん。あなた病状が再発するような事、やってない?」
つかれたー・・・・・・・・・・
コメントする気も起きません。これ以上文減らすと説明不足になっちゃうしなぁ・・・
1話から読んでみると色々解るとも思います・・・
とりあえずUPだ!!微修正は後々(^
^
);!!
ちょっと記載に間違いがあったようなので以下をふまえて後で訂正すべき所は訂正します。(L型とD型という左右対称のアミノ酸形の内、L型だけが生物の体内を構成している理由が、中性子星等が出す特殊な光による、という話)
科学・自然 宇宙『生命やっぱり宇宙起源?(2/14)』(asahi.com)」
アサヒドットコム:http://www.asahi.com/space/news/K2002021400598.html
ただ、パルサーの近くを通った隕石から地球の生物が生まれたというのもまた仮説で、ビッグバン時に発生した中性子放射線のひとつのしての右円偏光が現在のL型アミノ酸の生物界を作った説の可能性はあると思います(中性子星という事になると影響空間が限定されてくる)。変な話題ですが・・・