覗いてみよう学習教室 以前私が勤めていた私営の学習教室では、学校の授業についていくのに苦労をしている幼稚園から高校生のアメリカ人の子供達を対象に基礎的なreadingとwriting、mathを教えているのですが、アメリカ人の子供達の学習内容や学習方法で特に気付いたことなどを参考のために皆様だけにちょっとご紹介したいと思います。リーディング(ワード分析・ボキャブラリ・表現理解・読解力)
作文
- Syllable学習
初歩的な時点で、書き言葉のアルファベットとは別に話し言葉の基本であるsyllableの学習もしっかり行われます。日本で外国語として英語を学ぶ場合、syllableにあまり力を入れていないため、スペルと音が一致しないことがわからず、発音する時にスペルを考えながらのアルファベット(ローマ字)発音になり、リズムやアクセントが崩れてしまいます。英和辞書を見ても、実は単語は『・』のシンボルによってsyllableで区切られており、リズムを学ぶことが出来るのですが、利用されている方は少ないのではないかと思います。たとえば、jump(1拍)、jumping(jump/ingで2拍)、jumped(eは発音されず、juの後は[mpt]という発音になり1拍)、私の名前「なつき」もよく聞くと『つ』の部分で母音が発音されておらず、英語では2拍と数えられます。7〜8歳ぐらいでアメリカに来た子供でもどうしてもアルファベット発音・ローマ字リズムになってしまうケースがあったのですが、アメリカ人のアプローチの仕方と同様、話し言葉と書き言葉は別の言語であり、話す時はアルファベットに頼らないというぐらいの気持ちで英語学習を進めましょう。
- 単語カード
語彙を増やすためにアメリカ人の子供達も単語カードを利用します。ただ、日本のように単語カードなるものが売っておりませんので、もっと大きなインデックスカードを使用します。片面に単語を書いたら、裏には意味と単語を使った例文、時には同義語や反意語なども書きます。意味がわかり、単語を使った文章を言うことができるかを4〜5回ほど間をあけた別の日に確認します。語彙がまだ豊富でない場合は絵を描いて単語の意味と関連させて覚える方法が効果的です。初級学習者は学習すべき単語が太字になっているような Vocabulary Development用のリーダーを使うことが多いですが、上級学習者になると、定義と例文の他、同義語・反意語なども挙げてあり、復習確認もできるようになっているような単語ドリル(下記参照)などを使って、1度につきだいたい10単語ぐらいずつの割合で進めています。(ちなみに『オンラインで楽しめる英語学習』にも挙げておきましたedHelper.comのワークシートも結構おすすめです。)
- 単語ドリル
学校でもよく使用されている、おすすめの単語ワークブックを紹介しておきましょう。定義のセクションで知らない単語のカード(上記参照)を作り、毎回(毎日・1日置き等)、同義語のセクション、反意語のセクション…など各セクションをこなすようにすれば反復的に復習ができるので、便利。市販されていますが、学校で使用している可能性があるため、Student Editionは解答セクションが省かれていると思います。面倒かもしれませんが、ただ答え合わせをするより、自信のない単語を自分で調べ直した方が早く憶えられますし、長期的に効果があると思います。個人に合ったレベルがわからないのでワークブックの初めのユニットの学習単語を知りたいという方は、『ひとことどうぞ』にワークブックの名前とレベルを書いて下されば、チェックしてきますので、ご遠慮なく。
私が学習教室に勤めていた頃の昔のバーションからアップデートされて、現在は1年生から5年生までと6年生から12年生以上の2つのレベルに分かれており、本とオンライン版があるようなのですが、出版社から直接個人で購入が出来なくなってしまいました。が、以前の各学年に分かれた本のバージョンはまだAmazon.comで売られており購入可能です。各ユニット、単語リストから始まるので、規則的に語彙力を増やしたいという場合におすすめ。- Analogies学習
大昔(^_^;)、SATを受けた時に面白いスタイルのボキャブラリ問題だなと思ったのを憶えているのですが、ボキャブラリ学習の1つの方法として、広く使用されている学習・試験方法です。たとえば、日本語にすると「“りんご”と“果物”の関係と同じようなペアにするには“きゅうり”と“何”?」と言った感じで、
りんご:果物::きゅうり:〔 〕
(りんご is to 果物 as きゅうり is to 〔 〕)というスタイルで書かれます。(真ん中の記号は必ずしも::ではないようですが、ペアを示すのに数式の比較に使われる:が使われます。)Analogyの例がわかるリンクをあげておきますので試してみて下さい。
【Vocabulary Spelling CityのElementary School Analogies】
- 表現理解学習
外国語として学ぶ英語とは異なり、ボキャブラリや文法(*文法はライティングに含まれる)などの他に、基本的なリーディングの構成要素としてLanguage Artsで学ぶ表現理解の内容も重要な基本言語学習内容として扱われます。内容については別セクションを参照ください。
作文は子供の語彙がある程度固まり、文章が書けるようになってから本格的に指導ができる分野なので、現地校でもだいたい3年生ぐらいから文法などに力を入れるようになります。作文内容の指導は正しい答えというものがないため、何度も書き直し(edit)をさせて上達を促す形になるので、子供のやる気を起こすのが困難な科目なのですが、家庭でもできる次のような簡単なチェックだけでも作文力、作文に必要なものの考え方が伸びると思います。
算数・数学
- 修飾語の活用
形容詞や副詞などの修飾語を文に入れることにより、言いたいことがよりカラフルに楽しく伝わります。そして、語彙を増やすのにも役立ちますので、日記やエッセイなどの宿題に少しでも多く形容詞や副詞を入れられるように促してみて下さい。
例:I ate ice cream. ⇒ I ate huge chocolate ice cream slowly.
- 言い換えの練習
語彙の豊富な子供でも書くとなると決まった言葉ばかり使用することが多く見られるので、繰り返し出てくる言葉を別の言葉に変える練習が語彙を増やすのにもものごとをより細かく説明するのにも役に立ちます。
例:I went to see a movie with my friend yesterday. It was fun. I liked it. Then, I went shopping with my friend. It was fun. I liked it. ⇒ I went to see a movie with my friend yesterday. The movie was interesting. I liked its happy ending. Then, we went shopping. Trying on different styles of dresses was fun. I enjoyed shopping with my friend.
学習方法全般
- 暗算練習
日本の学校と同じように、計算時間をはやめるために、基本的な足し算、引き算、掛け算、割り算の暗算の練習もします。数字は1〜12ぐらいまで使うので、13x13の格子を各計算2枚ずつぐらい用意して、1番上と左に1〜12の数字をふり、縦と横の数字があったマスでは各数字を組み合わせた計算をします。(マスを大き目にして計算を実際にマスに書いた方が便利。)問題を出す人がそれを見ながら順番をばらばらにマスを選んで口頭で問題を出し、子供が答えを言うというスタイルです。子供の答えが正しかったらチェックマーク、誤っていた場合と答えるのに時間が掛かった場合は後日再度問題を出すためにチェックをつけません。練習は1回5分間ぐらい、時間の掛かり方の目処は約3秒間。
- 見積もり計算
算数を教えていて意外と多いなと思うのが四捨五入を用いた見積もり(estimate)です。(イリノイ州の教育関係者が受けなければならない試験でも、ばっちり試験内容に入っていました。)四捨五入や切り捨て、切り上げはroundingと呼ばれ、例えば、百の位を四捨五入する場合は、『千の位にまるめる』(round/round off to the nearest thousand)という言い方になり、切り捨て・切り上げはそれぞれround down/round upという表現になります。ちなみに一の位や十の位等、数字の位置はplace valueと呼ばれます。正確な答えを出すことに慣れている子供は、見積もりという概念を理解するのに戸惑うようで、細かくどの位の数字で見積もるか指定されずに漠然と「○○の数を見積もりなさい。」という問題が出ると、どの数字で丸めるのが最も効果的かわからず、結局、四捨五入もせずに細かい答えを出してしまうケースが見られます。指定された位の四捨五入の正確さも必要ですが、それはあくまでも見積もり用の手段であるので、効果的な見積もりの意味を理解することが大切です。
05/21 updated
- 答え合わせの仕方
私が子供の勉強を見ている時に特に注意していることは、子供が練習問題を解き終わった時の答え合わせの仕方です。大抵子供にどんな答えになったか言わせるようにし、私が答えをあげてしまわないようにしています。というのは、私が先に答えを言ってしまうと、子供は答えが合っているか合っていないかということだけにこだわってしまい、どうして答えを間違ったかという間違いの理由がわからなくなるからです。子供の答えが間違っていた場合、「どうしてその答えにしたの?」と答えに辿り着いた子供の論理を聞き、間違った理由がわかったところで、「でも、これだと○○だから、こういう風にはならないよね?」と間違った経緯を指摘し、考え直させます。ケアレスミスの場合は、子供は自分で説明をしているうちに自分の間違いに気付きますし、そうではない場合はまだ子供が完全に学習内容を理解していないサインになりますので、子供のつまづいている箇所を見落とすことなく、再度、学習内容を丁寧に説明することができます。