家庭における二言語学習 子供がまだ幼児期でアメリカに来られた場合、家で日本語と英語の両言語を使い始めた方が学校への適応と英語習得がスムーズに行なえるのではないかとか、両親の母国語が異なり子供には両方の言語を学んで欲しいと思う場合、家庭で使う言語をどうしたらよいのかという悩みは多くの方が持っていらっしゃいます。子供の言語習得中の混乱を最低限にとどめるヒントとして言語病理士があげる注意点を紹介します。
- 各話し手が子供を相手に使用する言語を一言語に定める。(例えば、お母さんが日本語、お父さんが英語という具合に。)
- 会話をする特定の活動場所によって特定の言語を定める。(例えば、ほとんどは日本語だけれど、お風呂場だけ英語にするという具合に。子供がお風呂場のボキャブラリを習得したら、今度は食事中だけ英語にする等、順々に各活動に必要なボキャブラリを習得させる。その他、読み聞かせの時間を英語の本にするというのもボキャブラリと文法の習得に効果的。)
- 家庭によっては規則性なしに言語を切り換えることで成功した例もある。ただし、必ず完璧な文を使うことが重要で、文中で言語を切り換えてはいけない。
- 中途半端な英語(ブロークンイングリッシュ)は、全く英語を家庭で話さないより子供の言語習得への害が大きいので、英語が流暢に話せない親は特に注意が必要。言語研究報告では、中途半端な英語を家庭で話している環境にいる子供より、家庭で親の母国語をしっかり習得した子供の方が学校での英語習得がスムーズだとのこと。家庭で親のESLによるブロークンイングリッシュを聞いて育つ子供は学校へあがっても、そのまま親のESLによる間違い(大人のおかす間違い)が身についている。言語病理士の見地からは、親が最もしっかり話せる言葉で子供と接することを勧めている。
- 家庭で二言語を話す環境にいる子供のほとんどは両言語を混乱してミックスする時期があるが、次第に各言語を区別し始めるのが平均的に3歳〜3歳半頃だと言われている。
- 家庭での二言語環境で言語習得にひどく時間がかかっている場合、子供に言語習得障害がある場合もあり、その場合は言語数に関係なく一言語でも習得に遅れが見られるはずである。心配な場合は、必ず両言語での検査を求めること。
07/04