親子のコミュニケーション講座〔4〕:
自信をつけよう人間は誰もが鏡を見て自分の姿を確かめるものですが、目に見えない自分の価値というのは、鏡の代わりに他人の評価に頼らざるを得ない状況にあります。社会システムがわからない新しい環境に移るとなかなか自分の思うように動き回ることができない上、言語も異なるとなると学習(=情報吸収)自体も思うように進まず、そのため周りからの誤解も多くなります。そして、誤解から生ずるネガティブな評価を受け続けると、鏡にうつる自分の姿と同じようにそれが自分の姿であると内面化して、自分自身に対する自信を失いやすくなります。誤ったネガティブな評価に埋もれる状況に置かれると、自分ができることに対しても「どうせ私にはできない。」と自分自身が自分の実力を誤解し、学習活動が行動を起こす前に精神的にブロックされてしまうという事態が起こるので気を付けなければなりません。子供に次のような様子が見られるようであったら要注意です。
- 新しいことに挑戦しようとしない。
- 「どうせ私は馬鹿だもん。」「どうせ私にはわかんないよ。」というような自分に対するネガティブなコメントが頻繁に聞かれる。
- イライラしやすい。
- すぐ諦める。
- 他の人が代わりにやってくれるのを待っている。
- 小さな問題を永遠に続く大問題としてとらえ、問題を乗り越えるのに必要な忍耐力に欠ける。
- 悲観的に考える。
子供の学習活動や精神的成長を促すために、家庭でどんなことができるかいくつか挙げておきますので、子供が自信のない状態に置かれているようでしたら、是非心掛けてみて下さい。06/02
- 自分がまず自信を持つ。
親がまず自信を持つことから始めましょう。自分に厳しかったり、悲観的であったり、卑下し過ぎたりすると、子供が親を見て自分自身に対して同じように評価し始めます。アメリカでの生活で自分の自信に疑問を感じる場合、以下に挙げる注意点の“子供”という部分を自分に当てはめて考え、自分自身も改善していくとよいと思います。
- 子供の努力をほめる。
結果ではなく、努力をほめるようにしましょう。例えば、学校の成績が思ったより悪かった場合、「もう少し頑張ったら次はAがもらえるよ。」と言うのではなく、「Aは惜しくももらえなかったけど、宿題をきちんとこなして全部遅れずに提出できたのは偉かったよね。」と、子供の努力ときちんと課題をこなした点を評価するようにしましょう。
- 子供の誤解を指摘する。
自信のない子供は自分に対するネガティブな評価を部分的ではなく広範囲もしくは全体に当てはめる傾向がありますので、そのようなコメントが出たら部分的・具体的な評価に言い直しましょう。例えば:
「数学がわかんないから、もう駄目だ〜。」
→「何言ってんの?他のよくできている教科に比べて数学が多少苦手だってだけでしょう。」「英語、全然わかんない。」
→「あら、この前、買い物行った時も○○ちゃんが遊びに来た時もちゃんと会話してたじゃない。クラスの英語は内容が難しいから、もう少し理解できるように時間をかけて単語を憶えなくちゃね。」という具合です。
- 問題に対してもポジティブな点を指摘する。
何か問題が起こってもポジティブな点を指摘することで、建設的な成長につながります。例えば、兄弟喧嘩などを仲裁する場合、「本当に頭に来ているのね。でも、弟を叩いたり、ものを壊したりしなかったのは、感心だわ。」と子供が無意識であってもよい選択をしたことを指摘してやり、よい面を維持していけるように仕向けましょう。
- 子供に選択させる機会を増やす。
自分でやることを選び、実行し、成功するというのは自分に対する自信につながります。気を付けなければならないのは、どんなことを子供に選ばせるかです。既に異文化環境で自信を失いつつある状態で失敗を繰り返すと、挑戦しようと思う士気さえくじかれてしまい逆効果になってしまうからです。ですから、なるべくはっきりした評価や結果の伴わないものから始めましょう。例えば、守るのが難しい勉強時間の計画を立てさせるのではなく、どの宿題から取り掛かり始めるかを決めさせるとか、買い物などで好きなものを自由に探させてから子供の選んだものを拒否するのではなく、値段や機能を親が判断した上で好きな色や形を選ばせるという形にするわけです。
- 協力・貢献する機会を増やす。
競争をするのではなく、他の子供達と協力して何かを成し遂げたり、自分のできることを他の子供達に教えたりするような機会を増やしましょう。特技などがなくても、新しく転入した日本人の子供に学校を案内したり、先生やクラスメートを紹介したりするようなことでも自信をつけることができます。