アメリカの教育事情〔2〕:
心身共に健康な青少年の特徴「ティーンエイジャーの薬物乱用や飲酒、その他の問題行動を防ぐには?」という疑問に対する研究を続けているミネアポリスのthe Search Instituteは、全国の 250,000人以上の中学・高校生を対象に調査を進め、次にあげる8種類40項目の特徴のうち、あてはまるものが多ければ多いほど、良好な学業成績、良好な人間関係、健康等のポジティブな面が見られ、反対に、あてはまる特徴が少ないほど、飲酒、薬物乱用、早期異性行為、暴力などの要注意行動が見られると報告している。01/03
外的要因【サポート】
□ 家庭のサポート:家庭で愛情とサポートをたっぷり得ている。
□ ポジティブな家族内コミュニケーション:親とのコミュニケーションがポジティブであり、親にアドバイスを求めたり、相談しやすい。
□ 親以外の大人との関係:3人以上の親以外の大人からサポートを得ている。
□ ポジティブな近所付き合い:子供のことを気にかけてくれる近所付き合いがある。
□ ポジティブな学校の校風:学校が子供のことを気にかけてくれ、励みになる環境を提供している。
□ 親の学校への関心:よりよい学校生活を送れるように親が積極的に子供の手助けをしている。【子供の権限】
□ コミュニティの態度:コミュニティ内の大人に受け入れられていると子供が感じることができる。
□ 活躍できる場:コミュニティ内で子供が役に立てる場が与えられている。
□ 奉仕活動:週に1時間以上、コミュニティで奉仕活動をしている。
□ 安全:家庭、学校、近所が子供の安心できる場所になっている。【限度と期待】
□ 家庭内の決まり:家庭ではっきりとした決まりと違反時の取り決めがあり、子供の行動を監視している。
□ 学校の決まり:学校ではっきりとした決まりと違反時の取り決めがある。
□ 近所の決まり:近所の住人が子供達の行動の監視に責任を感じている。
□ 大人のロールモデル:親とその他の大人がポジティブで責任のある行動をとり、子供の見本になっている。
□ ポジティブな友達関係:責任のある行動をとれる親友がいる。
□ 子供への期待:親と先生が子供がよくできるように励ましている。
□ 創造的活動:週に3時間以上、音楽や演劇、その他の芸術活動関連のレッスンや練習に通っている。【時間の使い方】
□ 青少年プログラム:週に3時間以上、学校やコミュニティのスポーツ、クラブ、活動グループに参加している。
□ 宗教コミュニティ:週に1時間以上、宗教機関の活動に参加している。
□ 家庭での時間:友達と特別な目的もなく外出するのが、週に2晩以下である。内面的要因
【学習態度】
□ 意欲:学校でよい成績をとろうという意欲がある。
□ 学習活動:積極的に学習活動に取り組んでいる
□ 宿題:学校のある日には最低1時間は宿題に取り組んでいる。
□ 愛校心:自分の学校のことを気にかけている。
□ 読書:週に3時間以上、娯楽目的の読書に時間を費やしている。【ポジティブな価値観】
□ 他人に対する気遣い:他の人の手助けになることに大きな価値を見出している。
□ 平等と社会的正義感:平等を促進し、飢えや貧困を少しでもなくすことを重大だと見ている。
□ 高潔さ:確信を持って行動し、信念をつらぬく。
□ 誠実さ:困難な状況でも本当のことを言う。
□ 責任感:自分の責任を受け入れ、自分のことは責任を持つ。
□ 抑止力:性的活動や飲酒、ドラッグなどに関わることは自分の生活に重要ではないと考えている。【社会的能力】
□ 計画性と決断力:前もって計画を立て、選択の決断することができる。
□ 対人関係:相手に共感したり、相手の気持ちに繊細に反応したり、友情を大切にするスキルを持っている。
□ 文化的能力:異文化や異人種のバックグランドを持つ人々に関する知識を持ち、快く対応することができる。
□ 抵抗力:友達からのネガティブな圧力や危険な状況に対し抵抗することができる。
□ 平和的問題解決:非暴力的に問題解決に取り組むことができる。【ポジティブな自己イメージ】
□ 個人のパワー:自分に起こった出来事に対し、自分の手に負えるものだと感じている。
□ 自尊心:自尊心を高目に持っている。
□ 目的意識:自分の人生には目標があると感じている。
□ 将来の展望:自分の将来に関し楽観的に構えている。
これら40項目は、心身共に健康な青少年の特徴であるばかりでなく、子供の決断力や自信を高め、責任感を持ち、他人に対し気遣いを見せ、有能な大人として成長させるのにも役立つ条件とも解釈されている。理想としては健康な成長を促すためには40項目のうち31項目以上が子供にあてはまるべきだとされているが、今回の調査でそのレベルに達したのは全体の8%のみで、62%は20項目未満、調査対象者全員の平均は18項目にとどまった。一般的な傾向として、年齢が上がるほどあてはまる項目数が減り、男子は女子よりも少ないという結果が出ている。
School Psychology in Illinois、2002年12月号(p.8-9)
“Importance of Asset Building in Youth”
より抜粋・編集