アメリカの教育事情〔6〕:
高校生の勉強時間

Brookings Institutionという研究機関の最新調査によると、典型的なアメリカ人の生徒は高校生レベルでも宿題にかける時間は1日1時間以下で80年代からほとんど変わっていないのだそうだ。バックパックが重いだの宿題が多いだのという文句はアメリカではむしろ例外的と考えられるとのこと。全国の大学1年生を対象に高校最終学年時にどれぐらい宿題に時間をかけたかというデータをとっているUCLAの調査によると、1987年では47%が週に5時間以上と答えていたのだが、毎年割合が減っていき、2002年には34%にまで落ち込んだ。1995年のThird International Mathematics and Science Studyの報告では、20ヶ国の高校生の勉強時間を比較したところ、アメリカの高校生の勉強時間の長さは最下位の次(19位)であった。過去30年間では、ほんの10%の高校生しか1日2時間以上宿題に時間をかけておらず、スプートニック事件後の10年間だけ20%に増加したという報告もある。実際、高校生に聞いてみると宿題には時間をかけないけれど、読書に2時間ぐらいかけるとか、上級コースを取っている高校生は3時間は勉強しているけれど、普通のコースを取っている高校生はほとんど時間をかけてないという答えが返ってくる。イリノイ大学シカゴ校のポラック教授は、「ほとんどの高校生は1時間かそれ以下しか宿題に時間をかけていないようだが、大学に進むのであれば最低2時間は必要であろう。」「高校時代にはほとんど勉強しなかっただの、大学に来て大学側が学生に要求する課題の多さと高校時代とのギャップに驚いている学生があまりにも多過ぎる。」とコメントしている。

2003年10月1日付、Chicago Sun-Times
“Studies Agree: Homework Load Light”
(Education Section)より要約


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10/03