発達スクリーニング アメリカでは各公立学区ごとに発達スクリーニング(簡単な発達検査)のサービスがあります。幼児の発達には広く個人差があるのですが、発達が遅れ気味の子供を対象に、就学以前に遅れ気味の部分の発達の促進をしておいて、小学校からの学習スタートをより効果的にしようというのがその目的です。スクリーニングは後に公立学校に通うつもりがなくても居住地が公立学区内であれば誰でも受けられます。そして、スクリーニングも発達促進プログラム(Early Childhood Program)のサービスもニーズのある子供達に無料で提供されます。家庭で日本語しか使っていない場合でも、日本人スタッフがいなければもちろん言語を使ったスクリーニングのテストはできませんが、行動の観察をしてもらったり、運動能力のテスト、および、子供の発達における相談、意見を直接専門家に聞くことができるよい機会なので、言語・概念の面、運動能力面、感情面などの発達が気にかかる場合は、お住まいの学区にスクリーニング(大抵preschool screeningだとかdevelopmental screeningと呼ばれる)の日程を聞いて名前を登録し、必要書類などを確認してスクリーニングに参加しましょう。もし英語に不安であれば、知り合いで英語が話せる人についてきてもらったり、学区側に通訳を探してもらえないかあらかじめ問い合わせしておくとよいと思います。3歳前後ぐらいからスクリーニングに参加できるところがほとんどで、スクーリングの日を決定している学区は通常年に2〜3回実施している場合が多いのではないでしょうか。発達スクリーニングに参加した後は、学区により手続きの違いはありますが、スクリーニングの通知が届くか、ミーティングで結果報告がされ、発達に深刻な遅れの可能性があると判断された場合には、親の承諾を得た後に正式な検査が始まります。スクリーニングで得た情報よりもっと詳細な検査が必要とされた分野(言語、概念・知能、運動、健康面)の検査は、学区の言語病理士、サイコロジスト、作業療法士、ソーシャルワーカー、ナースなどから連絡が行き、検査の日程と場所(学校のスタッフのオフィスに連れて行っての検査、家庭訪問しての検査、デイケアなどに通っていればそこでの検査のいずれかの形)を決めます。正式なケーススタディの検査でも発達の遅れが見られるという結果にいたると、発達促進(=療育)プログラムに参加してサービスを受ける資格が得られるというシステムになっているわけです。ちなみに、子供の発達がほんの若干だけ遅れ気味でプログラムに参加できないとされた場合、小学校に上がるまで1年に1度スクリーニングに参加して発達の確認をしている家庭もあるようです。
発達促進プログラムには、私の担当している学区では、3歳から日本の幼稚園年長相当レベルまでの子供がおり、プログラムの内容は特別支援や子供の成長発達に詳しい教室の先生の他、言語病理士や作業療法士が頻繁に出入りをして、楽しく遊びの要素を入れて言語療法や作業療法の内容も組み込んでいくので、大変充実しています。子供の個人の学習目標が特定の療法と結びついている場合は、教室でのグループ療法の他、各療法士と1対1の訓練を受ける時間も設けられます。小学校内に設置されているため、小学校の音楽の先生やアートの先生の授業活動を一足先に受けられるという利点もあります。他のプリスクールよりむしろきちんとした知識教育も施されるため、キンダーガーテンや1年生に上がるまでには、外からその小学校に入学してくる子供達より多くの基礎知識を身に付ける子供達も多いと聞きました。
プログラム終了後は、完全に特別支援サービスから卒業する子もいれば、引き続き、サービスを受け続ける子など様々です。特に発音を中心としたスピーチ面のみとか作業面のみの遅れがあったという場合は、ほとんどの場合、この発達促進プログラムだけで心配がなくなるみたいですが、概念面の形成が遅れている場合は、引き続きサービスを受け続けることが多いようです。スピーチの面での言語療法だけ受けている子は、例え小学校時代にしばらく言語療法を受け続けることになっても、そのうち全く特別支援サービスを必要としなくなる場合がほとんどではないでしょうか。
05/21 updated