イリノイ州の学力テスト


イリノイ州の子供達が州の学習標準に照らし合わせてどれだけ学んでいるか、そして、各学校が学習標準に沿ってどれだけ効果的な教育を子供達に提供しているのかを確認するために、州共通の学力テスト、Illinois Assessment of Readiness(IAR)が実施されます。IAR では公立学校に通っている3年生から8年生がリーディング(reading)と数学(math)を受けなければなりません。9年生からはIARではなく、PSAT(Preliminary Scholastic Aptitude Test)8/9、10年生ではPSAT10、そして、11年生ではSAT(Scholastic Assessment Test)と言われるテストとなり、リーディング、ライティング(writing & language)、数学、の学力が評価されます。PSATはSATの準備テストのような内容で、SATは、州の学習標準だけではなく、ACT(American College Test)と同様に大学進学に十分な学力がついているかどうかをみる全国的なテストとして大学入試における学力評価の一部として考慮されます。

ESLの子供達は他の子供達との英語力の差があるということで、以前は、初めの3年間は 学習標準テストを受けずに別の英語学習者対象のテストを受けていたのですが、近年の教育法の変更により、ESLの子供達も他のアメリカ人の子供達と同じIARやPSATを受けなければならなくなってしまいました。私の見地から申しますと、ESLの子供達にとって大変アンフェアで、不必要な精神的負担をかけるテストとしか言いようがありません。結果が送られてきても、子供がどういう状況に置かれて受けさせられたテストなのか、親側がしっかり把握して、くれぐれも子供達の精神的負担を余計に増やさないように心がけて下さい。

これらのテストのサンプル試験問題は下にリンクされているサイトにあります。家庭でテストではどのように質問に答えるようになっているのか確認しておくとよいでしょう。

IARのサンプル試験問題

PSAT8/9のサンプル試験問題(Practiceをクリックする)

PSAT10のサンプル試験問題

SATのサンプル試験問題

なお、特別支援教育サービスを受けている生徒の場合は、テストを受ける場合に各生徒のニーズに合わせた特別な便宜がはかられます。例えば、少人数で静かな教室で試験時間を長くするとか、試験問題を先生に読んでもらうというようなものもあれば、標準テストを受ける代わりにDynamic Learning Maps Alternate Assessment(DLM-AA)という普段クラスで使っているものを使用した個人のユニークな学習レベルにあったテストにする場合など。

この他、ほとんどの学区では、個人の学習が全国平均、学区平均、学校平均と比べるとどんなものであるか、毎年・毎学期個人の学力レベルがどれぐらい伸びているかなど、個人の習熟度をみたるために定期的に学習能力テストが実施されています。最近シカゴ近郊の多くの学区で採用されているのはMeasures of Academic Progress(MAP)と呼ばれるコンピュータテストで、学区によって、MAPを受け始める学年は異なり、キンダーガーテンから開始するところもあれば、2・3年生ぐらいから始まるところもあります。MAPは間違いの数によって難易度が変わる、個別に内容がデザインされるテストで、主要科目は数学、リーディング、Language Usage(文法・作文)の3科目。実施科目も学校によって異なります。制限時間はなく、予定時間内に終わらなければ、後日途中から再開することが可能。個人のレベルに合わせたテスト内容になるのでIARよりも子供の学習状態を把握するのに役に立つ情報が得られると思われますが、コンピュータ上のテストであるので、コンピュータの操作エラーやコンピュータの画面で目が疲れるタイプの子供には不利かもしれません。コンピュータ上のテストと言っても1〜2年生ぐらいまでは先生から口頭で質問されることが多いので、口頭での理解には問題ないけれど、文字の習得に時間が掛かっている生徒は2〜3年生からガタッと点数が下がることがあります。

戻る

05/21 updated