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今度は・・・・天使と少年の物語 第6話

 

 

 

 

・・・・・・・どうして俺はこんなところまで来たのだろうか?

 

 

 

・・・・・・もう頼れる両親もいない。

 

・・・・・このままだと従姉妹の名雪たちにも迷惑をかけてしまうだろう。

 

 

俺は・・・・・・今後どうしたらいいのだろうか?

 

俺はこれからどうやって生きていけばいいのだろうか?

 

 

 

ベンチに座りながら、これからのことを考えていたそのとき後ろから急に「祐一君。こんにちわ。」・・・・・と声がかけられた。

 

 

 

 

 

俺は驚いて、後ろを振り返る。

 

いったい誰が俺なんかに話しかたのだろうか?

 

それにどうして俺の名前を知っているのだろうか?

 

振り返ってみてみると、そこに制服を着た女の子が立っていた。

 

 

そしてその女の子が続けて言う

 

「それよりだめだよ、HRサボっちゃね・・・・・・・

 

・・・・・・っていう僕もサボっているけどね・・・・・・・。」

 

 

その言葉を聴いたとき、こいつは俺と同じクラスの女子とわかった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・どうしてこんなところにいるかはわからなかったが、はっきり言ってこの女の子がウザかった。

 

 

そんな俺の気持ちも知らずに、女の子は続けて話し始めて

 

 

「祐一君に話があるんだ。聞いてくれないかな?」

 

 

と言ってきた。

 

 

俺はこの展開がなんとなく読めてきた。

 

 

どうせまた俺に告白でもしようとしているのだろう。

 

 

もううんざりだ。

 

 

どうして俺の周りはこんなやつしかいないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・だから俺は突き放すように話した。

 

 

「お前がどこの誰だか知らないけど、俺に話しかけないでくれ。

 

はっきり言っておまえ何様のつもりなんだ?

 

ウザいんだよ。」

 

これだけ言えば女なら泣き出すだろうし、これ以上俺に話しかけてくることはないと思ったからだ。

 

 

案の定女の子は黙ってしまいうつむいている。

 

 

俺は女の子を無視してその場から去ろうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、

 

 

「まって祐一君話があるから行かないで・・・」

 

 

と叫んでこちらに向かって走ってきた。

 

 

俺はそんな彼女をほっといて無視して歩いた。

 

 

「待ってよ。祐一君。どうしてそんなに辛い思いをしてまで、僕達を無視するの?」

 

「・・・・・・・・・・」

俺はちょっと焦っていたのかも知れない。

 

あんなにひどいことを言っても、こんなことを言ってきた奴が今まで一人もいなかったからだ。

 

 

そのとき自分の中で何かを悟ったようだった。

 

 

この女の子は、自分にとって危険だと言うことに・・・・・

 

 

きっとこいつは、俺の心の傷に容赦なく踏み込んでくるだろう。

 

なぜそう思ったのかはわからなかったが、俺はこの女の子の近くには居たくなかった。

 

とにかくこれ以上聞くと、おかしくなってしまいそうなので、早足で去ろうとした。

 

すると

「お願い、待ってよ!!」

 

!!

 

バタンッ

 

 

後ろから、大きい音がして後ろを振り返ると、女の子が地面に倒れていた。

 

恐らく躓いたのだろう。

 

どうしてこんなところで躓くことができるか俺にはわからなかったが、女の子はその場で蹲って、瞳に涙をためながらこちらを見ている。

 

俺はその女の子の泣き顔を見ると同時に急に心の奥が痛くなり、どうしてかはわからないが、なぜかこの女の子を泣かすことはだけは自分にとって、何か不安・・・・いや、いてもたってもいられない気持ち、自分の存在を否定するような・・・うまく表現することはできないが、とにかくこの女の子の泣き顔を見たくなかった。

 

そして俺はほぼ無意識に彼女に手を差し伸べようとしていたが・・・・・・

 

 

「うぐぅ〜。痛いよう〜。」

 

と叫んですぐに彼女は立ち上がった。

 

俺はそのセリフを聞いたときなぜだかわからないが急に可笑しくなり、笑いそうになりかけた。

 

もしかして久しぶりに笑ったのかもしれない。

 

 

するとその女の子が俺を見て、

 

「あっ〜、祐一君が笑った。ひどいよ」

 

と言って半笑顔で俺に向かって微笑みかけた。

 

それを聞いたときやはり俺は笑っていたのだろう。

 

自分でもわからないがこんな風に笑ったのは本当に久しぶりであった。

 

以前は、もっと笑えていたと思うが、もうそれも思い出せない。

 

 

でもその原因はきっと俺の体質のせいだろう。

 

 

 

 

 

とにかく無事なようなので俺は、彼女に手を差し伸べることなく、この場を去ろうとしたが、彼女はそれで納得はいかずに俺を呼び止めた。

 

俺は無視して歩き続けたが後ろから

 

「祐一君待ってよ〜。置いて行かないでよ〜。」

 

と言いながら俺の後ろをついてくる。

 

どうしてこの女の子はあれほどのことまで言われても、まだ俺と話そうとしているのか不思議であった。

 

それに俺が、周りを無視しようとしていることに気付いているみたいだから余計にたちが悪い。

 

とにかく無視を決め込み歩いていくが・・・・

 

 

後ろから

「まってよ〜。まってよ〜。お願いだから待ってよ祐一く〜ん。」

 

さすがにここまで大きな声で呼ばれたらこっちも目立ってしまい、たまったものじゃない。

 

仕方なく止まってやると今度は、後ろから体当たりされてしまい、俺は倒れてしまった。

 

「うぐぅ〜。痛いよ。

 

ひどいよ。祐一君急に止まらないでよ。・・・・・・・・・

 

・・・・

・・

って僕が「止まって」言ったんだっけ?

 

う〜ん・・・・とにかくありがとう」

 

 

と微笑みながら言ってきた。

 

 

俺はこいつは何を考えているかわからなくなってしまった。

 

 

すると、目の前の女の子は、俺の顔を見ると同時に

 

 

「う〜ん・・・・祐一君いきなりこんなこと言うのもなんだけど・・・・

 

どうして僕たちのことをそんなに避けるの?

 

僕ね、祐一君の力になってあげたいんだよ!」

 

 

と脈絡もなくこんなことを言い出してきた。

 

 

・・・・しかも笑顔で

 

 

なぜこの女の子は、俺にこんなことを話してくる・・・・いや、俺の気持ちを知りながら、なぜこんなことをしてくるのだろうかわからなかった?

 

 

 

この時に思ったことは、どうやら俺は、「変な奴に気に入られたみたいだ」ということだけであった。

 

 

 

 


 

2004/01/22 written by Teiguchi