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今度は・・・・天使と少年の物語 第10話

 

 

あゆに好きと言われた時、俺の心が鷲づかみされたようであった。

 

もしかして、この娘なら俺を救ってくれるかもしれない。

 

彼女は今までの人とは違うかもしれない。

 

そう思っている自分がいた。

 

 

 

 

 

しかしこれから話すことは、きっと現実離れできっとあきれるだろう。

 

だけど、もしそれでも彼女が真剣に答えてくれたら俺もそれに答えてあげれるかもしれない。

 

 

そう思い・・・・俺は彼女に話していく。

 

「俺はな、やることなすこと全てが裏目に出るんだ・・・そう本当に全てのことがな・・・・

 

まあ簡単に説明すると人より不幸な人ってことだ。

 

 

 

その答えにあゆは「何言ってるの?」っと言った顔で

 

「祐一君、冗談なら後で言ってもらえるかな?」

と顔を膨らませながら言っていた。

 

 

まあ確かに普通こんなこと言いうと、からかっているようにしか聞こえないだろう・・・・

 

だけど事実なので仕方が無い。だから俺は続けて言う。

 

「確かに、こんなことを言われて冗談だと思うのは仕方が無い。

 

あゆ。お前もそう思うだろう。」

 

「・・・・うん」

 

「だったら、話はこれで終わりだ。」

 

と言うと同時にあゆは少し叫びながら、

 

「待ってよ。祐一君まだ話し始めたばかりじゃない。ちゃんと最後まで話してよ。」

 

と、言ってきた。

 

「でも今のことが冗談に聞こえたのだろう。だったらこれ以上話しても無駄だ。」

 

やっぱりこの娘もほかの人と同じだなと思い話をやめよとしたとき・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちがうよ。僕が言いたかったことはそういうことでなくて・・・・それよりどうして祐一君嘘をつくの?」

 

あゆは怒りながらそう言ってきた。

 

「嘘?別に俺は嘘なんか言ってないぞ。」

 

俺は、嘘なんか言っていないはずだ。

確かに言葉足らずのところがあるかもしれないが本当のことを言ったつもりだ。

 

 

 

すると

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘だよ。今の話を聞いて僕なんとなくわかったんだ。

昨日の質問の意図もなんとなくわかった気がしたんだ。」

 

 

 

「どういう意味だ?」

と俺は無意識に問いただしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「多分・・・・多分だよ。不幸になるのは僕たちじゃないの?

祐一君はきっと周りの人が自分のせいで不幸になるのが嫌だったんじゃないの?

だから・・僕たちを無視しようとしたんじゃないの?

そうなると、昨日は僕の幸せを壊したくなかったから、別れ際に怒鳴ったのでないの?

ねぇちがう?祐一君。どうなの?」

 

俺はそれを聞いたとき驚きを隠せなかった。

 

どうしてこのあゆって娘は、俺の気持ちをこうも言い当てるのだろう。

 

まったくその通りだ。

 

両親もしくは俺の状況を知っている奴しか気がつかなかったのに、どうして彼女は、昨日初めて会うのにこの事に気がついたのだろう。

 

 

 

するとあゆは、

「僕の言っていることは間違ってるかもしれないよ。

でも明らかに祐一君は嘘を言っている。

僕は嘘が聞きたいのではないんだよ。

本当のことを聞きたいのだよ。

だから祐一君本当のことを教えてよ。」

 

と言ってきた。

 

 

 

 

嘘は言っていないが、言葉足らずそれも核心のところに気付いた彼女になら、全て言ってもいいのかもしれない。

 

そう思っている自分がいることに気がついた。

 

「話は長いぞ。」

と俺は言うと、あゆは「かまわないよ」と言って、

 

近くにあったベンチに座り、あゆに話し始めた。

 

 

 

内容は俺の過去のことで・・・・・・

 

 

・・・・・・昔から不幸だったこと。

 

・・・・・・とにかく、全てのことに対してついていないこと。

 

そしてそのことが自分だけならそれでよかったのかもしれない・・・・・

 

・・・・・・しかし、自分だけではなく、自分にかかわった人間がことごとく不幸になること。

 

・・・・・・その不幸になることをからかったりする奴がいたこと。

でもそのからかったりした奴までもが不幸になったこと。

 

・・・・・・・またそんな俺を支えようとした人がいたが、その人も不幸になり、俺を憎む人がいたこと。

 

 

 

 

・・・・・・・そして俺は、誰ともかかわりを持とうしなかったこと。

 

それでもずっと一人でいれた理由は、周りがどんなことを言おうとも、どんなときもこんな俺を支えてくれた両親がいたから、ずっと一人でいれたこと。

 

 

そんな両親も俺のせいで倒れたとき、もう誰も俺の味方がいなくなったことに気いてしまった時、俺は人とのかかわりが怖くてもう何もできなくなってしまったこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・そして

 

 

とにかく俺のせいでみんなが不幸になるのは耐えられなかったこと。

 

 

 

 

 

俺は、あゆに今までにあったことを包み隠さずに話した。

 

この話を信じるか信じないかわからないが、彼女はきっと信じるだろう。

 

 

俺にはそんな気がした。

 

 

するとあゆは、泣き顔で

「祐一君、本当に辛かっただね。

僕、祐一君がそんなにも辛い思いしているのに、勝手に話しかけちゃってね・・・・・

本当にごめんなさい。」

 

と謝ってきた。

 

あゆのそんな泣き顔を見たくなかったし、あゆにそんなことを心配されたくなかったので俺は

 

「気にすることではないぞ」

と言うと、あゆは

 

「気にするよ!

祐一君。前にも言ったけど、僕は祐一君の辛い顔を見るのが嫌なんだよ。

祐一君を支えてあげたいんだよ。」

 

 

「しかし、それではお前が不幸に・・・・」

と言うと同時にあゆは叫びだし

 

「そういうことを聞きたいんじゃないんだよ。」

と怒り出し、近づいてきて俺の頭をつかんで、あゆの胸のほうに押し付けられた。

 

そしてこう囁かれた。

「祐一君。辛いのはわかるけど、一人で考えちゃだめ。

僕も一緒に不幸になっても構わないから、甘えていいんだよ。

もっと素直になっていいんだよ。」

 

 

 

 

そして俺の頭を撫でながら

「祐一君は今までがんばってきたから、もうこれ以上がんばらなくていいんだよ。」

 

俺はその言葉を聞いたとき不覚にも泣いてしまった。

 

声を上げて泣いてしまった。

 

俺は、この言葉をずっと待ち続けていたのかもしれない。

 

 

 

 

俺は、こんな情けない姿を2回も見られて恥ずかしいと思うより、こんな俺でも、真剣にそして優しく話しかけらたことが嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからなおさら、この「優しくて、俺にとって天使とも女神ともいえるこの少女」を不幸にさせたくなかった。

 

俺はこの娘に一緒にいてはいけないことを告げようとしたが、あゆもそれに気付いたらしく「だめだよ」とだけ言って俺の頭を続けて撫でてくれた。

 

 

しかし、俺は断ろうとするが、

「祐一君大丈夫だよ。

昔から言うじゃない。

「苦あれば、楽あり」。

「幸福量保存の法則」ってね。

だから大丈夫だよ

今まで、不幸だった分これから幸福なことが起きるよ。

 

それに大丈夫だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が絶対に祐一君を幸せにしてみせるよ。」

 

 

 

それを聞いたとき俺はなんて答えばいいのかわからなかった。

 

 

こんな風に慰められたことは無かったし、仮にも女の子が男の俺を幸せにしてあげるだなんて・・・・・・

 

 

「祐一君。照れてる?」

 

「なっ」

「やっぱり祐一君照れてるんだ♪〜」

 

 

 

 

 

「それよりも、祐一君・・・・返事は?・・・・・」

 

 

「返事?」

 

 

「そう。僕の告白の返事。」

 

 

 

「ああ。だけど俺なんかより・・」

 

「ストッープ。僕は祐一君が好きなの。

そして僕は祐一君を絶対に幸せにしてあげるよ。」

 

「あゆ。本当に俺を幸せにしてくれるのか?」

「うん。絶対に幸せにするよ。」

 

 

あゆ言葉、あゆの笑顔を見たとき、俺は彼女に恋をしているのがわかった。

 

俺の弱いところを見ても、それでも俺に優しく接してくれるあゆを、好きになってしまっている自分がいることに気がついた。

 

だから俺は自分の思っていることを言う・・・・・

 

 

「俺は、あゆが好きかもしれない。

きっとこれからあゆに迷惑をかけると思う。

そんな俺でもいいのか?」

 

しかし浮かぶ言葉は、ロマンチックな言葉ではなくむしろ、情けない言葉だった。

 

するとあゆは笑顔で、

 

「僕は祐一君のことが好きだよ。

はじめは一目惚れだったけど、僕っておせっかい焼きだから祐一君みたいな人ってほっとけないよ。

だからって別に誰でもいいわけじゃないからね。

僕は祐一君のことが好きだし、僕が絶対に幸せにしてあげるよ。」

 

 

「なんか、女のセリフに聞こえないな」

「ウン。僕もそう思うよ。」

 

 

 

 

 

 

俺たちは見つめあい・・

「・・・・・・・祐一君」

「・・・・・あゆ」

と言ってお互い抱き合いキスを交わす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この娘となら不幸を乗り越えていけるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや幸せを得れるかもしれないと・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして1つの物語が終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこれは、天使の少女と不幸な少年の恋物語

 

 

 

 


 

2004/02/19 written by Teiguchi

あとがき