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解かれる封印

717名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/20(日) 16:18
フライヤ「!!!・・太陽をッ・・操る・・!!?」ふいにベアトリクスを振り返り見るフライヤ。
あまりにも唐突に、そしてあまりにも想像がつかないベアトリクスの謎を知ったフライヤは驚愕の色を隠せないでいる。
が、当の本人ベアトリクスは以前、その場に棒立ち、瞳はうつろ、まるで他人事の話を聞いているみたいなボーっとした表情。
意識は完全に、別の世界へ飛んでいってしまっているかの様だ。
ベアトリクス「・・・・た・・・・い・・・よ・・う・・?・・あ・・や・・つ・・る?」
ガーネットは眼前にいる、今だうつろなベアトリクスの頭上に己が掌をかざす。その掌に眩い輝きが宿る!
ガーネット「・・・太陽・・無限に近きそのエネルギー。その全てを我が物とし・・
しかも・・太陽そのものですらこの手にて動かし、自在に操る事をも可能とす。
・・なんという秘法であろうや。いわばそれは、天をも自らの支配と成す・・まさに「禁断」の「力」!!」
ガーネットの掌より出づる眩い輝き。それが今、ベアトリクスの身体全体を覆い始める・・。
シュウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・
ガーネット「・・ベアトリクス・・改めて私は思い知らされたよ・・。人の「欲望」・・それが生み出す力の大きさを。
・・そう、人は狂わば・・・どこまでも狂わば・・ふいに神をも凌がん如きものと成らざる事を!!!!!」
ベアトリクス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ガーネット「・・・そなたと・・そしてこの「力」生み出せし「そなたの民」に!!感謝しようぞ!!!」

      (・・?・・・わたしの・・・・・・たみ・・・・・・・・???)

シュウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ―――――――――――
フライヤ「・・・・!!いかんッ!!ベアトリクスゥ―――ッッ!!」
されるがままのベアトリクスを見て、とてつもなく嫌な予感を感じ取ったフライヤ!
我に返り、すぐさまベアトリクスの間に割って入ろうとする!!!・・・しかし!!
ガーネット「・・・!!!邪魔をするなァァァ―――ッ!!!!!」  グゥオオオオオオオオンンッッ!!
ガーネットの腕一閃より放たれた凄まじい突風!!モロに浴びたフライヤの身体が吹っ飛び、
広間の支柱に思いっきり激突する!!!ドクアァァァァァアッッッ!!!!!
フライヤ「うああああああっっ!!っ!!ぐうううぅぅぅッッ!!!」Gトランス能力によりパワーアップしている
フライヤも、今の攻撃は遥かに己の想像以上。ダメージが大きく、立ち上がる事が未だ出来ないでいる!!!
そんなフライヤをよそに、ガーネットは、より一層の念をベアトリクスに送りこむ!!!!
ガーネット「・・失われし禁断の封印よ!今こそその器より解き放たれ現し世へと還れ!!!!!!!」
ベアトリクス、ガーネット・・2人の身体より出でし輝きが更に強まった・・・瞬間!!!
アレクサンドリア大広間全体が、一点の曇り無き白い光の彼方へと消え去った!!!!!!!!!!!!!

シュウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥアアアアアアアアアアアアァァァァ―――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――・・・
・・・・・・・・・・・・


















ルビィの懇願

719名前:んじゃ殺すよ・・・脈絡ないけどMail: 投稿日:2000/08/20(日) 17:59
馬車に揺られてアレクサンドリアに向かう魔女リノアとルビィ。
ルビィには勿論その理由は知らされていないが、今の彼女はそれどころではなかった。
ルビィ「う・・うぇええええ!!!」
麻薬中毒のために衰弱しきった体での馬車の長旅はきつすぎるものだった。
顔面は蒼白となり、何度も嘔吐を繰り返すルビィ。
彼女はリノアにしがみついて懇願した。
ルビィ「・・・お願いや・・・ちょっと馬車止めて・・・休ませて・・・。
    ホンマに・・・きついねん・・・・。アレクサンドリアまでもたへん・・・」
だがリノアは何度哀願されてもにっこりと笑って、
リノア「大丈夫だよ、そんなにしんどそうじゃなさそうだし」
などと言って聞き入れてくれそうもなかった。
ルビィ(うげ・・・。もうあかん。この女強いけど、メッチャアホや・・・。
    神様仏様誰でもいいからウチを助けて・・・・)
その時だった。突如辺り一面が漆黒の闇となり、雷鳴轟き豪雨が降り注いだのは。
何事かと馬車を止め外に出るリノア。
すると暗い闇の彼方から一頭の巨馬にまたがった勇壮なる戦士が現れた。
神槍グングニルを手にせしその戦士こそは世に名高き天下無双、オーディンであった。
ルビィ「やたっ!願いが通じた!オーディン!!いてまえ!!そのアホ女をぶったぎってまえ!」
あたかもルビィの声に呼応するかのようにスレイニプルを疾走させ、リノアに迫るオーディン。
そしてついにオーディンの必殺技がリノアに向けられる!!
『斬 ・ 鉄 ・ 剣 !!』
二人はすれ違い、リノアがぐらりとよろめいた。歓喜するルビィ。
だがそれが絶望に変わるのも長くはかからなかった。
よろめいたリノアは身を起こし、
リノア「斬鉄剣返し・・・。見よう見まねでやったけど案外簡単ね」
まっぷたつになったのはオーディンの方であった。衝撃で天空へと舞い上がる斬鉄剣。
リノア「さて・・・ルビィちゃん?いまなんていったのお?アホ女とか聞こえたけど!!??」
恐怖にがくがくと身を震わせるルビィ。もはや彼女に望みはないのか??

























乱心ガーネット

727名前:それではお言葉に甘えて。Mail: 投稿日:2000/08/20(日) 18:14
「陛下!」
ノックもせず扉を開けてベアトリクスがガーネットの鎮座する間へと入ってきた。
「ふふ…どうしたの?あわてて」
「大変です!国民が…国民が反乱を!」

トレノでジタンはとんでもない話を聞いた。アレクサンドリアで反乱が起こったらしい。
ガーネットの政治に不満を抱く国民たちによってだ。
「くそっ」
ジタンはアレクサンドリアに急いだ。別れたとはいえガーネットの安否が気になった。
がむしゃらに走ってジタンはアレクサンドリアにたどり着いた。
一瞬目を疑った。民家の窓は割られ店の品物は盗まれていた。人の気配がしない。家に閉じこもっているのだろうか?
この分だと城は…。ジタンは城を目指して走り出した。
城についてみると破壊された形跡があった。所々炎がくすぶっている。
城内に入ると兵がひとり倒れていた。
「おいっ!どうなってるんだ!」
「反乱を起こした国民は捕らえた。被害は大きかったがもうおさまったよ。」
「ガーネットは?」
「知らないな。無事でいらっしゃることは確かだ。城内のどこかにいるだろうさ。けど気をつけな。あんたもうおしまいだぜ?」
「なんのことだ?」
兵士はそういって笑うとそのまま事切れた。
ジタンは走った。大急ぎでガーネットの私室に来るとドアを開け放つ。
「ガーネット!」
部屋はもぬけの殻だった。気が抜けたジタンは改めて部屋を見渡した。この部屋に入るのはもちろん初めてのことではない。
ふと机の上の写真立てに目が止まった。幸せそうに微笑む自分とガーネットが写っていた。
ジタンはそれを指で軽くはじくとまた走り出した。

城のはずれ、ブラネの墓の前にガーネットはいた。風に黒髪をなびかせながら墓を見つめている。
ジタンは声をかけるのを迷った。しばらく様子を見ていると突然ガーネットが笑い出した。
「ふふ…ふふふふふ…あーはっはっはっはっは!」
(ガーネット?)
とそのときだ。
「見つけたぞ!ジタン・トライバルだ!」
「なんだ?」
数人のアレクサンドリア兵がいきなりジタンに向かって斬りつけた。
「なにしやがるんだ!」
「うるさい!お前を探し出して処刑しろとガーネットさまのお達しなんだよ!」
「なんだって!?」
ジタンはあわててガーネットを振りかえった。ガーネットは恐ろしく冷たい目でこちらを見ていた。
「ちっ!」
ジタンはかるく舌打ちするとすばやく身を翻し一目散に駆け出した。
(あれが本当にガーネットなのか?一体どうなってる?何かがおかしい…)
こうしてジタンはアレクサンドリアから追われる身となった。
そして黒魔導師の村に逃げ込んだジタンはしばしの潜伏期間に入ることになる。

過去編完


























現われし者

730名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/20(日) 18:22
ルビィにゆっくりと近づくリノア。
その顔はサディスティックな笑いにゆがみ、
もはや当初の目的を忘れてルビィを殺す気でいるのは明らかだった。
・・・と、不意に殺気を感じて辺りを見回すリノア。
リノア「・・・まだ誰かいるのか??」
すると天空より一人の男が物凄い勢いで降下してくる。
もちろんオーディンではない。
彼は着地すると同時に天空より舞い戻った斬鉄剣をキャッチし、ゆっくりと辺りを見回す。
背に大剣を負い、異様な風貌にマントを羽織ったその男はリノアの姿を見つけた。
ジークフリード「・・・・お前は、セリ・・・・・」
そう呟くと、ジークフリードはうろたえるリノアに向かって走り出し、
背の大剣を抜くと両手の剣で凄まじい衝撃波を繰り出した。
『オーバードライブ!!!!』
リノアは瞬時にバリアを張り、衝撃波を受けとめようとしたが、
とても受けきれないこと気づき、飛び退いてかわそうとする。
だが、衝撃波はリノアを中心に巨大な渦を描いて巻起こっており、彼女を直撃する。
リノア「ぎにゃああああああ!!!」
・・・・かくてリノアは遙か彼方に吹っ飛ばされ、ジークフリードは相手を間違えたことに気づいたのだった。
ジークフリード「どこにあるやら次元のはざま・・・」
そう言葉を残して消え去ったジークフリード。
あとに残されたルビィは信じられない出来事の連続にただ呆然とするしかなかった。

























衰えぬ腕

732名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/20(日) 19:30
「て、てめえ! よくも兄貴を!」
「クックックッ、『隊長』ではなく『兄貴』か。どうやらそろそろ地が出てきたな」
ブルメシア及びリンドブルムとの二面戦争状態にあるアレクサンドリアは、どうしても
多数の兵力が必要だった。如何にガーネットが超人的な戦闘力を持っていようとも、
すべての拠点の防衛力を同時に維持できる訳ではないのだ。それ故、健全な軍隊運営を
実行するのには不可能な早さで徴兵が実行され、大半の兵はろくな訓練も受けず、
規律も規範も身に付けないままで配備されていたのである。そのような人間が前線の
緊迫感に耐えられるはずも無く、彼らが次々に堕落し、刹那的な快楽を追い求めるだけの
破落戸と化しているのは、アレクサンドリア国内では暗黙の事実であった。
しかし如何にに事実であれ、そんな事を指摘されては愉快であろう筈も無く、
そうした現状を皮肉ったジタンの言葉にアレクサンドリア兵たちはますますいきり立った。
「貴ッ様ァァ〜、生きて帰れると思うなよ!」
そう言うや否や、兵の1人が袈裟懸けに切りつける。難なくかわして兵の背後に回るジタン。
「よし、挟み撃ちだ!」
もう一人の兵がジタンの更に背後に回った。するとジタンは目の前の兵を
一切気にした様子も無く、悠然と背後の兵士に向き直った。
「おまえで最後だ」
「何ィィ?」
ジタンに続いて振り返った相棒を見てアレクサンドリア兵は色を失った。
その兵には顔が無かった。顔面そのものが斬り落とされていたのだ。
溺れるものが空気を求めるかのようにもがきながら近寄ってくる顔の無い相棒の姿に、
恐怖のあまりへたり込むアレクサンドリア兵。即死してもおかしくない状態だったが、
痛みを感じさせることなしに手首を切断する事をも可能とするジタンの絶技が、
僅かな命の残り火を保たせていたのだ。しかしそれも一時の事で、一瞬、
顔面のあった場所から弾けるように血が噴出したかと思うと、その場に崩れ落ち、
兵はそのまま動かなくなった。
「あああああ、あ兄貴ぃぃぃ!」
震える声で隊長に助けを求める最後のアレクサンドリア兵。しかし先程まで悲鳴をあげて
のた打ち回っていた隊長は、生きているのか死んでいるのか既にぴくりとも動かなくなっていた。
仮に生きていたとしても出血量から考えて到底助かるとは思えず、この状況から逃れるのに
何ら寄与しない事は明らかだった。
「ひ、ひぃぃぃっ」
ゆっくりと近寄ってくるジタンから這いずって逃げようとするアレクサンドリア兵。
その眼前に、放心状態でへたり込んでいるスライの姿があった。
「くっ…くふふふ、どうやらまだ俺にも運が残っていたようだな」
アレクサンドリア兵は残る僅かな気力を振り絞って立ち上がるとスライに駆け寄り、
無理矢理引き起こして羽交い絞めにした。
「へへ、それ以上近寄るんじゃねぇぞ…この小娘の命が惜しかったらな」
「好きにしろ」
「な、何ぃ!?」
「俺がお前たちと戦ったのは、最初に言ったようにあくまで自分の腕を試すためだ。
別にその娘を助ける為ではない。だから、お前がその娘をどうしようが、お前を殺す事に
変わりはない。そう言っているのだ」
「な…なんだと、てめぇ…」
どう考えてもはったりで言っているようには見えなかった。ジタンの放つ鬼気は、
兵がスライをどうしようが感知しないどころか、場合によってはスライもろとも兵を
斬り捨てるつもりであるとしか思えないほどの凄絶なものであった。腕の中の絶対の
切り札は、突然何の保証にもならないがらくたと化した。
「う、うわぁぁぁっ」
スライを突き飛ばし、後ろも見ずに逃げ出したのは、あるいはアレクサンドリア兵にできた、
最善の手段だったのかも知れない。風を斬る音が聞こえ、ジタンの投げた短剣が、
背中に突き刺さる事もなく、脇をかすめて大地に突き刺さったのを見た時、これで助かったと
兵は安堵した。しかし次の瞬間、脇腹に激痛が走ると同時に滑らかな傷口がぱっくりと開き、
凄まじい勢いで内臓が零れ落ちた。
「あ…あ…あ…」
絶望と苦痛の只中、涙を流しながら己の臓物を拾い上げていたアレクサンドリア兵は
遂に力尽き、己の血と臓物の海の中に崩れ落ちて絶命した。





















偽善者

733名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/20(日) 21:24
――――――――――――・・ん・・め・・・・・・ぎ・・・ん・・め
――――――・・・・ぎ・・ぜ・・ん・・――――ぎぜん・・・・め・・・―――
ぎぜんし・・・・・ぎぜん・・・ぎぜんしぎぜんしぃぎぜんしゅぎぜんぎぜん・・・偽善!!!


―――――――――――    偽善者め!!  ――――――――――――


・・・・・そうだ・・あの時・・・黒魔道師の村・・・・・ジタンに・・・そう・・いわれたっけ?
・・・そうだ・・・わたしは・・・私は・・・・偽善者だ・・・・偽善者偽善者偽善者偽善者偽善者・・

―――私は・・何なんだ・・?・・・私は・・・誰 ?・・・・・私は私は私は私は何何何何誰誰誰誰・・

―――血だ・・血血血・・・あ・・か・・い・・赤い・・・・・のは・・私の手・・・・・・―――
――染まってる・・真っ赤に・・・・どろどろに・・どろどろどろどろああああああああああああああ・・・

――――なんだ・・何だ・・こいつは・・?怯えて・・・何に・・・??・・・・ああ・・私にか・・・。
・・・口が・・・何・・・口・・・ひ・・ひゃく・・・にん・・・ぎり・・・百人・・・斬り・・―――
―――顔が・・・こいつの顔が・・・・・ああ・・・赤く染まって・・・そうだ・・・こいつは・・――――
―――――――――――――丁度私が・・・百人目に斬った・・・あの男の顔―――――――――――――――

――・・私は・・・血の色に・・・・染まってる・・・ここまで・・私は何人もの命を奪ってきた???・・
・・血に染まる私が・・・血に染まった手で・・・・・何をしようとしている・・??―――――
――――世界???・・・世界の混乱??―――それが・・・それがどうしたというのだ・・
・・いや・・むしろ・・―――・・そんな世界こそ・・・私は望んでいたんじゃあなかったか???――
―――こんな・・・こんな私など・・血のこんな血の私染まる私赤いこんな私殺した私はお前は血私は殺すお前は―――

――――――――――・・いらない・・・偽善者がッ・・・・・――――――――――――

・・そうだ・・何・・何が・・私の・・体内(なか)・・世界を・・・・救う???・・
は・・はは・・ははははは・・何がだ・・・救うどころか・・私は何も出来ず・・・・
・・また・・またその手をより赤く染めただけ・・そうだ・・私は・・・偽善者・・・・
・・世界・・・救うどころか・・・この・・・この私の体内(なか)の・・・これが
・・・・・そもそもの・・災いの・・・原・・・因ではないか・・・そうだ・・これが・・
・・災い・・・そして・・・私の・・・存在・・・・自体も・・・・私は・・そうだ・・

――――――――私自身が・・・・災いなのか・・・・・・・・――――――――――


















心の声

796名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/21(月) 04:05
ベア・・・ト・・・リクス・・・ベア・・トリ・・ク・・ス・・ベアトリクス・・・・

――・・私・・?私を・・・呼んでいるのか・・・?この・・声は・・なんだか・・・――
・・・遠い・・遠い・・・・この声に・・・私は・・・・ああ・・・ぁぁ

ベアトリクス・・・救う事は・・・出来なかった・・・・お前は・・・・
ブルメシアも・・・ガーネット王女も・・・・・そして・・・スタイナーも・・・・
何もかも・・・救えなかった・・そして・・・その上・・自分ですらも救えないのか・・?

―――・・・自分・・自分ですら・・?・・・私は・・・今、私すらも救えない・・?――

あの時・・お前は何故・・・その・・聖剣を・・手にしたのだ・・・・?・・――

――・・あの時・・そう私は・・私はガーネット様の短剣を捨て・・そして・・・
・・この・・このエクスカリバーを手にした・・・あの時・・私は何かに・・
・・そう何かに動かされた・・。スタイナーが・・スタイナーが殺されたから・・?
・・いや、違う・・。私はあの時・・・自分に・・・自分に我慢がならなかった・・

何も出来ないまま――何もしないまま――何も知らないまま――・・

嫌だった・・嫌だった・・全てを失った・・全てを奪われた・・はずなのに・・何故?
―――――――何故あの時・・剣をとったのだろう・・?―――――――

・・・お前だけにしか出来ない事・・自分だけにしか出来ない事を・・
    ・・・・何も・・何もしないまま・・・このままお前は消えてゆくのか・・・・?

何も・・出来ないまま
         何も・・しないまま
                何も・・知ることなく
                  ・・・・・・・・そして何も・・救う事は・・出来ない

    過去も・・未来も・・思い出も・・記憶も・・・そして・・自分自身さえも




















決意のベアトリクス

797名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/21(月) 04:07
お前にしか・・出来ない事・・・それは・・何だ・・?
――――――・・私にしか・・・出来ない事・・・?―――――
そうだ・・・そして・・その事が出来るお前は・・・・どうするのだ・・?
――――――・・その事が・・・出来る私は・・?―――――
今・・・・・お前は何をすべきなのだ・・・・・・・・・・・?
――――――・・今・・・・私が・・・すべき・・事・・―――――

何も出来ないまま――何もしないまま――何も知ることなく
―――――・・・・そして・・誰も救えない・・・―――――――

私だけが・・出来る事・・その事を・・・・出来る私は・・・・・・
・・・・今・・・・私は・・・・私が・・・・・するべき事は・・・・・・・・・・私・・はッ!

――――そう!・・この「力」は、誰にも渡すわけにいかない!!――――

・・・・・そうだ・・ベアトリクス・・・お前は・・今、自分に出来る事・・・・・
・・・今は・・今はそれを・・・・精一杯・・・・・やるんだ・・・・・・・・・・――

・・・・あなたは・・誰だったのですか・・?・・・・・・・・・・・・・・でも・・
わかる・・・ような・・・・気がする・・・あなたは・・・・・あなたは・・・

―――――――・・あなたは私の・・・・・―――――――――――ガキィィィィィンンンンッッ!!!!!
ガーネット「ッッ!!!!!!!!!!!!」
ガーネットのかざしていた掌は見事なまでに払い退けられていた!!!
ガーネット「ッッ!!貴様ッ!!」「力」の吸収の儀を寸断されたガーネットは、
憤怒の表情でその張本人・・眼前のベアトリクスを睨みつける!!
フライヤ「!!ベアトリクスッ!!」倒れこんでいたフライヤも、思わず声を上げる。
ベアトリクス「・・・もう、何もしないまま、逃げようだなんて思わない・・
私は、今・・自分が出来る事・・しなければならない事を・・精一杯するだけ!!
・・・・あなたに・・・あなたに、この「力」は渡すわけにいかない!!!」
おもむろに聖剣エクスカリバーを抜き放ち、ついにベアトリクスはガーネットにその刃を向ける!

ベアトリクス「・・・・私も・・・・・「私」であるために!!!!」




















一足違い

805名前:ななしさん@おなかいっぱいMail: 投稿日:2000/08/21(月) 13:16
酒場で「ねずみがしのびこんでいる」とのうわさを聞きつけたあと、
スタイナーは全力で城へと向かったが、彼の目にうつったのは、
おびただしい量の血液と、氷の塊が解けてしまった残骸だけだった。
「これは、いったい。」
自分の知らないところで、何かが起こっている。
自分の記憶がない間に、確実に世界は動いている。
それは、不気味な、形のない漠然とした不安だった。
結局、今の自分に必要な情報はえられなかった。
ここからどうするべきか。
自分一人が取り残されてしまった不安を抱きながら、それでも自分を突き動かすのは、ベアトリクスへの愛情の他ならない。
「マスター…」
そのときスタイナーの脳裏に浮かんだのは、
ベアトリクスが心から尊敬していた、また、
両親のいなかった自分の後見人になってくれた、マスタートットの姿だった。
「トレノへ、いってみよう。マスターなら、きっと世界がどう動いているのかを把握しているはずだ。あの方なら、私の道を指し示してくださるに違いない。」

スタイナーは遠い昔に思いを馳せていた。
名門だったスタイナー家に生まれた彼は、18歳の頃姫側近の近衛兵に任命された。
すべてをアレクサンドロス家への忠誠にささげていた父親と、
存在感のない父親に従うために生きてきた母親という両親に育てられたスタイナーが
「自我」が薄く、忠誠を第一とした青年に育っていったのは、無理もないことだった。


















「忠誠」という衣

805名前:ななしさん@おなかいっぱいMail: 投稿日:2000/08/21(月) 13:32

彼が20歳のとき、両親は他の貴族の反感をかい、毒殺された。
自分も命が危なかったが、一命を取り留めた。両親の死に、不思議と涙は出なかった。そのとき、後見人にトットがついてくれたのだった。
近衛兵に復帰した自分よりも力のあるものはもはやなく、女王やとりわけガーネット姫に信頼が厚くなり、「忠誠」という言葉に逃れて、自分の考えや自分の意見など何もなかった頃。
ベアトリクスと、出会った。
ベアトリクスは、家柄も何もなく、突然軍隊に入ってきた女剣士だった。
その女剣士の腕は、そこらの兵士では歯が立たないほどの威力であったが、
腕もさることながら、家柄がものを言う軍隊において、彼女は迫害を受けつづけていた。
スタイナーは、アレクサンドリア家のこと以外にはまったく興味がなかったので、
その事実を知ってはいたが、どうするともなく傍観していた。
女性を助けないのは騎士道に反するとも思ったが、ベアトリクスの目は、
かえって助けを嫌うようなプライドに輝く目だったので、
それ以上かかわることはスタイナーにはできなかった。
いや、本当は助けたかったのだが、人とうまくかかわる自身がスタイナーにはなかったのだ。助けたいけれど、うまくかかわれないかもしれない…その思いが、無意識のうちにベアトリクスとのかかわりを避けるようになっていた。




















昇華という名の狂気

811名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/21(月) 14:18
超常的な出来事の連続に大平原のまんなかでルビィはしばし呆然としていたが、
緊張が緩和するにつれ、吐き気、幻覚症状などのクスリの禁断症状が襲い始めた。
絶叫し、のたうち回り、肉体をかきむしるルビィ。
その時、彼女の眼にうっすらと何者かの姿が見えた。
ルビィ「・・・・ブランク?」
本能的にそう呟いた彼女にそれは答える。
?「そうだ。俺はブランクだ。苦しいかい?」
ルビィ「苦しい・・・ブランク。クスリを頂戴・・・」
?「ダメだ。クスリなどにいつまでも頼っていてはいけない」
ルビィ「そんな・・・それじゃあウチはどうすれば・・・」
?「麻薬中毒の苦しみの根本には、俺に裏切られ、殺したという苦しみがある。
  一つだけその苦痛から解放する方法がある。
  ルビィ。エーコ大公殿下にお仕えしろ。ゾディアックブレイブに加わり、
  自らをより高いものへと昇華できることばできれば、
  お前には恐怖も不安も苦痛も悲しみもなくなる・・・・」
ルビィ「ゾディアックブレイブ・・・・。魔形の集団・・・・・。
    魂は暗黒へと墜とされ・・・・」
?「そして真の快楽と真理を知る。ルビィよ、決断せよ。
  エーコ大公に降るのだ」




















一人の人間として…

814名前:ななしさん@おなかいっぱいMail: 投稿日:2000/08/21(月) 14:56
ある日、トットの住むトレノの家に挨拶に行ったときのことだった。
トットはしわだらけの皮膚の中から、やさしい目を覗かせていった。
「スタイナー。おまえは、誠実で忠誠心もある立派な騎士だ。しかしな、
アレクサンドリアの一騎士としてはすばらしいが、果たして「スタイナー」
という一人の人間としてはどうだろうな。
人に忠誠を誓うことは難しいが、追従することは簡単だ。
おまえは、忠誠というより、追従しているような気がしてならないのだ。
その違いはな、自分で従うことを決意したか、自分の意思と関係なくしたがっているかの違いだと思うのだよ。
おまえの後見人として、できれば人間らしく生きてほしいと思っておる。
ただの一騎士としてではなく、人間として生をまっとうしてほしいと思っておるのだ。私が後見人をやっておるもう一人は、おまえとはまた違った理由で、
生をまっとうしてほしいとおもっとるがな。」
そういうと、トットはやさしい笑顔を浮かべるのだった。
その日の午後、兵舎で騒ぎが起こった。
スタイナーが駆けつけたときには、すでにベアトリクスが片目を押さえていた。
にもかかわらず、周りを囲む兵士から飛んでくる石は、やむことがなかった。
「何をしているのである!」
スタイナーが大声を出しながら、石のまとになっているベアトリクスをかばうように円の中心に進んでいった。
片目を押さえる手の指の間から、流れ出る赤い液体を見たとき、
スタイナーは理性を押さえきれなくなった。
今から思えば、アレクサンドリア王家に関すること意外で感情的になったのは、それが初めてだった。
















言葉と言葉

816名前:ななしさん@おなかいっぱいMail: 投稿日:2000/08/21(月) 15:12
体中から光がほとばしり、その光に兵士たちの目がくらんだ隙に、スタイナーはベアトリクスを担いで身を翻した。
そのまま、自分の部屋に担ぎこみ、近衛兵お抱えの医師をよんだ。
医師は、静かに首を振り、スタイナーの部屋を出ていった。
「わたしなど、小さい存在だ。私が生きる理由などないのかもしれない」
眼帯を指で触りながらベアトリクスはいつになく弱気な言葉を吐いた。
「小さい頃から両親もいなかった。私を必要としてくれる存在など、この世にはいない。私など、ある日突然消えてしまおうと誰一人として気づくものなどいないのだ。」
スタイナーは、どう答えていいのか、わからなかった。
人とまともに話したことのない自分が、今いったい何をベアトリクスに言ってあげたらよいのか。彼女がどんな言葉を望んでいるのか。どんな気持ちでそのような言葉を口にしているのかが、わからなかったのだ。
沈黙しているスタイナーに向かい、ベアトリクスは照れたように苦笑した。
「すみません、にべもないことを。近衛隊長殿に向かって、一介の兵士が愚痴を言うなどもってのほかですね。この怪我のせいと、忘れてください。」
そういって、振り返ったベアトリクスの顔には、先ほどの言葉がうそのような凛とした表情が浮かんでいた。
「今日は助けていただき、本当にありがとうございました。」
ベアトリクスが部屋から出て行こうとしたとき、スタイナーの口から自然と言葉が出た。
「自分たちは、アレクサンドリアを共に守ろう。自分は、同士として、ベアトリクス殿の存在を頼もしく思っているのである。」
それはたどたどしい言葉だったが、ベアトリクスの心に響いた。
思えば、それが二人の淡い恋の始まりだったのかもしれない。
















沈黙の後

817名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/21(月) 16:00
夕陽に赤く染まったのダリの村は、死の沈黙に包まれていた。
村の外から響く虫の声は、何処か遠くの別世界の音のように聞こえた。
ジタンもスライも、周囲を遠巻きにする村人たちも、誰一人微動だにしない。
その異常な静寂を破ったのは、ジタンが短剣をかちりと鞘に収めた音だった。
その音で我に返った村人たちは、周囲の惨状にざわめきだした。スライが
助かった事にも、彼らを虐げてきたアレクサンドリア兵が死んだ事にも
喜ぶ様子が少しも見受けられないのは、ジタンの殺しの手口があまりに
残忍なものだったからばかりではなさそうで、村人たちは非難するような
眼差しをジタンに向けていた。その癖、少しでもジタンと目が合いそうになると
あわてて目を逸らすのだった。空気そのものの奥歯に物がはさまったかのような
もどかしい雰囲気が漂う中、やがてダリの村長が意を決したように口を開いた。
「あんた…なんて事をしてくれたんだ」
その一言が契機となり、堰を切ったかのように村人たちの非難の大合唱が始まった。
「兵隊が死ねば俺たちにとばっちりが来るんだ!」
「あんたはそんなに強いし、いずれここから出て行くから関係ないだろうが、
俺たちはこれからもずっとここで生きていかなくちゃならないんだぞ!」
「私たちに死ねって言うのかい!」
しかしジタンは騒然たる状況にも悪びれた風もなく、顔色ひとつ変える事がない。
その態度には村人たちにも腹に据えかねるものがあったが、かといって私刑にするには、
いささかジタンへの恐怖が大きすぎ、結局不完全燃焼した感情は、この先、アレクサンドリア兵に
よって村が蹂躙されるであろうという絶望的な見通しを思って、沈痛な沈黙へと変化した。
そんな中、スライはぼんやりとジタンの顔を見ていたが、突然その瞳に焦点が甦った。
「あなたは…もしかしてジタン・トライバル?」
その言葉を聞いて村人の間にざわめきが広がる。


















村人達のいいわけ

818名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/21(月) 16:00
「ジタンってまさかあの…」
「そう言えば、何処かで見た事があるような…」
如何にダリが辺境の村とは言え、世界を救った英雄の1人と称えられ、後には
ガーネット女王の愛人としてゴシップ紙の常連となり、更には生死を問わぬ賞金首として
アレクサンドリア全域に指名手配されたという破天荒な人物の名前はよく知られていた。
「あ、あんたがジタンだったのか…ならば頼む、村を助けてくれ! わしらは、
わしらはもう女王陛下の…いやガーネットのやり口にはついて行けないんじゃ!」
「そ、そうだ、頼む! 同じ英雄のあんあたならガーネットにもきっと勝てる!」
「死んでいった連中の仇を討ってくれ!」
ジタンの正体を知るや、村人はいきなり態度を変え、それまで抑えていた感情を
一切合財ぶちまけた。どのような冷血漢でも同情を禁じえないような哀切に満ちた
村人たちの懇願を、しかしジタンは受け入れなかった。
「断る。俺にとってお前たちは敵国の人間。しかもこの国の軍事活動に大きく寄与し、
その暴虐を助長した側にいた人間だ。助ける謂れはない」
英雄と名高い男の、意外にも冷徹な言葉を聞いて村人は動揺した。
「そ、そんな…わしらは別に何も…」
「何もしていないと言うのか? お前たちは覚えていないかも知れんが、俺は以前にも
この村に来た事がある。その時、この村では黒魔道士たちを大量生産していたぞ。
黒魔道士たちがブルメシアやリンドブルムで如何なる惨劇を引き起こしたか、お前たちも
噂くらいは聞いているはずだ。それでもお前たちは自分たちは無関係だと言うのか?」
「あれは…あれは知らなかったんだ! まさかあの人形があんな使われ方をするなんて…」
「俺たちはただ、偉い人からの命令で作っただけなんだよ! よその国で何があったかまでは
知らんが、それをやったのは偉い人たちじゃないか!」
「しかしお前たちも胡散臭いものは感じていたはずだ。それでもお前たちは、金のために
目をつぶったのだろう? つまり、お前たちは自分で選択したんだ。違うか?」
その言葉に思い当たる節があるのか、村人たちは沈黙した。
「それについ最近も、この村の地下施設で白魔道士が生産されたはずだ。今のこの国の
拡大政策を考えれば、連中が戦争の道具として使われるのは目に見えているだろう?」
「あ、あれは俺たちに選択の自由なんてなかったんだ!」
「そうだ、兵隊がやって来て、強制的に動員されたんだよ! 信じてくれ!」
「他力本願に責任転嫁…軍人も軍人なら民も民か。まあ上に立つ人間がガーネットではな。
所詮あいつは統治者の器ではない…」
哀願する村人たちの姿にフンと鼻で笑うジタン。
「…まあいい。知らなかったにせよ、強制されたにせよ、アレクサンドリアの臣民である
お前たちが、自国の利益の為に働いた事そのもので今更断罪する気はない。ただ、
自分たちの行為とその結果を忘れ、自分の良心までも満足させる無責任な姿勢。これは
認めるわけにはいかんな。お前たちにもそれなりに言い分があるのは認めてやる。だから
矛先をお前たちに直接向ける事はしないでおこう。だがそれだけだ。お前たちが今、どんな
苦境にあろうとも、それは今まで従ってきたアレクサンドリアの体制がもたらしたもの。
そこから無条件に助け出してもらおうなどと、甘い考えは捨てる事だな」
「…ではどうあっても、わしらを救ってはくれないと?」
村長の声には一切の感情がなかった。
「…くどい」
「ならば仕方がない。おい!」
村長の合図と共に、周囲の民家の屋根に、弓をかまえた猟師風の男たちが何人も姿を現した。
また、村の奥の兵舎の方から、村人に先導されて何十人もの兵がやって来るのが見えた。
「あんたがわしらを救ってくれないならば、わしらは体制の中で生きるしかない。
国家の敵として指名手配されているあんたを差し出せば、わしらの待遇も少しは良くなろうと
いうものだ。わるいがあんたにはここで逮捕されてもらうぞ」
「…周囲に人を潜ませているのには気付いていた。こうなるのではないかと予想はしていたが…
考え得る選択肢の中で、最も愚かな行動を選んだな…」
ジタンはひどく疲れたような声でぽつりと呟いたが、やがて意を決したように
「確か、よその国で何があったかまでは知らんと言った奴がいたな。では、何があったか教えてやる。
…ミコト、始めろ」
その声が合図になったように、幾百もの光球がジタンの周囲に飛来した。次の刹那、それは人の形を
成し、黒魔道士の姿となった。
「キル!」
「キル!」
ダリの悪夢はまだ始まったばかりであった。




821名前:ななしさん@おなかいっぱいMail: 投稿日:2000/08/21(月) 17:08
トレノに向かう長いトンネルの中で、スタイナーは邪気をかんじていた。
…何かがくる。
目の前に現れたのは、見覚えのあるモンスターだった。
「…まだいたのであるか」
一人ごちながら、スタイナーは剣を抜いた。
今度こそ本当に、その命頂戴しよう。先を急がなければならない。
先の冒険のとき、ジタンや他の仲間と力を合わせて倒したモンスターを相手に、
スタイナーは剣を構える。
もう、戻ることのできない幸せな美しい過去への思いを断ち切るように、
スタイナーはそのモンスターに向かっていった。
「今は、自分の信じる道を行くしかないのである」
剣は宙を舞い、モンスターの脳天に突き刺さる。
グエ・・エ・・エ
断末魔の叫びをあげ、倒れるモンスター。その返り血を浴びながら、かつて仲間と力をあせなければ勝ち目のなかった敵を一人で葬ったその事実をかみ締めるスタイナーだった。


822名前:タイトルメーカーMail: 投稿日:2000/08/21(月) 17:16
新スレ版ストーリーの要約2(その1)

「暁の騎士団、リンドブルムに到る」(>>55>>270>>369>>355>>526>>527>>528)
 いただきキャット注意報。リンドブルムにやって来た暁の騎士団一行。エリクサーをギルに換え、
 買い物をする。ワイマールにトット始末命令が下る。トット達は深夜、ある工場の様子を見に来
 る。その工場の様子に怒るトットは、中に飛び込む。ワイマールが出てきて、二人は戦いになる。

「ゾディアックブレイブ」(>>63>>106>>107>>177>>241>>252)
 エーコの命を受け、ナタリーはアレクサンドリアに潜入する。そこで、捕らえられていたワイマ
 ールを二人目のゾディアックブレイブにする。三人目の同調者はエーコが見つけていた。タンタ
 ラスのシナである。ダリの村。マリンはアレクサンドリア兵から暴行を受けていた。ナタリーは
 兵達が去った後、マリンを4人目のブレイブにする。マリンは彼女に暴行したアレク兵達を殺す。

「トムの日記」(>>265>>272>>284)
 1.ペットのミャウが居なくなったよー。2.いなくなったミャウが見つかったけど、姿がチョッ
 ト違う気がするなぁ。3.うちに変な人達が来てた。僕をどっかに連れてってくれるんだって。


823名前:タイトルメーカーMail: 投稿日:2000/08/21(月) 17:16
新スレ版ストーリーの要約2(その2)

「演説の後」(>>64>>65>>187>>304>>305>>358)
 ミコトはエヌオーのことをジタンに尋ねる。ミコトは自分が騙されている事、そしてそれを望ん
 でいる事に気付く。ジタンの計画は順調。パラメキア内、エヌオーはエリンに作戦を伝え、ブル
 メシアとの戦いに備えていた。束の間の休息を楽しむジタンとミコトの元に緊急連絡が入る。
 緊急作戦会議が開かれ作戦はダリ制圧に変更される。自らがじきじきに出向くと言うジタン。

「カバオとシロマ」(>>248>>274>>276→「ジタンとシロマ」へ)
 ある夜、カバオはシロマという少女を助ける。幾日か後、シロマは飛空艇で城を脱走しようとす
 る。そこにカバオが現われる。一緒に行こうと言うカバオ。二人はその場をガーネットに見つか
 るが、カバオが飛空艇を操縦し発進する。シロマの行動にガーネットは撃墜をやめるのだった…。

「ジタンとシロマ」(「カバオとシロマ」から→>>393>>394>>398)
 なんとかクロマの村に辿りついた二人は、ビビJr達に助けられる。シロマはジタンに会い、話を
 する。ジタンはシロマに選択をさせる。戦いになる二人。だがジタンにはかなわず、力を使い尽
 くすシロマ。ジタンはシロマに3つの質問をした後、意識を失した彼女を時空移転装置にのせた。

「ルビィの憂鬱」(>>310>>313>>323>>357>>416→「ルビィその後」へ)
 リンドブルム劇場街で有る劇団の看板女優になっていたルビィ。そんなある日、稽古に出向くと
 主役を下ろされていた。怒るルビィは主役の座をもらったローザに掴み掛かる。謹慎になった
 ルビィは帰る途中、ブランクとローザの逢い引きを目撃してしまう。次の日、ある新聞の記事に
 は人気女優の犯した事件の記事が載っていた。容疑者の行方は不明だという。




825名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/21(月) 17:52
――――アレクサンドリア大広間――――
ベアトリクス・・そしてようやくダメージより立ち直ったフライヤが、ガーネットに2つの刃を構える。
ガーネット「・・・この・・この私に・・刃を向けるのか?ベアトリクス・・。」
かつて限りなき忠誠を旨としていた聖剣士に対し、己に刃を向けたことを、まるで咎めんばかりの口調で、
厳かに語りかける。・・・・が、今のベアトリクスには微塵の動揺も感じうる事は無い。
凄まじいほどのガーネットの眼光に対しても、片時たりとも、己が瞳を決して逸らす事は無い。
ベアトリクス「・・・全てが元に戻るというなら・・世界の全てが以前の様に・・元に・・
元に戻ると言うのならば!・・こんな私の命なんて・・安いもの。喜んで・・差し上げましょう・・けど!
・・血と・・暴力と・・死・・それが・・それが為の「力」であるというならば・・・・・
いわんや、それが・・この・・「私」そのものであるのならば・・最早・・最早己がすべき事は只一つ!!

――――――・・命にかえても・・私は「私」を守り通して見せる!――――――

・・たとえ・・それが私の生き方を自ら否定する事になろうとも・・・
・・・そして・・ガーネット様。たとえあなたに刃を向ける事になろうとも!!!」
ベアトリクスの、その悲痛にして、大いなる覚悟を感じたガーネットは、微かに口元を
歪ませ・・・そして静かに言葉を返す。
ガーネット「・・・よかろう・・最早、是非もあるまい。なれば私も・・私の命を賭けてもッ!
・・・そなたよりッ・・・・その「力」!!!!奪い取ってくれようぞッッ!!!」
ズバアアァァァッ!!ガーネットの纏っていた純白の王宮用ドレスが千千に弾け飛散する!!!
そしてその下から漆黒のタイツスーツ、戦闘用衣装に様変わりしたガーネットが現れる!!
全身は、眩いばかりに青白く光り輝き、その身体より、凄まじい気勢を発するオーラが、
まるで抑え切れぬばかりに渦を巻き、広間全体を覆い尽くしてゆく・・・!
ビリビリと麻痺しそうな程に伝わってくる凍りつくが如きその妖気!!
そして、らんらんと、より一層邪悪な緑光を発し続けるその両眼!!
地の底から滲み出るが如き咆哮!!・・・まさに今まで以上「完全魔性」のガーネット!!!
・・しかしその彼女の様相に対し、必死の表情になりながらも、決して眼を逸らす事無く、
微塵も怯む事無く刃を構えたままの、ベアトリクス・・そしてフライヤ。
そんな2人に対し、再び邪悪な微笑を浮かべ・・・そしてゆっくりガーネットも、
戦闘の構えをとる!!・・その両手にはより一層の、青白き魔力の光が煌々と宿る!!

ガーネット「・・・我が真の力・・そなたらの身をもって・・存分に知れッッ!!!
       ・・はっはっはあああああ――――――――――――ッッッ!!!!!」

826名前:ななしさん@おなかいっぱいMail: 投稿日:2000/08/21(月) 18:03
再び歩き出すスタイナーの目に、ふと明るい光が差した。
見上げると、小さな穴があいていた。自分がかろうじて通ることができそうな穴だった。
依然とおったときには、何もなかったはずである。
そろそろトレノに近いはずだが…
スタイナーはその穴から身を乗り出してみる。
薄暗い中、はるかかなたのそらが、赤く燃え上がっていた。
スタイナーの体を、悲劇の予感が駆け巡る。
「こうしてはいられないのである。」
再び洞窟の中に戻ろうとしたスタイナーは、一瞬足を止めた。何か、懐かしい気配がしたような気がする。
不思議に思い、辺りを見渡すと、洞穴が目に付いた。
…?
何かこのままここを離れることに抵抗をかんじ、スタイナーは急いで地上に立ち、その洞穴に向かって駆け出した。
そこは、家になっていた。
埃が積もってはいたが、確かに誰かが暮らしていた形跡が残っている。
古ぼけた、小さな家。
ふと、壁に目をやると懐かしい名前が目に入った。
「ビビ…背…心配」
とある。かろうじてそれだけが読めた。
「ビビ殿?」
そういえば、かつてジタンに聞いたことがあった。ビビの家はトレノの近くにあると。ク族の者が流れ着いたビビを育てた家があると。
スタイナーの脳裏に懐かしいシマシマのズボン、紺のローブ、そして、くたびれたとんがり帽子が浮かぶ。
そうだ、ここはビビ殿の育った家なのだ。この懐かしいにおいは、ビビ殿のものだったのだ。
あの小さな少年は、自分の出生から逃げることなく、真実に目を向けて戦った。そのひたむきな姿に、そして小さな体に似合わない大きな勇気を、自分は信頼し、共に戦ったのだ。
「信じているぞ、ビビ」
あの言葉は、心のそこからの言葉だった。
あの少年が、今のこの世界を、姫さまを見たらどう思うだろう。
一刻も早く、決着をつけなくてはならない。
今度は、ビビ殿に、自分を信じてもらう番なのだ。
「信じてくれ、ビビ」
スタイナーはそうつぶやき、気持ちを新たにトレノへ向かう決意をした。



830 名無しさん@お腹いっぱい。,,2000/08/21(月) 18:39,

フライヤ「・・・2人同時にかかるぞベアトリクス・・私は上から・・そしてお主は・・」
ベアトリクス「・・ええ。・・・私は下から!」
完全魔性と化したガーネットの発する凍りつくようなそのオーラ!・・しかし覚悟を決めた
2人からは最早、怯む様相は微塵も無い!――――――――――「作戦」は・・決まった!
フライヤ「・・!たああああ―――――ッッ!!」最初に仕掛けたのはフライヤであった。
一瞬の内にガーネットの頭上へ高々と飛翔する!!・・そして!!標的をロックオン!!
落雷の如き勢いそのままに、ガーネットめがけて急降下!!!
フライヤ「桜華狂咲!!!でやあぁぁぁぁ――――――――――ッッ!!!」
ちらと、ガーネットは上空より舞い降りてくるフライヤに眼をむけた・・・・・瞬間!!
ベアトリクス「クラァ――イムゥゥ――ハザァァ―――ドォォッッ!!!!!」
今度は一足飛びに滑空して、ベアトリクスが聖剣振りかざし飛びかかってくる!!
上下からのW攻撃!!・・しかも双方共、最大級の威力を誇る大技だ!!・・・交差!!
2人の最大奥義同時攻撃が、見事ガーネットの身体を捕らえたかの様に見えた・・一瞬である。

聖剣技クライムハザードの黄金の波動は、ガーネットの魔力宿りし左手にかき消される(0.01秒)
驚愕の表情を浮かべるベアトリクス。振りかざした剣の刃が見事かわされ空を切る(0.06秒)
隙の出来たベアトリクスの脇腹に、ガーネット渾身の左ボディブローがめり込む(0.08秒)
更にガーネットは舞い降りてくるフライヤに対し、自らも彼女に向かって飛び上がる(0.089秒)
槍の切っ先を楽にかわし、その槍の柄を、何と軽々と掴み取る!驚愕のフライヤ(0.091秒)
降下して来たフライヤの勢いそのまま利用し、カウンターでフライヤの鳩尾に
アッパーブローを思いきり叩きこむ(0.096秒)
そして・・・・着地       この間ジャスト0.1秒。

ベアトリクス「ぐはああぁぁぁぁぁッッ!!」ズダダダァ――ンッ!!ゴロッ!ゴロッ!!
フライヤ「がはぁぁぁぁぁぁッッ!!ぐううッ!!」ヒュウゥゥ・・ドゴォォッ!!!
                         ヒュウゥゥ・・ドサァッッ!!! 
ベアトリクスは前のめりに回転しながら、床面に思いっきり叩きつけられる!!!
フライヤは、吹っ飛んで広間の天井に叩きつけられ、再び床へと落下!!!

2人とも一瞬にして何が起こったのかすらわからぬ内に、地に這いつくばらされている!

激痛に悶絶する彼女等をよそに、何事も無かったかの様に、ガーネットは
その己が黒髪を優雅な仕草で掻き上げる・・・・。