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まなみの中のまなみU

目次へ あるラーメン屋の悲劇

数年前、上野のほうにあるラーメン屋さんがあった。そこはまなみが仕事がお休みの日に、たまたま歩いてたら、見つけたラーメン屋さんだった。見かけはとっても普通のラーメン屋さんで、 なんてことないつくりだった。でも、書いてあった文字に、まなみはとてもひかれた・・・。それは・・・

「30分で特製大盛ラーメンを食べたら10000円!」なに??特製??それは、まなみにとって、心が躍る文字ばかりだった!「特製」「大盛」「10000円」ここで、なにも見なかったことにして、普通に家に帰ったら、きっと夜は悔しくて、枕を涙でぬらすかもしれない。そう思って、まなみは、ラーメン屋のドアーを開けた。

店内は、なんてことのない、普通のラーメン屋だった。それに、お客も普通でなんてことない、町のラーメン屋だった。しかし、中に大きく張り出してあったこの紙・・・まなみの心の声が大きく「やりなさい」と響いた瞬間であった。

「特製ラーメン!4人分のラーメンを30分で食べたら、10000円・・・」これはやらなきゃおかしい・・・。まなみは、すぐに店員を呼んで「これ!」とお願いした。店員は「スープ一適でも残したら、3800円です!」と言い放った。まなみは「お願いします」と目を店員に向けた。店員がラーメンの注文を厨房に伝えに行った後、まなみはしばしの休息・・・そして呼吸を整えた。

まなみは、ラーメンを待っている間に、お店の壁に目をやった。そこには、なんといままで「特製大盛ラーメン」に挑戦して、みごと10000円をゲットした人たちの「成功に酔いしれた写真」が思い切り飾られていた。「まなみもあそこの仲間に入りたい・・・」普通ではない、妙な感覚に陥ったまなみの前に、いよいよラーメンは運ばれた。

それは、まあ・・・大きい!はっきり言って大きい!それは湯舟??いや、それはおおげさだが、人形が水浴びするには、大きいとも思えるどんぶりに、ラーメン屋の「10000円はおまえに渡さん!」という声が聞こえんばかりの麺の量と、それをとりまくなるとやゆでたまご・・・まなみは、「うわぁ〜」と思う前に、正直言って、周りの視線が恥ずかしかった。しかし、やるからには、食べるしかない!まなみの「10000円ゲット、食いつくし大作戦」が始まった。

最初は、食べても食べても、麺がへらない!それどころか、増えていく!麺の「伸び」は、まなみの胃の中に収まるよりも早い!しかし、時間がない!でも麺がのびる・・・時間がない!そこで・・・まなみは、強行手段に出た!それは・・・

途中から、麺を飲み出した!それは、できれば、家族や親類はもちろんのこと、周りの客にも、絶対見せたくない!しかし、周りの客は、どう考えても白い視線でまなみを見ている。まなみは麺を飲みながら、「おまえたち、昼休みおわってねえのかよ??さっさと帰れよ!」と思いつつも、そんなことはおかまないなしに、麺を飲みつづける。

するとどうだろう・・・増えていた麺が一気に減りだした。「よっしゃぁ・・・これならいける!」と思い、のり・・・なると・・・たまご・・・チャーシュー・・・メンマなど、一気に食べ尽くし、うーうー唸りながら、最後の汁まで飲み尽くして、時間内にどうにか食べあげた!いっせいに周りから拍手が起こった!まなみは、口と汗をぬぐって、店主から10000円を受け取り、写真にラーメンで油ぎった顔を写真に収めて、一言コメント「やったー」とまで書いて、帰った。

ところが、この話はまだ終わりではなかった。実はこのあと、もう一度挑戦に行ったのだ。別に二度はいけない・・・と書いていなかったので、またまた10000円をもらいに行った。結果ははたまたOK!10000円と写真!そして「時間新記録」というおまけまでついた!ところが・・・

この話には、大どんでん返しがあって、あるお給料前の連休にまなみは、「ああ・・・お金ないわぁ。あ・・・そうだ!10000円『もらいに』いきましょ!」と、例のラーメン屋に行ったのである!そしたらなんと、そこは大手バーガーショップに変わっていたのである。まなみは、あまりの変わりぶりにびっくり。しかも、2度目に挑戦したのは、そのわずか3週間位前である。まなみは思った。『確かに、そのお店でお金払って、ラーメンを食べたことはないわ・・・でもまなみのせいではないわ。』今も、そのお店がどうなったのかは、誰も知らない。

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