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まなみの中のまなみU

目次へドライブフォント(writed byいぬすけ)

確かにあの頃は暇だった。テレビでは某大手車の保険会社が手で電話の受話器の真似をしながら、「さあ、電話をお早く」と画面で勧誘を続けていた。しかし、なぜだか本当に行くとは思わなかった。

ある日、まなみは免許を買いに行った…。というか、ハッキリいってそんな気持ちだった。なぜって、まなみは教習所に行って、卒業すれば運転免許なんて貰えるものだと思っていたので、しかし、運転免許もらうために最終的に試験があったり、途中の経過であんなに大変な思いをするとは思いにもよらなかった。運転免許教習に入る前、当時入院していた「知人K」のもとにこの事を報告しに行った。その時、同様に何人か見舞い客がおり、それぞれが話しをしていたが、この一言でどの話しもさえぎって、注目を浴びる事になった。「ねぇ、K…、まなみ免許とるの!」そしたら一斉にいままでそれぞれ別の話しをしていた他のお見舞い客「8人」が、一斉に「何の?」と言い放った。

まなみはあまりにもびっくりして、小声で「車の…」と言おうと思ったが、上から皆で「調理師?」「保母さん?」「あっ、分かった!放射線技師でしょ??」と好きな事を言ってのけられた。それらを静止して、まなみが大きな声で「車の免許だけど!」と言っても、誰も信用はしてくれず、「ねぇまなみ、運転免許は買い物じゃないのよ、試験があるのよ!」と言われる始末。挙句の果てには「まなみ〜、車の免許なんて原宿で売ってるじゃない」とまで言われた。とにかく、何を言われようが、手続きは済んでお金はもう払いこんでしまったので、これから教習にいくと皆に言い切ってしまった。

最初の教習は初期講習があり、学科や実技の説明があり、車に乗るには予約が必要である事などが説明された。「でも予約なんて…」などと思っていたら、キャンセル待ちもできるという話しがあった。一応シャレで初日にキャンセル待ちをしていたら、何と予約が取れてしまった。時間は夜8時。夏の夜8時はちょっとだけ蒸し暑さが残り、何気に汗ばむ感じもしたが、まなみは違う意味で余計に汗をかいていた気がする。何だかんだ言って、緊張した感はあまり無かったが、ちょっとだけドキドキしたのは憶えている。

時間になり、初めてまなみが運転席に座った。それこそ車のキーを回すのから、ハンドルを握るのまで、初めてなワケだからとても緊張した。走り出す瞬間まで「ああ…あそこにぶつけたらいくらだろう…」とか、「ああ…あの上り坂をジャンプしないだろうか…」とか、いろんなことを頭がよぎった。ただでさえ教習生は18〜9の若い子や70過ぎのお年寄りや40代のおばちゃんが非常に多く、三十路男が平日の夜にのこのこと普段着で教習に来るなんてやはり場違いだったかとそこまで思った。

しかし、アクセル踏んじゃえば、以外とこっちのもので場内での実技は時間があったまなみには、格好のストレス解消の場となり、切り返しやS字カーブなど以外は何気に上手くいった。ただ、仮免の試験に落ちてから教習所に行くのが半年あいた。これが結構たまにキズで運転の感も学科もすべて頭が空白になり、いい感じにやり直しになったのがたまんなく気持ち良かったというのは否めない。

しかし、その教習所特有の路上での坂道発進の教習開始や全路上コースの7割がたがカーブや坂道という難題を乗り越え、しかも高速道路教習はGW初日の中央高速(しかも下り線)で行うという神業があり、さらに卒業検定では指定された区間をとっくに行きすぎて、教官の先生に「お宅、もう試験終わってるよ」と言われ、慌てて止めようとしたら、「そこはバス停半径10M以内」と怒鳴られ、絶対落ちたとお思っていた卒業検定に多分お情けで合格。そして、その日のうちに終了証書を渡され、さっさと教習所を後にしたまなみであった。今日現在、免許を取って、4年7ヶ月目。今のところ、無事故である…と思う。



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