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Blythedale Children's Hospital 

レポート

首がすわる赤ちゃんは寝たきりにはせず、ベッドの中ですわっていました。(写真提供:Blythedale H)

2003.10.

Reporter : ノーラ・コーリ

Blythedale Children's Hospital (ブライスデール小児病院)は、ニューヨークのウェストチェスター郡に位置する小児病院です。しかし、ここは特殊な小児病院で、重い病気で手術を終えた子どもや、大きな事故によってからだの機能を失ってしまったような子どもたちが、普段の生活の復帰するためのリハビリを目的とした病院です。ここには学校もあり、5歳から21歳の子ども達が学んでいます。学校を訪問して驚いたことは、ほとんどの子どもが車椅子に乗っていたことでした。中にはすわることもできずストレッチャー(担架)で教室に来ている子どももいました。また移動は車椅子でも勉強のときはからだを支える特別ないすに移動している子どももいました。そして驚いたことに、目の見えない子どもが車椅子を押していたことでした。

外に出るチャンスのない子どもにとってうさぎに触れる体験もリハビリになります。(写真提供:Blythedale H

アメリカでは子どもの定義は一応18歳までとなっていますが、特別教室に通う身体上あるいは知的遅れのある子どもは21歳まで勉強に追いつく期間の猶予が与えられています。そのため、5歳からここの学校に入学した子どもは21歳まで通うこともあります。

家族とのつながり

子ども達の中には医療の介入をとても多く必要とするためにもしかしたら一生家に戻れない、あるいは外気に触れることすら不可能な子ども達もいます。そのため、彼らにとってナースは母親代わりになります。他にも病院の中で生活を送るためその中のスタッフも家族のようになります。しかし、それでも子ども達にとっては家族そして両親が何よりもの存在なのです。そのためにも病院のスタッフはなるべく親が介護にかかわるように指導しています。ナースはもしかしたら転職するかもしれません。しかし親は一生そばにいるかけがえない存在だからです。

病院の入口には普通の一軒家が建っており、そこは遠くに住む家族が一時的に住むことができる家となっています。母親は子どもが家に戻ったときに困らないように、痰がからんだときの処置の仕方、おなかに直接ミルクを与える方法などの指導を病院で受けます。

0〜3才までの早期訓練

早期訓練の大切さはよく言われていますが、私が驚いたのは早期とは早ければ生まれてすぐにもう始まることでした。ええ?こんなに何もわからない小さな赤ちゃんにいったいどのような訓練(セラピー)をするのかとびっくりしました。しかし、実際に生後数ヶ月の赤ちゃんのセラピーを見学して納得しました。私は機能訓練(occupational therapy) の実践風景を見ましたが、スプーンを将来持つための握る訓練を3本の指がくっついている赤ちゃんに、リングを与えていました。また生まれてからずっと口から食べることをしたことがなかった子どもに初めて口から食べるための訓練もありました。彼らは舌の動かし方から学ばなくてはならないのです。私たちも初めて我が子にスプーンで食べ物を与えたとき、口からすぐこぼれてしまったのを覚えてますよね。スプーンにくちびるに触れることに慣れることから訓練なのです。

赤ちゃんの機能を引き出すためのセラピーの様子 (写真提供:Blythedale H)

訓練を少しでも楽しい場にするために

リハビリを目的とした病院のため、子ども達は一日に45分ほどのセラピーにかかります。先日、私がインターンとして働く先天性代謝異常の子ども達のためのクリニックには、11ヶ月の赤ちゃんがドクターに会いに来ました。彼女は呼吸をするための器具をのどに直接つなぎ、口から食べることもできないので、おなかからチューブをつけていました。さらに目は半分閉じていて、もう片方の目の視力はないようでした。私の仕事の一環としてこれらの障害のある子どもがどのような早期訓練を必要とするかを判断します。この子どもの場合、生きていくための機能訓練、からだの発達をうながす機能訓練、話すことと聞くことの訓練、見ることの訓練、食べることの訓練が必要だと判断を下しました。しかし、訓練は決して子ども達にとって楽しいとは限りません。そのためにも訓練センターはまるでディズニーランドに軒をつらねるおみやげ店のようにひとつひとつのリハビリ診療室がおうちのつくりになっていました。

 

両側につらなるのが診察室です。遊びの中に訓練を盛り込みます。(写真提供:Blythedale H)

驚いたこと

一つの病室にはだいたい4人の赤ちゃんがいて、メインのナースが一人に補助のナースが一人ついていました。そしてこの病室がいくつもあり、赤ちゃんもこんなにたくさんいるのに、痛みや苦しみに泣いている赤ちゃんの泣き声がしないことでした。病室はいたって静かでした。聞こえるのはベッドの上にかかっているオルゴールの音くらいでした。モニターの音もあまり聞こえません。機械の音も静かでした。静かな理由は泣けるほど元気な赤ちゃんがあまりいないことも確かですが、それ以上に極力痛みを子ども達に与えないことをモットーにしていたからでした。Pain Management という痛みを取り除く専門部署もあるとのことでした。

病室に子どもがいないことにも驚きました。子ども達はよほど具合が悪くない限り、ちゃんと学校へ行っていたのでした。小さな子ども達の移動は6人がけの車でした。

また驚いたことにこれらの子ども達のほとんどが重度の病気に登録しているため、国の費用によってこれらのリハビリ施設の利用、訓練、高校までの学校教育を受けていることでした。

そして私が何よりも感動したのは、ここで働くすべてのスタッフの目にかがやきが見られたことでした。彼らは本当に献身的で、この仕事を好きでやっているのが伝わってきました。子どもとかかわる仕事は時にむずかしいと言います。私も赤ちゃんや子どもと常にかかわる仕事についていますが、やはり彼らとは特別なコミュニケーションによって結ばれているのだと思いました。

 

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