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学寮問題
有朋寮廃寮決定と新寮決定

入学お祝い号3面・大学

 本学は現在、有朋寮の廃寮化問題で大きく揺れている。有朋寮は老朽化が激しく、数年前から新寮建設が検討されてきた。しかし、新寮に関して、長い間大学側と寮側との間の合意が得られないままだった。そして遂に昨年九月、大学側は新寮建設を待たずに有朋寮の廃寮決定に踏みきった。廃寮まであと一年を切り、この問題はどう動いていくのだろうか。有朋寮をめぐるこれまでの動きをまとめた。

一九五三年に建設された有朋寮は、木造危険建物に指定されるなど老朽化が激しく、一九九〇年頃より、寮側から新寮建設を求める声が上がっていた。当初、大学側は寮生との合意の上で新寮を建設し、その上で老朽寮を取り壊す方針をとっていた。大学側は一九九四年十二月に「新寮建設計画案」を作成し、一九九五年以降、毎年の概算要求に新寮建設を盛り込んでいる。

大学側は新寮建設の予算獲得のために、いわゆる「新寮建設四条件」が必要であるとしている。すなわち「寮管理規定運営」の制定、私生活費の自己負担、居室の個室化、食堂の不設置である。しかし、東北大学学生寮自治会連合(以下寮連)は、「寮管理運営規定」の導入が寮の自治の破壊につながると主張。他の条件も、寮生間の交流をなくし個人の負担を増大させるとして、四条件に断固反対してきた。

一九九五年から一九九七年にかけて、大学と寮連は新寮建設に関して合意を得るために団体交渉を行ってきた。しかし、五回にわたって行われた新寮団交では、互いに新寮建設の必要性があることを確認しただけで、四条件をめぐる大学側と寮側の意見は平行線をたどったままに終わった。

新寮建設をめぐる問題が進展しないまま、一九九七年十月には新たな問題が起こった。政府の会計検査院は以文・霽風・日就・有朋の四寮について、電気料の国費超過負担を指摘し大学側に是正を求めた。これを受けて大学側は寮側と電気料団交を行ったが交渉は決裂。その後以文寮と霽風寮は是正電気料の支払いに応じたが、日就寮と有朋寮は断固として是正を認めなかった。

これに対して大学側は、電気料不払いを続ける二寮の入寮募集停止を決定した。その後も二寮は電気料の是正に応じなかった。しかし、募停を受け続けて寮の運営に影響することを懸念した寮側は一九九九年十月、募停解除を最優先し、電気料の是正に応じた。

十二月に入り大学側は寮側に対し、今後も大学規定の電気料を支払う旨の確約書を提出し、電気料問題に関して寮側の謝罪と見解を表明するよう求めた。寮側も四度にわたって回答文を提出し、二〇〇〇年二月に募停は撤回された。

この間、新寮問題に関して、ほとんど動きは見られなかった。しかし二〇〇〇年九月、本学学寮の一つであり、有朋寮と同じく老朽化の激しかった昭和舎が全焼するという事態が生じた。さらに二〇〇〇年十一月には「二十年以内に宮城県沖で大地震が八割の確率で起こる」という政府の発表もあり、早急な新寮建設の必要性を改めて認識させた。

そして二〇〇一年九月、新寮建設に関して一向に寮側との合意が得られない大学側は、有朋寮の入寮募集即時停止と、二〇〇三年三月末での使用停止を決定した。この決定に至るまで寮側との事前交渉は一切なく、決定後の非公式面談で説明がなされただけである。

今回の廃寮決定が新寮建設を待たずに行われたことについて大学側は、有朋寮生の生命・身体の安全を最優先に考え、有朋寮の現状の危険性をこれ以上放置することはできないと判断したとしている。

これに対し、有朋寮生を始めとして寮側は、今回の廃寮決定が「新寮なき廃寮」であると主張。さらには経済的弱者の就学機会を奪い、学生の自治を潰すものだとして、強く非難している。決定直後より寮側は廃寮化の白紙撤回を目的に、集会や学内外での署名活動を行っており、二月十七日現在で千五百筆を超える署名を集めている。二〇〇一年十二月には、川内北キャンパスで全国集会を開催し、全国の大学から十の団体が参加した。全国集会では「全国有朋寮を守る会」が結成され、この問題を全国的にアピールしていこうという動きも見られた。今年に入ってからも、前期試験期間中にハンガーストライキを行うなど、廃寮撤回に向けて精力的に活動を続けている。

しかし廃寮決定から半年が経過した現在でも、廃寮撤回をめぐって、寮側と大学側の意見は平行線をたどったままである。新寮建設の中身に関しても互いに妥協しない姿勢を続けている。廃寮決定に際して大学側は、「新寮建設を実現すべく、一層の努力を傾けていく」としている。しかし現在でも、大学側は新寮建設に関して具体的に何の計画も示していない。学寮の新入生受け入れ枠が大幅に減ることについても、「事情を理解して、我慢してもらうしかない」と述べるにとどまっている。

廃寮まであと一年を切った今、寮側と大学側の双方の動向がますます注目される。


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