米国学校社会で期待される子供の行動 文化社会によって子供がどのように見られてるのかということには違いがあるため、子供の行動に対する大人の反応にも違いが出てくることは別のセクションで触れました。子供が学校で先生に注意されたり叱られたりするエピソードを知ることによって、アメリカ社会の凝縮された学校社会でどんな振る舞いが奨励され、どんな振る舞いが注意されたり控えさせられるのか、そして、関連的に家庭でのしつけや教育においてどんなことが社会的に期待されているのかということを学ぶことができます。そこで、学校で子供達の経験したエピソードを例としていくつか紹介したいと思います。
- 学校で言ってはならない言葉:TVなどでピーっと音が入ってしまうような汚い言葉は学校では厳重注意の対象になります。特に、英語が流暢になってきて、映画やポップ音楽、友達などから新しい言葉を学んだり、大人に挑戦的になるような思春期の子供達に監督が必要になってくると思います。意味をよく知らずに口にしている場合もあると思いますので、子供の言葉遣いに注意してみて下さい。参考はこちらのページやこちらのページをどうぞ。この他、性的なコメント、人種や文化的に失礼になるコメント、侮辱的なコメント、攻撃的なコメントなども厳重注意になる他、精神衛生面の心配をされてカウンセラーのオフィスに行かされることも珍しくありません。日本の最近の若者言葉で”逝く”のような表現が使われているようですが、現地校で日本語でそういった系統の言葉を呟いて、先生に意味を聞かれて他の日本人の生徒が英語に直訳して問題になったこともありますので、特定のグループ内だけで使える言葉と公の場で使う言葉の区別を付けられる常識も育てていかねばなりませんね。
- 学校でやってはならないジェスチャー:上記の言葉と同じように、中指を立てたり、人を指したり、銃を真似たりするようなジェスチャーもあまり深く意味を考えずに使っていたり、中高生がイヤーブックの写真などのポーズに単に格好いいと思って意味を知らずに友達から教えてもらったギャングサインを使ったりなんてことがあるかもしれません。特にギャング関連は銃乱射事件が全国で問題になり始めたことが発端となってイリノイ州では学区に安全対策チームを作ることが2年前に義務になったのですが、そういった対策の一環として今までよりも生徒のギャングサインや言葉の使用などに対して学校のスタッフに注意喚起を促しています。
- 廊下は走らない:授業時間に間に合うように校舎内移動で走ったり、休み時間の開始で興奮して廊下を走ると、自分自身はもちろん他の生徒とぶつかって怪我をする・怪我をさせる危険があるため、即座に先生やスタッフに個人的に呼び出されて注意を受けることが頻繁に見られます。大人社会でも日本では時間厳守が大切にされますが、アメリカでは多少遅刻しても走らず歩いた方が堂々としてプロフェッショナルな印象を与えるという話がありました。(脱線しますが、外国旅行でも道を走っている人達を見るとほとんど日本人だということを発見しました!お国柄なんですね。^_^;)
- Simonでも言ってはならない:Simon Saysという子供達のゲームを御存知でしょうか。1人が Simonになり、“Simon says, touch your nose!”というような命令を出し、Simonの向かい側に横に並んだ他の子供達が Simonの命令に従って言われたことをするのです。時々“Touch your right knee!”と“Simon says,”の部分を言わない命令もあり、Simonの命令でない場合は動いてはなりません。間違えて動いてしまった子は座っていき、最後に残ったひとりが次のSimonになるというゲームです。前置きが長くなりましたが、先日、Simonになった子供(仮称“A”)が“Simon says, smack your head!”と言ったため、他の子供達が次々に自分の頭や顔を手で軽く叩くという光景がありました。Aはそばにいた先生から即座にゲームから外れるように言われ、別の先生に「叩いたり蹴ったりするような暴力的な命令を出すのはゲームとして適切ではない。」という説教をされ、その後、教育ディレクターから軽く事情聴取。内容は記録に残され、学習面などの記録を保管する個人フォルダーにファイル、教育ディレクターから親に報告されたものと思われます。
05/21 updated