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抜け落ちた記憶

74名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/14(月) 08:41
クイナの手先白のビストロ9号に犯されかけているが抵抗の無いベアトリクス。
突如・・ベアトリクスの意識が遠のき始める。
ベアトリクス「(・・?なんだ?・・ねむい・・意識が・・さっき殴られたせいか?・・意識が遠のく・・
・・フフ・・今の私には・・むしろありがたい事だ・・。バケモノに犯されるところを・・・
・・・気がつかなくてよいのだから・・ねむい・・ああ・・ああ・・ぁぁ・・ぁぁぁ)
ーーーーーーー暗転ーーーーーーーー
暗い・・・何処だここは?・・暗くて・・何も見えない・・ハッ!!!
目の前にさっき自分を犯そうとしてたビストロ9号が倒れている。
・・なんだ?・・これは・・こいつ・・・死んでいる・・。ビストロ9号は息をしてない
死体となってこの謎の暗黒空間に倒れている。
ベアトリクス「・・ここは・・?私は確かにドナ平原を歩いていたはず・・なのに・・
急に・・こんな暗い所へ・・それになぜ・・私は無事なんだ・・?」
???「見つけたぞ!!ようやくな!!我の求めし・・・封印の・・器!!」
突如暗闇の中から声が聞こえ、とっさに身構えるベアトリクス。
ベアトリクス「!!誰だ!!誰かいるのか!!」  再び暗闇から声がする。
???「ふっふっふ・・やっと探してるものが見つかり・・ついうれしくてな。私の空間に
引きずり込んでしまったよ・・ふっふっふ。」意味不明の事を口走る謎の声。何の事か理解できない。
ベアトリクス「・・?何を言っている?お前がここへ私を連れてきたのか?」
???「・・・まぁ心配するな。すぐに出してやる。・・ただお前の存在をとらえた・・
それだけで私にとって十分の収穫だ・・・」またまた意味不明。困惑するベアトリクス。しかしふと、ある事に気付く。
ベアトリクス「私の存在・・?私・・?私を知っているのか?・・何が・・
一体何が私に隠されてるというんだ?私は、私は何者なんだ!?知っているのか?答えてくれ!!!!」
???「・・・・ふふ・・未だそれは答えられぬ・・が・・いずれ私は・・お前を迎えに来る・・
今は・・手を出せぬが・・必ずな・・ふふ。そのとき・・全てがわかろう・・。
・・・・ガーネット・・決して・・彼女の手のもとへは・・ゆくでないぞ・・」
ベアトリクス「!!!!ガーネット様を・・ガーネット様を知っているのか?一体・・一体お前は何者なんだ!!
答えろ!!私は何だ!?そしてお前は何者なんだ!!?答えろぉぉぉッ!!」
???「・・ふふふ・・・我が・・愛しい・・封印の・・器・・また会おうぞ・・近いうちにな・・」
再びあの眠気が襲ってくる!!意識が・・・再び遠くなり視界が暗転してゆくーーー

      そういえば・・最近手に入れたこの器・・使えるかもしれんな・・・・

ーーーーーーーー(う・・・うううう頭が・・痛い・・・・・・・ハッ!!!)
目覚めたベアトリクス。もとの・・世界。ドナの平原。ゆっくりと起き上がる。
足元にはビストロ9号の死体が転がっている。(どうしたんだろ・・・私。)さっきまでの記憶がまるでない。
何か暗い・・暗いとこにいたような気はするが・・。(気を失って・・・それから・・)
ベアトリクス「・・ん?なんでこいつ死んでいるんだ?」さっきまで犯されかけてたビストロ9号を不思議に見やる。
ベアトリクス「(・・・何だろう・・何か大事な事を聞いたような気がするんだが・・)」
抜け落ちた記憶の感覚に困惑しながら再びベアトリクスは歩き出す。

       














太陽と風の村にて

76名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/14(月) 10:42
気が付けばベアトリクスはコンデヤ・パタの村に辿りついていた。
訳のわからないあの記憶のもやもやがようやく消えたかと思えば、自然にこの村の前に立っていたのだ。
ベアトリクス「(?・・・自分でも・・気付かぬうちに・・まるで・・まるで足が勝手にここへ運んでくれたかの様だ。)」
無意識のうちに村に足を踏み入れる。ぶらぶらと村内を歩き回っている自分。
ベアトリクス「(・・・なにしてんだろ?・・・・私。)」自分でもわからない。一体自分は何がしたいのか?何をしなければ
ならないのか?全くの・・・白紙。・・頭の中も・・そして心の中も・・。そんな事を考えながらベアトリクスが歩いていたその時!
ベアトリクス「!!!!!!ッ!!刺客かッ!」急に背後から何者かに襲われるベアトリクス。完全に不意を付かれたが
襲ってきた者の速さが少々鈍く、ベアトリクスはさらりとかわして見せる。しかし襲撃者の姿を見て驚くベアトリクス。
ベアトリクス「・・!あなたは!ブルメシア兵!!・・しかもその傷・・まさか!」
襲撃者のブルメシア兵は驚愕するベアトリクスを尻目に恨みのこもった眼で剣を振りかざしてくる。
キィン!!キィン!!キン!!穏やかな村内の一角がたちまち修羅場と化す。
ベアトリクス「・・!待って!!違う!私は!!お願い!!話を聞いて!!」しかし襲撃者はベアトリクスの話に耳を貸そうとはせず、
ブルメシア兵「・・・!うるさいッ!お前達の!お前達アレクサンドリアのせいで!!ブルメシアはッ!」
(・・やはり!!既にブルメシアはアレクサンドリアに・・なんてこと・・)既にブルメシアの国が落とされたと悟ったベアトリクス。
ベアトリクス「(・・このままでは埒があかない・・)ハアッ!!」隙を見てエクスカリバーの柄で鋭い当身をかます。
一撃で昏倒するブルメシア兵。眠らせておいて、一旦ベアトリクスは傷ついたこのブルメシア兵を宿屋へと運んで行く。

ブルメシア兵「・・・・・・・・・うううううっ!」宿屋のベッドで気が付くブルメシア兵。
ベアトリクス「気が付かれたか・・?」傷口に当てる濡れタオルの替えを持って部屋へ入ってくるベアトリクス。
ブルメシア兵「!!!きっ貴様!・・うううっ」
ベアトリクス「無理をしてはならない・・傷口がまた開く事になる・・。」傷口に当てていたタオルを替えてやる。
ブルメシア兵「・・・・・な・なんでだ?あんたアレクサンドリアのベアトリクス将軍だろ・・?なんで・・俺に・・?」
ベアトリクス「・・・・私は・・もう・・将軍でもなんでもない・・国を・・追われたただの・・流れ者だ・・。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ブルメシア兵「・・・・・まさかあんたが国を追われる事になってるとは・・今のアレクサンドリアはどうなってるんだ??」
ベアトリクス「・・わからない・・わからないんだ・・もう。今は・・自分が・・何をしているのさえ・・」
ブルメシア兵「・・まるで今はほんの前までの世界とはまるで別世界だ。世界中で戦争が起こってる。
しかも・・しかも理由も無しに・・突発的に・・。」
ベアトリクス「・・・今ブルメシア城はどうなっている?ガーネット様はそこにいるのか?」
ブルメシア兵「・・今ブルメシアにいるのはアレクサンドリアから新しく来たっていう指揮官だ。あいつのお陰で今まで我々とは
関わりを持たなかったク族の殆どが敵側についてしまった。」
ベアトリクス「!!!!(ク族・・・まさか・・・)」
ブルメシア兵「今、ブルメシアを牛耳っているのはクイナっていう名のク族だ。」


















インビンシブル2!

79名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/14(月) 16:10
「まぁそうあせるなよア・イ・ボ・ウ、先は長そうだぜボチボチと行こうや、な?」
ラニの事が気に掛かるサラマンダーにとってあくまで軽いギルガメッシュのノリは少しばかり鼻に付く。
しかしこれは取り引き…、今はジタンの言葉を信じエクス2の探索に努めるしか無いと自分に言い聞かせた。
「よう、待たせたなスティルツキン、んん?どうした?
モーグリのお前に真面目なツラは似合わねぇぜ?ヒャハハ」
そんなサラマンダーの心中などどこ吹く風といった面持ちで悪態をつくギルガメッシュ。
「ふん、たまにはスポンサー付きの旅も悪くは無いと思ったから同行したのだ、無礼な口を聞くならこの契約は無かった事にしてもらおうか」
差別的発言に軽い怒りを覚えたスティルツキンは地図が詰まったおなじみのリュックを背負い直しつつ言い放った。
パーティーのまとめ役を自認するギルガメッシュは怒らせてまずいと場を取り持とうとする、
「はやまるなって仲良くやろうじゃ無いか、お前の知識、サラマンダーの腕っぷし、そしてリーダーの俺様!この中の誰が欠けてもエクス2は探し出せないぜ?」
「お前はいらない様な気がする」
ポツリとサラマンダー。
「なんか言ったか?」
とギルガメッシュ。
「いやなんでもない、それよりこの飛空挺で行くのか?」
「ふふん、そのとお〜り!これこそクロマ村の技術を結集して造られたインビンシブル2!」
「インビンシブルよりも高性能なのはもとより刮目して欲しいのはその驚くべき小型化、そして操縦の簡略化!数人のジェノムのクルーでこの船は飛ばせるのだ〜!」
興奮しつつジタンからの受け売りを説明するギルガメッシュ。
「ふむ、良さそうな船だ、それだけの期待をしてくれていると言う事かジタン…」
「そしてそれ程までのものなのかエクス2…」
数々の不安を覚える中サラマンダーはインビンシブル2に乗り込んだ。
「飛空挺か…空の旅は久しいな…」
続いてスティルツキン乗り込む。
「おいおい、俺様を忘れんな〜」
慌てて飛び乗るギルガメッシュ。

エクスカリバー2を探索すべくインビンシブル2はダゲレオから飛び立った。

















闇夜の妄想

84名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/14(月) 18:04
日が落ち、トレノの街が漆黒の闇に包まれると、
人々は決まったように帰るべきところに戻ってゆく。
ある者は家族の待つ暖かい家庭に、ある者は行きつけの酒場に、
ある者は貧しい人達のひしめき合うスラムへと。
だが、ラニには帰るところはない。
彼女は今日も適当な路地裏に寝床を見つけ、ボロの中で寒い夜を過ごすのである。
こんなとき彼女は境遇と激痛から気を紛らわせるため、空想に耽ることが日課となっていた。
今夜は彼女のお気に入りの空想の一つである
「トレノの貴族の令嬢になった自分」を思い描いて目をつぶった。
数刻後・・・
 ジャリッ・・・・
何者かが砂を踏む音に気づいてラニは目を開けた。
暗闇の中で目を凝らすと、5人のゴロツキが周りを取り巻いているのが見えた。
その中のリーダー格らしい男が侮蔑的に言い放つ。
リーダー「まさかとは思ったが、こんなところにいやがったか。
     化け物に身を落としてトレノの街を徘徊しているって噂は本当だったか」
彼らはかつてラニが賞金稼ぎのホープであった頃、あるいは抜け駆けしてそのお宝をかっさらい、
あるいは罠にはめて賞金クビを横取りした経験のある同業者達であった。
かつてラニが嘲笑し、相手にもしなかった男達はいまや勝ち誇り、彼女を見下していた。





















クイナの苛立ち

91名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/14(月) 21:01
ーーーーーーーーークイナは苛立っていた。スタイナーを謀殺し、ベアトリクスを失脚に追い込み
自らがアレクサンドリア軍No2の地位に上り詰めたまではよかったが、それから後、クイナのやる事はどうもうまくいかなかった。
ブルメシア侵攻の総指揮を任されたが、思いの他、激しい抵抗にあい、自軍直轄のク族はじめ予想以上の被害を被った。
数の力でなんとかようやく押し切れたものの、パック王子、フラットレイ始めブルメシアの国民、兵の大半を
寸前で逃がしてしまう。更にガーネットより命じられたベアトリクス捕縛指令の方も、刺客は全て返り討ちとの報告。そちらのほうも
遅々として進展なく、以前まではガーネットより矢のような催促文も届いていたが、最近はそれすらめっきり届いていない。
ブルメシアの国をそのまま任されたのは良いが、未だ現時点での兵力は不充分であり、他国の侵攻に際し心もとない。
ガーネットからの連絡も全くなく、自分はアレクサンドリアに戻れるのだろうか?という疑念も、クイナの苛立ちに拍車をかけていた。
今、クイナはブルメシア城の国王の間の玉座に腰掛けていた。クイナの両脇には今、なんと1人のブルメシア兵、そしてその彼の娘らしい
少女が、それぞれ縛られて天井から宙吊りにされていた。苛立つクイナの今1番の気晴らしは、こうした運悪く逃げられず、捕虜の身と
なってしまったブルメシアの民を、ただいたぶり苛め抜く・・・それだけであった。 吊られているブルメシア兵がクイナに話しかける。
ブルメシア兵「・・外道。・・今に・・今に竜神の天罰が・・お前達に下ろうぞ。」痛めつけられ傷つきつつも気丈にそう言い放つ。
クイナ「・・うっさいアル!!」ドゲシッ!!吊られている兵に思いきり肘鉄をかますクイナ。グフッと兵はうめき、ガクと首を落とす。
娘「!やめろっ!父にこれ以上手を出すなっ!・・きっと・・きっとお前たちなんか・・フライヤ姉さまがやっつけに来てくれる!!」
別に縛られ吊るされていた兵の娘がクイナの父に対する非道を見かね、言い放つ。クイナは、その娘の言葉にニヤッと笑い言葉を返す。
クイナ「クククク・・残念ながらお前達の希望の片割れフライヤとやらはもうこの世にいないアル。今はアレクサンドリアで装飾品となって
哀れに飾られているアル。見た本人、殺った本人が言ってるアル。間違いないアル・・ククク。」それを聞き、驚きに顔面蒼白となる捕虜親子。
ブルメシア兵「・・・バカな!!あの・・フライヤ様が・・そんな・・バカな!」
娘「・・ウソ・・ウソだ!!ウソに決まってる!!あの強いフライヤ様が死んじゃうなんて・・そんなの・・絶対ウソだーーーッ!!」
親子の悲しい悲鳴を嬉々とした表情で見ているクイナ。そこへクイナの家臣がクイナに注進を伝えに来た。何やらクイナに耳打ちする。
クイナ「・・!!何ぃッ!?」注進の内容は自分の刺客、白のビストロ9号が討ち死にしたという報告であった。白のビストロ軍団はクイナの
直属の親衛隊。メンバーはク族だけに9人で構成されている。最後の9号が死んだという事は必然的にクイナの親衛隊は全滅した・・という事である。























外道クイナ

92名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/14(月) 21:01
ブルメシア兵「・・お前達の・・この暴虐は・・天が必ず許さぬ。・・いつか・・いつか・・正義の光にて・・お前達は裁かれるッ!!」
部下の注進を聞き、暫く固まっていたクイナであるが、そこにブルメシア兵が放った言葉を聞き急に無表情となる。そして吊るされている娘の方に歩いて行く。
娘「!!なに?!何だよッ!?ムググッ!?」娘に猿ぐつわをし、吊るしている鎖を外し、娘を抱き抱える様にして今度は父親のほうへと歩いてくるクイナ。
ブルメシア兵「!む、娘に何をする貴様!うわっ!?」その言葉を無視し今度は吊られている父親の方の鎖もはずす。縛られたまま床に落ちる父親の兵。
そして、彼の娘の喉下にフォークを突き付ける。驚き、縛られたまま芋虫状態で床に転がっている父親兵の眼前に自らの足先を突き出して言い放つ。
クイナ「・・・舐めるアル。ワタシの靴・・舐めるアル。さもないと・・娘殺すアル。」そういって娘の首筋にフォークの先端を近づける。
ブルメシア兵「・・!!なっ!!?」あまりの唐突な要求に声もなく固まる父親兵。
娘「・・!!!・・・!!」クイナに抱えられている娘も何かを言おうとしているのか、しかし猿ぐつわを噛まされ声が出せない。
クイナ「さあ!!はやくするアルネ!!」苛立ったように大声を張り上げるクイナ。フォークの先端が娘の首を薄く傷つけ、鮮血が一筋流れ落ちる。
ブルメシア兵「・・・クッ・・・・・」クイナの様相に最早これまでかと観念したのか・・父親兵はゆっくりと己の口元をクイナの足元に近づけ・・・舐めた。
父親の眼から屈辱の涙が頬を伝う。抱き抱えられフォークを突きつけられてる娘も、そんな父の姿から目をそむける。そしてクイナは邪悪な笑みを浮かべ・・・
クイナ「・・よく・・できましたアルッ!」瞬間!!!ザクッ!!容赦なくクイナは娘の首筋をざっくりとフォークで貫く!!  一瞬遅れ、固まる父親!!
ブルメシア兵「!!!・・・!!!ぁぁぁぁあ・・」ザシュウッ!!!悲しみの叫びを上げる寸前、次の瞬間クイナのフォークは父親兵の心臓を刺し貫いた。
血に染まり・・静寂が戻る玉座の間。あっけなく死んだ2人の哀れなブルメシアの親子に一瞥もくれず、クイナはフォークを投げ捨て玉座の間より退出する。
そこに残されたは2人の骸と朱に染まりしフォーク一本・・。
ーーーーーーーー今、ブルメシアは暴虐の王によって蹂躙されていた。






















モグネット本部へ向かいて

100名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/14(月) 21:50
インビンイシブル2はモグネット本部を目指して飛んでいた。

「なにか有るのか?モグネット本部に…」とギルガメッシュに問うサラマンダー。
「まーな、エクス2は元々は記憶の場所と言うところに有ったらしいとジタンが言っていた、ミコトって奴からの情報だそうだ」
「あそこか?…しかし今は」
いぶかしげな顔でサラマンダーは聞き返した。
「そう、お察しの通り今はもう無い場所だ、あんたらがぶっ壊したんだろう?」
「それとモグネット本部と何の関わりが有ると言うんだ?」
話が見えて来ない事に苛立つサラマンダーはさらにギルガメッシュに問い詰めた。
「あせるなって言ってるだろう、着けばわかるって俺様は一眠りするぜ?」
そう答えるとギルガメッシュは頭をボリボリと掻きむしりながら寝室に向かった。
「チッ」
肩透かしを喰らい気分の乗らないサラマンダーは納得の行かない表情で壁にもたれ掛かった。
それを見兼ねたかスティルツキンがサラマンダーに歩み寄りコップに何かを注ぐとサラマンダーに差し出した。
「まぁそう腐れなさんなギルガメッシュの言う事にも一理有る、急いては事を為損じるってね」
「これでも飲んで気を落ち着かせろ、クポの実のジュースだ、うまいぞ」
サラマンダーは無言でコップを受け取りひと飲みする、
モーグリとは味覚が違うのかクポの実のジュースは酷く苦かった。
残りのジュースを一気に飲み干しコップをスティルツキンに返すとサラマンダーは再び壁にもたれ掛かりモグネット本部への到着を待った。
























ワイマールの理由

106名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/14(月) 22:53
地下牢や、新たに建設された牢獄には囚人が入りきらなくなった為、アレクサンドリア市街にも囚人が繋がれていた。
その市街に繋がれた囚人のうちの一人に、元プルート隊の隊員であった、ワイマールもいた。
何故彼が囚人となっているのかというと、
それはガーネットがスタイナーを処刑したことに不平を漏らしたから。
そして、それを同僚に密告されたからである。
ワイマールはスタイナーが好きだった。
それも、上司として好きだったと言うわけでなく、恋愛の対象としてだ。
彼は、女たらしの振りをしていたが実はゲイだったのである。
彼が女たらしの振りをしていたのにはふたつ理由がある。
ひとつは、軍隊において同性愛はご法度であり、それがばれると除隊処分になってしまうから。
そうなれば、愛するスタイナーの勇姿を毎日のように見ることは不可能になってしまうので、
除隊処分になることだけは避けなければならなかった。
だから、自分が同性愛者であることをばれないようにする為のカモフラージュとして女たらしを演じたのである。
それは実際に効果を示しており、彼を女好きだと言う同僚はいても、彼がゲイであると知った同僚はいなかった。
もう一つの理由は、自らの苦い経験の為。
これは彼がゲイに目覚めたのも関連しているのだが、ワイマールが軍隊に吐いて一年ほど経った頃、
彼は、上司(スタイナーではない)につれられて、酒場にやって来た。
彼は、そこで一人の女性を見初めた。
その女の名はジュリアといい、酒場で歌を歌っている女であったが、
彼はその歌う姿を見て一目ぼれした。
その日から、彼はジュリアの姿を見るために、足しげく酒場に通い始めた。
そして、酒場通いを始めて一ヶ月くらいが過ぎただろうか。
いきなり、自分にジュリアが声をかけてきた。
ワイマールはそれに凄く感激した。
ジュリアが自分のことを覚えていてくれたことに。
このときの二人の会話の内容は省略するが、この日から二人はしばしば会うようになった。
二人は夜のアレクサンドリアで幾度となくデートをし、彼らは運河を眺めながら愛を誓ったりもしたのである。
そして、愛の証にワイマールは、ジュリアの欲する下っ端に兵士にしては高価な物を何度も贈った。
ワイマールは幸せの絶頂にいたのである。
そんなある日、ワイマールはモンスターの討伐隊に任命された。
彼は、ここで奮闘して見事功績を上げる。
アレクサンドリアに帰還する時のワイマールの頭には、
(ジュリアは僕の功績をどんな顔して喜んでくれるだろう)とか
(今回上げた功績によって、賞与が出るだろうから、ジュリアと洒落たレストランでも行こうか)
などの、幸せな妄想ばかりが広がった。
だが、アレクサンドリアで彼を待ちうけていたのは冷徹な現実だけだった。
何と、ジュリアは自分がいない間にトレノの良家出身の少佐と結婚していたのである。
そして、街でジュリアを見つけたワイマールが駆け寄っても、ジュリアは野良犬でも見るような目つきで見て、護衛の者に追い払わせる。
この絶頂から奈落に叩き落された瞬間、彼は悟った。
女ほど残酷な生き物はいない。
愛などを語っているとカモにされるだけだ。
そんなのはもうご免だった。
だから、彼は女を逆にカモにすることにしたのだ。
そして、その日を境にして彼は女で欲情しなくなったのである。






















少女の誘惑

107名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/14(月) 22:54
網膜に焼きつけていたスタイナーの勇姿を妄想の中で思い起こしていたワイマールの前に、一人の少女が降り立った。
その降り立った少女は、少女離れした魅力を放っていた。
それもそのはず、彼女は最早人外の者となっていたのだから。
彼女の主人に与えられしステラツィオによって。
ワイマール「なんだ君は…。それにどうしてこんな所にいるんだい?」
ナタリー「私の名はナタリー。貴方を助けに来たわ」
ワイマール「何で、僕を助けるんだ?」
ナタリー「私は我々の主人であるリンドブルム大公の命令で能力のある物を探しているの。
     これを受け入れられる力を持つ者をね」
ナタリーはワイマールにステラツィオを見せる。
彼の目の前には、光を帯びたジェミニの紋様があった。
ナタリー「さあ、行きましょう。こんなところいても、いずれ断頭台に上るだけよ」
ワイマール「……」
ナタリー「仇を取りたいんでしょ、上司スタイナーの。
     無念を晴らしたいんでしょ。愛する人の。
     私たちと組めば、貴方の無念を晴らさせてあげる」
ワイマールの思念を読みとって囁くナタリーの声によって、ガーネットへの憎悪が蘇った。
何の罪のない自分に死刑判決を下したガーネットへの怒りが。
そして、敬愛する上司をブリ虫を潰すように平然と殺したガーネットへ憎しみが。
ワイマール「分かった…協力しよう。君らと組めばあの女を殺せるかもしれない…」
ワイマールは、いつものように女を利用して目的を成し遂げようと考えていた。
だが、そんな考えも一瞬で消え失せた。
ナタリーに渡された星宮ジェミニの力を受け入れた途端、彼の心からスタイナーへの愛が綺麗さっぱりなくなって、
エーコ対する狂おしいまでの忠誠心に取って代わられたから。
これは、エーコがステラツィオの施した細工の為である。
ワイマール「フフフ…。素晴らしい…素晴らしいぞ…この力は…」
こうしてワイマールも人外の者となったのである。





















駆け抜ける聖騎士

116名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/15(火) 00:30
あの霧の晴れた日・・クイナは・・一体何を見たのだろう・・?
ザシュウッ!!しつこく追いすがるク族の追ってを薙ぎ払い、ベアトリクスは
クエールの、あの時言っていた言葉を思い出す。
コンデヤ・パタから傷ついたブルメシア兵の言葉を聞いたベアトリクスは
その後、海路を使ってブルメシアへと向かった。イージスタンコーストの海岸より
山間を抜け、クレイラのヴブ砂漠を抜ければ、ディンスホース盆地に至る。
そこはもうブルメシア王国領である。さすがにここまでくれば
アレクサンドリアの駐屯兵も多い。しかも、お尋ね者のベアトリクスと見れば当然ただで通してくれようはずがない。
案の定、ク族を含むアレクサンドリア兵がわらわらと襲いかかってくる。
それらを次々と斬り伏せながら進むベアトリクス。
ベアトリクス「(クイナ・・そしてガーネット様のあの変貌。この私を狙う理由、
・・・そして未だ知り得ぬ己の秘密・・・ブルメシアに・・クイナに会えば・・
何か・・何かわかるかもしれない・・クイナは何かを知っているのかもしれない!)」
今、自分のすべきことに、一片の方向性を見たベアトリクス。
今の彼女と、エクスカリバーを止めうる事は出来はしない。
走る彼女の眼には今、クイナの支配するブルメシアが見えた――――――――――

ブルメシアの市街を疾風の如く駆け抜け、ついにブルメシア城を眼前に仰ぐベアトリクス。
何処からともなくぞろぞろとアレクサンドリアの警護兵、そしてク族が現れる。
1人佇むベアトリクスを遠巻きに囲む。彼女の四方八方は完全に包囲された。
己を囲んだ兵達をぐるりと一瞥し、口元に微笑を浮かべやおらエクスカリバーを抜き
剣先を天にかざしあげ、ベアトリクスは高らかに言い放つ。
ベアトリクス「・・百人斬りのこのベアトリクス!このエクスカリバー
一太刀振るわば、たちどころにそなた等の屍、千の山と築く事にあいなろうッ!!
死に急ぐなッさぁッ!!!道を開けられよッ!!!!」



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