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逃げ惑うラニ

196名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/15(火) 18:39
5人のゴロツキに追われ、闇夜のトレノを必死に逃げ惑うラニ。
戦火によって街が破壊されていることが逃走に幸いしているとはいえ、
体の自由はままならず、何度も見つかっては酷い手傷を負わされている。
そして彼女はついに一人のゴロツキが持つアンデッドキラーの一撃を喰らってしまった。
ラニ「ウアアァァァァッッッ・・・・!!!!」
喰らったのは右腕だった。
傷口からは濛々たる黒煙が上がり、右肩より下の部分がどろどろに腐り果てて崩れ落ちる。
ラニは激痛にうめきながらも持っていた短剣を彼に投げ、一瞬のスキをついて細い路地に逃げ込む。
体を覆うボロ布はずたずたとなり、ラニの見るも無惨な肉体が露わになる。
どす黒く変色した肌には無数の切り傷が、そしてその傷からは腐汁が吹き出ている。
だがラニは本能的に逃げた。死ぬことは怖くなかった。
だが、聖なるシルヴァーはどうしようもなく怖かったのである。
突如、地盤の緩くなっていた地面が崩れ、彼女は真っ逆様に転落した。
落下地点は出口のない窪みであり、もはや脱出は不可能であった。
ラニは迫りくる聖なる武器の前にガタガタと体を震わせながら、悪夢から逃れるかのように眼を閉じた。
・・・・そう、眼を閉じさえすれば、あたしは貴族の令嬢に戻れるんだ・・・・
だが、眼を閉じた先に魅惑の世界は現れなかった。
そこもまた漆黒の闇。
そしてその中に一つの光が灯り、灰色のローブを纏った老人が現れた。


















生きていた大公

200名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/15(火) 19:01
ローブを纏った老人はラニに声をかけた。
「おまえさんはラニじゃな?」
「あ・・・あんたは・・・?」
そう問いかけたラニだが、重く濁った頭の中で一つの記憶が明滅した。
少しやつれてはいるが、矍鑠とした物腰、闊達に光る眼、そして、見事に蓄えられた口髭・・・
「・・・シ・・・シド大公・・・・!!」
何故・・・!??
シド大公はその地位を追われ、その終わりは誰も知らず、とうにエーコに
よって亡き者になっているというのがもっぱらの噂だった。
エーコとその支持派たちの台頭とリンドブルムの現状はその噂を噂以上のものとして
裏付けていたのだった。
だが、それより先、ラニは考えることができなかった。

「む・・・いかん。急いで運ぶのじゃ、早くせんと手遅れになってしまうぞ」
「はっ!」
灰色のローブを纏った老人・・・シド「元」大公は、後ろに控えていた男達に命じた。
ラニは気を失ってしまったのだった。













209名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/15(火) 20:15
                 λ
          l^、      / |
      ヽ   | ヽ    / '|
      |ヽ  |  ヽ /  |
      | | /"   V/   _(
      | レ′   //-´ ̄/
      | ̄`|/ヽ、 |レ-、__(
      /     ヽ、L_人_
     ノ  ∠〉  λ  __\
    /________.---′` ̄  [ノ
     |/γl7|      |  |
   _ノ  ̄"| ,| || |  / ̄ ̄ ̄ ̄
   (_      | | / /  λ< 大気がざわめいておる・・・
   ヽ、____,  | |ノ、_/_/_| |  \____
      └、__|ノ/^ ̄ ̄`ヽ|
       у7ノ ",    `ヽ
       ノノ/ヾ、_____ノ
      ~/~ ̄//レo\_____λ 












モーグリ達の言葉

210名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/15(火) 20:18
「さぁモッキ、説明をを続けてくれ」
スティルツキンの言葉に話を続けるモッキ。
「クポ〜、僕だってその綺麗な剣が欲しかったクポ、でも抜こうとその剣に触ったとたん…」
モッキの顔色が恐怖の色に変わって行く事をサラマンダーは見逃さなかった。
「とっても…とっても嫌な予感がしたクポ!」
「あれは絶対なにかあるクポ、僕は恐くなってイーファの樹から本部まで逃げてきたんだクポ!」
「もう何が有ってもイーファの樹には行きたく無いクポ〜!」
「ありがとうモッキここからは俺にまかせてくれ」
スティルツキンがそう言うと、よほど熱を込めて話していたのかモッキは肩で息をしながら下がっていった。
「サラマンダー、我々モーグリには他種族に無い特殊な危険察知能力が有る」
「ああ、そうらしいな」
モーグリの危険察知能力についてはメネの一件で良く理解していた、今更疑う余地も無い。
「知っていたか?なら話は早い、つまりはその剣を抜いたら何か危険な事がおこる事は間違い無いと言う事だ…」
そこまで言うとスティルツキンは黙ってサラマンダーに視線を送った。
「つまりそこで俺の出番と言う訳だな…」
サラマンダーは自分のやるべき事を理解し戦いの予感に武者震いした。
「そー言う事だぁサラマンダー、わかったならば外に出ろ!俺様がここからの足を用意してやったぞぉ!」
得意気にギルガメッシュは言った。
「クェ〜」
外に出るとそこには3匹の金色のチョコボが仲良くギサールの野菜を啄んでいた。
「これが俺様が必死になって用意した空チョコボだ!お前ら俺様に感謝して乗れよ!」
調子付くギルガメッシュになにやらひそひそとモーグリ達の陰口が聞こえて来た。
「なに言ってるクポ、あの空チョコボは僕達が桃源郷のデブチョコボ様に必死に頼み込んで借りて来たんだクポ、あいつはただ指事しただけクポ〜」
「そうそう、どうせジタンがあいつに指事したに決まってるクポ、あいつは何にもしてないクポね〜」
「…………」
辺りに一瞬の静寂が訪れた。
「おいギルガメッシュ今の話…」
「ウォッホン、それでは何故ここからはチョコボで移動するのか説明しよう」
サラマンダーがすべての言葉を言い切る前にギルガメッシュの口が開いた。
「くそモーグリどもの予感とやらを信じるならばエクスカリバー2と推定される剣の取得にはかなりの危険を要すると思われる」
「何が起こるか判らないエクス2取得に3人が3人とも無事に帰って来れる保証などはもちろん無い」
「帰って来ないかも知れない奴をインビンシブル2の中でいつまでも待つ訳にはいかないだろう?、よっていざと言う時に個々が単独で戻って来れるチョコボが最適なのだ、どーだ判ったか?」
「どーせそれも…」
「だぁ〜まらっしゃい!!」
ピュ〜、バタン。
ギルガメッシュの怒号が飛ぶや否やモーグリ達は一斉にモグネット本部の中に逃げ込んだ。
「フム、邪魔物がいなくなった所でそろそろ出発するとしようか」
ギルガメッシュは颯爽とチョコボに飛び乗った。





















クイナの作戦

211名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/15(火) 20:19
クイナも最近になり、ようやくGトランスという力の謎に感づき始めていた。
そしてそれは、恐れにも似た疑念でもあった。確かにGトランスは己に凄まじい程、
絶大な力をもたらしてくれる。しかしどうも、最近Gトランス発動後の己の体に
変化が生じ始めている事に気付く。激しい頭痛、身体の軋み、激痛、どうしようもない程の衰弱感。
力を発動し始めた最初はそれらも微々たるものであったが、最近は日に日にそれが大きく辛く感じる様になった。
まるで「生命」そのものが削り取られていくかのような感覚。それを確かに感じていた。
ゆえにクイナはブルメシア侵攻時以来、この力のもたらす謎の副作用に怯え、全くと言って良い程
使用するのを留めていたのだ。しかし今、遂にその力を使うか使わないかの瀬戸際に立たされている。
クイナ「(・・・あの男・・この力にこんな副作用があったなんて・・そんなの聞いてなかったアル・・
どうする・・?使うか・・?いやっ!こんな・・こんな奴に・・使えんアルね・・しかし・・・むむむ
何か良い方法無いアルか・・?良い方法は・・・・・おっ!」クイナに視界に「あるもの」が眼に入る。
うつ伏せにぶっ倒れたままクイナはほくそ笑む。・・・作戦は・・決まった!!
一方クイナが何か奸計を企んでる事など想像だにしていないベアトリクスはゆっくりと倒れているクイナの方へと歩み寄って行く。
ベアトリクス「・・・・・さあクイナ・・・お前の知っている事・・・洗いざらい教えてもらおうか。」
剣の切っ先を向け、倒れたままのクイナに語りかけた・・その時!ベアトリクスの眼前に一片の石片が迫る!
クイナが倒れたままベアトリクスめがけ投げつけたものである。しかし彼女は少しも動じず、小賢しいとばかりに
片腕一閃し、飛んできた石片を払い砕く。少々それに気をやった瞬間!!クイナは自分の斜め後方にある
「目的物」の下へと飛んでいた!ベアトリクスは飛んでいったクイナの視線の先にあった「もの」を見て一瞬固まる!
ベアトリクス「(!!!・・・・しまったッッ!!!)」クイナの意図を知り、その事を
読み取る事が出来なかった自分に自虐の念を禁じ得ないベアトリクス。・・しかしもう遅かった!
なんとクイナは先程の血まみれになって気絶しているブルメシア民を手中にし、「人質」となしたのである!!
気絶しているブルメシア民の首に、己の懐から新たに出した懐剣を突きつけ、満面な笑みをを浮かべ
ベアトリクスに警告する!
クイナ「・・・動くなアル!抵抗するなアル!・・さもないとこいつの命はないアルヨッッ!!!」






















卑劣な行動

217名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/15(火) 21:30
ベアトリクス「!!クッ・・・・卑劣なッ!!」口惜しさをこめた言葉を発するベアトリクス。
しかし完全に人質を取られてしまっては最早どうすることもできない。縁もゆかりもないブルメシア民といえども
自国の兵が、そしてクイナがブルメシアにここまでの狼藉を働いてしまった以上、ベアトリクスは見過ごしてしまう訳にいかなかったのである。
人質の首筋に懐剣を突きつけたままクイナはベアトリクスに命じる。
クイナ「・・先ずお前のその剣を私のほうへ投げるアル。妙な真似するこいつの眼、抉りとっていくね!
5秒以内アル!!さあゆくあるぞ!!5・・4・・3・・2・・」有無を言わせず秒読みを始めるクイナ。
急いでベアトリクスはクイナの方へ剣を投げ捨てる。 カランカラン!!クイナの足元にエクスカリバーが転がる。
相手に考えさせる暇を与えさせない作戦であろう、ベアトリクスはグッと唇を噛み締める・・。
そしてクイナは、そんなベアトリクスを嬉々とした表情で眺めながら自身の足元に転がっている岩片を拾い上げる。
そして、再びベアトリクスに命ずる。
クイナ「ワタシお前に片手飛ばされた。だからこいつ(人質)を抱えながらお前の方には近づけないね。」
片腕がない為残る右手で懐剣を人質に突きつけておかねばならない自身の状況を見越す。
クイナ「・・・だから今からお前ぴくりとでも動く禁止。お前今からワタシの的になるね。」
ベアトリクス「!!!!!!」クイナの意図が理解できた。自身もそこから動かない為、
その個所から何らかの方法・・そうクイナが今手にしている岩片・・それを
動く事のかなわない自分に向かって投げつけ、身体を打ち砕く腹積もりなのだろう。
しかしどうする事も出来ない。何とか頭の中で打開策を考えては見るものの全く出ては来ない。
そんなベアトリクスを尻目にポンポンと岩片を掌で弄び、そしてふいに大きく投球モーションに入る!
クイナ「・・・まずは・・お前に片腕ぶっ飛ばされた・・お返しねッッ!!」
ビュウッ!・・ドガッ!!!凄まじい勢いで放たれた岩片は見事ベアトリクスの右腕にモロにヒットする!
ベアトリクス「!!!・・・・・・・ッッ!!!!」激痛が脳天へと突きぬける!
みれば岩片をブチ当てられた右腕は張れあがり内出血の個所から血が流れ出ている。完全に骨は砕かれている。
しかし倒れこみたい程の激痛に関わらずベアトリクスは気丈にもうめき声ひとつ発しない。
唇を噛み締めキッと闘志に燃える眼でクイナを睨みつけたままだ。
それを意に介さぬように続けざま再びクイナは振りかぶって岩片を投げつける。ビュウン!!!バグワァッ!!
・・今度は左膝!!!遂にこらえきれずベアトリクスは地面に突っ伏す様に倒れこむ。
走る凄まじい激痛をこらえ、口惜しさに血が出るほど歯をグッと食いしばりながら・・
ベアトリクス「・・・悲鳴なんか・・!絶対に・・絶対に悲鳴なんか上げてやるものかッッ!!)」
意地でも奴を喜ばせるような行為なんかとってやらない・・こんな奴に・・絶対に!!
この事だけが、何もする事が出来ない今のベアトリクスにとって出来る・・・
・・唯一の・・唯一の抵抗であった―――――――――――――――



















天空からの救出者

218名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/15(火) 22:46
クイナ「・・・さて・・文字どおり「ダルマ」にしてやるとするアル・・。」
腕、脚を砕かれ動けないまま突っ伏すベアトリクスにクイナがようやく安心したのか、
人質を放り投げて向かってくる。手には先程彼女から奪い取ったエクスカリバーが握られている。
卑劣漢に、食らいつきそうな怒りの表情で睨みつけるベアトリクス。
しかしクイナはそれすらあざ笑うかのように一笑にふし、大きくエクスカリバーを振りかざす・・・・瞬間!!
ベアトリクスが睨みつけているクイナの背後・・上空に何か黒い影のようなものが見える・・
それはだんだんと・・だんだんと大きくなり――――(あれは!!!)不意にその場に一陣の風が吹きぬけた直後!!
ヒュウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッッ!!!!!落下!!!そして!!!
ズガガガガガァァァァァ――ンンンッッ!!!  上空からの突如の攻撃!!!
クイナ「フギャアアアアアアアアアアアアッッッ!!!??」ぶっ飛ぶクイナ。
その手にしていた聖剣が宙に飛び、そしてベアトリクスの前へと落ちる。カランカラン・・!
???「・・・大丈夫かベアトリクス・・。」聞き覚えのある声がベアトリクスの耳に入る。そして―――
ベアトリクス「!!!フライヤ!!フライヤなの!!?・・よく・・無事で。」
突如として舞い降りた天空からの救出者、その正体はアレクサンドリアにて別れた以来の
フライヤ・クレセントであった。驚愕の再会―――――――――――
フライヤ「・・・・ふっ・・まぁ無事・・でもなかったのじゃがな・・。」
軽くベアトリクスに微笑を返すと、怪我の為動けない彼女を、すっと抱き上げ、
気絶しているブルメシア民の横へと寝かしつけてやる。そして先程人質に去れていた
そのブルメシア民にやさしくフライヤは話し掛ける。
フライヤ「・・・・よく・・よくぞ辛抱したな・・。すまぬ・・。もう・・もう大丈夫じゃ・・。」
すると突然気絶していたはずのブルメシア民の意識が戻り、自らが最も待ち望んでいた者へ弱弱しくも語りかける。
ブルメシア民「・・・ああ・・フライヤ様・・お久しゅう・・御座います。・・申し訳・・ございませぬ・・。
我等の・・力が至らぬばかりに・・・このような・・・ううっ。」
フライヤ「・・何を言う・・。その様な事は断じてない・・。さ・・もうゆっくり休め・・。」
ブルメシア民「・・あぁぁ・・ふ・・らいや・・様・・。」再び意識を失うブルメシア民。
そして今度はフライヤはベアトリクスのほうを向き、気遣う様に話す。
フライヤ「・・ベアトリクス・・お主は・・お主の方は大丈夫か・・?」
ベアトリクス「・・・私の・・事は・・心配ない・・。それより・・。」
痛みにこらえながら言葉を返し、今だ倒れているクイナの方を振り向く。フライヤも同じく振り向き、
そして、ベアトリクスに2つのエリクサ―を手渡す。
フライヤ「お主と・・そして彼に使ってやってくれ・・。」そう言い、フライヤは立ちあがる。
ベアトリクス「・・・フライヤ!・・私は・・クイナには・・!」
フライヤ「・・・案ずるでない・・。私もクイナには聞きたい事がある・・。
少なくとも・・・まだ・・殺しはせん!・・・・・・・が・、ここは・・
クイナは・・この男だけは・ベアトリクス・・私に・・私に任せてもらうぞ・・・!」
ベアトリクスは痛いほどわかるフライヤの心中を察し、小さく頷く。
―――そしてぶっ飛ばされていたクイナがようやくヨロヨロと立ちあがる。そして、
自分をこの様な目にあわした張本人を眼前にし、驚愕の表情で凍りつく!!
クイナ「お・・お・・お前は・・・フライヤ・・フライヤアルか!!?」
フライヤ「・・久しぶりじゃな・・クイナよ。・・さても相も変らぬ卑劣漢よな・・・・
そなたに・・そなたに会う為、黄泉の国より舞い戻ってきたぞ!!!」



















逆転の構図

232名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/16(水) 01:17
再び対峙するクイナ、そしてフライヤ――――――――――――
クイナ「・・・バカな・あの・・あの状況から・・あの状態から・・信じられんアル・・。
アレクサンドリアでワタシ確かにお前・・・ブチ殺した・・ハズアル・・。」
フライヤ「・・・確かに・・私は・・そなたの手によって1度は殺されたのやもしれぬ・・。
しかし・・私の・・私の大切なお方が・・その命をもって・・この私を黄泉の国より引き戻して下さった・・。
もはや彼は・・この世には居なくなってはしまったが・・この私の・・この私の体の中にて、共に生き・そして、
共に戦ってくださる事となった。・・そなたらを・・倒し!世界を・・この世界を元に戻さんが為に!!」
クイナにはフライヤが何を言っているのかわからない様であったが、ベアトリクスにはそれが何かを察する事が出来た。
ベアトリクス「(・・大切な・・人?・・命を・・かけて?フライヤの・・まさかッ!フラットレイ!?)」
同じく愛する者がいるがゆえにわかるその意味・・ベアトリクスに理解は容易であった。
そして・・そしてフラットレイが・・彼女にその命をあたえて・・死んでいったという事も・・・・・。
クイナ「・・・ク・・!何言ってるかさっぱりわからんアル!!生きてたのならも1度殺してやるまでの事ね!!
者共ッ!!出会えアル―――――――ッ!!」最早これまでと、すぐさま城兵に援軍要請命令を号令するクイナ。
しかし・・・何故か全く城兵がここへなだれ込んでくる気配は微塵も無い。(・・おかしいアル)困惑するクイナ。
クイナ「お前等ッ!!聞こえんアルか――ッ!!出会えアル!早くここへ来いアル――ッ!!」
フライヤ「無駄じゃ・・。」(!!)絶叫し兵を呼びかけるクイナにフライヤは静かに言い放つ。驚き、振り向くクイナ。
フライヤ「パック殿下と・・そなたの師クエール殿の手引きにより、城内にスリプル草ガス弾を、大量にバラ撒いた。城内の
殆どの兵は眠り・・捕縛し、また逃走した。」城内の兵の全滅・・そしてかつての師クエールの名を聞き、クイナの顔色が変わる。
クイナ「クックエールが!?殺したはず・・バ、バカな!!?」クイナの狼狽をよそに更にフライヤはショックな状況を語る。
フライヤ「・・そうそうクエール殿が生きておる事を知りそなたの唯一の直轄軍たるク族は皆降伏し、こちらへ寝返ったぞ。」
クイナ「!!!!!!!!!!」
フライヤ「じきにここは各地に散った、ブルメシアの精鋭達がグランドドラゴンを駆り、舞い戻ってこよう。」
クイナ「・・・・・・・・・・・・・・・・」強力な戦闘力を持つグランドドラゴンのブルメシア
飛竜兵団が舞い戻れば再びこのブルメシアは奪還されたも同様である。
フライヤ「・・・もはや今この城に残っておるは・・・・クイナ、そなた只1人。」
暫く俯き、その言葉をじっと聞いていたクイナがふいに顔を上げた。その顔は恐ろしいほど完全な無表情である。
・・そして・・クイナの身体が急に青白く輝き始めた!――庭園中はたちまち巨大な妖気に覆われる。
そして、地の底から響き渡るかのような声でクイナが言葉を発す・・。
クイナ「・・・クソが・・この俺に・・この俺に余程この力で殺して欲しいらしいな・・・!!!」
突如変わるクイナの言葉遣い・・そしてその様相。ベアトリクスは自分の知っているはずのクイナの様相の
あまりの変化に驚愕する!!クイナの身体はますます輝きを増し、そして青白い波動に覆われ始める!
クイナ「・・今度は確実に殺す。ここにいる全ての者共もろともなァッ!!ゲッゲッゲ―――ッッッ!!!」
それに怯む事無くフライヤは自らの新しき武器、そして今は亡きフラットレイの形見でもある神槍、
ランスオブカインを構える。
フライヤ「・・その邪悪の力に魅入られ悪鬼と化せし・・思えばそなたも哀れなる・・・クイナよ!!
この私と・・そしてこの私の中にて生き続けるフラットレイ様と共に!!
そなたをその魔性の呪縛より、・・・力づくでも解き放ってくれようぞッッ!!!!」




















確認事項

235名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/16(水) 01:55
「待てギルガメッシュ」
スティルツキンがギルガメッシュを止める。
「出発する前に最終的な役割を確認しておかないか?」
「ん?まぁいいだろう」
 スティルツキンの言葉にチョコボから降りるギルガメッシュ。
「よ〜しまず俺様からだ、俺様は何と言ってもリーダーだ、面倒な雑務もこなす理想的なリーダーと言えよう、君達もっと俺様を尊敬してもいいんだぞ?ハッハッハッ」
「続いてスティルツキン、お前はエクス2の所在地までの道案内だ、道筋はちゃんと頭の中に叩き込んで有るだろうな?」
「当然だ、モッキからの情報と地図で確認してある、もう地図を見なくてもエクス2の元へたどり着ける」
「うむ上等、上等」
満足気な表情を浮かべるギルガメッシュ。
「そしてサラマンダー判ってるな?エクス2を抜いた時ヤバイモンが出て来たらお前の出番だぜ?」
「…まかせておけ」
静かにそれでいて力の入った言葉だった。
「その事についてなんだが…」
唐突に口を開くスティルツキン。
「先のギルガメッシュの言葉通り俺の契約はあくまで道案内で戦闘の助太刀をするつもりは毛頭無い、いざと言う時俺の力を当てにするのだけはカンベンしてくれよ?サラマンダー」
最初から誰の手も借りるつもりの無かったサラマンダーにとっては少々拍子抜けする言葉だった。
しかしそれだけ危険な敵が待っている事をスティルツキンが感じているのだとしたら…
肩に力が入っている事を感じたサラマンダーは少々ふざけてみた。
「元よりそのつもりだ…それよりリーダーさんよアンタの力は当てにしても良いのかい?」
サラマンダーは口元を緩めながらギルガメッシュに問い掛けた。
「むっ?あ、当たり前だ…だ、だがな真打の登場は最後と決まっているもんだ、お前が本当にヤバくなった時には呼ばれるまでも無く助けてやるから心配すんな、そもそも俺様の4本の腕から繰り出される剣撃と言えばそれはもう…」
「もういい、期待はしないがよろしく頼む」
こういった人をおちょくって緊張をほぐすやり方は昔ジタンから学んだ事だった。
「案外効くもんだな」
さっきまでの緊張は幾分かほぐれていた。
「さぁそろそろ行くぞ、お前らもチョコボに乗りやがれ」
2人がチョコボに乗るのを確認するとギルガメッシュは声を張り上げた。
「よーし出発だ!エクス2取得の為に目指すはイーファの樹!」
「クェックェ〜!!」
3匹のチョコボは一斉に走り出した。











238名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/16(水) 02:05
          |`、      __ ― 'l
       . ┤_ゝ―〜、^´    /
     /  "     ヽヾー /
     /           ヽ--く
    / / / /       ヽ  \
    |../ / ./ ノ|./l ./   |   ヽ
    |/|/ヘ/|/ ̄`|イ    |   ヽ
     /.l.-、   rー、 |    | |l |
    ノ |上l   ト┤ゝ|    γヽ|//./
   `フ | 、    ̄ /    r^/ /    こんなペースじゃガーネットなんて倒せないわ。
  /  ゝ、-    彡    /-' /
  彡___| ̄ ̄ ̄`-彡____∠__∠,
      ゝ.-==ニ__       /
     /´ ̄ ̄ヽヽr.―――┴ フ--― フ
    /〃〃   ノλ´ヽ、__/ヽ、___ノ
   ノ〃     /|λ'\__ノ\___ノ
  /       / レ'\_ノ レ'\ノ 











ダリの悲劇

241名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/16(水) 02:14
ダリの村は南ゲートが近いこともあって、多くのアレクサンドリア兵が駐屯していた。
だが、首都から送られてくる物資は不足しており、兵士たちは略奪によって飢えをしのいでいた。
いや…飢えをしのぐだけでなく、私服を肥やしていたのだ。
そして、この日も略奪は行われる。
この日は、兵士たちは村のチョコボを連れて行こうとしていた。
チョコボは、肉は食用になり羽は装飾品として使われるのだ。
マリン「止めて! チョコボを連れて行かないで!」
アレクサンドリア兵1「五月蝿い! 本国からの物資が不足しているのだ!」
マリン「だからって…」
アレクサンドリア兵2「それにしても、このチョコボは美味そうだな。
           焼き鳥にしてビールの摘みにしたら美味いだろうな」
マリン「そんな…チョコボを食べるなんて! 酷いわ!」
アレクサンドリア兵1「何が酷いだ。
           我々に守ってもらってるんだから、これくらいは協力してもらわんとな」
マリン「あなたたちに誰が守って欲しいって頼んだのよ…。
    あなたたちが来てからこの村は滅茶苦茶よ! あなたたちなんて爆撃で死んじゃえばいいのよ!」
アレクサンドリア兵2「なんだこのくそガキは!
           口の訊きかたに気をつけろ!」
兵士の蹴りが、マリンの腹に叩きこまれる。
マリンは血混じりの胃液を吐きだし、その場に倒れこんだ。
アレクサンドリア兵2「謝れ、このガキ!」
マリン「…嫌…よ。あなたたち…みたいなクズなんて…、
    殺されれば…いいのよ…」
アレクサンドリア兵1「貴様!」
弱々しい声でありながらも、屈服しないマリンに兵士たちは切れた。
二人は寄って集っての暴行をマリンに加える。
マリンの顔を見れば鼻はへし折れ、頬骨は頬を貫いて顔からはみ出しており、
腕や足が不自然な方向に曲がっていた。
村民は眉をひそめながらも誰も止めようとはしない。
しかし、見るのを止めることもしない。
所謂、野次馬根性だ。
やがて、マリンが動けなくなると、兵士たちは汚い物でも見るように一瞥して、
マリンの顔に唾を吐きかけると、チョコボを引き連れて去っていく。
マリン「ああ…あが…」
呻き声しか上げることの出来ない瀕死のマリンに、一人の少女が近付いた。
ナタリー「無力ね…。力がないからあなたはチョコボを守れなかったのよ…。
     ねぇ、力が欲しくない? あの連中を消し去ることができるほどの力を」
その声に、マリンは少しだけ血塗れの頭を縦に動かす。
ナタリー「そう…。なら受け入れなさい、アリエスの力を!」
ナタリーが星宮アリエスをマリンの上に放ると、アリエスが中に浮いて光を放つ。
そして、その光はマリンの中に入りこんでいった。
瀕死のマリンが見る見るうちに回復していく。
マリン「これは…すごい…。いくらでも力が溢れてくるようだ」
ナタリー「あなたの復讐はこれで遂げられるわね。
     さぁ、彼らを殺しなさい! そして、私たちとともに歩みましょう!」
マリン「そうね、じゃあ早速殺してくるわ」
マリンはあの兵士二人を追いかけていく。
ナタリー「これで4人…。先は長いわね」
マリンの後ろ姿を見て、ナタリーはぽつりとそう呟いた。






















月夜の出会い

248名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/16(水) 02:28
闇夜を一人の少女が街のゴロツキに追われていた。少女が少々目立つ宝石をつけていた…すっかり
治安が荒れたこのアレクサンドリアにはそれだけで十分な理由だった。
懸命に走りつづけたが、追跡を振りきる事はできず、すでに息が切れ意識は朦朧としていた。
慣れない地理。何よりその白いローブは暗闇では目立ち過ぎた。
路地に入ろうとしたところで何者かにぶつかった。
シロマ「ごめんなさいっ」
???「もしかして追われているの?…こっちにきて!」
わけのわからぬままに、手を退かれて裏道を走りつづけ、そして、突然立ち止まった。
???「早く!はしごを上って!」

時計台の上。時計台の下を走り抜けていくゴロツキたちを眼下に見ながらようやく一息つくことができた。
月明かりの下で静かに眺めたその手の主の姿は今まで見てきた者たちと少々異なるようだった。
しかし、不思議と恐怖は感じなかった。
カバオ「ここは僕の隠れ家なんだ。」
シロマ「でも、あいつらがのぼってくるって考えなかったの?」
カバオ「あ…」
シロマ「考えてなかったのね。」
そういうと少女は笑顔を見せた。…? カバオはその少女の顔を
どこかで見たことがある気がしたが…ついに思い出す事は出来なかった。
カバオ「もう少しココに居よう。あいつらがまだうろついているかもしれない・・
    そうだ、カードは知ってる?」
シロマ「やったことない、それに、カードなんてもってないから。」
カバオ「カードなら僕のを5枚上げるよ。」

幾度かの勝負を繰り返し、5枚のカードを12枚に増やしていた。
カバオ「…カードには自信あったんだけどな。」
シロマ「不思議ね…何かこのゲームやったことあるような気がする。」
少女はそうつぶやいた。
シロマ「ありがとう。もういかなくちゃ」
そう言うと、少女はカードをカバオに手渡した。
カバオ「いいよ」
シロマ「こんなにもらえない…」
カバオ「上げた5枚のカードで君が勝ち取ったんだ。カードは全て真剣勝負!暗黙のルールさ。」
シロマ「うん、わかった。」
こくんと頷くと、不思議な宝石のペンダントがかすかに揺れた。
それを見て、カバオは少女がゴロツキに追われたのも無理はないと思った。
ときおり、アレクサンドリア城の灯に目をやる横顔に、どこか浮世離れした雰囲気が見え隠れする…
カバオ「ところで…きみはお城の人?」
シロマ「ええ、少し…街を見てみたくて、蔵書で知った抜け道からこっそり出てきたの。
    …カードとここの隠し家を教えてくれたお礼よ、」
そう言うと、抜け道をカバオの小さな耳に耳打ちをした。
カバオ「ありがとう、カードをしに行ってもいいかい?ああでも今のお城に忍び込むのは命がけだな。」
シロマ「そうね。でもまたアレクサンドリアが平和になったら…。」
そこで少女は押し黙った。カバオもただ静かに頷いた。
このアレクサンドリアで
平和と言う言葉が悲しい響きに聞こえるのはいつの日からだったろう…

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