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ジタンの心変わり

650名前:かいてみましたMail: 投稿日:2000/08/20(日) 01:57
ジタンは焦っていた。目の前には大量に詰まれた札束。
「俺は…いったいどうしたいんだ?」
先刻ジタンのもとにスタイナーが訪れた。
彼が自分を訪ねてくることなどはじめてだったが久しぶりに会ったので快く招き入れた。
だが彼の口から出たのは信じられない言葉だった。
いや、いずれこうなるのは当然のことだったのかもしれない。
「ジタン。いいにくいことだが聞いてくれ。お前もわかっているとは思うがガーネットさまは…」
「別れろってことだな?」
会話をさえぎるように時短は言った。
「うむ…。そういうことだ」
そういってスタイナーは懐から札束を取り出し机の上に置く。
「金でお前の気持ちが収まるとは思わんが…」
バツが悪そうに視線をそらすスタイナーに対して不思議と怒りは込み上げてこなかった。
いつからだったろう。ガーネットと会っても以前のような胸の高鳴りを感じなくなったのは。
自分は確かに彼女を愛していたはずだ。あの時彼女を胸に抱いて心底幸せを感じた。
もう二度と離したくない。そうおもった。なのに…。
「俺はどうしたいんだ?」



















離れる心

659名前:かいてみましたMail: 投稿日:2000/08/20(日) 02:19
一晩中考えたが結局結論は出なかった。昨日受け取った金も机の上に置いたままだ。
「久しぶりに…あいつに会いにいってみるか」
直接本人に会えば答えが出るかもしれない。ジタンはアレクサンドリアへ向かった。
「久しぶりね」
「ああ」
城につくとスタイナーに会った。一瞬驚いたような顔をしたが何もいわず通してくれた。
久しぶりに会ったガーネットは疲労が表情にありありと浮かんでいた。あの快活なダガーの笑顔とはまるで別人だった。
「女王の仕事は大変か?」
当たり前の事をつい聞いた。
「そうね。正直つらいわ。時々何もかも捨てて逃げ出したくなるの。」
「お前らしくないな」
「じゃあ私らしいってなに?文句のひとつも言わずただ黙って女王さまを勤めることが私らしいってこと!?」
「誰もそんなこと言ってないだろ!」
沈黙が流れる。空気が一瞬にして重くなる。
「…ごめん…」
俺は謝ることしかできなかった。
「どうして…」
「え?」
「どうしてあの時私を連れて逃げてくれなかったの?ジタンが来いっていえば私どんな悪者にでもなれた。たとえ国を捨てたって…」
「馬鹿なこというなよ」
「…馬鹿なことでしかないのね。ジタンにとっては。」
ガーネットの肩が小刻みに震えていた。俺はそんな彼女をどこか他人のような気持ちで見つめていた。
もう遅かったのだ。ふたりの気持ちはもはや取り返しがつかないほど離れてしまっていた。






















「孤独」

669名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/20(日) 02:36
リンドブルムでの生活は、エーコの幼い精神を蝕んだ。
シド夫妻はエーコを実の娘のように可愛がってくれたし、
エーコもあの二人は好きだった。
シドはエーコにお父さんと呼ばれることを望んだ。
それを知ったエーコは、シドをお父さんと呼んだ。
好きな人を喜ばせてあげたかったから。
だから、本心では父親と思ってなかったのにお父さんと呼んだのだ。
それが全ての発端だった。
エーコはこの日以来、好きな人を欺いて、己の心までも欺いて生活することになった。
理由はどうあれシドたちを欺いている事実は、エーコに罪悪感を抱かせ、
それはエーコの精神を苛んだ。
己を欺くことは、欺くエーコと欺かれるエーコの二つのエーコを作りあげることとなり、
精神の乖離の原因となった。
シドたちがエーコの変化に気付いたときはもう手遅れだった。
欺かれるエーコは罪悪感に打ち負けて消え去り、欺かれるエーコの歯止めのなくなった欺くエーコが、
既にエーコの肉体の支配権を手にしていたのだ。
シドのあとを継いで大公の位についたエーコは、自室でこのようなことを考えていた。
エーコ(親しい人間でも所詮は他人、分かり合えることはないし、
    自分の欲望なら親しいはずの人間を苦しめることも厭わない。
    親しい人間であったシドは、私の心も知らずにお父さんと呼ばせ、
    己のエゴの為に私の精神を乖離させたではないか。
    所詮、人間はどこまで言っても孤独なのだ。
    だが、全てを無に帰し、全てが一つとなれば、もう孤独に悩むこともない。
    無の支配する世界。それが全ての生命が望む理想郷…)


























思いは過去に

672名前:かいてみましたMail: 投稿日:2000/08/20(日) 02:51
「うけとるぜ」
「今なんと?」
「耳でも悪くしたのかよおっさん。俺は金を受け取るっていったんだ。」
ガーネットに会ってふっきれた。俺はあの時泣いているガーネットを見ても抱きしめてやりたいとは思わなかった。
自分でも冷たいとは思う。けれど一端離れてしまった心は元には戻らない。
原因はなんだったのだろう。ガーネットに落ち度があったわけではない。
俺が悪いのだ。俺は生来自由奔放に生きるタチなので堅苦しい王室とはそりが合わなくて当然だったのだ。
なのに俺はガーネットに会いにいってしまった。あのまま再会しなければあるいは…。
(いまさら、だよな)
「気に病むことはないぜおっさん。もう本当はだいぶ前からだめだったんだ。それをごまかしながらずっと引きずってきた。認めたくなかったんだよ。認めたらすべてが偽りになってしまうような気がしてさ」
「ジタン…。ひとつ聞いてもよいか?」
「なんだい?」
「お前は本当に姫さま…ガーネットさまを愛していたのか?」
「ああ。愛してたよ…。」
「そうか。ならば自分はもうなにもいわんのである。」
そういうとスタイナーは席を立った。
帰り際に扉の前で振りかえってスタイナーは俺を見た。
「ジタン。元気でな」
「ああ。おっさんもな」
扉のしまる乾いた音を聞くと突然言いようのない喪失感が俺を襲った。
どうにも寝つけなかった俺は川辺に散歩に出かけた。
月がきれいに出ている。ガーネットも城でこの月を見ているだろうか?
「あいつには忙しくてそんな暇ないかもな」
川の流れをじっと見ていると脳裏にガーネットの笑顔が浮かんだ。
もっと大事にしてやればよかった。今になって急に後悔が押し寄せる。
突然水の上に小さな波紋ができた。涙だ。
涙が出たのなど何年振りだろう。俺は家から持ってきた札束を取り出し思いっきり川にばら撒いた。
流れにゆっくりと流されていくさまを見ながら俺は呟いた。
「さよなら。ダガー」




















悪魔のような…

685名前:こんな感じでどう?Mail: 投稿日:2000/08/20(日) 03:28
呆然としているルビィにリノアは優しく声をかけた。
リノア「どうしたの?ルビィちゃん?行くよ、ホラ馬車にのって!」
声をかけられたルビィは我に返って大きく首を振った。
ルビィ「イヤや!行きたくない!ウチの居場所はここだけなんや!
    ウチはブランクを殺してしもてもうどうしようもない女なんや!」
するとリノアはルビィに顔を近づけ、悪魔のような形相でにらみつけた。
リノア「やかましい・・・お前の事情なんか知ったことか!!
    ガーネット様の命令なんだよ!?さっさと乗れ!」
己を上回るリノアのキレっぷり、そして先ほどの彼女の恐ろしい能力を思い出して
ルビィは立ちすくんだ。
ルビィ「ひいぃぃっっっっ・・・・・ひゃ、ひゃい・・・」
リノア「分かればいいのよ、ルビィちゃん。さ、乗って!」
にこりと微笑えんで馬車に乗るリノア。
ルビィ「でも、ウチ・・・メッチャからだの具合悪いねん・・・。
    馬車ってやめてもらえへんやろか・・・」
リノアは再び鋭い眼光でルビィを睨み付け、ルビィは全身を硬直させた。
リノア「大丈夫だよ、ルビィ。ガンバレ、ガンバレェ!」
更に絶望的な状況に置かれたルビィはもはや運を天に委ねるしかなかった・・・・。

・・・その頃、トレノ周辺まで来ていたブランクはトレノから上がる濛々たる煙を見た。
ブランク「なんてこった・・・・」

・元ルビィ書きですが、こんな感じでどうですか?やっぱリノアはだめ?
 リノア書きさんの意見も聞きたいです。





















禁断の「力」

697名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/20(日) 04:04
ガーネット「・・・私もGトランスのもたらす正体は知っていたよ。絶大な力を得るが代わり、
その代償は己が生命。血と暴力と渇き、その快感の中でそれは削られてゆき、後は「抜け殻」と化せし
身体が残るのみ・・。その・・Gトランスを与えられた我等を、存分相戦わせる事により「力」の存在が
導き出され、そして用済みとなった我々は自然と消えて行く・・。フッこんな筋書きといったところか・・。」
ゆっくりとガーネットが玉座上段より、2人の方へ歩み寄ってくる。
ガーネット「・・そして今や「奴」はこの世界の者に手出しが出来るようになった。最早私の命はその手の
中に、握られているに等しいッ・・・がッ!!私は・・私は思い通りにはならぬ!!
「奴」の思い通りに等、絶対にならぬッ!!!私が・・私でいるために!!」
突如!広間に妖気と邪気が入り混じった波動が走り始める!!ガーネットの様相に、「あの時」の、
魔王の如き迫力が蘇る!!凍りつきそうな緊迫感が大広間を覆い隠す!!その様相のあまりの変化に、
フライヤは一瞬たじろぎ、そして構える。・・・しかし!何とベアトリクスは何事も感じていないかの様に
以前と変わらず、その場に棒立ちで、近づいて来るガーネットの瞳を只、捕らえたまま離さない。
ガーネット「Gトランスなぞ限られし力により生かされている己など・・捨て去り!永遠・・最強の力により私は生きる!!
その時こそ!!!私は・・真の「私」として!!全ての頂点に君臨する王となる!!・・・・・その為には・・
・・・その唯一の方法。ベアトリクス・・そなたの体内(なか)に在りしその「力」、
それが・・・それが必要なのだ!!!!!」

ベアトリクス「・・・・・・私の体内(なか)には一体何の「力」が隠されているのですか?」

フライヤ&ガーネット「!!!!!!」 ここに来てから、今まで一言も言葉を発しなかったベアトリクスが遂に口を開いた。
・・しかし棒立ちのまま、眼前のガーネットをみつめる彼女の瞳は、何処かうつろだ。
そして、そんなベアトリクスを見やり、ガーネットは口元に笑みを浮かべ、その彼女の問いに答える。
ガーネット「・・・・人が人である限り・・常に何かを追求する・・常に何かを探求する・・・力を・・そして
進化を求め続ける・・・。人とはいわばそうせざるを得ぬ「欲望」を持ち続けざるを得ん生き物なのやも知れぬ・・。
・・そして・・この私もな。・・・その「力」はいわばその「欲望」そのものといって過言ではない・・。」
フライヤ「???????」
ベアトリクス「・・・・・・・・・・・・」
ガーネット「・・・・その「力」とは、大いなる光を操る禁断の秘法。その大いなる光の力。
・・常にこの世界は「それ」によって生かされ、お前達は常に、「それ」の存在を目の当たりにしている。
・・・「それ」は見える様で見えないもの。「それ」は想像は出来るが、想像がつかないもの・・・・
・・・・そして、万物の生命を育むその絶大なるエネルギーの塊・・。この世にもたらされし「光」の源・・


・・・・・太陽。・・・・・・太陽そのものを操る「力」・・・・・・・・―――――――――













697名前:タイトルメーカーMail: 投稿日:2000/08/20(日) 05:51
新スレ版ストーリーの要約1(その1)
(各タイトルは>>579-582の「ストーリーチャート」から)
・トレジャーハンターズ(>>79>>100>>169>>210>>235>>327「イーファの樹にて」へ)
 ジタンに協力し、エクスカリバー2を探す事になったサラマンダーは、ギルガメッシュ、スティ
 ルツキンと共にインビンシブル2に乗り、モグネット本部へと向かう。そこでエクス2について
 の情報を聞いた三人は、各自の役割を確認し、チョコボに乗ってイーファの樹へと向かう。道中、
 スティルツキンはちょっとした質問をギルガメッシュにする。威勢も良く答えるギルガメッシュ。
・イーファの樹にて(「トレジャーハンターズ」から→>>350>>423>>514>>515)
 イーファの樹に着いた三人。モンスターを倒しつつ進み、エクス2のあるリヴァイアサンの像
 に辿りつく。突き刺さった「剣」を警戒しながら引抜く。抜き跡から吹き出した霧が、巨大な
 ヘビの姿に。その時にはもうギルガメッシュの姿はなかった…。残った二人は、状況を分析す
 る。スティルツキンの話から邪悪な大蛇「タイダリアサン」だとわかる。スティルツキンに、
 「自分は一人で戦うのでお前は逃げろ」と言うサラマンダー。そんなサラマンダーを殴り、「生
 きろ」というスティルツキン。そして二人は生に向かって走り出した。

・ラニの受難(>>46>>84>>137>>196>>200→「シドの力」へ続く)
 トレノの町をさ迷うラニは、ある夜、5人の商売ガタキたちに囲まれた。手に持つは銀製の武器
 アンデットキラー。ラニを獲物に狩りゲームが始まった。追手達から逃げ惑うラニは、不意に深
 き穴に落ちてしまう。ラニはそこでシドに助けられる。
・シドの力(「ラニの受難」から→>>303>>306>>321)
 地下にあるシドの隠れ家の小部屋で、ラニは目を覚ます。ヒルダもここにいた。シドは「魔導」
 と呼ばれる技術を研究していた。その力でアンデッド状態のラニは治ったのだ。シドの生きてい
 た理由、サラマンダーの生死等の話を聞いていると、隠れ家に闇の掃除人と呼ばれる者達が侵
 入する。シドが応戦しトードジャで掃除人達全員をカエルへと変えた。ラニはシドの力に驚く。


698名前:タイトルメーカーMail: 投稿日:2000/08/20(日) 05:52
新スレ版ストーリーの要約1(その2)
(各タイトルは>>579-582の「ストーリーチャート」から)

・ベアトリクス、ブルメシアへ
(>>70>>74>>76)
 失意の念でクロマの村を出たベアトリクスを刺客が襲う。応戦もロクに出来ず、抵抗をやめて
 しまう。その時不意に意識を失った…。―――ベアトリクスが目を覚ますと、刺客は死に絶え
 ていた。???…混濁する意識のまま、ベアトリクスは再び歩を進めた。
 コンデヤ・パタの村の前で、また襲撃者。一悶着あったが、ブルメシアの現状を聞く事に。
(>>91>>92>>116>>143)
 城は落としたが、国を完全に落としたとは言えない状況に苛立つクイナ。捕虜達は残虐な拷問
 をされていた。そんな中、悪い報せ。捕虜の拷問は続く…。
 ブルメシアへとやってきたベアトリクスは、行く手を塞ぐ者達を倒しながら進み、城の前まで
 辿り着く。そのベアトリクスの前に、クイナが姿を現わし、城の中に入れる。凄惨な状況の城内。
(>>151>>172>>176>>182>>211>>217>>218→「フライヤ VS クイナ」へ)
 クイナの非道を責めるベアトリクス。聞く耳を持たないクイナ。ベアトリクスの質問に、ロク
 に答えぬクイナ。クイナとベアトリクスの戦いが始まる。ベアトリクス優勢。劣勢のクイナは
 人質を取る。動けないベアトリクス。クイナの一方的な攻撃。その状況に、天空からの一撃。
 助かるベアトリクス。現われたのはフライヤだった。

・フライヤ VS クイナ
(「ベアトリクス、ブルメシアへ」から→>>232>>296>>297>>309>>316)
 形勢は逆転していた。クイナ配下のク族達・兵達は降伏。戦力はクイナだけに。それを知った
 クイナはGトランス発動。しかし、Gトランスを凌駕する力を手に入れたフライヤの前にクイ
 ナ敗北。フライヤは今までの経緯とその力の事を語る。そして竜騎士の秘術を用い、クイナに
 全てを語らせる。…ハズだったが、途切れ途切れの言葉を残し、クイナは霧となり消滅した。
 すべての謎を解明するため、ベアトリクスとフライヤはアレクサンドリアへと歩き出す。
















荒れるアレクサンドリア

710名前:過去編続きMail: 投稿日:2000/08/20(日) 10:29

最近よくない噂があるらしい。アレクサンドリアについて、ガーネットについての噂だ。
風の便りで相変わらずいろんなところをふらふらしている俺の元にもそれは舞いこんできた。
「アレクサンドリアの女王陛下って最近荒れてるらしいぜ?無茶な法令を出したり国民の信頼を裏切るようなまねばかりしているそうだ。」
アレクサンドリアの女王という言葉を聞いて思わずその会話に耳を傾けた。
話によるとガーネットの行動がおかしくなったらしい。だとしたらそれは多分俺のせいだろう。
(けどそんなことよくおっさんやベアトリクスが許したもんだな)

〜アレクサンドリア城〜
「姫さま!これ以上税金を上げるのは無理です。どうかお考え直しを!」
「どうして?私は女王なのよ?私のいうことを聞くのが部下の勤めでしょう?それにもう私は姫さまじゃないわスタイナー」
そう冷たく言い放つとガーネットはスタイナーを下がらせた。肩を落として部屋を出るスタイナーにベアトリクスが声をかけた。
「やはりだめでしたか…」
「ああ。自分には姫さまとジタンを別れさせてしまった負い目があるのである。だから姫さまの望むことは極力かなえて差し上げたい。けれど最近の姫さまはあまりにも…」
「スタイナー…」

何かしていないといつも悲しみに押しつぶされそうになる。
私がどんなに泣いていてももうあの人は来てはくれない。いや、私が悩んでいるときも寂しいときもジタンはなかなか会いに来てくれなかった。
ただ話を聞いてくれるだけで、そばにいてくれるだけでよかったのに。
「ダガー」のままでいたかった。女王になど戻りたくなかった。
でも魔法は解けてしまった。後に残ったのは惨めな私だけ。
―見返してやれ―
―復讐してやればよいのだ―
まただ。最近いつも頭の中に「声」が響く。声はいつも私をけしかける。
声は日増しに大きくなっていく。そして私の中で何かが目覚め始めている。
「黙って!…お願い…」














荒れ狂う大蛇

713名前:名無しさん@お腹いっぱい。Mail: 投稿日:2000/08/20(日) 13:54
タイダリアサンと対峙するサラマンダー。
獲物を一匹逃した事でタイダリアサンの怒りが更に増している様にも見える。
「シギャアアアァァァァッッッッッッ」
巨大な尾をムチの様にしならせての攻撃!
ズガガガガァァァァァァン!もうもうと砂煙が巻き上がる。
体が大きい分かわせない程の素早い攻撃では無いが一撃でも喰らえばまず無事ではすまない、
しかしスティルツキンが無事に逃げおおせるまでは時間を稼ぐ必要が有った。
「なんとかなるか?」
繰り返される尾による攻撃、たまに混ざる顎による食い付きが避けるタイミングを狂わせる。
尾と顎の複合攻撃を交わす最中タイダリアサンの真紅だった眼が白く変わるのが見えた。
その視線がサラマンダーを捕らえた瞬間タイダリアサンの眼が白く輝く!
「やばい!」
百戦錬磨の勇ゆえとも言える反応速度でサラマンダーは力の限り大地を蹴って横っ跳びした。
パキィィーーーン!
つい先程までサラマンダーのいた場所には石で出来た草木のアートが産まれていた。
「クッ石化にらみか?やっかいな技を持っていやがる」
標的を定まらさない為にも素早いフットワークが要求される、
石化にらみに注意を払いながら尾の攻撃にタイミングを合わせるのは至難の技だった。
「そろそろ潮時だな」
石化と尾の攻撃、その一瞬の隙を突いて逃げに転じる。
出口への道を疾走するサラマンダー、タイダリアサンの邪気に恐れをなしたか来る時に見かけたモンスターは影を潜めている。
「キシャァァァァァンッッッ!」
周りの草木を薙ぎ倒しながらサラマンダーを追い掛けるタイダリアサン、その眼の白い輝きが何度もサラマンダーを襲うがサラマンダーのステップが捕らえる事を許さない。
しかしタイダリアサンに背を向けたままのサラマンダーはタイダリアサンのその眼が何時の間にか漆黒の輝きを見せている事に気付かなかった。
「?」
大地を蹴る感触に違和感を覚える、次の瞬間サラマンダーの体は空気のうねりに飲み込まれ巨大な蔦に激突した。
「ぐはっ!」
背中を強烈に打ち付けて呼吸困難に陥るサラマンダー、身動きが取れない所を新たな竜巻きが襲い掛かる。
ふたつ、みっつと竜巻きを造り出すタイダリアサン、その度に宙を舞い叩き付けられる。
「ぐぅぅ」
何回叩き付けられただろうか。
サラマンダーはふらりと立ち上がりタイダリアサンに視線を移す。
今まさにタイダリアサンは最後の一撃を繰り出そうとしていた。





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