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573 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/17(日) 13:25

インビンシブルとその後継機に搭載された破壊のシステム──かつてマダイン・サリを一夜にして滅ぼし、
不死身の怪物タイダリアサンをも倒した破滅の業火を持ってしても、アルテマウェポンを倒すことは
かなわなかった。インビンシブル型飛空艇の主砲は、対地及び対艦戦闘を目的に設計されたものであり、
艦隊戦における布陣のセオリーを無視して縦横無尽に空を賭ける、異次元の魔獣を相手に使用する事など
想定されていなかったのだ。

574 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/17(日) 13:25

「あの巨体にしてあの速度…まさに驚くべき生物だな…あのような生命体が自然発生するとは到底思えん…
何者かの意思に基づいて生み出された一種の生体兵器…そういう事か…」
「確かにあれは普通の意味での生き物じゃないですね…。このままだと、じわじわと全滅しますよ、
我々の艦隊は」
想定すらされていない非常事態に動揺するパラメキアのブリッジにあって、エヌオーとエリンだけは
あくまでも冷静であった。
「艦長! 左舷前方より敵巨大生物が高速で突っ込んできます! 本艦に体当たりするつもりです!」
緊張した声でジェノムの士官が告げた。

575 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/17(日) 13:26

「目標との予想接触時間は?」
「敵巨大生物及び本艦の相対速度から推測し、およそ47秒後!」
「左舷に展開中の防御障壁に可能な限りエネルギーを集中。凌ぎ切れば、敵巨大生物の動きが
止まるはずだわ。その瞬間、左舷魔導ミサイルを目標に向けて一斉発射して」
「本艦からそれだけの近距離にでありますか! そんな事をすれば我が艦にも被害が!」
エリンの決定を聞き、砲撃セクションの司令官が蒼白になった。
「…指令、私は意見を求めてはいないわ。戦争をしているのよ」
「失礼しました! 敵巨大生物の停止後、左舷魔導ミサイルを一斉発射します!」
「よろしい…今回の件は不問にする。それから、左舷第1から第7エリアに緊急退避命令を出して」
「了解!」

576 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/17(日) 13:27

エリンが平和を望んでいるのは間違いない。侵略戦争に乗り出したリンドブルムから黒魔道士の村に
亡命したのも、平和を望んだが故だ。だがそれとは別に、かつての大戦で幾多の修羅場を
潜り抜けてきた人間として、平穏な生活というものにどうしても馴染めなくなってしまったのも、
また事実であった。それが故に、アルテマウェポンとの「戦争」がもたらす緊張感は、エリンにとって
むしろ心地よいものであり、だからこそ、一切動揺する事なく、指揮能力、戦術、判断力などすべての
能力を完全に発揮する事ができた。悪い見方をすれば一種の人格破産者とも言えるが、それだけに
指揮官としての優秀さは群を抜いており、彼女を艦長に抜擢したジタンは、まさに慧眼だったと言えよう。

577 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/17(日) 13:27

パラメキアを破壊せんとするアルテマウェポンの突撃は、その直前、パラメキア左舷前方に展開された
不可視の壁に阻まれた。激突の際に生じた紫色の電光がアルテマウェポンの全身を走り抜け、肉体を
焼かれる痛みに巨獣が怒りの咆哮を発する。
圧倒的な巨大さを誇る大戦艦パラメキアと言えども、アルテマウェポン級の巨体とまともに激突すれば、
深刻な被害を受けるのは間違いない。それを回避すべく展開された不可視の壁──防御障壁こそが、
パラメキアをして無敵の艦とする力の源であった。
クロマ村上空に常時展開されている対空バリアを更に発展させ、消費エネルギーの軽減と装置そのものの
徹底的な小型化を進めた、最新の防御障壁発生機構がパラメキアには搭載されていた。エネルギー使用量の
効率化と小型化を進めたとは言え、インビンシブル級の艦には搭載不可能な装置であり、だからこそ、
それを使用できる唯一の艦であるパラメキアは、対艦戦において無敵の艦であると言えた。

578 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/17(日) 13:28

「敵巨大生物の動きが止まりました。これより障壁を解除し、攻撃に…」
攻撃開始を告げる士官の声は、別の士官の緊迫した声に遮られた。
「目標に高エネルギー反応!」
「機関室に通達。航行に支障が出ても構わないわ。即時全出力を障壁に回して!」
「了解!」
エリンが命令を下したのとアルテマウェポンが巨大なエネルギー弾を放ったのは、ほぼ同時だった。
エネルギー弾と障壁が接触する。感覚が半ば麻痺するような凄まじい閃光と轟音が、その場で荒れ狂う
エネルギー渦の激しさを物語っていた。次の刹那、それは爆発的に膨れ上り、天地が白く染まった。

 

 

 

 

590 名前:ボーゲン書き(3) 投稿日:2000/09/18(月) 23:39
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ダークナイトに力いっぱい殴られたのに、フワリと宙に体を浮かべるボーゲン。
並みの人間ならば、ろっ骨位折れてても不思議はないのだが、
ボーゲンは何事もなかったかのように、ダークナイトと呼ばれた男に向き合った。
冷たい声でダークナイトが話す。
「・・・貴様、エクスカリバー2の捜索はどうした?」
「はっ、ただいま、得た情報に因りますと、とある山の中に・・・」
「遅いわっ!もう既に人手に渡っておるっ!」
吐き捨てるようにダークナイトは言い放った。
「・・・ボーゲン、死を以て償うが良い。」
刀を抜き放つダークナイト。
「ヒィィィイイイ!!お許しを、ダークナイト様っっ!」
「茶番劇は終わりだ。我らも動くぞ。」
刀を腰に納めるとボーゲンの首筋を引っ張り、外に向かって出ていこうとする
が、すぐに立ち止まる。
「未練の残らぬようにせねば・・・、なぁ。」
そういうと、ダークナイトは納めた刀の柄に手を掛けた。
「そ、それだけはどうか、ご勘弁を!!」
慌てふためくボーゲン。
「菊一文字・・・、闇一閃!!」

 

592 名前:ボーゲン書き(4) 投稿日:2000/09/19(火) 00:36

「菊一文字・・・、闇一閃!!」
刀に手をかけた後、一瞬のためをつくり、言い放つと同時に刀を抜くダークナイト!
刀の先に暗闇が生まれる。そして、弧を描くように水平に抜き放つ!
そして、再び、音もなく鞘に刀を納めるダークナイト。
「・・・デリート、消滅。・・・クククッ。」
シュウゥゥウと少年少女達は一瞬のうちに闇と共に消えていった。
暗黒剣、菊一文字・・・。
この世に何本かあるといわれる暗黒剣の名剣の一本であった。
「む、酷い、せっかく集めたわしの可愛いコレクション達が・・・。」

シュッタ。
「船の準備が整いました。お急ぎ下さい。」
「おお、そうか。今、行く。」
「キョッキョッキョッ、潜水艇ノーチラス、姿を隠して動く我らには最適な乗り物ですなぁ。」
「やかましいぞ、ボーゲン。」
暗闇の中、慌ただしく動く三人。

「次にこの菊一文字の刀のサビになるのは、誰かな?フフッ、ハアッハッハッハッハ・・・」
夜の帳の落ちたトレノの街に暗黒の笑い声がこだましていった。