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ガーネットの最後!? 

82 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/28(木) 15:03

>395ブルツェンの続き

血を失いすぎたようだ、、ガーネットは立て続けにケアルガを唱えるも、
エーコの魔力帯びた力によって傷つけられた体は簡単には回復しなかった
胸が苦しく、もはや声も出ない…大樹に背中を合わせると、そのまま腰を下ろした

顔を上げると
森の切れ間からほんのわずかに空が見える、妙に…穏やかな気分だった

ブラネもこんな心境だったんだろうか?
憑き物が落ちたような表情で「やりたいようにやりなさい」ブラネはそう言った
それが唯一の母らしい言葉であったが…
なんのことはない、死ぬ間際…誰でもそんな気分になるものだ…
(私もやりたいように、やった、終わりを迎えた…それだけだ)
静かに目を閉じた、今のガーネットには言葉を残す対象もいない、無へと帰るだけだ、

83 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/28(木) 15:05

「…!」
小枝を踏み折る音、鎧がこすれる不快な金属音と、
不穏な空気に目を覚ます

正確な数はわからないが、15か20…
リンドブルム兵がガーネットを取り囲んだ

リンド兵「まさか…ガーネットか…!」
その兵たちはアレク兵の残党狩りの最中に偶然ガーネットに鉢合わせた。
自然と視線は腹部の大穴に注がれる…
「今のガーネットなら倒せる」互いに目配せし、兵たちは剣を抜いた、
ガーネット「……」
ガーネットは身を起こし大樹を支えに立ち上がる、しかし
ブルツェンを叩っきったのが最後の力だ、地がぐらりと揺れた。

84 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/28(木) 15:07

ガーネット(リンドブルムの雑兵の手にかかるのは…くだらんな…)
ライトブリンガーを構えるのが最後の虚勢だ…
しかしそれが魔力の枯渇をあらわにしてしまう、
それを合図に兵たちは一斉に襲い掛かった
数本の剣が前後左右から突き刺さる、
口元からどばっと鮮血があふれた…体制を崩すが、つらぬく剣に支えられ、
マリオネットのように宙で静止した
…右手からはライトブリンガーが落ち、地の石に触れ小さな音を立てた。

リンド兵「うおおおーーー」
リンド兵「ガーネットを討ち取ったぞーーー!!!」

雄たけびに似た歓声があがる
剣で刺した手応えが興奮へとかわっていった

最後の手段

85 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/28(木) 15:40

リンド兵はガーネットの髪をかきあげ、しに逝く顔をのぞく
ガーネット「……」
そのときガーネットの口元がゆっくりと動いた
聞き取ることもできないような消え入りそうな言葉…

「ーーーー!」
次の瞬間、森の中で閃光が放たれた。光におののき、剣を離して数歩下がる、
リンド兵「何がおきた…!?」
目がくらんだ、光の中心から表れでたのは一人の女…まごうことなき、女王の姿、
しかしその肉体は朽ち生気を失っている。
ガーネットは自らの体を貫く刃を引きぬくが鮮血があふれることはなかった。
どす黒い体液かわずかにこぼれるのみだった。

…自らの魂に反魂の術か…貴様もあがくな…
…ガーネットの心の奥底で、そんな声がした…

86 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/28(木) 15:43

ガーネット「貴様ら雑兵に倒せる私と思ったか…?」
口元の吐血を手の甲で手荒くぬぐう…
あせるリンド兵の剣をかわし、前に踏み込む、
ガーネットの指先が迷うことなく眼窩を穿つ、
「うああああ!」
そのリンド兵は両目をおさえ叫び声を上げた。
エーコかマリンがいればその場の空気も違ったろうが、
人間を超えた力を前に、兵はたじろいだ。もはや生身の女ではなく
獣と呼ぶにふさわしい動きを見せた、
ガーネットは視界を失ったリンド兵の喉元に手をやり、
常人を超えた握力をもって喉笛を引きちぎった、鮮血が降り注ぐ。
リンド兵たちに波紋のように恐怖の波がひろがってゆく…

「流れ」は確実にガーネットにあった、
アンデット化による肉体の強化と、苦痛の解除…
リンド兵に幾度もの剣を受けるも止まることなく、
腕をつかむと枝を折るように骨を折った、左足を振り上げ顔前に兵に蹴りをくらわす
ガーネットは本能赴くままに闘いの興奮に身を任せた

87 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/28(木) 15:55

リンド兵も応戦するも、足元に転がる躯が増えるばかりだった。
「化けモノだ…!」
その言葉を残し、一人の兵が背をむける、
くものこを散らすようにリンド兵たちは逃走した。

ガーネット「やっと静かになった…」
再び、大樹の元に腰を下ろす、
アンデット後の変化に個人差があることはわかっていたが
意識が保てる「残りの時間」はガーネット自身にもわからなかった。
せいぜい長くても半日がいいところだろう、
「どこへ行くか」…そう呟いた

 

 

 

 

 

ラニの非道再び

92 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/29(金) 10:52

>536の続きです

ラニ「あーちょっと待ったあ」
ブラネの墓の前へ戻った

頭蓋骨を拾い上げる、両手で抱えるとカスタネットのようにカツカツと鳴らした。
ラニ「うふふ、やっぱり思ったとおり!」
してやったりの笑みを浮かべて、上顎めがけポイズンアクスを振り下ろした。
ガツッーン、、白い破片が飛びちった。

リンド兵「何をしているんだ…?」
ラニ「うわっ、なんだリンド兵さんか、マリンと行ったんじゃなかったの?
   何ってほら、歯よ歯、ダイヤが埋め込んであるのよ。いいねえ金持ちは遺体も
   金になるんだから。」
リンド兵「……。」
ラニ「何見てるの?あんたに渡す分なんてないからね?」

93 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/29(金) 10:57

引き続き、ラニは切り裂かれたブラネの衣服を剥ぎ取った。巨大な骨がごろごろと転がる、
いくつかの骨片が棺の外に落ちたが、お構いなしだ。
ラニ「んー上等の布地ねえ」
傷んでしまい布そのものとしての価値は薄いが、散りばめられたスパンコールは
本物の宝石が使われていた。ブラネの巨体を覆った巨大な布地だ、小さな宝石も
かき集めれば手のひらからあふれるほどになるだろう。
ラニ「まさにブラネさまさまね、でも私がブラネなら無駄に着飾る前に整形でもするわよ、
   ふふふ仕方ないかきっと直しようもなかったのね」
そして上腕骨を拾うと軽く振るって見せる
ラニ「それにしても人間の骨には見えないわー、あんたらがばかすか壊さなきゃ
   この骨格自体、売れたかもね。トレノあたりのの悪趣味貴族が飾ってくれたろうに、」

94 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/29(金) 11:00

ラニ「ついに発見、ベヒーモスと人間の混血児!とか」
リンド兵「おい」
ラニ「はい?」
振り返った直後、
剣がラニの眼前をかすめ…はらりと前髪が散る…
恐る恐る自分の額に指先を触れると、わずかに赤い血が付着した
(なにすんのよ!)そう叫ぼうと顔を見やった直後、一気に血の気がひき、腰を抜かした、
リンドブルム兵の鎧をまとった、その人物の顔は…

ラニ「が、が、が、ガーネットォ!!!!」
ガーネット「…死者を辱めるのはその辺にしてもらおうか、そんな女でも私の母なんでな」

あぁ、非運

95 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/29(金) 11:33

ガーネットは死に場所を探す気でリンド兵の鎧を重ね、
故国アレクサンドリアへと戻った。自然と足はブラネの墓へと向うが、
そこでは見覚えある女が墓あらしを行っていた、
ラニ「わ、私じゃないのよ!!これはリンドブルムの兵がやったことで
   私は…、少々おこぼれを拝借しただけで…」
ガーネット「そのことはもういい、それより、貴様…その姿はなんだ?」
ラニ「へ?」
ガーネット「貴様はアンデットに変えたはずだ、どうやって術を解いた?」
ラニ「…寝て起きたら直ってました…」
ガーネット「……。」
嘘をつくな、そう言う変わりに剣先をラニ首筋に突き付けた。
皮膚が弾け、じわじわと首筋に痛みが増す、
ラニ「うう、」
ガーネット「案内してもらおうか。」
刃先をはなすと、ラニはあっさりクビを縦にふった
ラニ(…シドさんごめんよぅ、やっぱ私に正義の役は無理だったみたいだよ、、)

97 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/09/29(金) 16:30

「ここが?」
ラニの案内でたどりついたのはトレノ近辺の小さな村の普通の民家…
あまりに意外であったが窓からは見知らぬ機械の姿がのぞく、
ビリビリと肌に伝わる魔力にも違和感を感じていた。ガーネットの知らぬ存在がそこにある。
ドアを開けようと手を伸ばす、その隙をついて、
ラニ「はんっ、エラぶったって、所詮はゾンビじゃないの…!」
ラニはふところから、フェニックスの尾を取り出し投げつける
…が、ガーネットは動体視力も並ではない。
すばやく剣でフェニックスの尾を払いのける、真二つになった尾が足元へ落ちた。
ガーネット「そんなものは使わせない」
ラニ「あわわ…」
やれやれ、といった表情でラニを見つめた。殺す気はなかったが、
こうなれば別である、ガーネットは剣を向けた。

 
 

 

 

 

 

 

生死の境

<<62 

102 名前:>64の続き 投稿日:2000/10/01(日) 01:44

『…とどめ? どういう事なの?』
『私たちがパラメキアに侵入した敵と戦って、重傷を負ったのは覚えているわよね? 今見ている
この夢は、そうやって意識を失った状態の中で見ているものなのよ。普通の眠りの中ではなくてね』
言われてミコトは思い出した。ジタンを滅却すべく、パラメキアに侵入してきた二人組の男女…。
ミコトは彼らと戦い、そして敗れたのだ。
『…それと何の関係が?』
『私たちの肉体は、本来ならば最後の攻撃を受けた時に死んでいたはずだったのよ。けれども貴女は、
魔法の力、そして意思そのものの力で、消え行く命を無理矢理現世に繋ぎ止めた…』
ミコトは、彼女をジタンへの人質にしようとした二人組に抵抗し、彼らの攻撃を受けて意識を失った。
「もうひとり」の言う事が正しいのなら、その時ミコトは死ぬ筈だったらしい。確かにその時には、
少し前に使ったリジェネの効果が持続していたし、「死にたくない」と強く思った記憶もあった。
そのおかげで死を免れたと「もうひとり」のミコトは言いたいのだろうか?

103 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/01(日) 01:45

『う〜ん、惜しい! だいたい正解なんだけど、少〜し違うわね』
「もうひとり」がひどく軽薄な調子で喋るのを、「本物」は幾分複雑な思いで聞いていた。
『違ってるのは「死を免れた」ってトコね。実際には、まだそう言いきれる状態じゃないのよ。
私たちの肉体は今、生死の境ってヤツを彷徨ってる真っ最中だわ』
『…それなれば何故、貴女は私の心にとどめを刺そうとするの? 貴女の言う事が事実だとするなら、
私の意思があるからこそ、私の肉体はまだ死んでいないという事になる…』
『決まってるじゃない、死んで欲しいからよ』
「もうひとり」はあっけらかんと言った。

104 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/01(日) 01:46

それを聞いて「本物」のミコトは困惑した。
『…何故? 貴女も私の意識の一部…私が死んだら貴女も一緒に消えてしまうのに…』
『う〜ん…どうやって説明したらいいのかしら?』
「もうひとり」のミコトは少し困ったような顔になった。
『そうね…私は「ミコト」という存在の意識の一部ではあるけれど、貴女の意識という訳じゃない。
貴女も私と同じ「ミコト」の意識の一部であって、「ミコト」そのものじゃないんだから』
しばらく考えてから「もうひとり」のミコトは語り始めた。
『「ミコト」という人格は、貴女や私を含めた、多くの意識の集合体というのが、一番正解に近い
表現になるのかしらね。で、その意識たちの中には、このまま死んでしまう事を望むものもいる…
例えば苦痛を司る意識の一部には、生と死の狭間で地獄の苦痛を感じ続けるよりは、さっさと死んで
楽になりたいという考えもある訳よ。で、私は死を望む意識たちの代弁者であって、生にしがみつく
意識の代表である貴女を殺しに来た…うん、うまく説明できたわね』
そう言うと「もうひとり」は満足そうに頷いた。

 

驚愕の告知

105 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/01(日) 01:52

『…そういう事なの…でも、私はここで殺される訳にはいかない…』
「本物」のミコトが身構えるのを見て、「もうひとり」のミコトは苦笑した。
『腕ずくでやる訳じゃないわよ。外部からの攻撃ならともかく、自分の意識同士のせめぎ合いで、
そんな手段は無意味でしょ? 貴女の意識が屈服しない事には、永遠に決着はつかないわ』
『…屈服? 私は死の誘惑に負けたりはしない…』
『うふふ、本当にそうかしらね?』
「もうひとり」のミコトが意地の悪い笑みを浮かべる。
『それなら聞くけど、貴女は何故死にたくないの?』
『…私たちはこの戦争に勝たなくてはならないからよ。ガイアを蹂躙するガーネットとエーコを倒し、
私たちジェノムの生きる場所を…そして共に生きる仲間たちを守るため…』

106 名前:長また終われなかった…長くてスマソ 投稿日:2000/10/01(日) 01:54

『それはみんなジタンの受け売りでしょ? 私たち黒魔道士の村の人間が、自ら進んで参戦しなくても
村の平和は守れる…ダリで貴女は、ジタンにそう言ったんじゃなかった?』
『…仕方がないのよ……ジタンはこの戦いを止めるつもりはない。それならば、少しでも早く戦争を
終わらせる為に働く…それが私にできる最善の行動。だから私はまだ死ぬ訳には…』
「もうひとり」のミコトは身振りで「本物」の言葉を遮った。
『貴女は理念だけでものを言い過ぎね。でも、本当に論理的に考えるなら、黒魔道士の村を戦乱から
遠ざけるのにもっといい方法があるじゃない。ジェノムを、そして黒魔道士たちを戦争に駆り立てて
いるのは誰かしらね? その人がいなくなれば、黒魔道士の村はもっと早く平和になるんじゃない?』
「本物」のミコトの顔がみるみる蒼ざめていった。

 

 

 

 

 

<<16

ダゲレオ到着

107 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/01(日) 13:44

「それじゃ俺様は剣をそのジジィのとこに持ってくからお前らは遊んでていいぞ」
ダゲレオに到着するとギルガメッシュは足早にエクスカリバー2を持ち出した。
「せっかくダゲレオ来てるんだ、ラニさんを救う手立てが無いか調べてみないか?」
鑑定に時間がかかる事をギルガメッシュから聞いていたスティルツキンは
暇つぶしの意味も込めてサラマンダーに提案した。
「ラニの事はジタンにまかせてある…」
口ではそう言ったがサラマンダーはジタンを信じきれてはいなかった。
依頼を受ける決め手になったジタンの言葉、
『ラニは生きている』
しかしラニの喉笛を掻き切った時の感触は未だ忘れる事は出来ない。
確かにガーネットの力によりラニは再度自分の前に姿を現した、
しかしあれは自らの狂気が産み出した虚像だったのかもしれない。

108 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/01(日) 13:45

あの時自分は自責の念に捕われ冷静な判断力を失っていた、
そこをガーネットに付け入られて見せられた幻影ではなかったのか?
サラマンダーの中を数々の疑念がよぎる。
事実今のサラマンダーの知り得る限りの情報と理ではラニが生きている事を確信する事は難しかった。
ただラニの生存を願うサラマンダーの想いだけがジタンの言葉に一縷の望みを託し
これまでサラマンダーを突き動かしていたのだ。
今はラニの生死の事ではなく、
来ないとは限らないタイダリアサン以上の驚異に備えておいた方が良いとサラマンダーは考えた。
「が、しかし…そうだな、戦力強化の為に何か調べてみるのもいいだろう」
「決まりだな、さあ行こう」
スティルツキンはお馴染みのリュックを背負う。
サラマンダーはフウジンに留守を頼むとスティルツキンと供にインビンシブル2を後にした。

 

 

 

 

【ActiveTimeEvent】〜伝説の名工〜

109 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/01(日) 13:46

【ActiveTimeEvent】〜伝説の名工〜
「ようじいさん、あんたがエクスカリバーを造ったってぇお人かい?」
「?…いかにもそうじゃがあんたは?」
ギルガメッシュに話し掛けられた老人は訝し気にその四本腕の男を見返す。
「俺様の事はどうでもいい、それよりあんたに見て貰いたい物が有る」
そう言うとギルガメッシュは一本の剣を老人に見せる。
「ほお…なんと美しい剣じゃ」
老人は差し出された剣の美しさに目を奪われギルガメッシュを訝しむ気持ちもどこかに吹き飛んでいた。
「へへへ、この剣がどういうシロモノかを爺さんに鑑定して欲しいのさ」
「俺様はかのエクスカリバー2じゃないかと思ってるんだがね」
「何!あの伝説の剣じゃと?」
老人はギルガメッシュから剣を奪い取るとしげしげと剣を見定め始める。
「そう言う事さ、後もう一つ頼みがあるんだが…」
ギルガメッシュの顔から思わず笑みがこぼれた。
「…?」

110 名前:書き忘れスマソ 投稿日:2000/10/01(日) 13:48

【ATE】〜伝説の名工〜終了

 

【ActiveTimeEvent】〜侵入者〜

111 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/01(日) 13:50

【ActiveTimeEvent】〜侵入者〜
サラマンダー達がダゲレオの中にいる頃インビンシブル2内に見慣れない一人の少女の姿があった。
「え〜い見つからん!」
その少女マリンはゾディアックブレイブの長ナタリーの命を受け
エクスカリバー2を奪取すべくインビンシブル2内に潜入していた。
速やかなる入手に重きを置くが故の単独潜入の為艦内の詮索は思いの外難航している。
「剣が他人の手に渡りさえしなければナタリー様からお叱りを受ける事も無いでしょうね」
「ふふっ、この艦ごと爆破してあげるわ」
元は素朴な少女であったマリンもエーコの魔力の洗礼を受けたステラツィオの影響を受けて
その性格は以前のそれとは違い凶暴なものに変化していた。
艦外にダテレポで移動し両の掌に魔力を集中させるマリン。
「機関部はあそこね?さぁいくわよ!っつ」
風を切り飛来する円月輪の音に気付いたマリンは身を翻し間一髪で円月輪をかわした。
かわされた円月輪は弧を絵描きその主フウジンの手元へと帰っていった。

112 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/01(日) 13:51

「あなたはこの艦の者ね?」
「調度いいわ、命が惜しいならエクスカリバー2の在り処を吐きなさい」
マリンは腰のブレイクブレイドを抜くとその切っ先を甲板上のフウジンに向けて言い放った。
「斬!」
フウジンは円月輪を投げるとふわりとインビンシブル2から飛び降りた。
再びマリンに襲い掛かる円月輪、マリンは微動だにせず首の動きだけで円月輪をかわす。
今度も円月輪は正確にフウジンの元へと戻る。
「これが返事という訳ね?覚悟なさい!」
ブレイクブレイドを振り降ろし構えを取るマリン。
両者の間には張り詰めた空気が漂い始めていた。

 

 

 

 

 

<<97

魔技師の男

113 名前:>97のつづき 投稿日:2000/10/02(月) 03:27

ラニ「待って待って…本気じゃなかったんだってば!!」
「……」ガーネットの顔にはあきらめと哀れみの表情が浮かんでいた。
バタン、ドアが開く、
技師「なんだうるせえな!」
助手「ラニさん…!?」
民家からでてきたのは不精ひげをはやした中年男と白衣をまとった助手らしき女だ。
技師は突然の来訪者をいぶかしげな表情で見返した、
技師「とりあえず、その物騒なもんをしまってもらおうか。」
ガーネットは言葉に従い剣を鞘に収めた、この先のことを考えれば揉め事は不要である。
(助かった…)ラニは虚脱しその場に座り込んだ。
ガーネットはひとつ思い出したようにラニの手元のブラネの遺品の入った袋に視線を移す。
ガーネット「返してもらおうか。」
ラニ(私の…)反射的にそうつぶやくが、しぶしぶガーネットへふくろを差し出した。

114 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/02(月) 03:29

室内。テーブルの上にカップが並ぶ、
技師「誰が、茶なんか出せといった?」
助手「え…」
技師「まったく、客じゃねーんだからよ」
カップに手をかけ、
「あちっ…!」そのままむせて、テーブルの上にこぼれた。
ひといきついて、魔技師(以下・技師)はゆっくりと口を開く、
技師「…リンドブルムの兵隊さんが何のようだ?」
問いに答える代わりにガーネットは兜をぬぐ、兜にしまわれていた黒髪がひろがった。
すで皮膚が朽ちて変色し死臭がただよい始めている。アンデットだった。
それでも顔にわずかにかつての面影を見ることができた。
シド大公の元で飛空挺技師をしていたときに見た顔である。
技師「アレク…いや元アレクサンドリア女王…」

115 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/02(月) 03:30

ガーネット「ラニから少し話を聞いた。故シド大公を中心とした魔技師たちの一人だな?」
技師「そうだ。」
ガーネット「率直に言う、力を貸してほしい」
技師「!?」突然の申し入れに技師は顔をしかめる
助手「…。」助手の女は技師の横顔をしずかにうかがっている
ガーネット「エーコと敵対するという意味では同じだろう、あのラニの力に頼るくらいだ、
   相当戦力に困ってるのではないか?」
技師「…少し考えさせてくれ」
そう言うと窓際に立ち、タバコに火をつけると静かに空を仰いだ。

116 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/02(月) 04:45

技師「シド大公が生きていたころなら、どうだったかわからねえが…
   リンドブルムに組織の存在を知られ、めぼしい兵器は取り上げられたよ。
   人員もちりぢりになって、
   この故郷の村で俺とそこの助手で静かに研究をしているだけだ。」
助手「……」  
技師「俺はシド大公でもなければ軍人でもねぇ、一介の技術屋だ。
   今の話…正直言って戸惑っている。…シド大公やヒルダ王妃の仇はとりたいとは思う、
   それでも戦争に関わりたくないのが本心だ。」
ガーネット「戦えとは言わない、このアンデット化した体を治すだけでいい。
   それとも、技術的にできないか?」
技師はしばしの沈黙のあと、
技師「…おい、可能か?」と助手の方を見る
助手「ええ、治療装置はそのままだし、ラニさんの施術を元にすれば…できます。」
戸棚からファイルを探す。しばしの間のあと、テーブルに広げられたレポート用紙には
アンデットと化したラニを治療したときの記録が事細かに書かれている、

 

 

 

魔技師の話

117 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/02(月) 04:46

ガーネットは堅い金属製のベッドの上に寝かされ、点滴がかけられた
技師「今から麻酔で意識と脈拍を落とす、そのほうが作業がやりやすくなるんでな、
   眠りにつく前に少し、話をしよう…」
ガーネット「…?」
技師「正直に言う、あんたは器じゃなかった、というやつだ。
   元々、故・ガーネット王女の身代わり…ブラネのお人形さんでしかなかった
   一国を指揮する女王となるべき教育を受けたわけでもない、」
ガーネット「人形」
思わずその言葉を復唱する、さんざん魔道士どもに投げかけた言葉が己に向けられるとは、
技師「ブラネの選んだ男を夫にし、故・王女の身代わりとして
   生涯を送る…それだけの人生のはずだったんだよ」

118 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/02(月) 04:52

技師「元は組織としてやってたぶん、俺にも情報が入っていた。
   アレクサンドリア女王の指揮ぶりをきかせてもらった。
   敵どころか味方も信用していなかったな。次々部下を静粛し、優秀な指揮官も失った。
   その結果が、こどもの魔道士軍と意識をもたぬゾンビ兵どもとやらだったんだろう、
   もっと…戦力にも使いようがあったんじゃないのか?」
ガーネット「……」

119 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/02(月) 04:53

技師「リンドブルムのゾディアックブレイブは
   あんたの魔道士やゾンビ軍団とは違う理屈で力を引き出した集団だ、
   一人妙なの(シナ)もいるが、圧倒的戦闘能力の他に、軍を指揮する能力も持つ。
   少なくともエーコ、あれは部下を信用している…いや部下を従えられるだけの自分の力に
   自信をもっていると言ったほうが正しいかな」
ガーネット「…何がいいたい?」
技師「エーコは手強い。」
ガーネット「だからどうだというんだ…このまま逃げ回るのも性に合わない。」
技師「手間かけて治した相手にすぐ死なれては俺もたまったもんじゃない。
   他の…選択肢もあるんじゃないのか」
ガーネット「……」
その問いに答える前に麻酔がゆきわたる、ゆっくりと眠りに落ちていった。

120 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/02(月) 04:55

技師は背後の気配に気づいた。
技師「でていってくれ、気が散る」
ラニ「…ガーネットはあんたの手に負える相手じゃないよ
   復讐に利用しようなんて思わないことだね、今のうちに殺しておくんだ」
技師「ガーネットの人間性は承知の上だ。それに利害関係の一致、には間違い無い。」
ラニ「本気なの?あいつはね、今はおとなしくしてたって、
   体が戻ったとたん何するかわからないよ?召喚獣の餌食にされたい?
   相手を裏切り高笑いを上げて快楽をえる、そんな女だ、」
助手「私にはそうは思えないのですが…」
ラニ「ふん、外道の心は同じ外道の私がいちばんわかってんのさ。」
技師「俺が判断することだ。」
ラニ「勝手にすればいい、どうなっても知らないよ…!」

ラニはテレポを唱え姿を消した、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

アレ許新聞TV欄&「知ってるつもり!?」次回予告

134 名前:アレ許新聞TV欄 投稿日:2000/10/06(金) 04:18

|  |00 プロクアッドミスト    
|  |  「王者エリンVS挑戦者ギルガメッシュ」
|G|   解説 シド=ファブール・カバオ
|  |  実況 エンキドゥ   2347803
|  |30 マテリアハンターユフィ(終)
|  | 「マテリアよ永遠に…」 37801
|_| _____________
|  |00 【字】知ってるつもり!?
|  |  「ガーネット・アレクサンドロス
|  |  野望に生きた女の生涯」驚き!召喚
|H|  魔法の秘密▽狂気!?侵略戦争の真
|  |  実▽運命を狂わせた悲恋▽孤独な独裁
|  |  者の素顔とは ほか  278691
|  |54 【S】【天】     378902
|_| _____________  

135 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/06(金) 04:30

「女王らしくではなく、自分の欲望の底を確かめたいの……でも…」
  ───ガーネット・ティル・アレクサンドロス17世

次回の「知ってるつもり!?」は…

平和を求める偉大な指導者? 世界征服を企む覇王?
今明らかになるダリの悪夢の真実
自ら戦乱に身を投じた彼の、唯一の救いとなったある女性とは?

「ジタン・トライバル 苦悩の征服者」

 

138 名前:知ってるつもり!? 投稿日:2000/10/06(金) 07:33

ヒロシ「死んだとばかり思っていた恋人との再会…それはガーネット女王の
波乱の生涯で、まさしく最良の時だったと言えるかも知れません。
…しかしその幸せも、長くは続かなかったのです」

 

 

 

 

 

 

 

再生手術

140 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/08(日) 16:34

生命活動が著しく低下したアンデットの体は
麻酔薬によって、さらに脈を低下させていった。助手が数値をのぞく。
助手「脈拍は一分に6回、体温は26℃です」
アンデットの禁術の魔力を相殺させるAの魔導レーザー
そして、体力の回復を促すヒーリング型のBの魔導レーザーを微調整しながら照射する。

ヒーリングの力はアンデットの体にダメージを与えるし、
体の回復を待たずにアンデットの禁術を解けば遺体にもどるだけである。
損傷した体が復元し身が盛り返したと思うと、プシュッと音をたてて身の一部がはじけた。
手元が狂うだけで、わずかな生命の灯が消えてしまう。技師と助手に緊張の時間が続いた。

141 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/08(日) 16:35

それでもやがて…肌に人間らしい血色が徐々に戻りはじめる、
技師「なんとか、うまくいったようだな。」
時間にすると2時間足らずであったが、かなり神経を費やした。額の汗をぬぐった。
助手「?どうしましたか。」
技師「……」
まだ眠りから覚めぬガーネットに毛布をかけようとして、ふと技師の手が止まった…

142 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/08(日) 16:37

「冗談じゃないよ」
ラニはトレノの街を眺めた。忘れられない日々の記憶が頭に張りついたままだ。
ガーネットの手により無理やり蘇らされてアンデットの姿でトレノの街をさまよった。
今のガーネットのように生前の姿や理性を残したアンデットでなく、
体からはウジが沸いて、顔が崩れ、脳が朽ちたせいか思考力も低下した。
意識朦朧とするなか、食べれるものなら何だって食った、そうドブネズミさえも…。
……堅い体毛に震える歯をたてて生肉を食いちぎった。
まだ息のあったネズミはヂヂヂと声をあげて指先に噛みついた。
もはや人間の尊厳も何もない行為だ。それでも喉が乾き腹が減る。
死にたくないと言う感情だけがそのときのラニを支配した。
口の中にまとわりつく毛皮の不快感に苦戦しながらも肉を飲みこみ、
再びネズミの肉を食いちぎった。生血が口元を汚した。
それはとても惨めで、悔しく…腐った体液の涙が目からあふれでた。

143 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/08(日) 16:38

ラニ「……」
あの女が嫌いだ。理由はそれだけで十分だ。
ガーネットに荷担する魔技師たちにももう義理はない。
ほんのひととき目を閉じて、
再び目を開ける。「気持ちの切り替え」の儀式はそれで終わった。
極悪非道とうたわれた賞金稼ぎのラニへと戻る。
ポイズンアクスを強く握り締めた。賞金を前にした高揚感だけがラニを包んでいた。

 

 

 

 

 

 

地に堕ちたオンナ

144 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/08(日) 16:39

トレノ近郊の村の民家。
ドアを開け魔導の装置の置かれた部屋へ入った。
ラニ(アレ、ね…)
ラニはベッドの上に、毛布に包まれた人間大のふくらみを確認した。
足元のかごにはガーネットが装備していたリンド兵のヨロイが置かれている、
深く息を吸いこみ、
一気にポイズンアクスを振り下ろした。しかし、
手に伝わってきたのは骨が軋む感触ではなくクッションを切り裂く力の抜ける手応えだった、
クッションの羽毛が室内に舞いあがる。

145 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/08(日) 16:40

技師「そんなことだろうと思ったぜ。…ガーネットは別の場所に移した。」
ものかげから様子をうかがっていた技師がそう言った。
技師「そりゃあんたはガーネットに私怨もあることだろうが…」
ラニ「ふん、私怨だけで動く愚かな女じゃないの、お金よお金!」
技師「なんだと?」
ラニ「エーコがガーネットのクビに報奨金をかけてんのさ、
   一生遊んでもつかえきれないほどのね!!」
技師「寄りによってリンドブルム側に寝返ったというのか?」
ラニ「ふふ…その通りよ」
技師「…正真正銘クズだったってえわけだ」
ラニ「どーもありがとう、私には誉め言葉だね…!」

146 名前:名無しさん@LV2 投稿日:2000/10/08(日) 16:44

キィ…ドアが開く、壁に手をつきよろけながらガーネットが現れる。
助手はガーネットの無理を止めるかのように体に手を添えている。
技師「まだ寝てろ…!」
ガーネット「そうもいかないな…」
技師「な?」
ガーネット「クズは相変わらずだが、どうも中身は違うらしい…」

ラニ「文字通り、リンドブルムに魂を売ったのさ、
   …さあこれが『ゾディアックブレイブ』の力だよ!」
ラニ両腕の先にそれぞれ魔力が集まり空気が揺れた。
技師「……くそっ…」
それがシド大公のれんぞくまのアビリティだと思うとたまらなく口惜しかった。
ラニ「バイオガ!!!」
どす黒い大気が渦巻く。室内に瘴気があふれかえった、構える間もなく立て続けに
2発目がガーネット達を襲った。

147 名前:説明っぽい 投稿日:2000/10/08(日) 16:50

…さきほど(>120)ラニがテレポで向かった先はアレクサンドリアだった。
敵として相手にもされてない状況を利用し、
マリンに顔をつないでもらってエーコに接近した。
反魂の術によるガーネットの恨みと、
金さえ散らつかせれば簡単に言うことを聞くラニの性格は十二分にわかっていたので、
エーコはラニにゾディアックブレイブの力を与えたのだ。

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