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「父親と一緒に風呂に入る娘」の記載の検証

 岩月氏は、父親と一緒に風呂に入る娘のことを繰り返し繰返し記載している。 岩月氏にとっては、よほど大事なことなのだろう。 初出は、1999年10月発行の「女性の「オトコ運」は父親で決まる」である。

岩月謙司著 「女性の「オトコ運」は父親で決まる」 100頁(1999/10)

女性の「オトコ運」は父親で決まる

どのくらい愛情をもらったかは、たとえば、小学校の何年生までお父さんと 楽しく一緒にお風呂に入ったかである程度判別することができます。 娘が高学年になるまでお父さんと一緒にお風呂に入るのが楽しみだったら合格です。 愛情深いお父さんだったということです。しかし、小学校低学年の頃すでにお父さんと 一緒にお風呂に入ることを拒否していた娘は要注意です。
・・・略・・・

父親が娘に「性を超えた聖なる愛情」で接して いれば、風呂場で裸になってもいやらしくはありません。 たとえ恥ずかしさはあっても、それを超えたうれしさがあるのです。 だから、高校生になった娘がお父さんと一緒にお風呂に入っても 何らおかしなことではありません。むしろほほえましい光景です。

お父さんへの信頼の証として娘は自分の体を見てもらいたくなるのです。 騎士であるお父さんに、自分の心と体を全部見てもらって 守ってもらいたいのです。命をかけて守って欲しいのです。 娘は、お父さんが命をかけて自分を守ろうとしていることを知ると お父さんに自分の体を見てもらいたくなるものなのです。

 娘が父親を信頼しているかどうかの見分ける方法として、一緒に風呂に入ることが必要なのだそうだ。 しかし、これには2点の疑問がある。

 1点目:岩月氏には実の娘はいない。 よって、岩月氏は「何らかの方法で」データを採取したのだろうが、 その方法と詳細データは、この本には何ら記載されていない。

 2点目:欧米では父親が娘と風呂に入ることは性虐待であるとして厳しく禁じられているのだが、 岩月氏はこれをどう考えているのだろうか。 わずか数年間とはいえ、米国テキサス大学に研究員として赴任していた岩月氏の主張としては妙である。

岩月謙司著 「娘がいやがる間違いだらけの父親の愛」 161頁(2000/01)

 娘がいやがる間違いだらけの父親の愛

もし、小学校高学年になっても「お父さん、一緒にお風呂に入ろう」と、 娘のほうから誘ってきたら合格である。 娘の心の器は父の性を越えた聖なる愛で満たされていると思って間違いない。

娘は父を慕い、父に感謝し、父を尊敬しているのである。父から安心とリラックスを与えられている 何よりの証拠なので、お父さんは娘に一緒にお風呂に入ろうと言われたことを誇りに思っていい。 「娘のサイン」は、父親にとっての勲章である。
・・・略・・・

一方、「娘のサイン」を受け取った父親は、ますますやさしい目になっていくので、 高校生になっても娘は一緒に風呂に入りたがることも珍しくない。

「娘がいやがる間違いだらけの父親の愛」では、 小学校高学年になっても一緒にお風呂に入れるなら合格と定義し、 「高校生になっても珍しくない」と記載している。

社会通念上、高校生になって父と一緒に風呂に入る娘というのは稀なのだが、 岩月氏はどのようにしてこの社会通念に反するデータを得たのだろうか。 この本に、根拠は何ら提示されていない。

岩月謙司著 「思い残し症候群」 56頁(2001/02)

思い残し症候群―親の夫婦問題が女性の恋愛をくるわせる    NHKブックス

父と娘は、恋人に近い関係なのだが、性を超えた関係でないと親子になれないのである。 その儀式こそ、一緒にお風呂に入るということなのである。 なぜ、風呂なのか。 一番お父さんの心をチェックしやすいからだ。性を超えているかどうか、 最も正確に判定できる方法がお風呂に一緒に入ることなのである。 また、娘には、自分の騎士であるお父さんに自分を知ってもらいたい、 つまり、身も心も見てもらいたい、という願望がある。この2つを同時に満たすのがお風呂に 入るということなのである。

娘は、お父さんの目つき、そして自分の体を洗う時の手つきでもって その判定をする。もし、お父さんが性を超えた聖なる愛で自分に接していれば、 シャンプーをしてもらうことがとても気持ちがいい。もっと自分の体を見てもらいたくなる。 そうやって性を超えた関係を楽しむのである。
・・・略・・・

娘が、小学校高学年、あるいは生理が始まるまでお父さんと一緒にお風呂に入りたがったら、 お父さんと性を超えた聖なる関係を楽しんだと考えてよい。お父さんを騎士として、 そして、お父さんを「すばらしい父親」と認定した証拠である。 お父さんは自分の愛に誇りを持っていい。

「思い残し症候群」では、小学校高学年あるいは 生理が始まるまでお風呂に入りたがることと規定している。 現代日本人の平均初潮年齢は12.3歳(日本産婦人科学会・1997年)であり、 同様の年齢が併記されているに過ぎず、 さきの2冊の本に記載されていた「高校生でも何らおかしなことはない」旨が 削除されている事になる。

なぜ、このように主張がぶれるのだろうか。

これは想像だが、当初は「小学校高学年、 あるいは高校生までお父さんと一緒にお風呂に入りたがったら、」の記載だったのだろう。 しかし、NHKブックス編集部から根拠を求められ、岩月氏がその根拠を提示できなかったゆえ、 社会通念上問題ない年齢に書き換えたのだろう。

岩月謙司著 「くらたま&岩月教授のだめ恋愛脱出講座」 132頁(2002/06/01)

 くらたま&岩月教授のだめ恋愛脱出講座

編集 援助交際している子も「思い残し症候群が多いというのは?

岩月 これも多いんですよ。援助交際している子の話を聞くと、 「お父さん探し」している子が非常に多いことに気づかされますね。 こういう子は、父親から父性愛をもらっていないんです。 だから、「あなたがいま、お父さんとお風呂に入ったらどうですか?」と 聞くと、「お父さんのペニスは勃起するだろう」と言うんです。だから、逆説的なんだけど、 援助交際している子の多くは「一緒にお風呂に入って勃起しない男」を探しているんです。

くらたま そりゃ無理だわ。

岩月 もちろん、本人はそんな意識は全くない、その、意識がないところが問題なんだけどね。

くらたま でもどうなんでしょうか。父性だけのお父さんって、ぜったい勃起しないんですか?

岩月 はい。

くらたま 女子高生の娘でも?

岩月 もちろん、20歳過ぎても大丈夫ですよ。

くらたま ・・・そうなんだ、私のイメージでは、父親といえども いい年の娘の裸を見たら、勃起したとしてもおかしくないんじゃないかって気がするんですけど・・・。

岩月 しないですね。

くらたま そうか、じゃあ、やっぱり私も聖なる愛という意味での父性愛に欠けている ところがあるのかなぁ。だって父親と風呂に入るなんて気持ち悪いですもん。 でもそれ普通だと思うけど。

岩月 そういう女性は、最近すごく多いですよ。

くらたま 父には、すごく愛されたとは思うんですけど、 一緒に風呂には・・・、だって、もう小学校の低学年くらいから父と 風呂なんて入った覚えがないもんな。周りの友達も、中学生で父親と風呂に 入ってるような娘は、むしろ不審がられていましたね。でもそれって正常な行為だったんだ。

岩月 そこが人間の不思議な所なところです。 それは、僕が「娘のサイン」と呼んでいるところなんだけど、 娘が自分を守ってくれる「騎士」だとお父さんを認識すると、体から信頼のサイン、 つまり「娘のサイン」を出すんです。このサインをお父さんが受け取ると 自分の中にあるオスが眠るんです。 だから、娘が「娘のサイン」を出さないと、どのお父さんも勃起します。

くらたま そうかぁ。

岩月 だから、お互いの信頼関係で勃起するしないが決まるんです。 信頼関係があったら、娘は、高校生になってもお父さんと一緒にフロに入りたがりますよ。

くらたま で、でもやはり、それはレアケースなのでは・・・? やっぱり、フツー日本の女のコは、小学校高学年になったら入らないですよ。

岩月 本来は20歳過ぎたって、お父さんと一緒に お風呂入ったってどうってことないです。

 「くらたま&岩月教授のだめ恋愛脱出講座」では、20歳を過ぎて父親と一緒にお風呂に入っても 問題ないと記載している。ここでもまた年齢がぶれたが、岩月氏は新たな根拠データを得たのだろうか この本では、「娘のサインを受け取るとオスの目が眠る」と父親の反応についても言及しているが、 女性の父親にもインタビューしたのだろうか。

 くらたま(倉田真由美さん)は、「小学校低学年くらいまでで、 中学生でも父親と一緒に風呂に入っていると不審がられる」と記載している。 社会通念上はそのくらいが適切なのだろう。

岩月謙司著 「ずっと彼氏がいないあなたへ」 117頁(2002/12/22)

ずっと彼氏がいないあなたへ

小学校高学年まで、お父さんと一緒にお風呂に入りたいな、と自分から思っていた人は、 大丈夫なことが多いですが、小学校低学年の頃、すでにお父さんと一緒にお風呂に 入るのはイヤだと感じていた人は、このタイプの女性であることが非常に多いものです。

意識では男性から愛されたいと思っているのに、体から強烈な拒絶のサインを 出しているのです。これでは、男性からモテなくて当然です。 モテないのではなく、自分から拒否しているのです。

 「ずっと彼氏がいないあなたへ」では、基準年齢が小学校高学年に戻ってしまった。

岩月謙司著 「娘は男親のどこを見ているか」 42頁(2003/5/20)

娘は男親のどこを見ているか    講談社プラスアルファ新書

 小学校高学年から初潮がはじまります。この頃乳房がふくらみはじめ、ウエストが引き 締まってきて、急速に女性らしい体型となる時期です。女の子から女性になりかける過渡期です。

 この時期の女の子は、独特の清楚さを漂わせる時期でもあります。 純真無垢できれいなお年頃なのです。

 じつはこの時期こそ、父親と娘の信頼の絆を完成させる重要な時です。 キーワードである「娘のサイン」の核心を形成する時だからです。 では、具体的にどういう場面で「娘のサイン」が形成されるのでしょうか。

 それは、一緒にお風呂に入った時です。娘は、胸がふくらみはじめると、 恥ずかしいと思う反面、自分の体を見てもらいたい、という願望もまた出てきます。

 ここが不思議なところですが、自分をこれまで愛してくれた父親だからこそ、 自分のすべてを見てもらいたくなるのです。乳房や女性器を見られる恥ずかしさよりも 「父親との信頼」を優先させようとするのです。

 これは、娘にとっても重要なかけです。もし、父親が自分の体を見て、オスの目になったら、 信頼どころか、深く傷ついてしまうからです。

 しかし、父親が「おお、キレイになったな」と、今まで通り娘の体を一生懸命に洗って あげると、とってもうれしくなります。性を超えた聖なる愛を感じた娘は ますます「娘のサイン」を出すようになります。

 さきほど申し上げましたように、この「娘のサイン」というのは、信頼のサインでもあり、 「お父さん認定証」としてのサインでもあります。安心し、リラックスしているというサイン でもあります。

 そして、これこそがお父さんから「オス」を消滅させるサインなのです。これがあるから お父さんは勃起することなく娘の体を洗ってあげることができるのです。

 「娘のサイン」さえあれば、娘が高校生になっても、いえ、二〇歳をすぎても一緒にお風呂 に入れます。それが本来の父と娘の関係です。

 「娘のサイン」を受け取った父親は、娘が特別な女性に見えてきます。娘も確かに 女性なのですが、オンナであって女でない唯一の女性になるのです。

 「娘のサイン」を受け取ると、不思議なことに、乳房や性器を見てもオスとして 興奮しなくなるのです。セックスの対象としての乳房や性器でなくなるのです。 逆に、このかわいい乳房や性器を守ってあげたくなるのです。

「娘は男親のどこを見ているか」では、「高校生になっても、二〇歳をすぎても」 極めて高い年齢のみ記載されている。なおかつ、父親を主語とした文章となっている、 どのようにしてこのデータを得たのだろうか。誰にインタビューしたのだろうか。

この本は、さきに挙げた「娘がいやがる間違いだらけの父親の愛」と同じ講談社であり、 同様に高い年齢が記載されている。 恐らく、講談社編集部は、岩月氏の「父親と風呂に入る娘」の記載に疑いを挟まず、 岩月氏に根拠の提示などは求めなかったのだろう。 おなじ大手出版社とはいえ、NHKブックス編集部や後述の小学館編集部とはかなり相違していることが判る。

岩月謙司著 「なぜ、女は恋や仕事に臆病になってしまうのか」 44頁(2004/5/10)

なぜ、女は恋や仕事に臆病になってしまうのか

「何年生までお父さんと一緒にお風呂に入っていましたか」という質問に対して、 小学校5年や6年まで、と答えた人は、父性愛をもらっている可能性が高い人です。 しかし、小学校1年か2年までと答えた人は、父性愛をもらっていない可能性が高い人です。 これは一つの目安に過ぎませんが、参考になる重要な指標です。

なぜ、一緒にお風呂に入ることが重要な指標になるのでしょうか。 それは、お父さんに対する信頼度がある程度わかるからです。

もし、お父さんから父性愛をたっぷりもらっていると、お父さんが大好きになりますから、 小学校の高学年になるまで、一緒にお風呂に入りたくなります。 成長した姿、自分のすべてをお父さんに見てもらいたいと思うからです。 膨らんだ乳房や女性器を見られる恥ずかしさより、父親との性を超えた信頼関係を築きたいという 意識が働いているためです。

そのとき、父親が今までと変わらず身体を洗ってくれたら、 娘はうれしくなりますし、安心します。父親との聖なる信頼関係が築けたので、ますます父親を 信頼して、よりいっそう娘のサインを出すのです。

 小学館の「なぜ、女は恋や仕事に臆病になってしまうのか」では、 小学校5年や6年まで、または小学校の高学年になるまでと、 社会通念に合致した年代に補正している。 なぜこのように年代がぶれるのだろうか。

 そして、本事件の初公判の検察の冒頭陳述において、 岩月氏自身がクライアントに治療に必要な行為と思わせて一緒に風呂に入っていたことが明らかとなる。

  • 相談女性にわいせつ行為、香川大教授を地検が逮捕/読売新聞 2004/12/7

    高松地検は7日、悩みの相談に訪れた20歳代の女性にわいせつな行為を したとして香川大教育学部教授の岩月謙司容疑者(49)を、準強制わいせつの 疑いで逮捕した。

    調べによると、岩月容疑者は2002年4月27日夜、神経症的な症状に悩んで いた関東地方の女性に「おまえは女を楽しんでいない」などと治療に必要な 行為と思わせ、自宅で一緒に風呂に入ったり、寝室で体を触るなどの わいせつな行為をした疑い。

    調べに対して、岩月容疑者は「一緒に布団に入ったが、わいせつな行為は していない」と容疑を否認しているという。 女性が2002年5月に香川県警に岩月教授を告訴し、翌年3月、書類送検 されたが、地検が嫌疑不十分で不起訴処分にした。その後、女性の申し立てを 受けた高松検察審査会が今年7月、「不起訴不当」の議決を行い、地検が 再捜査していた。

    岩月容疑者は「男と女のラブゲーム」「女は男のどこを見ているか」など、 動物生理学や動物行動学的視点から男女の仲や恋愛を分析した 「恋愛教本」を執筆している。

 つまり「父親と一緒に風呂に入る娘」の記載は、岩月氏の相談者への性虐待行為の描写であり、 少なくとも1999年10月の時点でその性虐待を実施していたと結論づけられる。


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