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岩月謙司氏の著作パクリ疑惑の検証

岩月氏は本のタイトルから表現まで、本当にパクリが多い。一例を挙げてみよう。
男と女のラブゲーム 男と女のラブゲーム
(タイトル)「男と女のラブゲーム」(葵司朗・日野美歌)(1987年)
→ 岩月謙司著「男と女のラブゲーム」 (1992/3)

男と女のラブゲームの中に、クレッチマーの性格分類の章があるが、
何ら引用文献は記載されていない。

「家族」という名の孤独 斎藤 学 (著) 家族の中の心の病―「よい子」たちの過食と拒食    講談社プラスアルファ文庫 家族のなかの孤独―対人関係のメカニズム (タイトル)斉藤学「家族という名の孤独」(1995/6) 「家族の中の心の病」(1997/2)
      →岩月謙司「家族のなかの孤独」(1998/3)
(表現) 河合隼雄「援助交際は魂が汚れる」
      →岩月謙司「タバコのポイ捨ては魂が汚れる」

岩月氏の本の内容は、斉藤学や長谷川博一らの機能不全家族の家族論(まあこれも
十分胡散臭いが)をパクり、河合隼雄らの有名どころが用いた言葉を随所に
ちりばめて、その上に自分の妄想と独断と怨念を延々と書き連ねているだけで、
とてもじゃないが理論や研究といえる代物じゃない。

まあ、精神力動に重きを置く一部の心理学の分野は、科学的検証を重視せずに
「物語」に固執するばかりで、「言ったもの勝ち」的な傾向が極めて強いが、
岩月氏はその点をうまく利用して、自分の好き勝手を書き連ね、素人(特に若い女性)に
受けそうなタイトルをつけて、「若い女性の心理がわかるカリスマ」として
君臨したかったのであろう。

そういえば、「育てなおし」もパクリである。
山岡昌之「再養育療法」→岩月謙司「育てなおし」
岩月氏の「育てなおし」は、山岡昌之という精神科医の「再養育療法」の方法論の
うわべだけをすくい、自分の都合のいいようにねじ曲げて利用したものだった。

拒食と過食は治せる 山岡昌之 山岡昌之著「拒食と過食は治せる」(1997年11月発行)に「再養育療法」の記載があり、おおよそ次のようなものだ。
摂食障害の患者の治療において、母子関係を幼少時代からやり直す、つまり
母親が子供(患者)を再養育する方法をとるわけだが、母親は幼児退行した
患者を赤ちゃんを育てるように扱い、当然その中には、添い寝したり
一緒に風呂に入ったりする行為も含まれる。
ただし、この再養育療法において絶対に必要となるのは、「実の母親」による
再養育ということだ。父親でも祖父母でも親戚でもダメで、実の母親でなければ
効果は極めて低いらしい。(父親はあくまで母親をサポートする役目。当たり前だが、
医師が再養育することなんてありえない。)

岩月氏は、哺乳ビンや添い寝や風呂という極めて自分に都合のよい部分だけを
採り上げて、「再養育療法」を自称「育てなおし」に歪曲し、自分の性欲や
支配欲に利用していたと推定される。

また、アーサー・ヤノフ著「原初からの叫び」からも、多くの概念をパクっている。

岩月謙司著 「人はなぜ人間関係に悩むか」 170頁 (1997/06/01)

人はなぜ人間関係に悩むか 学生時代にアーサー・ヤノフの「原初からの叫び」を読んだときに
私もこんな治療を受けてみたいと思ったほどだ。
ほんとうの自分をしるためにとてもいい治療法ではなかろうか?」と思ったのだ。

岩月氏の第2冊目の著作である「人はなぜ人間関係に悩むか」で触れられた本だ。
ここはクライエントの手記の部分だが、もちろん岩月氏もこの本は知っているだろう。
著者のアーサー・ヤノフは、米国カリフォルニア生まれの精神科医である。
「原初からの叫び」和訳版の発行日は30年前の1975年12月1日、残念ながら現在は絶版である。

岩月氏がインスパイアされた(笑)と思しき部分を紹介しよう。
岩月氏が「思い残し症候群」と名づけた症状が、30年も前にこの本に記載されている。

アーサー・ヤノフ著 「原初からの叫び」 242頁 (1975/12/1)

原初からの叫び 過去に根を持つ要求が、現在を支配している。お気づきのように、
私が看てきた数多くの女性の内部に小さな子どもが息づいていることを考えるならば。
女性の多くが不感症であってもさほど驚きはしないだろう。
彼女たちは親切な父親を求めているので、男性が父親のような愛情を与える
代わりにまず大人のセックスを望むと腹をたて、失望する。

岩月謙司著 「なぜ女は恋や仕事に臆病になってしまうのか」 41頁 (2004/4)

なぜ、女は恋や仕事に臆病になってしまうのか ところが、父性愛をもらっていない女性は、男性の応援をしないことが普通だと
思っていますから、・・・(略)
そして、そんな女性は幼児のように、してもらうことしか考えないのです。
その、してもらいたい内容も、幼児期に父親にしてもらうような内容です。
ものごころついたときから、強烈に父性愛に飢えています。
父性愛をさがすことが恋愛をすることだと幼い頃から思い込んでいますから
当の女性は、自分がしていることがそれほどヘンだとは思いません。
オジサンキラーとか先生キラーなどというあだ名をもっている女性は、
間違いなく思い残し症候群です。

 岩月氏が2000年前後に家庭内ストックホルムシンドローム(DSS)と名づけた症状も、
 1975年発行の「原初からの叫び」に記載されている。

アーサー・ヤノフ著 「原初からの叫び」 58頁 (1975/12/1)

原初からの叫び ようするに子どもは、自分がついには愛してもらえるように『両親』ののぞみにかなう
人間になろうと努めるのである。両親好みの人間になろうとするとき、緊張が生ずる。
・・・
この少年が荒々しくなったのは、なによりも父親に愛してもらいたいためであった
のだが、その動機はとうの昔に忘れ去られている。
彼にあらあらしいことをやめされるということは、愛と承認を失うことに
すなわち原初的な絶望に直面しろというに等しい。

岩月謙司著 「女性のオトコ運は父親で決まる」 65頁 (1999/9)

女性の「オトコ運」は父親で決まる 子どもにとって親というものは、自分の殺生権を握る者です。
人質が子どもなら犯人は親に相当します。子どもは、生き残るために必死ですから
親がどんな人間であれ、親のことを好きになろうとします。
(略)
また、あるときは、たとえお父さんの言うことがヘンでも、「ヘンと感じる自分こそヘン」
と己の感性を否定し、お父さんを尊敬しようとします。

 岩月氏が「母親の呪い」と名づけた症状も
 アーサーヤノフ著「原初からの叫び」に記載されている。

アーサーヤノフ著 「原初からの叫び」247頁 (1975/12/1)

原初からの叫び ある女性は上品ぶった母親に育てられ、セックス、男性
そしてモラルに関する神話をたっぷりつめこまれた。
「オトコは動物で、一つのことだけを追い求めているのです。
彼らはあなたを抱き、そしてすてるのです」・・・(略)
彼女は結婚するまでいっさいの性的な経験を自らに禁じ、あげくの果てには
不感症であることをしった。・・・(略)
比喩的な表現をするならば、彼女のワギナは彼女の母親に属しているのである。
ところが、両親の愛情を期待する術の無いことを感ずると、
新たにワギナの感覚がゆたかになる。

岩月謙司著 「母親よりも恵まれた結婚ができない理由」 60頁 (2000/6)

母親よりも恵まれた結婚ができない理由(わけ)―女性の「オトコ運」を母の嫉妬がくるわせる (母親は子どもに)気持ちのいいSEXをしてはいけないという強烈な命令(呪い)
を無言で出すのです。
娘はそういう母のメッセージには敏感です。嫌われたくない一心で、
そうした母の意向を素直に聞いてしまいます。
実際、娘は、物心ついた頃にはすでに自分の女性器とは汚らわしいものである、
と思い込んでおりますし、また、思春期以降は、意識とは裏腹に
聖なる愛をとりいれないように、つまりいい男を避けるように行動してしまうのです。

アーサーヤノフ著「原初からの叫び」の原初療法をかんたんに紹介しよう。

アーサーヤノフ著 「原初からの叫び」 97頁 「治療」の概略

原初からの叫び 最初にまず患者に原初療法について説明して合意を得る。
次に、患者の身体検査をおこない、精神的または肉体的な異常がないか検査する。
原初療法は2〜3週間を要するので、その間は仕事や学校は休まなければならない。
その間はアルコール、煙草、鎮静剤その他の薬物は断たなければならない。
原初療法のまえに、患者の精神的な安定を図る為、患者をホテルで24時間隔離する。
原初療法では、患者をベッドに大の字に寝かせ、子どもの頃について話をさせる。
医師は、患者が子どもの頃の心的外傷に向き合うのをサポートする。
患者は子どもの頃の言葉使いにもどり、子どもの頃に受けた心的外傷について
話はじめる・・・・

もちろん、医師は患者に何ら性的接触はおこなわない。
岩月治療がオリジナルな点は、原初療法にオムツ、哺乳瓶、お風呂、添い寝、愛撫、性交渉を加えた事だが、
それらは何ら治療に必須ではなく、岩月氏の性欲と征服欲を満たす事が目的だと推定される。


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