岩月氏の育て直しとは、いったい誰にどのようなことをするのだろうか。
岩月謙司著 「男と女のラブゲーム」 128頁 (1998/03)
母親は子供を愛するものだ、という常識が世の中にある。
その母親は無意識ながらも自分に愛情がわかないことを不安に思う。
・・・略・・・
子供は被害者であるが、母親もまた被害者である。
なぜならその母親は自分の母親から愛情を受けたことがないために、
自分も子供に愛情が持てないのである。
世代を重ねるに従い症状が重くなり、やがて子育てもできなくなる。
家系とはこのようなプロセスを経て絶えることが多い。
・・・略・・・
解決策は、叔父でも叔母でも、他人でもよいから子供に無私の愛情を注いで
もらうことである。
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「子供」とは岩月氏自身のことを指すのではないかと思われる。
「子供」とは、「親から幸せを与えて貰えず、かつ幸せを妨害されている子供」と記載されており、
「男と女のラブゲーム」の岩月氏の自伝の記載と一致するからである。
岩月謙司著 「家族のなかの孤独」 69頁 (1998/03)
この連綿と続く不幸を断ち切るには親代わりとなってケアする他無い。
育て直しが必要なのである。
人が作る不幸は、人でしか癒せない。
239頁 (1998/03)
Q.親から幸せを妨害されている子どもはどうやって癒すのですか?
A.人の心は、人の熱い思いで癒すのが基本です。
しかし、子どもが愛を欲しているのに親がそれを妨害している場合は、親から切り離す必要があります。
・・・略・・・
たとえば、仮に人の心が安定するのにABCDEという五つの要素が必要だとしましょう。
それなのに、小僧さんの一族は皆Aが欠けているとします。
小僧さんは、親からも兄弟からも親戚からもAはもらえません。
でも、和尚さんがそのAを持っているとすると、小僧さんを救うことができます。
これが第三者の登場の意味です。
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「家族のなかの孤独」で初めて「育て直し」という言葉が出てきたが、
実施内容は「親代わりとなってケアする」と、抽象的にしか記載されていない。
1999年の「女性の「オトコ運」は父親で決まる」で、
育て直しの主体は「岩月氏の親戚」から「岩月氏本人」へ、
育て直しの対象は、「岩月氏本人」から「思い残し症候群の若い女性」へと変わる。
そして、実施内容も極めて個別具体的となる。
岩月謙司著 「女性の「オトコ運」は父親で決まる」 200頁 (1999/09)
たとえば、「やさしいお父さんが欲しい」と強く思っている子は、
妻子のいる男性を見ると無性に近づきたくなります。
・・・略・・・
ある日、はっと気が付くと、ホテルでセックスしていたりするのです。
ほとんどが無自覚なままコトが進んでしまうのです。
誘われると夢遊病者のようにフラフラとついていってしまうのです。
そんな自分を止めることはまず困難です。
こうした行動現象は、筆者が数千にもおよぶ調査によりその因果関係を明らかに
したもので、一九九七年に「思い残し症候群」と命名しました。
・・・略・・・
思い残しは、たいてい幼少の頃に発生しますので、
「育て直し」という方法が有効です。幼児期の人生をやり直す方法です。
ビックリするかもしれませんが、絵本を読んでもらったり、
一緒に童謡を歌ってもらったり、ほ乳瓶でミルクを飲ませてもらったり・・・
ということをやるのです。過去の不快な思い出を「快」の記憶で塗り替えていく作業です。
まるでタイムマシンのような方法ですが、これが根本療法となるのです。
213頁
さて、性を超えた父なる愛を出せる人というのは、多くの場合は白髪の生えた
男性となるでしょう。四十歳か五十歳を超えた年齢の職場の上司とか先生とかになると思います。
・・・略・・・
愛情深くて、かつ信頼できる人が見つかったら、その人の下で自動的に「赤ちゃん返り」をするようになります。
そこで幼児期をもう一度やり直すのです。「育て直し」という方法で過去を快の記憶で塗り替えるのです。
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岩月氏はこの本の発行当時は44歳で助教授であり、
「「四十歳か五十歳を超えた年齢の職場の上司とか先生」」の条件に当てはまる。
つまり、自分は育て直しの資格があると自認している。
次は「思い残し症候群」をご覧いただきたい。
当事件の被害者が岩月氏に連絡をとるきっかけとなった本である。
岩月謙司著 「思い残し症候群」 204頁 (2001/02)
あなたが愛をもらう行為は、実は、相手に幸せを与える行為でもあるのだ。
だから、まったく遠慮することはない。大手を振って愛をもらっていい。
本当に夫婦仲がいい人なら悦んで愛してくれるものだ。
自分の子供と同じように愛してくれるものだ。
・・・略・・・
ただ、女性の思い残しの多くは、父性愛の欠如であることは前にも述べたとおりである。
幼児の女の子はともかく、一人の男性が、一人前の若い女性を、
性を超えた聖なる愛でおんぶしたり、ダッコしてあげることはむずかしそうに見える。
実際むずかしい。
だが、重要なのは「思い」だ、実際にダッコしたりおんぶしたりすることはできなくても、
一人の人間として若い女性の幸せを願う気持ちがあれば、
女性の思い残しははれる。要するに、下心のない愛であれば、それが父性愛となるのである。
思い残しをはらすネタとなるのは、ひざまくらをする、絵本を読む、
おしめを取り替える、ほ乳びんでミルクを飲む、ベタベタする、
おんぶする、肩車をする、釣りに行く、遊園地に行く、
食事に行く、海に行く、山に行く、川に行く、風呂で水を掛け合う・・など、
子供の頃に遣り残したことのほとんどが該当する。
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「実際むずかしい」の記載から、思い残しをはらす作業を実施しているのは
岩月氏自身であることが判る。
岩月謙司著 「思い残し症候群」 87頁 (2001/02)
このOLは、不倫相手に「お父さん」を望んでいる。
典型的な「思い残し症候群」だ。
不倫願望の強い女性は、落ち着いた家庭を持っている男性、
智恵のある男性、仕事に自信を持っている男性を求めることが多い、
そういう男性の後姿を見ると、抱きつきたくなったりするのだ。
だが、恋人探しをしているツモリが、実際にはお父さん探しをしていたのである。
序章でも書いたように、父性愛が無いという飢餓感を
恋人がいないという飢餓感だと勘違いしているのである。
97頁
不倫と同じメカニズムで、援助交際やテレクラが発生することもある。
その隠された目的は、援助交際やテレクラをすれば、
効率よくたくさんのオジサンと会うことができる、ということだ。
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岩月氏が、思い残し症候群と判断した女性達の特性を列挙する。
- 妻子ある年上男性と不倫する (87頁)
- テレクラや援助交際をする (97頁)
だが、岩月氏が育て直しを実施する上でクライアントと性交渉したのでは、
クライアントにとっては妻子ある年上男性と不倫するという行為に変わりは無く、
実際に思っていることと遣っていることが反対になっている。
これは森田療法が言うところの「思想の矛盾」に該当する。
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