心の病の相談に訪れた女性に対し、心理療法と称してわいせつな行為
をしたとして、準強制わいせつの罪に問われた香川大教育学部教授、岩
月謙司被告(51)=香川県高松市昭和町一丁目、休職中=の判決公判
が二十三日、高松地裁であり、増田耕児裁判長は懲役二年(求刑懲役三
年)を言い渡した。岩月被告は判決を不服として即日控訴した。量刑理
由で増田裁判長は「信じて頼ってきた女性の精神的不安定さにつけ込ん
だ犯行は卑劣極まりない。女性に損害賠償を求めるなど自己保身のみに
心を砕き、反省していない」と指摘した。
公判で被告側は「行為は女性自ら判断または納得した上で行われた」
などと無罪を主張したが、増田裁判長は「被告自身が性的満足を得る意
図だったことは明らか」とした上で、「女性は症状の改善を強く期待し
ていたため、被告の言葉を信じるしかなかった。心理的に抵抗不能な状
態だったというべき」として準強制わいせつ罪の成立を認めた。
増田裁判長はこのほか、被告が「タントラ」と称して約二十人の相談
者と性行為に及んでいたと事実認定し、「自分の意図を受け入れる女性
の見極めや、そうした女性を性的行為に応じるよう仕向ける手法を身に
付けていたと推認できる」と述べた。
判決によると、岩月被告は二〇〇二年四月二十七日から翌二十八日に
かけ、神経症的な症状の相談のため同被告宅を訪れた二十代の女性に対
し、「重度の幸せ恐怖症だ。のろいを解かないと幸せを逃してしまう」
などと言って症状の改善に必要な行為と信じ込ませ、浴室や寝室で胸や
下腹部を触るなどした。
事件は女性が〇二年五月に岩月被告を告訴。高松地検は当初、嫌疑不
十分として不起訴にしたが、高松検察審査会が〇四年七月に不起訴不当
と議決したことを受け、再捜査。同年十二月に同被告を逮捕、起訴した。
岩月被告の弁護団は判決後の会見で「予想外の結論。女性は自分で服
を脱ぐなどしており、抵抗不能な状態だったと判断するのはおかしい」
と判決を批判。一方、高松地検は「被害者の感情をくんだ妥当な判決だ」
としている。
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