Site hosted by Angelfire.com: Build your free website today!
創造工学研修棟   311号の目次   誘電性伝導体

特集・転学部
進路の転換を考える
−転学部生の体験談

311号3面・大学

 現在薬学部二年のMさんは、去年の冬に転学部することを決意し、今年四月に工学部の化学・バイオ系から薬学部に移った。

 Mさんは当初、工学部を志望した理由について、「もともと化学が好きで、薬剤師に興味があった。でも現在の社会状況を考えると、薬学部では就職が難しいと判断。そこで、勉強の内容が似ていると思われる工学部の化学・バイオ系を志望した」と語った。 しかし、二年生になり専門の授業をうけてみると、内容は予想していたものと違っていた。「一年生の冬に転学部をしたいという気持ちが少しだけあったが、二年生の十一月にはそれを本格的に考えるようになった」という。

 薬学部は三セメスターから専門科目中心の時間割となる。既取得単位の中で薬学部の科目と似ているものを薬学部の単位とみなしてくれるものもあるが、それでも留年して二年生の授業から受ける必要がある。それに対して、「留年するのにはすごく抵抗があった。就職にも関わってきそうだし。でも、その分がんばろうと思った」と答えた。

 実際に転学部をしてみて、「授業は難しいけど、好きなことができて面白い。転学部してよかった。ただ、友人関係が少しつらかったな。入ったときすでに周りの人間関係ができあがっていたから」と言っている。少しつらいところはあるが、自分が選んだ道に満足しているそうだ。

 最後に、転学部をするかどうか迷っている人に対して、「将来のことは将来のこと。よく考えたうえで今やりたいことをやったほうがいい」と語った。

 現在、教育学部四年のHさんは、三年生になるときに教育学部に移った。

 当初、工学部を志望した理由について、「自分が理系だったからというだけ。工学部を選択したことについて特に強い動機があったわけではない」と述べた。

 工学部で過ごしているうち、「人間に関して徐々に興味を持ちはじめ、教育学を学びたいと思うようになった。工学部の授業の方は、なにかつかみどころがないと感じた」と、自分の進む道に疑問を持ち始め、二年生の夏頃に転学部を考えたという。

 教育学部に移る際には、今まで取った単位がそのまま教育学の単位に変換されるとのこと。そのため、教育学部の一・二年生の専門科目の単位を取っていなくても、はじめから三年生の授業を受けることができる。それでも授業についていくことができるのかと問うと、十分ついていくことができた、と答えた。

 実際に教育学部に入ってみて、「今勉強していることは、やればやるほど成果があがる。転学部してよかった」と、とても充実している様子だ。

 つらかった点を尋ねると、「文章を書く機会が多くなったのが大変だった。あとは、女性が多くて少し戸惑ったかな」と苦笑していた。

 また、転学部の制度について、「今の転学部は興味が変わった人だけを対象としているが、学部で授業についていけない人にも道を開いてほしい」と語った。

 以上の二つの場合では転学部する際、試験は課されず、書類選考と面接を受けただけであった。

 転学部の出願方法や期間、条件はそれぞれの学部により異なる。そのため、早めに転学部先の教務に行ってそれらのことを聞いておくのが望ましい。ただし、医・歯学部に移ることはできない。

 転学部を希望しても、必ず実現できるとは限らない。許可されるかどうかは、強い志望理由と大学での成績にかかっている。だから現在学んでいることをまずしっかりしなくてはならない。また、転学部したからといって、思ったとおりのことを学べるとは限らない。転学部をする際には、よく考えてから実行に移すべきである。

 工学部へ転学部するための出願資格は、本学に一年以上在学し、全学教育科目を三十七単位以上取得したものに限られる。転学部志願書、転学部志望理由書、受験許可書を六月中旬までに提出。それが通れば、夏に高専生の編入試験と一緒に試験を受ける。それに合格して初めて工学部に移ることができる。


[back] [index] [next]


Copyright (C) 1999-2001 by 東北大学学友会新聞部
E-mail:tonpress@collegemail.com