Site hosted by Angelfire.com: Build your free website today!
ビール祭り   318号の目次   休学特集

シリーズ国立大学法人化
東北大学再編
B本学の改革の歩みと新時代への展望

318号2面・大学

現在、国立大学改革構想が次々と具体化している。本年九月には、文部科学省の「二十一世紀COEプログラム」(旧称、トップ三十)の審査結果が発表される予定である。

「国立大学法人化特集」第三回目は本学の改革の歴史と今後の展望について追った。

二〇〇四年度に迫った国立大学法人化(以下、法人化)、さらには本年七月以降の「二十一世紀COEプログラム」(※)選考を前に本学は対応に追われている。

 今年四月、法人化後の本学の姿を模索する「東北大学制度検討委員会」が設けられた。同委員会の下部に設けられた「組織業務・人事委員会」および「目標評価・財務会計委員会」が現在それぞれ、新たな組織運営形態や中期目標に関して審議を重ねている。

◆    ◆

 しかし、こうした動きが本学の改革の始まりではない。本学の内部改革は既に十年も以前から始まっていた。一九九一年の「大学設置基準の大綱化」を契機とした教養部廃止と大学院重点化などである。

当時、文部省が従来までの国立大学に規制と保護をかける方針を一転させ、国立大学の組織編成、教育課程などの規制緩和を行った。これが「大学設置基準の大綱化」である。国立大学に自主的な運営を促がした形だ。

これにより、一斉に各国立大学で内部改革が行われるようになった。本学においても、全学の一、二年生対象の一般教養科目を担当していた教養部の廃止が一九九三年、行われた。こうして、学生の教育を各学部が一貫して行うようになり、また教養部の教官が大学院の担当を行えないなどの人事面での格差が消滅した。

しかし、このことによって教養部の教授会がなくなり、教養教育に対する責任の所在が曖昧となった。本学はこうした状況を建て直して、全学を挙げて教養教育を行う体制を整えるために、全学教育担当の副学長(星宮望工学研究科教授)、全学教育審議会を二〇〇〇年、新しく設けた。この新しい制度に従って、本年度には大幅な全学教育カリキュラムの改編が行われた。

さらに、本学では教養部廃止の同年、大学院「国際文化研究科」「情報科学研究科」が新設された。この二大学院設置を皮切りに本学の大学院重点化が始まった。

大学院重点化は研究教育の高度化を主眼とし、設置数の増加など、全国的な大学院整備を進めようという文部省の計画である。「研究第一主義」を掲げる本学でも、二〇〇〇年度までに全研究科で大学院での人事・予算面などでの重点化を終えている。その結果、九十八%の教官が大学院所属になるなど、大学制度の基礎が学部から大学院に移った。

そして現在、本学は大学院重点化の次の段階として社会貢献できる指導的人材の育成を教育目標として掲げ、高い専門性を要する高度職業人教育の環境整備を目指している。本年度より開設された経済研究科の公認会計士養成コースや二〇〇四年度開設予定の法科大学院などがそれにあたり、高度資格取得を目指した教育を行っていく予定である。

◆    ◆

こうした本学の内部改革が順調に進められる中、一九九九年、新たな大学改革の波が全国に吹き荒れた。文部省による国立大学の法人化(当時の呼称は独立行政法人化)である。これに対し、本学は同年、「独立行政法人に関する検討委員会」を設置し、法人化に関する検討を始めた。

さらに、法人化後の大学評価の基準となる長期目標を検討する組織として二〇〇一年度、「東北大学の在り方に関する検討委員会」が設けられた。同委員会は半年間の議論を経て、新たに「研究中心大学」「地域と世界に開かれた大学」などを本学の理念として掲げた長期目標をまとめた。

 また、本学は今後のキャンパス環境改善を積極的に計画している。現在、百周年記念事業に向け、プールのドーム化、百周年記念会館の建設などが検討されている。

さらに、組織業務・人事制度委員会の方でも、法人化による規制緩和を活かして、食堂を生協単独経営から数社の経営にすること、川内にコンビニ、北青葉山にショッピング・モールを誘致することなどを現在検討している。「学生を大切にするのが大学であるから、学生にとっていい環境を作っていきたい」と馬渡尚憲副学長は語る。

 研究・教育で内外で高い評価を得ている本学。今後の改革でさらに国際社会に強い存在感を示せるか。今後の動きが注目される。

※ 各分野、十〜三十専攻において、研究教育実績の高い大学に重点的な予算配分を行う文部科学省の計画。昨年度、「トップ三十構想」として発表された。現在、本学では研究科・専攻の垣根を越えて、申請に向けた取り組みが全学的に行われている。予定では、七月十六日の評議会で申請内容の最終決定がなされることになる。


[back] [index] [next]


Copyright (C) 1999-2000 by 東北大学学友会新聞部
E-mail:tonpress@collegemail.com