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休学の在り方を問う
充実した学生生活を送るために

318号2面・大学

第三者評価が始まったことにより、大学の教育について、これまで以上に関心が向けられるようになった。そこで今回は、教育的措置の一環である休学措置について、その主旨を確認し、休学措置の在り方を通して、本学の教育に対する取り組みの一端を見ていく。

本学は、教育を重視する「研究中心大学」を理念として掲げている。研究活動を通して、教官と学生がともに学んでいくことを理想としているのである。

ところが、そのようにして研究活動のいわば中心的役割を担っている学生は、人生の模索を特性とする人格形成期にあり、様々な問題を抱えてしまうことがある。世界最高水準の研究・教育の場たらんとする本学にとって、学生を失うことは致命的である。このことを回避するために、休学制度が定められているのである。

最近五年間の休学者数は、累計で約二千五百人に上る。休学理由は、心身の失調、経済上の都合、勉学意欲の喪失、留学など多岐にわたっている。また、休学の期間としては、一年以内が最も多く約五百人であり、二、三年休学する人も無視できない数であるという。なお、全体として休学者数は変化していないが、留学による休学者は増加傾向にある。 ◆     ◆

学務審議会では、「休学措置の在り方に関するワーキング・グループ」を設置し、休学措置及び休学手続きに関する問題点について検討を重ね、その解決方法について模索してきた。

問題点としてはまず、この検討が行われるまでは、休学措置の設定や許可、期間などに関しては、部局ごとにその基準が異なっており、整合性がとれていないということがあった。

また、大学側の休学中の学生に対する管理の不徹底が原因で、規定(東北大学学部通則十八条二項)の一年間を超える不適切な休学期間が認められるという事態が発生していた。さらに、休学を希望する学生への対応が丁寧でない場合もまれに見られていた。

本年二月二十五日付の本学広報委員会発行の「広報」で、これらの問題に対応するために、全学的な基準を定めたことが発表された。

まず、特別な理由がない複数年の休学の申請を容易に通過させないために、休学中の学生の留年、休学経験の有無、単位の修得状況などの情報を担当者間で共有することにした。

さらに、今後は休学を希望する学生への対応をより丁寧にするために、精神的・身体的な問題を抱えている学生への対応には、学生相談所および保健管理センターを積極的に利用し、復学後にも必要に応じて教務担当教官が学生と面談をすることとした。

また、学生相談所の相談員である吉竹清實助教授(教育研究科)は「パワーが下がってきていると思ったら(学生相談所に)気軽に立ち寄ってください。是非とも、悩みを抱える人のサポート役を担いたいと思っています」と話す。 ◆     ◆

第一に学生に求められるものは、充実した学生生活を送ることである。この大きな前提があってはじめて、あらゆる問題を乗り越えて行ける勇気と、新しいことに挑戦するためのモチベーションとが生まれる。

副総長特別補佐を務める、山田宗慶教授(工学研究科)は「学生の皆さんには、本学が教育を重視して運営されているということを、あらためて自覚してほしい。研究の次なるステップを目指して、教官とともに頑張って行こうではないか」と熱く話してくれた。

五月病の時期も終わり、これから夏真っ盛りである。体中に煮えたぎるエネルギーで、積極的に充実した学生生活を謳歌すべく、努力することが望まれる。


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