東北の百万都市仙台。受験のためとはいえ、せっかく来たのだから、試験が終わった午後に観光してみる、というのはどうだろうか。仙台市に根ざした名所を回るもよし、仙台まで来たのだから更に足を伸ばすもよし。ここでは新聞部お勧めの観光ルートである、るーぷる仙台と松島を実際に体験してみた。
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◎ るーぷる仙台
観光スポットを巡って仙台市内を一周するメルヘンチックなバス、それがるーぷる仙台である。コースは青葉山キャンパスや仙台市内中心部を通りながら十一ヵ所を一時間かけて回る。初めて訪れた人が仙台の様子を知るにはもってこいだ。
一回の乗車につき二百五十円かかるが、今回は六百円の一日乗車券を購入。これは買った日のうちなら何度でも乗車が可能という、一日に何ヵ所か回る場合にはとてもお得な券である。
では回った中から何ヵ所かお勧めスポットを紹介しよう。
○ 理学部自然史標本館
工学部・理薬キャンパスから乗るならこのバス停だ。新しい建物が多い青葉山の中でも一際輝くアカデミックな建物。東北大生は入場無料（高校生は１５０円）ということで意気揚々と乗り込んだ。入った瞬間、ステゴザウルスの全身骨格が目に飛び込む。さすが東北大、凄い！と思ったら説明にはレプリカとの文字が。残念。
他には天井からぶら下がるクジラの骨格(本物)、地味だが量は多い化石や岩石、居眠りする理学部生（受験当日にいるかは不明）などを見ることができる。博物館として見ても面白く、大学での勉強への意欲を高めてくれるだろう。
○ 宮城県美術館
川内北・文系キャンパスから乗るならこのバス停。Ｃ棟側から出て、坂を少し下ると左手に宮城県美術館が見えてくる。中には国内外の作家の作品２８００点の展示、企画展、宮城出身の彫刻家佐藤忠良の記念館がある…らしい。いかんせん、学生さんはお金が無いのだ。建物を眺めつつ、中庭「アリスの庭」で彫刻と戯れる。うん、これだけでも充分楽しい。
○ せんだいメディアテーク
仙台市が誇るハイテクハイカラおしゃれスポット。全館ガラス張り、一階から七階までを幾本ものチューブで貫かれた建物を見上げ、やはりハイカラだ、とひとり納得。中にはカフェ、ショップ、ギャラリー、図書館などが入っているが、七階から定弾寺通りを見下ろしたり、各階を探検してみたりなど、建物だけでも充分楽しめる。
○ 青葉城址
バス停を降りて城址にある護国神社と青葉城資料展示館へ向かう。ふと右を見ると「靖国神社公式参拝を継続させましょう」と書かれた看板が。不安を覚えつつ更に進むと、「青葉城はありませんが、資料展示館にはあるんです」との看板を発見。そのおかしな日本語に脱力するが、翻訳するとＣＧで再現した青葉城が展示館の売りということらしい。
神社自体は普通だが、おみくじは東北初見参！の獅子舞人形が引いてくれるし、観光地御用達の顔はめ人形ももちろんある。そしてバス停に向かう道には「お客様！青葉城を見ないで帰りますか？」との看板。もう意地でも見てやるものか。このように青葉城址は突っ込みどころが満載だ。
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◎ 松島
宮城を代表する観光名所であり、言わずと知れた日本三景の一つ。ＪＲ仙石線に乗り、松島海岸駅で降りると、そこは日本三景、というにはあまりに普通の海岸が広がっている。しかも寒い。人がいない。今はシーズンオフだからと自分に言い聞かせ、とりあえず王道と思われるコースを回ってみた。
○ 遊覧船
様々なコースの遊覧船がでているが、松島湾発着で一時間ほど湾内を回るコースがお勧めだ。料金は１４００円。数多く浮かぶ島や岩によって次々と表情の変わる海を飽きずに眺める。途中波が荒くなったときを含め、それほど揺れることはないので、初めて船に乗る人も安心だ。景色を見るだけでは物足りない場合、デッキに出てカモメに餌をやる事もできる。船の上で優雅に餌をやる私、それを必死に追うカモメ。冬の海の寒さをものともしないほど楽しい光景だ。松島の最初のひなびた印象をぬぐうのにぴったりの遊覧船、お勧めだ。
○ 瑞巌寺
伊達政宗の菩提寺として有名な瑞巌寺(拝観料７００円)。まず圧倒されたのはその参道だ。両脇には見上げるほどの高さの杉の木が並び、その静けさ、厳かな雰囲気に私でさえ思わず姿勢を正して歩く。本堂の中には欄間の彫刻、ふすまに描かれた絵画などがあり、見入っていると「営業時間はあと十分」との声が。２月は午後四時までなのだ。慌てて堂内を回る。不完全燃焼。返す返すも残念だが、このことも含め、瑞巌寺はまた行きたいと思わせる寺だった。
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以上二つのコースからお勧めスポットを回ってみた。名所というものは地元の人間は意外と行かないものである。仙台に住む前に一度行ってみてはいかがだろうか。
