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キャンパスライフは危険がいっぱい
『彼』から学ぶ正しい生活

入学お祝い号7面・大学

大学生活を開始して一週間もたつと、様々な誘惑が自分を取り巻いていることに気付くだろう。酒、タバコに恋愛。上手に付き合えばこれほど面白い物はない。だが、それらに潜む危険性を軽視してしまうと、人生を踏み外してしまう。そう、彼のように。

 ◆    ◆

彼の人生は栄光に包まれていた。中学・高校では常に学業優秀で、人望も厚かった。いわゆる難関大学に合格した彼は、家族の期待を一身に背負っていたが、やがて消息不明となる。

彼の身に何が起こったのか。始まりは、一本のたばこだった。

〇たばこ

それまで無菌状態で育ってきた彼は、周りの人がたばこを吸っていることに仰天した。「なぜだ。君たちはまだ未成年ではないのか」。彼は片っ端からたばこを取り上げていった。しかし、彼はあるコンパでジュースと勘違いして焼酎を飲んでしまい、したたかに酔ってしまう。そして無意識の内に、彼は友達のたばこを口にくわえた。

うまい…。これに気をよくした彼は、いつのまにか一日二箱は当たり前のヘビースモーカーと化していた。

〇酒

たばこを吸うことで自らの倫理観を崩してしまった彼は、徐々に変貌を遂げた。髪も黒から茶色に変わり、週に五回は徹夜で酒を飲んだ。その頃から大学には顔を出さなくなっていった。

ある日鏡を見たら、別人と化した顔があった。目は黄色く濁り、落ち窪んでいる。自分でも危ないと感じるが、酒は止められない。そんな彼に、接近する女性がいた。

〇異性関係のトラブル

女性は優しかった。周りの友人は酒に依存し始めた彼から離れて行ったが、女性だけは優しかった。彼は女性のために酒をやめようと決意し、結婚まで考えるようになった。

一緒に暮らし始めてから二ヶ月後、「三百万円の借金を抱えているの」と女性は告白した。彼は衝撃を受けたが、女性のためにお金を工面しようと一生懸命に働き始めた。ようやく三百万円を貯めると、彼は女性にお金を渡し、同時にプロポーズした。翌朝、机に置いてあった手紙を読んで、彼はだまされた事を知った。

放心状態で町を歩いていると「アンケートに協力してくれませんか」と青年に話しかけられた。弱りきっていた彼は強引に押し切られ、青年について行くことになった。そこは街中のビルの一室。異世界が彼を待ち受けていた。

〇宗教

まず目に飛び込んできたのは、奇妙な形の像だった。部屋は薄暗く、何やら異臭が漂っている。と、横から青年が言った。「人類は滅亡に向かって進んでいます」。頭が混乱する中、教祖と呼ばれる人に会うことになった。

教祖の話は長かった。頭に霞がかかっていく中で、彼はビデオを見ることになる。長い。彼はもう何も考えられなくなった。「人類は滅亡する」。この言葉が頭の中で繰り返される。この日、彼は伝道師となり、教祖の手足として働くことを義務付けられた。

彼の両親は連絡のつかない息子を心配し、捜索願を出した。二年後、警察は彼を発見し、教団から足を洗わせた。そのとき彼は、泣いた。

〇ひきこもり

両親は彼に大学を卒業することを要求した。せめてもの親孝行にと思い、彼もそれを了承した。遠回りはしたが、まだ彼は大学3年目だった。彼は久しぶりの大学に緊張しながら、教室に入った。

彼を知る者はいなかった。また、彼が知る者もいなかった。何とか周りに溶け込もうとするが、不信そうに見られるだけ。この二年でひどい人間不信に陥っていた彼は、恐怖を感じた。周りの人たちに嘲笑われているのではないか。僕の居場所はもうここにはないのではないか。次の日から彼は、外界を拒絶した。

 ◆    ◆

こうしなければよかったのにと嘆いてみても、現実は変わらない。将来を有望視されていた若者は、闇に葬られてしまった。

大学生活には危険が潜んでいる。甘い誘惑が待っている。トラブルに巻き込まれてしまっても、自分で対処しなければならない。お大事に。


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