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「世界選手権騒動記録 3」



記録3 (3月27日(月)) 公開練習、男子予選B組

朝6:30の公開練習に備えてなんと朝4:30にモーニングコールを頼んだシェリル。シャワーを浴びたいからだそう。彼女に「私は6時前まで寝るからね」と宣言していたが、眠りが浅かったのを差し引いてもあのけたたましいモーニングコールは嫌でも目が覚める。シェリルがすぐに起きなかったのが不思議。結局私が起こすことになった。その後寝直したが。
彼女は「ベン予選通るかな…」と心配そう。「四大陸のフェレイラ君なら絶対フリーまでいくって!」と笑って鼻にも引っかけなかった私だが、この10分後には別の選手の予選通過に関して青くなることになった。

オフィシャルホテルってこんな所?2
時間きっかりにロビーに降りた私達。世界選手権用のボードには既に男女予選の組分けとペア・ショートプログラムとアイスダンス・コンパルソリーのスターティングオーダー、プラス公開練習のスケジュール(何時からどっちの予選の組、どのグループの練習が始まるか)が貼り出してあった。
男子予選はB組から始まる模様。エルビスは予選B組の第3グループ、フェレイラ君は同じく予選B組の第4グループ。これだったらあと1時間遅く起きても充分だった。今日は男子予選とペアショートという初日からいきなりの山場、余分なエネルギーは極力使いたくないのに。1時間の睡眠時間の差は大きいんだぞ!
(まあここ数日眠りが浅いから大して変わらないかもしれないが)

せっかく下まで降りてきたんだからやっぱり練習を見に行こう…ということで朝ごはんも食べずに道路を隔てた所にある練習用のリンクへ行く。さすがに朝の6:30から公開練習を見に来るような一般スケートファンは私達くらいだった。見に来ている人はいるが、みんなIDカードを首から下げている。
第1グループで来ていなかったのはプルシェンコとシュメルキン。キュヒュン君(Kyu-Hyun Lee:韓国)は本番の衣装を着て早朝から気合いが入りまくり。アプトは途中から来て流す感じ。第2グループの選手が一般客と同じ入り口からやってきて、人がいない一番上の観客席でウォームアップをしていたりする。田村君が結構早くから来ていた。
第2グループは長身の選手が多くて田村君が埋もれてしまいそう。サルコーを念入りにやっていたような気がする。四大陸の公開練習もそうだったし、苦手なジャンプなんだろうか?リカルド先生が来ていなくて残念だったが、フリーの曲が変わっているのがわかったので早くから見に来ておいて得をした気分。

エルビスのいる第3グループ。出発前に「クワドを転ぶのが多くて結局一度も成功しなかった」というエルビスの公開練習レポートを読んでいたので緊張してくる。
アクセルのコンビネーションを始めにやってからクワドがメイン。曲の通しは振り付け中心、跳んだジャンプは中盤のループとフリップ。クワドに挑戦する合間にそれぞれの位置で各種類のジャンプ。ループとサルコーは最初の1回はダブルになったものの、間をあけてから一発でやり直しのトリプル。
結局クワドはきまらなかったものの、その他の種類のトリプルは本当に朝飯前のようだった。いつになくランディングの姿勢がたくさん見られて、改めてほれぼれする。
浮かない顔ではあったが四大陸選手権の時よりは調子がよさそう。大丈夫。

練習が終わってからは子供達の頼みに応じて2ショット撮影。リンクサイドと観客席は段差があるのだが、観客席にいる子供と並ぶ高さになるようにどこかへ登って一緒に映ってあげるサービスぶり。よかったね、がんばって朝早くから来て。
Uschiさんと帰っていく時に私の目の前を通り過ぎたのだが、あれだけファンサービスをしたのを見てしまうとそれ以上ひきとめる気にはなれない。後から振り返ると「応援大作戦」メッセージを直接渡す唯一のチャンスだったのだが、そのまま見送った。協力してくれた方、ごめんなさい。

第4グループ。フェレイラ君がいるが、アンソニー・リウと郭君もこのグループ。
アンソニー・リウは四大陸選手権の公開練習で見慣れたTシャツ姿。しかし郭君がいない。ちょうど次の練習グループの成江君がリラックスした様子でやってきて人がまばらな客席でウォームアップをしているが、郭君はいない。
ねえ成江君、郭君は?
来ないのね…と思っていたらジャージ姿でやってきた。少し体を動かしていたが、今からウォームアップしても彼の曲に間に合いそうにない。リンクの脇で見学することにしたようだ。アンソニー・リウが笑いながら郭君の目の前の透明のフェンスを軽くたたいて通り過ぎる。ひょっとしてこれは、遅刻したっていうやつかい?通路のすぐ脇、声をかけようと思ったらかけられる場所にいる。帰る時に訊いてみようか(笑)。

フェレイラ君はトリプルアクセルがおもしろいようにきまっていた。本人もご機嫌の様子で早めに切り上げて帰っていく。
実はフェレイラ君がそうしてくれて助かった。10時の予選を始めから見る前にホテルに戻って朝ごはんを食べて、チェックアウトもしておきたい私達にはこの辺がタイムリミット。「向こうのホテルで朝ごはん食べようよ」と言うシェリルを引きずるようにして私達が泊まったホテルに戻り、朝ごはんを食べて会場へ。
(オフィシャルホテルは二つあり、私達が泊まったホテルとカナダチームが泊まっていたホテルは別)

ベレズナヤ組のニュースはこの時ホテルにあった新聞で知った。なんでこんな時に。


背景の写真で見た方が早いが会場のドアは敷地の少し奥にあり、そこまで赤い絨毯の上を進んでいく。入り口がそこしかないのか人が並んでいてなかなか入ることができず、また列の進みが遅い。試合開始まであと15分なのに、この調子で間に合うんだろうか。誰一人として見逃したくないのに。いらいらいらいら。(←この辺が短気で心配性)
私が並んでいる普通の観客の列とは別に、えらく整然と二列に並んでいる列がある。がやがやしゃべっている子供達。先生らしき人があっちこっち見て回っている。授業で来ているのかな?
思わずいらいらを忘れて子供達を観察してしまったが、子供達も観察している私に気づいたよう。東洋人はやはり珍しいのだろう。仲間と顔を見合わせて「ニーハオ」とかごちょごちょ言っている子供もいる。小学校低学年ぐらいかな。かわいいなあ(^^)。

しかしこの15分後にはこのお子様軍団にどうしようもないほどいらいらさせられることになった。


やっと会場に入れ、席へ向かう。ショートサイド(リンクでカーブを描いている部分)の付近を通った時にいきなり大歓声。ウォームアップが始まったらしい。さすが熱心なスケートファンが多いフランス、初日の男子予選でこうか…と思いつつ自分の席について、とりあえず周りの観客を観察してみると。

ショートサイドだけが客でぎっしり埋まっているのだ。

会場全体がそれだけ埋まっているなら驚くことはないが(初日の男子予選で…と驚いたかもしれない)、ジャッジ側、そして私のいる反対側は半分ぐらいしか埋まっていない。よくよく見てみると、ショートサイドにいる観客は子供がほとんど。会場の外で見かけた子供達がそこに座っているということ?
会場の外で並んでいる間もわいわい賑やかだった子供達。子供が集団でいて静かなわけがない。会場に入ってスケーターを見ようものならなおさら。第一滑走のプルシェンコがリンクに出てきてポーズをとり、曲が始まるのを待っている間も静かにならない。
うるさいんだよっ!

いやいや抑えなければ。きっと男子予選で私の神経がピリピリしているから勘にさわるだけ、不快に思う筋合いはない。普通の試合の盛り上がりが楽しめて、子供達が楽しく盛り上がっているのを不快に思うなんてどうかしている。
そんなことより観戦、観戦。


Kyu-Hyun Lee(韓国)
ヘアスタイル、衣装と共に一昨年の妙な…もとい、韓国のCD屋さんで見たアイドル系の路線に戻してきた。
「School」という題名の「コンピューターを駆使しましたよ」という感じの曲。学校の「キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン」というチャイムが途中で入る。音楽番組で見るようなダンス系の振付けといい(振付けはキュヒュン君自身)、あれは韓国のアーティストが作った曲で、彼自身がその人のファンなのではないかと推測しているのだが。SAMさんにコメントしてほしかった(笑)。
「やるぜ、やるぜ!」という気合が顔に出るタイプ。四大陸ではそれが空回りする出来になってしまったが、今回はうるさいお子様にも動じず滑りぬいたと思う。出だしのトリプルアクセルのコンビネーションを転倒した以外に大きなミスはない。去年よりスピードがついた。
しかしスターティングオーダーを見て「このメンバーじゃきつすぎる…」と思った通り、B組17位の予選落ち。この出来なのに〜(泣)!

フランスのスタニック・ジャネットへの応援がすさまじい。さすが地元の選手、お子様だけでなくそれ以外の観客も盛り上がるのだ。
クワドのコンビネーションがきまり(もってたのね^^;)、転倒もあり。いろんな意味で観客が盛り上がった演技だった。

Michael Shmerkin(イスラエル)
友人がリレハンメルオリンピックの時に「イスラエルの選手でものすごくかっこいい人がいる」と新聞で見つけ、96年NHK杯で存在を確認して以来注目していた。
出だしにトリプルアクセルをきめたかほんの少しのミスかで観客が盛り上がる。ここで波に乗るかと思いきや、ジャンプのミスが続いていった。息切れは見せないものの振付けに余裕がなく、滑るだけで精一杯そう。ジャンプをミスしても曲にノリノリで楽しそうな演技を見たことがあるだけに、正直言って寂しい。
長野オリンピック以来国際試合で名前を見かけなかった彼。どうしていたのだろう。




第1グループが終わると出口に吸い込まれるようにしてお子様軍団が帰っていく。残ったショートサイドはせいぜい3割ぐらいしか埋まっていないのでは?これなら前回のヘルシンキと似たようなものか。
いらいらの種が消えてほっとするが、第1グループの選手だけあの条件で滑ることになったのかと思うと彼らが気の毒に思えて仕方がない。


Filip Stiller(スウェーデン)
「背が高いなー」と思っていた同じグループのロマン・スコルニアコフ(176cm)が小さく見えるほどの体の大きさに思わずチェックを入れてしまった。それもそのはず、187cm。
これくらい体が大きくて国際試合にデビューした頃に動きが鈍臭い印象の(あくまで印象。スケートができるのだから鈍臭いはずがない)選手がいたが、彼の場合スピードは劣るものの動きの鈍さは感じられなかった。まだシニアにデビューしたての18歳、どうなっていくかこれからが楽しみ。

田村君、出だしのクワド狙いでミス、二度目のクワドにトライしてまたミス…。途中のトリプルでもミスがあったと思う。長身の選手が多かったこのグループ、ただでさえ細身なのにそれが際立って余計に痛々しいものがあった。
予選はぎりぎりセーフ。ほっ。

Ricardo Olavarrieta(メキシコ)
四大陸の公開練習で自分の練習をしつつ後輩の選手の練習を見ていた姿が印象的だったので、「リカルド先生」と呼んでいる。
四大陸のフリーの曲はエルビスと同じ「The Mummy」だったが、今回はその時のショートで滑った白鳥の湖のロングバージョン。衣装もそれと同じ。彼にはこういう曲の方が似合うと思っていただけに嬉しい。
ジャッジの目で見れば点数が出せないのは仕方がないのだろうが、「曲を聴きながら心を込めて動いている」ということを感じさせてくれる演技。四大陸で転倒したトリプルも二つきまっていた。先生がんばりました。


製氷の後第3グループ。


競技の一番始めにある男子予選は観戦ツアーの日程にないのだろうか、アメリカやカナダ人の集団の姿が見えない。カナダの大応援団がいると「旗を振るだけでいいや」と行動意欲が薄れるのだが、こうすいていると燃えるものがあるひねくれ者の私。
前の列の人にカナダの小旗を配ってエルビスの時に応援を頼むと喜んで引き受けてくれた。そのうちの一人のおばあさんはエルビスのファン。
「ブタペストやプラハの世界選手権に行ってエルビスを見たのよ。ウィーンに住んでいるからちょうどよかった(笑)。」

昔のエルビスのスケートをリアルタイムで見た人がここにもいる。
うらやましい。

ウォームアップ、つれづれなるままに滑っている時のエルビスのスケーティングを見ていると視界がクリアになったような気がする。製氷直後の氷なのでなおさら。で、速い!全然足を動かしていないのに、なんであんなに速いの?去年とスケーティングの質が全く変わってしまったような気がしているのだが、その話は別の機会に。2アクセル−3トゥのあとクワドのチェック。全てトリプル。
本番でも最初のクワド狙いはトリプルになった。そこからは淡々とジャンプをきめていく。最後のステップ、私の席のすぐ前の開始地点からリンクの奥に吸い込まれていくように遠ざかっていく。いい感じ、いける…と思った瞬間最後のサルコーでオーバーターン。おしい!
満足のいく様子ではなかったが、この時点で1位。クワドはないもののまとめ上げたというところか。
エルビスはコンスタントに力が出せるスポーツ選手であることを改めて認識。何もファンがナーバスになることはない。


NHK杯、四大陸、世界選手権と気がつけば今シーズン3回アンソニー・リウの演技を生で見てきたことになる。
クワド−2トゥはきまったが次の3アクセルでミス。この先はどうだったのか覚えていないが、B組7位だから他にもミスはあっただろう。それでもプログラムのこなれ具合がNHK杯とは別人みたいに違っていて、この時の演技で彼に惚れ直した。こんなに味のある演技をする人だったとは。
来年オーストラリアの国旗用意することになるんじゃないか…と頭を抱えたのだが、ショートサイドの出口に「Anthony Liu simply☆ the BEST」という応援幕がかかっているのを見て安心する。色は違うが字体は去年のそれと同じ。
さすがに一人三カ国応援人は神経がもたない。


郭君…フリルのブラウスでバリバリのクラシック…がんばってプレゼンテーションの対策をしたんだろうなあ……。
しかし応援人の私が書くのは辛いが、この人音感がないんじゃないだろうか。振付は去年と段違いにいいと思う。他の人がやったら…去年同じ曲を使ったAさんやBさん(丸わかりなのだが匿名で書きたい気分)がやったらどれだけ映えるか簡単に想像できるくらいなのだから……ああっ、重なる相手が悪すぎる〜〜!(大泣)
おっと演技のレポートをしないと。するつもりで来ていた練習ができなくなって(?)大丈夫なのか心配していたのだが、前半のクワドをあっさりきめた。しかしGPシリーズでやっていた2度目のクワドはなくなっていた。入れられるものなら入れたのだろうが、後半スピードが落ちなかったのでこっちの方が私は好き。クワド2回にこだわりすぎてループがダブルになるなんていう、誰かさんみたいなことをシーズン中3回もしなくてもよろしい(笑)。

Ben Ferreira(カナダ)
今回の相棒、シェリルがラブラブ状態。エルビスのメーリングリストに入っていたはずの彼女が99年のカナダ選手権でフェレイラ君を見て、「He is SOOOOO cute!」と一目惚れしたのだそう。ま、確かに可愛いわな。
今シーズン初めてGPシリーズに出た彼はスケーターには珍しく12歳からフィギュアを始め、わずか8年でここまで上がってきたもうすぐ21歳になる20歳(世界選手権当時)。
このフリーは古きよきアメリカ西部という感じの楽しいプログラムなのだが、今回はミスが多かった。しかし緊張して固くなっている様子もなく、演技が終わってからも明るい顔。いい精神状態で滑れたのでは?予選も余裕で通ってよかったよかった(^^)。

しかしシェリルは「出来が悪かった」と落ち込んでいた。その辺がファンね(^^;)


予選B組が終了。会場を歩きまわっているうちに予選A組が始まってしまう。おなかは空いていたのだが、ミネラルウォーターを買うのが精一杯だった。

(4へ続く)


注: この観戦記に載せているスケーターの写真はもちろんトリミングしています。黙っているのは心苦しいので先に申告しておきますPhotoshopに感謝(笑)。
まさか男子予選を途中で分けるほど書くことになるとは…でもほら、公開練習も入っていたし、あまり長いと会社ネッターの方に悪いし(言い訳)。

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