よくある質問:家庭での学習編
日本人保護者の集いの際に出た家庭での子供の学習に関する質問を中心に集めてみました。質問に対する答えはスクールサイコロジスト、ESLの先生などの意見をまとめたものです。引き続き、参考となりそうな質問を追加していく予定です。
勉強時間
勉強内容
- アメリカ人の子供達はだいたいどれぐらい家庭で勉強をしているのですか?
目安としては、1年生:宿題20分+読書15〜20分ぐらいを学校では進めています。
2年生:宿題30分+読書20分
3年生:宿題45分+読書20分
4年生:宿題60分+読書20分- 言葉の問題があり、アメリカ人の子供達に比べてどうしても宿題に時間がかかってしまうのですが、どれぐらい頑張らせたらよいでしょう?
まず、担任かESLの先生に宿題を終わらせるのにどれぐらい時間をかけるべきか確かめましょう。子供の英語のレベルによって宿題を易しくしてもらったり量を減らしてもらっている場合が多いと思います。もし言われた時間より少し長目に宿題に取り組んだのに宿題が終わらなかった場合は、「○○は◇分(/時間)頑張って取り組み、ここまで終わりました。」とメモを添えて終わった分を提出しましょう。こうして子供の学習具合を先生に知らせていかないと、子供の英語レベルに合わない難しい宿題がどんどん増やされてしまい、取り返しがつかなくなってしまいます。それから、子供が疲れるまで勉強させたり、宿題のために睡眠時間を減らすようなことがないようにくれぐれも気を付けて下さい。授業中に眠ってしまったり、疲れて学習活動に身が入らない日本人の子供達の話を時々先生から聞かされます。実際、その度に家に連絡し親に警告する先生もいます。学校は家庭とは異なるアメリカ社会を家族と離れて自分で体験し理解し適応していかなければならない場所でもあります。宿題を完璧にすることよりも学校活動にできる限り参加することを優先させて下さい。
宿題のサポート
- 子供が教科書を家に持って帰らないので、予習・復習を手伝ったり、何を勉強しているのかさえよくわからないのですが・・・?
低学年の場合、日本のようには教科書を使わず、先生が自分達で作ったプリントなどで授業を進めるので、どう子供の学習を家庭でサポートするか、頭の切り替えが必要になります。各学年で何を勉強するのかは、最近は多くの学区のウェブサイトに掲載されていることが多いので、確認してみて下さい。(ただし、月毎の学習予定といった細かいプランではなく年間の学習目標のみです。)多くの小学校の先生達は毎週学級通信を発行し、子供達が今何を学んでいるのか知らせていると思いますので、それに目を通すことも忘れずに。アメリカの学校では一般的に何年生でどんなことを習うかを知りたい方は、私のYouTubeのチャンネルで話しておりますので、 『アメリカの学校では何年生で何を学ぶ?』のビデオをご覧下さい。- 夏休み中にざっと目を通せるように次の学年で使われる教科書を知りたいのですが・・・?
教科書の指定は州か学区が行っており、そこで作られた教科書リストの中から校長先生が選んでいる場合が多いと思われます。ですから、年度末にでも校長先生に理由を伝えて問い合わせるのが確実だと思います。もし、教科書が変わってしまっても構わないのであれば、今の担任の先生や近所で上の学年に通っている子供のいる家庭にタイトルを聞いたりしてもよいかもしれません。コミュニティによっては公立図書館に学校の教科書を置いているところもありますし、出版社のウェブサイトに関連情報や学習関連アクティビティがあったりするので、内容をチェックしてみてもよいでしょう。参考までに、アメリカの学校の教科書のメジャーな出版社のウェブサイトを下に挙げて置きます。
【おすすめ学習サイト】- McGraw-Hill
- Houghton Mifflin Harcourt
- SAVVAS
イリノイ州の教育庁のウェブサイトにホームスクールで使える補習用ウェブサイトが科目ごとにいくつかリストにまとめられているのでチェックしてみて下さい。リストの中に入っているIXLのサイトに関しては上記の『アメリカの学校では何年生で何を学ぶ?』のビデオ内でも簡単なデモンストレーションをまじえて紹介しておりますので、どうぞビデオをご覧下さい。
- ホームスクール用オンラインリソース
05/21 updated
- 口頭で宿題を言われて子供が宿題が何であるか自体わからないまま家に戻ってきてしまうのですが・・・?
低学年の場合は、普通、先生が黒板に宿題を書き、子供達がそれを書き写し、そのノートを先生が確認してくれているはずです。或いは、宿題内容が前もってわかっている場合は、プリントが配られるかもしれません。もし、口頭で言われてしまった場合は、書いてもらわないと子供が理解できないということ、ノートを見ても具体的にどう宿題に取り組んだらよいのかわからない場合は、もう少し宿題の説明が必要であることを先生に伝えましょう。学校によっては宿題ホットラインを設置していたり、先生のウェブサイトに載せている場合もありますので、それで確かめることもできます。- 英語の絵本を子供に読み聞かせるには私の英語の発音が悪いのですが・・・?
それほど気にされる必要はないと思います。子供は学校ではアメリカ人の発音を嫌なほど聞いているので、家庭での限られた勉強時間内に少々悪い発音を聞いたとしても発音習得にはそれほど影響はないでしょう。意味のないよい発音の英語を聞かされるよりも少々発音が悪くても意味を説明してもらえる方が子供の学習に役に立ちます。そして、意味の説明は家庭だからできることでもあります。ここで大切なのは書かれたものから何か新しいことを学ぶというスキルを習得することであり、これは Classroom Englishの第1歩であるということを忘れないで下さい。Classroom Englishと Conversational Englishの違いについては『2種類の英語』のセクションを参照下さい。どうしても発音が気になる方は絵本のオーディオブックやコンピュータの朗読プログラムなどを利用しましょう。それから、アカデミックな学習そのものではないのですが、完璧ではない英語でも子供の勉強を見てあげようとするポジティブな親の姿勢は子供にきちんと伝わります。異文化で生活する子供達は何事も完璧にこなすのが難しい状況に置かれています。自分が完璧ではないからと代わりの完璧なものを与え続けようとすることで、‘完璧でなければならない’というメッセージを無意識に子供に教え込んでしまい、子供の心理的負担の原因になってしまうこともあります。できる範囲の中でベストを尽くすことを親自身が実践し、子供のよい御手本になるように努力することも必要です。
- 子供が英語の読み書きができないので、どうしても親がやらなければならない状況なのですが、どこまでやったらよいものでしょうか?
ESLの子供の場合、親が宿題を完璧にして出しているということはだいたいの先生は把握しており、ある程度仕方のないことだとは理解していますが、先生は、親や家庭教師がどれぐらい勉強しているかということより、子供の学習具合を把握し、サポートしていきたいと思っています。ですから、宿題の目的が何であるのかを把握し、それに沿って親がどのように宿題を手伝ったのかを伝えるとよいでしょう。例えば、日記の宿題でしたら、先生は作文力よりも毎日子供がどんなことをしてどんなことを考えているのかを知りたいのですから、初めに子供に日本語で日記を書かせ、それを親が英訳し、子供の日本語と親の訳の両方を提出してもよいと思うのです。大切なのは、子供の英語のボキャブラリが増えるまでしばらくそうしたいとあらかじめ先生に知らせておくことです。作文力の問われる writingのクラスの宿題の場合は、文法やスペルミスを親が全て直したり、間違っている箇所を「このスペル、間違ってるよ!」と具体的に指摘するのではなく、「これ、もう少し考えてみたらどうかな?」と見直しを促すようにしましょう。もし、それでも子供が間違いに気が付かなかった場合は、そのまま提出、或いは、どうしても直したい衝動に駆られてしまったら別の色のペンで添削するなどし、先生には子供が間違いに気付かなかったことを知らせましょう。宿題は場合によっては先生の教え方や説明が十分ではなかったことを指摘する手段にもなります。- 家庭教師はやはりつけた方がよいのでしょうか?
これは各家庭の判断によるものです。もし、家庭教師をつけたいのだけれど、誰に頼んだらよいのかわからないという場合は、先生に聞いてみて下さい。学校に家庭教師のリストがあるはずです。(宿題だけではなく、美術や音楽のレッスン等を受けたい場合なども学校にリストがあります。)家庭教師をつける際に気を付けた方がよいことは、勉強関係をいっさい家庭教師まかせにしてしまわないようにすることです。子供が学校でどんなことを学んでいるのかを把握していないと、学校と家庭での連携的な学習サポートが難しくなり、子供の学習問題を大きくしかねません。親ができる学習サポートに関してはチェックリストを参照下さい。
- 事情があって時間に余裕を持って子供の宿題を見てやれないのですが、学校で宿題を見てもらうわけにはいかないでしょうか?
以前私が勤めていた小学校(幼稚園〜4年生)では毎日授業の始まる前(朝7時からオープン)に有料の Before-School Child Careプログラムを設けており、そこで宿題を見てもらうことができました。このプログラムは先生の監督の下に、資格のあるスタッフがプログラムの運営を行っており、子供とスタッフの比率は登録人数が多くても10対1に抑えられています。大抵、先生の方から忙しい家庭に通知が行きプログラムに登録という形になるようですが、家庭側から進んで登録することももちろん問題はありません。登録人数が多すぎたり少なすぎたりする場合は子供の通う小学校でプログラムが受けられない可能性もあります。プログラム料は学期毎の支払いになり、子供の参加日数によって次のようになっていました。(*第1学期=8月末〜1月、第2学期=1月〜6月半ば):週1回:$117.00(/学期)似たようなプログラムがあるかどうかは、各学校か学区のオフィスに問い合わせてみて下さい。
週2回:$225.00
週3回:$310.50
週4回:$396.00
週5回:$477.00他の学区のESLのプログラムではバイリンガルのテューターを積極的に探し雇っており、日本語の話せるテューターがいる場合は、テューターのスケジュールによって週に2回ほどESLの授業時間に日本語で学校の勉強をみてもらうことができました。この場合、英語の発音や文法、読み書きなどはESLの先生に習い、授業の内容や宿題を日本語で説明してもらうという形になります。
また、イリノイ州では、学校に英語以外の母国語が同じ子供が20人以上いる場合は、Transitional Bilingual Educationとして資格のあるバイリンガルの先生が子供の英語力がつくまでESL以外の授業内容も教えなければならないとされています。