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発端

335 名前:>330投稿日:2000/08/09(水) 03:06

あり得る。
必死に自分たちが無害であることを主張するブルネシア国民。
しかし人間達の彼らを見る目は冷たい。
アレクサンドリアにブルネシア人駆除の世論が持ち上がる。

ベアトリクス「陛下、もはや国民の声は抑えきれません。
       このままでは内乱なりが勃発する恐れも・・・」
ガーネット 「・・・やむをえない。ネズミ共を皆殺しにしろ。
       但し、フライヤには義理がある。彼女とその家族は逃がしてやれ」


 

337 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/09(水) 03:18

>>335
335さんの文を、ガーネットが萌える様に改造。

ベアトリクス「陛下、もはや国民の声は抑えきれません。
       このままでは内乱なりが勃発する恐れも・・・」
ガーネット 「・・・やむをえない。ネズミ共を皆殺しにしろ」
ベアトリクス「・・・陛下のかつての仲間でした、フライヤ殿は如何いたしましょう」
ガーネット 「聞こえなかったのですか、ベアトリクス。私は皆殺しにしろと命じたのです。例外はありません」
スタイナー 「陛下、フライヤ殿のことは再考を!」
ガーネット 「スタイナー。私がアレクサンドリアの、そして世界の王なのだ。その私に意見した罪、死で持って償うがよい」       

 

 

 

 

 

スタイナー処刑

]339 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/09(水) 03:48

337さんの続き
スタイナ−「な、なにをご冗談を姫さ・・・」
ガーネットの手に古ぼけたダガーが鈍く光り、同時にスタイナーの首が床に落ちる。
感情のない目でかつての忠臣を見つめるガーネット。
ガーネット 「フン・・・わたしはもう姫様ではないと何度言わせたらわかるのだ?
       昔から進歩のない男だ・・・」
ベアトリクス「そ、そんな・・・・あ・・アデルバードーーーッ!!!!」
ガーネット 「くだらぬ。悲しむような素振りをしおって。
       貴様とて融通の利かぬ夫が厄介になってきたところではないのか?
       聞いておるぞ、お前が夜な夜な自室に夫の部下達を引き入れているという話を」
ベアトリクス「・・・へ、陛下!?」      
ガーネット 「わたしの眼が節穴だとでも思っているのか?
       泣き真似が無駄だと分かったのならさっさと死体を始末せい」

 

 

 

 

 

ベアトリクスの元に手紙

340 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/09(水) 05:42

339さんの続き
スタイナーが処刑されて数日後、勅使がベアトリクスの手元に短剣と一通の手紙が届けた。

汝は何の功があって、アレクサンドリア軍の将軍を務めているのか?
私は、汝にアレクサンドリア軍の全権を任せているが、
私が女王に即位してからは、それを用いて一寸たりとて領土を広げておらず、
軍をただ甘やかせ、堕落させるばかりである。
そればかりか、若年将校を己の好みのみで採用し、それらを性欲の捌け口として用いたと聞く。
軍を私物化し名誉を地に貶めさせたこと、これは不忠なり。
それに、姦通は夫に対する背信行為であり、国家の忠誠の兆章たる国軍の長の行為として如何な物だろうか?
また、汝は夫の叛意に気付いていながら諌める事をしなかった。
それのみならず、私に報告することもしなかった。
以上の罪は真に許しがたい物なり。
ここに下賜する短剣で自決することを命ずる。

 

 

 

 

ベアトリクスの決意

345 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/09(水) 08:51

340さんの続き。

ベアトリクス「これもまた運命か」
       短剣を手に取り、白銀の刃を己の喉に押し当てるベアトリクス。
       その時彼女の目に壁に立てかけられた長剣の姿が映った。
       聖剣エクスカリバー。
       気が付けばベアトリクスはエクスカリバーを手に自室を飛び出して
       いた。
ガーネット 「どこへ行くつもりです。私はあなたに死ねと命じたはずですが」
       数十人の兵士を背後に引き連れたガーネットが冷ややかな
       口調で言う。
ベアトリクス「ガーネット様、今一度お考え直しを! プルメシアへの
       侵攻など血と悲しみしか生みはしません!」
ガーネット 「あなたも無能な夫同様私に楯突く気ですか…そう…」
       ガーネットが右手を振り上げ、それを合図に兵士たちが一斉に
       抜刀する。
ガーネット 「犯すも殺すも好きにしなさい」
ベアトリクス「ガーネット様っ!!」
ガーネット 「殺れ」
       数え切れぬほどの刃が一斉にベアトリクスに襲い掛かる。
       手にしたエクスカリバーを抜き去り、一閃。三人の兵士が
       倍の数の肉塊になって地面に転がる。
ベアトリクス「私の想い出はセイブザクイーンと共に…そして私の想いは
       エクスカリバーと共に!」
       咆哮にも似た声をあげ、ベアトリクスは剣を振り続けた。
       と、そのときだった。
ガーネット 「クックックックッ…アハハハ、アハハハハハハッッ!!」
       突然響き渡ったガーネットの笑い声にその場にいた全員が
       動きを止める
ガーネット 「いいでしょう、あなたの命預けておいてあげます」
       ガーネットはベアトリクスの胸に付けられていた階級章を
       ちぎり取った。
ガーネット 「兵を持たぬ将軍に何ができるのか…せいぜい足掻きなさい」
ベアトリクス「ガーネット様…」
ガーネット 「引き上げます! そこの二人、死体を片付けておきなさい」

 月夜に響くガーネットの笑い声に背を向け、ベアトリクスは歩き出した。
 「全てが終われば私は貴方の元へ逝きます。ただ今は少しだけ時間を下さい」
 エクスカリバーを鞘へと収め低く呟く。
 暑く長い夏の夜の出来事だった。
 

 

 

 

 

 

 

 

ベアトリクス陵辱

347 名前:345の続き投稿日:2000/08/09(水) 16:05

「将軍、いい恰好ですね」
昨日までは、昨日まではベアトリクスの命令に忠実に従ってきた男が突如反旗を翻した。
すべては、彼女が弱みを見せたのが原因だ。
ガーネットに将軍職を剥奪された後、かつての部下につい気を許し
自室のベッドの上で一杯の杯を受けその中に薬が入れられていたのが原因だ。
一服盛られたと気付いた時にはすでに遅く、眠りに落ちる精神をもはやどうすることも
できなかった。
次に彼女が気付いたときには、彼女はベッドの四隅に両手足を括られ
大の字状態で縛りつけられていた。
「・・・なんのつもりだ?」
このならず者たちを女の身でいままで従わせてきた女将軍の精一杯の凄味と
威厳をもたせて、彼女は静かにかつての部下に問うた。
本来なら、これだけで抜き身の刃と同じ恫喝をもたらす彼女の脅しも、しかし
今の状況では通用しなかった。
白いブラウスの胸元は大きく開かれ、彼女の、見事な乳房が惜しげもなく
さらしものにされている。そして剣術などやる女にはふさわしからぬ華奢な
ウエストと腰骨の張った腰、そして髪と同じ亜麻色の産毛を生やした股間から、
しなやかに伸びる二本の足までは一糸まとわぬ姿で男の前にあった。
彼女はその股間を、男たちの方に突き出す姿勢を余儀なくされていた。そして
左右の足が大きく開かれ、その付け根にある柔らかい割れ目は半開きに口を開き、
艶やかな秘肉をかすかにのぞかせていた。
「こんな状況で凄んでみても滑稽なだけですぜ。ベアトリクス様」
昨日までは自軍の副長を務めていた男が、傷だらけのごつい指をその
柔らかな空洞に強引にねじりこむ。両手首両足首を固定され、あがらおうにも
彼女には腰をゆすることしかできない。
「やめろ。・・・今ならまだ、なかったことにしてやるぞ」
できるだけ不安を抑えるよう、努めて静かに、ベアトリクスは男に語りかけた。冷静に、
できるだけ自分に余裕がある様に見せようと。しかし実際には彼女の声には
かすかな震えが混じってくる。
ほんの昨日まで、女の身でありながら彼らの上に君臨してきた彼女の、万一の反撃に
一抹の恐れを抱いていた副長だが、彼女のおびえに余裕を見たのか、
ゆっくりと彼女のそばに近づき、その体に手を触れる。しなやかな筋肉を内に
秘めながらも、その体は歴戦の女戦士とはとても見えぬほど柔らかく、しなやかで、
そして、美しかった。
無骨な手が彼女の肌をなで上げ、胸をもみしだき、乳首と、股間の敏感な芽を
つまみ、擦りあげた。無論それは彼女を喜ばせようとしての動きなどではなく、
男が彼ら自身の欲望のために、美貌の女将軍を玩具にしようとしての行為である。
それが証拠に男の手の動きにやさしさは微塵もなく、揉み擦られ、ひねり
あげられ、彼女の純白の肌は見る間に赤黒く染まっていく。
ベッドの四隅に両手足をそれぞれ固定された彼女はちょうどブリッジのような形で、
その体にのしかかってくる男の体を支えねばならなかった。加えて男の
責めに対し、その体をろくにくねらせることもできず、ただただその屈辱に
耐えねばならなかった。
やがて男の責めは指から舌に移行し、彼女の体をなめまわし、胸と秘肉を吸い、
歯を立てる。そしてその責めが当然の権利のように彼自身の性器を用いたものに
エスカレートするまでに、さほどの時間はかからなかった。
「や、やめろぉ・・・」
ベアトリクスの口から弱々しい呻きが零れる。無論そんな言葉に何の力もない。
身をくねらせ、精一杯の抵抗を続ける彼女を嘲笑うが如く、男はその凶器を彼女の
「穴」につきたてた。
「あががぁ! ・・・うぐっ!」
彼女の膣に突き立てられたその「凶器」は
彼女をなぶるがごとく先端からむりむりと、ゆっくり彼女を貫いていく。
「うっぐ!!あああぁぁーーーーーーーっ!!」
膣の括約筋に力を込め、必死に抵抗をはかるが、彼女の意思とは全く関わりなく分泌
される体液のため滑りが増し、男たちの進入を阻止することなど微塵も叶わなかった。
「あああっ!ぐぐうぅぅーーーっ!!」
遂に孤高の女将軍のプライドも陥落する。
あまりの屈辱と惨めさに、隻眼の瞳から涙が零れる。
しかしそんな彼女を哀れむ男はここには一人もいなかった。
男は彼女の意思などいっさい無視して、いや、むしろその屈辱に悶える姿を
楽しむが如く彼女を犯し続けた。


 

 

 

 

 

 

 

大公エーコ

354 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/10(木) 01:07

347さんの続き。

ベアトリクスが陵辱されている頃、エーコはリンドブルム城の自室で、スタイナーが処刑されたことを聞いた。
エーコ「あの愚鈍なスタイナーは粛清されたのね。でも、敬愛するダガーに殺されたんだから幸せかもね」
エーコは、かつての仲間だった愚直な男の顔を思い浮かべて笑みを零す。
エーコ「この調子だと、近い内にアレクサンドリアの国内に怨嗟の声が起こり、内紛が勃発するのは間違いないわ
    そのときこそ、リンドブルムの兵馬がアレクサンドリアを蹂躙するとき」
エーコは、御用商人から入手したラグナロクを持ち、天に掲げた。
エーコ「ラグナロク…。あの時はまだ使いこなせなかったけど、成長することによって使えるようになった剣に封じられし召喚獣、
    ラグナロックの力で、アレクサンドリア市民をアイテムへと変化させてくれよう」
エーコは、呼び鈴を鳴らしてメイドを呼んだ。
すると、間もなく「失礼します」と言う声がして、メイドが部屋に入ってくる。
メイドが部屋に入ってくると、エーコはすぐに呪文の詠唱を始めてラグナロックを召喚した。
すると、メイドの前に一本の剣が突き刺さった。
『すべすべオイルになるが良い!』
こんな声が部屋に響いたと思うと、メイドはすべすべオイルの入った瓶と成り果てていた。
エーコはその瓶を無造作に踏み割って、壁に掛けてあった人形を手に取る。
エーコ「フフフ、ダガー。ジタンの気を引くことでは負けたけど、戦争で勝つのはエーコの方だからね。
    お父さんもそう思うでしょ」
エーコは、かつてシド大公であったルゲイエボーグにそう話しかけて、抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狂った歯車

364 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/10(木) 02:05

一体いつからこの様になってしまったのだろう?
世界崩壊の危機を脱し、霧の大陸3国は固い絆で結ばれ、
全てがうまくいっていた。この世界の平和は永遠のものであると
誰もが信じて疑わなかった。・・・・・・なのに、なのに何故!!
かつてアレクサンドリアで、そう「私達」には確かにあの時守るべきもの守りたいもの
それは確かに存在していた。そして「私達」は共にそれを守る為・・そして
「私達2人」の為に・・・でも・・もうあの日は永遠に返っては来ない。
全てを失った・・全てを・・・奪われた
何かが狂い始めてから・・・何かが・・一体何が・・
・・・今の私にはもう何もわからない、わかりたくも・・・・・ない。
ただ一つ理解できること・・そう、私は・・生きている。
全てを失ったに等しい今であれど・・私は生きている。
なんの・・・為に・・???・・・・・・・・・・・・それは

ベアトリクス「う・・・うぐっ!! ハァハァ・・・ここは?」(ベッドから起きる)
フライヤ「・・気がついたようじゃな。」
ベアトリクス「・・あなたはフライヤ!なぜあなたが!そして私は・・ここは?」
フライヤ「ここは私の隠れ家。アレクサンドリアにどうしても「確かめなければならん」
事があっての・・お主が何故か・・裸同然で気を失おて居るのを見つけての。」

  全てを思い出した。そう私はガーネット様に将軍職を剥奪され
  そして・・・スタイナーが・・・
  さらにその後・・・・・・・・私はッ!!
フライヤ「一体何があったというのじゃ?」


 

 

 

 

 

 

 

続・狂った歯車

369 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/10(木) 02:24

フライヤ「そういえばお主が倒れて居った脇にアレクサンドリア兵が斬り捨てられておった。
そしてお主の手にはスタイナー殿の剣が握られておった。」(エクスカリバーを手に取り
ベアトリクスに渡す)
ベアトリクス「・・・・あなたがこの国に来たのは・・ブルメシアはどうなっているのです?」
フライヤ「・・・・・・アレクサンドリアの総攻撃をうけておる。信じられんことじゃが
よもや再び戦戟を交える事になろうとは・・私にもわからぬ・・。」
ベアトリクス「・・・・・・・・やはり・・ガーネット様は・・なんという・・」
フライヤ「ベアトリクス!!一体この国はどうなっておるのじゃ!!
そなたなら知っていようッ!!ダガー殿は・・ガーネット王女は一体どうなってしまったのじゃッ!!
何故ッ何故ブルメシアに・・・・!!ベアトリクスッ!!教えてくれいっ!!
・・・!!スタイナー・・スタイナー殿は!?スタイナー殿はどうしておるッ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベアトリクス泣叫

370 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/10(木) 02:41

ベアトリクス「・・・・・・・・・ッッ!!!」(涙が溢れ出す)
フライヤ「・・・・??ベアトリクス?」
ベアトリクス「・・すた・・スタ・スタイナーは・・・ッッ!!
ああああああああああああああああああああああああああああああッッ」
(フライヤに抱きつき感泣するベアトリクス。驚くフライヤ)
フライヤ「(しかし何かを察した様に)・・ベアトリクス・・まさか・・
・・・・そんなッそんなッバカなッ!!」
フライヤ「・・・・ガーネット王女が・・・・そんな・・」
(即座に立ちあがり立てかけてあったホーリーランスをとるフライヤ)
フライヤ「・・・・・・なんと・・なんということじゃ・・・
・・・・・・血迷うたかダガァァァーーーーーーーッッ!!!」
(けたたましく隠れ家を出るフライヤ)
ベアトリクス「駄目!!行ってはいけないっフライヤ!!
・・・・・・今の・・今の王女には会ってはいけない!!
待って!!待ってフライヤァァァァーーーーッ」


 

 

 

 

 

 

深夜のアレクサンドリア城

372 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/10(木) 03:10

深夜のアレクサンドリア城
バルコニーにガーネットが立っている。夜風に煽られた黒髪を掻き上げ
玉座の間へと戻る。その瞳にはかつての優しい眼差しは感じられず
不気味に緑色に輝く狂気の眼差しを宿している。

ガーネット「・・・誰かある」
いつもならその一声の後すぐさま侍従の者が現れるのだが
どうもおかしい。現れる気配がない。
ガーネット「・・・誰かあるッ!!!」
苛立ちを含んだ半ば怒声で呼びかける。深夜の大広間に響き渡る。
???「・・・・およびですかな・・ダガー殿。」
ガーネット「・・・・・!!!!!(驚き振り返る)」誰もいない。
しかし今の聞き覚えのある声を察しガーネットの口元に怪しげな微笑が浮かぶ
ガーネット「ククク・・その名で呼ばれるは随分と久しいな・・。・・お前か。」
おもむろに玉座の支柱めがけてファイラを放つガーネット。支柱は無残に砕け散る。
ガーネット「出て来いっ砂ネズミッ!!!!!」
ヒュンと砕け散った支柱から黒い影が飛びガーネットの面前に現れる。
フライヤだった。
フライヤ「・・・・・久しぶりですな・・・ガーネット王女。」
いたって冷静な口調。しかしその眼差しは怒りと闘気に満ちている。
それをあざ笑うかのように
ガーネット「ククク・・・相も変わらず現れる様もネズミだな貴様は。
久しいぞ。フライヤ。貴様ごとき下郎がフッ何用か・・。」
深夜のアレクサンドリア大広間。今2人は再び対峙した・・・。

続く




 

 

 

 

ガーネットの変貌

375 名前:再開〜〜投稿日:2000/08/10(木) 04:25

深夜のアレクサンドリア大広間
フライヤ「・・・・・お主・・・・」
まずフライヤはそのあまりのガーネットの変貌ぶりに面食らった。
かつての愛くるしくそれでいて純粋無垢な面影
今のそれは消え失せ、その眼差しは邪気と狂気に満ち、風貌、面影は
まさに魔王の如くであった。
フライヤは一瞬身震った。このような恐怖に満ちたプレッシャーを
感じたのはあのクジャとの出会い以来、いや今はそれ以上だ。
しかし恐怖感を振り払い努めて冷静な口調でガーネットに語りかける。
フライヤ「・・・何故だ。私には今だ信じうる事は難い・・だが!
あなたが如何に変わられようとあなたは「あの」!ダガー殿に
他ならずッ!問う!我がブルメシアに攻め入るは何の為ぞ!!
そしてっそして・・あなたを・・ダガー、あなたを他の誰よりもッ
誰よりも思うておられたスタイナー殿をッ!真かッ!?真にあなたの
手によっての事であるのかぁっ!?」
知らずのうちにフライヤは涙を流していた。冷静になろうとしても
それは無駄な行為であった。共にあの時笑い、泣き、戦いをともにしてきた
王女以前に「仲間」であったダガーのその思い出がフライヤの脳裏に蘇った。
だからこそそれはフライヤの魂の叫びと心の悲鳴でもあった。
しかしフライヤ渾身のその問いかけも魔王と化した今のガーネットの心には
微塵も届くことはなかった。
ガーネット「ククク・・笑わせるでない砂ネズミ。ネズミが国を持つことなど
愚かしいこと。誰もがそう思うておることを実行に移したまで。
そなたもブリ虫を見つければ殺すであろう?同じ事よ。
あのスタイナーはもはや今の私には必要のなき「モノ」よ。
なまじ奴は私の事を知りすぎておる節があっての。丁度良き機会であったわ。
まあ君主自ら手をかけてやるなど滅多になき事。名誉を重んずる奴に
とっては感謝しておることではないか?そう思わぬか?ククク。
なんせあの男以前はこの私を、こともあろうこの私にだぞ、「恋愛」の対象として
見ておった等と抜かしおったハハハッ初恋?だったとよクククク
あの面で・・のぅ?は・つ・こ・い・じゃと!ギャハハハ・・ッ!!!」
シュバッ!!出し抜けにガーネットの顔脇をフレイヤの槍がかすめる。
ガーネットの頬に一筋の薄傷が付き血がこぼれる。




 

 

 

 

一方、その頃

377 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/10(木) 04:41

じゃあ、任されたので続き書かせてもらいます。

アレクサンドリアがプルメシアに侵攻したことは、すぐにリンドブルムにも伝わり、
謁見室に、エリンが入ってくる。
エリン「殿下に拝謁することが出来、至極光栄であります」
エーコ「堅苦しい挨拶は良いわ。それよりも血相を変えてどうしたの?」
エリン「はいっ! アレクサンドリアがプルメシアへ侵攻したそうです」
エーコ「その話はもう知ってるわ。アレクサンドリアに放った草からの情報で、侵攻の為に準備を行っていたことは聞いているから。
    それにしても、プルメシアに宣戦布告もなく侵攻とは、やることが無茶苦茶ね」
エリン「で、どうなさいますか? プルメシアからは援軍要請の使者が参ってますが」
エーコ「プルメシアに援軍を出しても利は少ないわ。プルメシア領からアレクサンドリア軍を撃退するのに、相当な犠牲を払うことになるでしょうし。
    それよりも、トレノへ侵攻しましょう。プルメシアに軍を裂いていることと、アレクサンドリア市の情勢の不安定さを鑑みるに、
    トレノに派兵する余裕はないでしょうからね」
エリン「と、言うことはプルメシアは見殺しですか?」
エーコ「人聞きの悪いこと言うわね。大体、プルメシアを救う義理はないじゃない。それよりも、この期に領土を拡張すべきよ。
    あと、バクー達を使ってアレクサンドリアでの情報工作を行いましょう。そうね、ガーネットは養子だったという情報を流すのよ。
    そうすれば、不満を持った王族を担ぎ上げる輩が現れて内紛が起こるでしょうから。金の方は糸目をつけないで良いわ」
エリン「御意。すぐに取りかかります」
エリンは一礼をして退室する。
エーコ「フフッ、ダガー…。アレクサンドリアは戴くわよ」
エーコはリボンを握り締めて、そう呟いた。

駄文、済みません。

 

 

 

 

 

 

 

賢者(?)ジタン

379 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/10(木) 05:02

「まさか黒魔道士を増産しろ、というの?」
ジタンの意外な提案をミコトは眉をひそめた。
「そうだ。既に言ったように、今のアレクサンドリアは
亜人類排除思想に凝り固まった危険極まりない狂信国家だ。
ブルネシアは既に攻撃を受けている。いずれこの村もあの暴徒どもに
狙われるのは目に見えているだろ? 俺たちジェノムや黒魔道士が
如何に優れた戦闘力を持っていても、所詮戦争は数だよ。
生き延びる為には、勝たなきゃならない。兵員の増加が
是が非でも必要なのは分かるだろ、ミコト」
「……そう…でもジタン…変わったわね…」
確かにジタンの言う事は正しい。だが、黒魔道士を、
いや生命を戦力として生産するという行為の残酷さを、
クジャとの虚しい戦いの中で嫌と言うほど見せつけられた
ジタンが、同じ行為を選択せざるを得ないという現実に、
ミコトが違和感を禁じえないのもまた事実であった。
「…その回答は、やってくれると解釈していいのか?」
「…ええ。嫌な仕事だけど、あなたの言ってる事は正しいわ」
「頼むぜ…」そう言ってミコトを軽く抱きしめるジタン。
ジタンの真意は今語った事だけではあるまい。自分は騙されている、
と薄々感じながらも、結局ミコトはジタンに従う事を選択した。



 

 

 

 

 

 

フライヤ VS ガーネット

380 名前:さあ続きだ投稿日:2000/08/10(木) 05:03

震えていたフライヤは震えていた。只の怒りだけではない。
いやそれだけならどれほど楽であったか。あのダガーを優しいダガーを
知っているからこそそしてかつての仲間に刃を向けねばならない覚悟を
決めた自分自身に対しても、まさに身を引き裂かれるような怒りとそして
深い悲しみをフライヤは感じていた。
フライヤ「・・・本当に・・信じられなかった。いや今でも信じたくはない。
そなたを・・あのときのそなたを知っているからこそ!!
しかし・・これが真実(まこと)であるなら!これが運命(さだめ)であるとするならばッ!!
もはや是非も無い!!ダガー・・いや邪悪に染まりしアレクサンドリア王女、
ガーネット・ティル・アレクサンドロス17世!!
ブルメシアのフライヤ・クレセント!一槍参る!!覚悟ぉっ!!」
疾風の如くガーネットに跳びかかるフライヤ。
ガーネットは傷つけられた自分の頬をさすりその手についた自らの血を眺めている。
フライヤ「やああぁぁぁーーーーーーッ!!」
今まさにフライヤのホーりーランスの穂先がガーネットを捕らえんとした瞬間!!
ゴウッ!!!!
強烈な旋風がガーネットの身体を守る様に吹き巻いた。
フライヤ「うあああッ!!ぐううっ!!」
討ち取る寸前ガーネットの旋風によってフライヤは弾き飛ばされ
広間の支柱に身体を強く叩きつけられた。
フライヤ「うっく・・・はぁはぁ・・」
何とか体勢を立て直そうとするが思ったよりダメージが深い。
その瞬間ガーネットの表情が歪み夜叉の如く怒りの表情を露にした。
さらにその両眼は妖しい輝きを増している。
ガーネット「ネズミが・・この私の顔に傷を・・許さぬ!!」
大広間中に突如渦巻くガーネットの怒りによる邪気、妖気。
フライヤは戦慄した。
フライヤ「(あ、あれがあのダガーなのか・・。違う・・違うッ!!
あれがダガーであるはずが無いッ!!)」


 


 

 

 

 

 

 

黒い影

383 名前:さあ続きだ投稿日:2000/08/10(木) 05:36

アレクサンドリア大広間
なんとか体勢を立て直したフライヤは再びガーネットに槍を構える。
フライヤ「はぁっはぁっはぁっ・・・」
怒り悲しみ絶望恐怖そして驚きが入り混じった不快でいて不可思議な感覚。
それはフライヤの身体に動揺として伝わっている。息が激しくきれる。
瞬時のことなのにまるで長時間の戦闘を行っている様だ。
フライヤ「・・お前は本当にダガーなのか・・?」
戦闘の極限状態にありながら己にも問い掛けるような感覚で
フライヤはガーネットに問う。
しかしガーネットは怒りを含んだ不気味な微笑を返すだけ。
フライヤ「(もう一度だ!恐れるな。思い出せあの戦いをッ)」
かつて自ら極限状態に追いやったあのクジャとの戦い。
それを思い起こすことで身体の芯から動揺を振り払おうとする。
再び雄叫びを上げガーネットに突進して行くフライヤ。
そこに突如黒い大きな影が横槍に入った!!
ガシィィーーーーーン!!
フライヤ「ああぐっ!!?」また吹っ飛ばされるフライヤ。今度は床に横転する。
ガーネット「・・・お前か。」
横から入って自分を弾き飛ばした何かにガーネットが話し掛けている。
フライヤ「(・・・な、なんだ?)」
激痛に霞む目を必死に見開きその正体を見る。見覚えがある、そうこれはっ!
こいつは!!

ガーネット「何をしておった・・・クイナ。」
フライヤ「(バカなっ!!クイナ、クイナなのか!!?)」
再び驚愕するフライヤ。
クイナ「すみませんアル。厨房のほうにいたアル。」
(再びアレクサンドリアに仕えていたのか!?しかも・・ガーネットの
今度は腹心として!!?)
驚きと疑問がフライヤの頭を一瞬混乱させる。
床に這いつくばった無様な体勢のまま立ちあがることすら忘れ
その両者をフライヤは固まった様に見上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

クイナの陰謀

389 名前:さあ続きだ投稿日:2000/08/10(木) 06:18

クイナ「ここは私に任せて欲しいアル。」
ガーネット「(頬の傷をさすりながら)フンまあよかろう。
私自らネズミ退治をするまでもあるまい。できるだけ残忍に!残虐に!
駆除するがよい。」
クイナ「わかりましたアルガーネット様。」
ドレスの裾を翻しその場をその場を立ち去るガーネット。
フライヤは驚きのあまり混乱し暫くそのやり取りを放心状態で眺めていたのだが・・
一瞬我に返る。
フライヤ「まっ待てぇっ!!」すぐさま立ちあがり後を追おうとする。」
クイナ「うるさいネズミアル。」
フライヤ「ぐはっ!!」立ちあがり際にクイナに蹴りを入れられ
再び横転するフライヤ。
クイナ「そうネズミはそうやって地べたに這いつくばるがお似合いアル。」
屈辱的な言葉を浴びせかけられキッとクイナを見上げるフライヤ。
フライヤ「どういうことじゃ・・クイナ!何故お前がここにおるのじゃ!
お前は何を考えておる、今世界がどういう状況か理解しておるのか!?」
かつての仲間に必死に訴えかけるフライヤ。
クイナ「お前に言われるまでもないアル。いまのワタシはガーネット様のしもべアル。
それ以上でもそれ以下でもないアル。」
フライヤ「今アレクサンドリアはブルメシアに戦争を仕掛けておるのじゃぞ!!
そして・・そしてそなたもよく知っていようあのスタイナー殿が・・
スタイナー殿が・・・ガー」
クイナ「ネット様にお手討ちになった事アルか?」
フライヤ「!!!!」
クイナ「あの男最後は哀れだったアル。ブルメシア侵攻時にも常に
反対してたアルが最後までガーネット様を信頼してたアル。」
フライヤ「おっお主知ってお・・・」
クイナ「でもあいついる限りワタシの出世望めないアル。あいつの首刎ねさせる様
仕組んだ何を隠そうこのワタシね。」
フライヤ「・・な!!!!」
クイナ「うまいこといったアル。ガーネット様にスタイナー、ベアトリクスの軍
反乱の兆しアリとゆっただけであっさり斬って下さったアル。
あんまりうまい事いったんでなんだか怖かったアル。でもこれでベアトリクスも
消えてくれてクイナ晴れてNo2アル。めでたいアル。」
フライヤは俯いたまま微動だにしない。じっとクイナの言葉に耳を傾けている。

 

 

 

 

 

 

運命

393 名前:さあ続きだ投稿日:2000/08/10(木) 06:52

クイナ「もひとついいこと教えてやるアル。ベアトリクス犯させたの
指示したこのクイナよ。ベアトリクスが本気でキレたのはじめてみたアル。
ガーネット様に斬りかかろうとしたアルからな。あのままじゃ危険だと思った
アルから殺せと副長に命令しておいたアル。しかし犯しにかかって結局逃げられた
アルけどな。まあ全事が万事うまくいくはずないとは思っていたアルけどな。
追っ手を差し向けておいたアルからまあじきにあの女の首届くアル。
楽しみアル。これでクイナ名実ともにガーネット様のしもべアルね。」
調子付いて語るクイナは自ら語る真実に酔いしれク族の踊りを踊り始める有様であった。
じっとその話を俯いたまま聞いていたフライヤがゆっくりと立ちあがる。
クイナ「いつ立っていいと言ったアル。ネズミはネズミらしく地べたに這い・・」
その言葉をフライヤの叫びがさえぎった。
フライヤ「ああっ!!これが竜の神が我に与えし運命なのか!!
なんと言う残酷!なんという悲哀!!またしても・・・またしても!
私がかつて生死を共にした「仲間」であった者に!刃を向けよと
そう!おおせられるのですか!!ああ・・・・・」
ひとしきり天を仰ぎ魂よりいで出づる言葉を発し女竜騎士の双眼がら
涙が流れ落ちる。その涙の意図は・・・・それはもはやフライヤにしか
わかり得ないものであった。
ゆっくりとホーリーランスの穂先をクイナの方へと向ける。
そして今まで自分でも発したことの無いような深く低い口調で
フライヤはクイナに語りかける。
「・・・・・・言い残す事あらば聞こう・・・。」
それはかつて共に戦った仲間に対するフライヤの最後の情であったのだろうか。
クイナもその竜騎士の迫力に気圧されていたがすぐさま我に返り
手にしていたビストロフォークを構えた。




 

 

 

 

 

フライヤ VS クイナ

397 名前:再開〜〜投稿日:2000/08/10(木) 11:25

クイナ「このワタシが青魔法使えるの忘れたカ。ワタシの魔法の前には
お前の技などネズミのママゴトアルねっ!!」
フライヤ「・・・その身をもって試してみるが良いッッ!!!」
刹那、フライヤの身体が光り輝き閃光の如くクイナに襲いかかる。
忘れかけていたこの力、体の芯から漲ってくる、トランスパワー!
クイナ「こっ小賢しい、食らうアルね!」
クイナの身体から無数の針が飛び出す。青魔法「針千本」
突っ込んでくるフライヤにカウンターの形で食らわせてやる、そのつもりだった。
しかしクイナの思惑は予想以上に大きく外れる事となった。
フライヤの身体は無数の魔法針に飲みこまれる寸前・・消えた。
クイナ「ナ、ナにっ!!!」
消えた様に見えたのも無理はなかったフライヤはなんと滑空し針群にぶつかる瞬間
直角に舞い上がった。翼が生えてでもなければ出来ない芸当、踏み込み無しハイジャンプ。
クイナ「バ、バカなこの魔法は絶対にかわせるはずが無いアル・・」
フライヤ自身も驚いていた。見える!相手の攻撃が。動く!思い通りに自分の身体が!
まるで全身翼になった様・・こんな事は初めてだった。戦闘中にせよフライヤはかつてない
快感を感じていた。自分に・・自分にこんな力があったなんて!!
狼狽し必死に体勢を立て直そうとするクイナ。今のフライヤはクイナのローブの
皺の様までしっかりと見て取れる。上空に高々と舞い上がったフライヤの眼は
地上の獲物、クイナを完全にロックオンした。
フライヤ「桜華狂咲!!トォォアアアアアーーーーーーーーッ!!!」
落下攻撃と竜騎士最大奥義のダブルドッキング!!
クイナは次弾の青魔法「ツイスター」を繰り出す直前でモロにカウンターを
受ける事となる。
ホーリーランスの一撃がまともにクイナの身体を捕らえた。
クイナ「ギャヒィィィィィィーーーーーーーッ」
ズガァァァァーーーーーーーーーーーーンンン



 

 

 

 

 

 

勝利!?

399 名前:再開〜〜投稿日:2000/08/10(木) 12:10

クイナに渾身の一撃を浴びせたフライヤは優雅に宙でトンボを切り着地した。
クイナはすでに仰向けに倒れピクリとも動く様子が無い。
舌を出し、目は白目に剥かれている。
フライヤ「・・・やった・・のか?」
まだ身体に先ほどのトランスの余韻が残っている。今までにない力の漲り、
自分の中の常軌を逸したあの動き、そしてあの技・・ほんの一瞬の事ではあったが
全ての感触はしっかりと脳裏にそして身体に覚えている。槍を持つ手に汗が滲んでいた。
高揚感から我にかえり「獲物」を仕留めたのかチェックにはいる。
よくみるとどうやら意識は失ってはいないらしい。ピクピクと手足が動き
なにやら小声で苦痛の唸り声のような物を発している。
(・・・この顔だ。ダメージが如何ばかりの程であるのかわかりにくい。)
クイナの顔面を槍の柄尻で思いっきりしばきあげる。
クイナ「グッ、グッホホホッ!」
クイナが正気に返り怯えにも媚びにも似た目つきでフライヤを見上げる。
クイナ「ヒィィィィ許して欲しいあルゥゥゥ」
情けなく呟くクイナ。その様を見てフライヤの心に戦闘前には棄て去ったはずの
憐憫の情が芽生える。
フライヤ「(こやつの言った事は本当に真実だったのだろうか。そしてその行為は?
 何者かに操られておるのではないか?)」
そう、どのような外道に成り下がろうと今目の前に倒れているのは紛れも無く
あのクイナ。かつてともに戦ったあのクイナ。それには偽りは無い。しかし・・
フライヤ「(・・絶ち切らねば・・ならぬッ!私の決意に・・絶ち切らねば・・)」
クイナ「ヒィィィフライヤァ〜お・・おたすけアルゥ〜〜」情けなく命乞いの呟きを繰り返すクイナ。
フライヤ「(クイナ・・・これがせめてもの・・・・・・)」
ホーリーランスの穂先をクイナの喉元に差し向ける。そして静かにフライヤは語りかけた。
「クイナ・・・一言、スタイナー殿、ベアトリクスに詫びよ・・。さすれば苦しまさず逝かせてやろうぞ・・。」


 

 

 

 

 

 

クイナの反撃

400 名前:再開〜〜投稿日:2000/08/10(木) 12:57

フライヤ「(クイナ・・せめてもの情けぞ・・せめて最期は・・最期くらいは・・)
クイナ「・・・わ、わかったアル・・・す・・うす、すたいなー・・」
覚悟を決めたのかクイナは細々と弱弱しく言葉を発し始めた。
フライヤ「(クイナ・・)」最期くらい無様な姿見せたくは無かろう・・
そう思いフライヤはぼそぼそと懺悔を始めたクイナから目を背けてやった。
そう・・・かつて生死を共に乗り越え世界中旅した仲間・・その思い出が、
クイナのあのひょうきんな思い出が脳裏に一瞬蘇り、フライヤはグッと両瞳を閉じた・。

その瞬間!

クイナ「ななな〜〜〜〜〜んてなボケかお前は!?殺されるとわかって言う事聞く
アホウが何処の世界にいるんだギャハハハハハハッ!!」
「!!????」その言葉を耳にしたフライヤは驚愕のあまり一瞬凍りつく!
そのスキを見逃さずクイナは喉元に突きつけられていた槍を弾き飛ばし
おもむろに回転起立する。その動きからどうみてもピンピンしている。
フライヤ「・・・・・・・・ク・・イ・・」
未だフライヤは驚きに固まり弾かれた槍を拾うのも忘れ、発しようとする言葉も
言葉にならない。驚愕に硬直するフライヤを尻目になおもクイナは話続ける。
クイナ「ゲッゲッゲまあ油断しちまったぜ今のは確かに効いたよマジで。まあちょこっとだけどな!
まさかお前が「Gトランス」を使えるようになってたのはさすがに思わなかった。
やはりそろそろ「覚醒」し始めたのかも知れネェなあ?他の奴等もよ!ゲーッゲ
でもまだなぁーんか偶然出ましたって感じだよなぁ?未だ自分でもその力よくわかってねえんだろ?」
今までにない口調でまくしたてるクイナ。混乱しきっているフライヤには何の事なのかわからない。
(・・Gトランス?・・覚醒?・・)
フライヤ「(・・・・一体・・何の事じゃ?それに・・クイナお主は・・??)」
クイナ「ゲーッゲッゲそんじゃ今度は俺の番だな。いい加減腹も減ってきたしよ、
さっさと殺らせてもらうぜぇぇGトランスを現段階で自由に操れる俺様の力見やがれネズミィィ!!
ゲッゲッゲッゲーーーーーーーッ!!!!」
フライヤはまだ驚きのショックから立ち直ってはいない!!




 

 

 

 

トランス VS トランス

401 名前:再開〜〜投稿日:2000/08/10(木) 13:34

クイナ「これがっ俺様のGトランスだぁぁぁぁゲゲゲゲーッ」
一瞬閃光が走り何も見えなくなった刹那!みるみるクイナの身体が
青く、そしてまばゆく輝き始める!クイナの巨大な口から息吹が走り
その息吹は青い炎となって吹き付けられた床面をどろどろと溶かす。
そしてクイナの身体全体が青い波動のような物で完全に覆われた。
クイナ「ゲッゲッゲーボケッとしてんなよ殺されるにしても
少しは俺を楽しませて見せろやァゲゲゲゲっ」
・・・・ハッ!!
驚愕と混乱の真っ只中で固まっていたフライヤだが戦う戦士としての本能が
フライヤの精神を覚醒へと導いた。
フライヤ「・・何が何だかさっぱりわからぬ・・しかし!ならもう1度倒すまで!」
槍を構え再びクイナに向かって行くフライヤ。しかし今度は先程のような力を
フライヤは感じうることが出来ない。竜騎士特有の跳躍力を生かしジャンプする。
目標ロックオン!今度は青く光輝くクイナめがけて!!
フライヤ「稲妻の如く突き刺されッ!!」
急降下する!ホーリーランス狙いはクイナの心の臓!!
目標に直下するフライヤを受けとめるが如くクイナは片手をかざした。
その一瞬クイナが微笑。勝利を確信する悪魔の笑み。
それにフライヤが気付いたかどうか?
両者が重なる。上空から襲いかかるフライヤ。地で受け止めんとするクイナ。
瞬間光り、凄まじい大爆音。ズガガガガガガーーーーーーーァァン!!!
一寸後・・破壊された石柱群の破片とともに落ちてきたもの・・
それはズタボロになったフライヤの身体であった・・・。



 

 

 

 

 

 

クイナの魔法!?

403 名前:再開〜〜投稿日:2000/08/10(木) 14:48

クイナ「ゲゲゲまだ俺様も完璧には使いこなせてはいネェなゲゲ。
だってなぁ、まともに俺のカウンター食らってなぁ、・・まぁだ意識があるんだもんなぁ!?」
石破片の海の中突っ伏したまま動かないフライヤに語りかけるクイナ。
確かにクイナの言うとおりフライヤの意識はあった。クイナの声も聞こえる。
しかし指1本動かす事もままならない。それほどダメージは深い。いっそ
まともにくらい即死してたほうがどれほど楽であるか。中途半端にクイナの魔法を食い、
苦痛の生き地獄を味わう羽目になってしまった。しかもさっきうけた魔法は・・・
クイナ「ゲゲ息がある事はバレてんだよ。んで、どうだ?俺のトランス魔法の味は?
しかもカウンターだ。骨身にしみるほど味わえたか?ゲゲゲッ」
突っ伏して苦痛に喘ぐフライヤの元へとしゃがみ込み得意げに話すクイナ。
苦痛の中フライヤは自ら受けた魔法について考えていた。
フライヤ「・・・あ・れ・・は青魔法・・で・・は・・な・い・・な・・」
そうフライヤには今受けた魔法に覚えがあった。かつて威力こそ違えど
見た事もそして受けた事もある・・
フライヤ「うぅっ・・くい・な・お主は・・・くろ・・ま・ほ・う・・を」
クイナ「そうだ。黒魔法フレアだ。しかもGトランスで威力x2のな・・。
青魔法しか使えん俺がこれを身につけたのもGトラの力さ。Gトラは自分の能力
の限界の更に上の力を引き出す秘術。選ばれた奴、そうお前含めてこの能力は
あのクジャとの戦いの後俺達に植え付けられた物だってよ。知る奴は俺と
ガーネット様と今俺の話聞いたお前、後の連中はどうだろな?もう覚醒はし始めてるのかもしれんな?」
フライヤは理解した。あの戦いの後我々に植え付けられてるという力、これが・・これが
今回の大乱を、ダガーをそしてクイナを狂わせたというのか・・。
覚醒・・本気で覚醒すればこのように・・このクイナの様に・・そうかダガーも
覚醒していた!?だから急にあのような・・。確かにあの力、始めて感じた時は戦闘が
果てしない快感に変わった。まるで自分の意思が巨大な力に操られているような
感じさえした。人を狂わせる・・圧倒的な力!私は覚醒までに至らなかったが
もしも覚醒するような事があったのだとしたら・・!私もクイナや
ダガーのように・・・。何と言うことだ・・ジタンやエーコは・・
もしも彼等が覚醒するような事にでもなれば・・・世界は・・
ああスタイナー、お主はお主はこの事を知っていたのか?
ダガーは全て知っていた、だからこそお主は殺されたのか!?
・・クイナはこの事を知るやつは自分とダガーだけと言っていた。
ならばこの事を彼等に教えた物がいる?そいつはそいつは一体誰なのだ?
最初はダガーもクイナも当然我々も知らなかった秘密を・・
知っている奴!クイナは・・クイナは知っているはずだ!!そいつを!そいつの名を!



 

 

 

 

 

処刑タァ〜〜イム

405 名前:再開〜〜投稿日:2000/08/10(木) 15:16

フライヤ「・・・・その・・覚醒は・・その・・能力は誰が・・
誰が・・・植えつけた・・のじゃ?」
クイナ「俺達のGトラ能力は潜在的に眠っていた物、つまり誰でも
心の中にあるもんだって言ってたな。ただ引き出させ易いか難いか。
ま、個人差の問題でな。ガーネット様が最初に引き出されてたよ。
一人引き出せば「封印」みたいなのが解けるみたいでな。
次次と覚醒して行くって事だろ。」
やはり!いる!ダガーを始めに覚醒させた者!そいつが!!
クイナ「さってと!良くわかったか?ゲゲゲ。
そろそろ処刑タぁ〜〜〜〜イムだぜネズミちゃん。」
ズタズタで虫の息のフライヤを強引に引きずり起こす。
そして残ってる広間の石柱に叩きつける。
フライヤ「・・・・・・・・・・・・・・!」
フライヤはもう声も出す事すら出来ない。迫りくる死。完全な絶望。
クイナは瓦礫からフライヤのホーリーランスを拾い上げた。
フライヤの身体は石柱にもたれかかる様に貼り付いている。
クイナは槍を手にゆっくりとフライヤの方を振りかえる。
フライヤが意識が完全に途絶える寸前に見た物、それは悪魔の力に支配された
者の狂気に染まった眼差しか?それとも・・・
   (フラット・・・・レイ・・・・さ・・ま)

次の瞬間クイナの振りかざしたホーリーランスは広間の石柱共々
フライヤの身体を完全に串刺しにした。

 

 

 

 

 

二人の逃亡者

410 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/10(木) 20:40

同じ時刻、トレノの町では一人の女が相棒の男に罵声を浴びせかけていた。
ラニ「なにもたもたしてんのよ、このデクノボウ!
   あんたのせいで次から次へと刺客が送られてきてるんでしょうが!」
そばには今しがた絶命したばかりと思われる黒装束の男の死体が・・・。
ガーネットの放った刺客である。
ラニ「ったく、あんたがガーネットに狙われてるなんて知らなかったわよ。
   そうだと分かってたらつきあおうなんて思わなかったのに。
   それにしても・・・あんた、もうちょっとマシな男だと思ってたけどねえ・・・」
ラニに罵られ続けている男は真っ赤に燃える髪ももはやその輝きを失い、頭を上げる気力も失っていた。
サラマンダー「く・・くそっ。なんだってんだ、この女。
       俺よりよえーくせに、好き放題言いやがって・・・」
ラニとつきあい始めるまでは、常に「戦い」の中に身をおき、
恋愛などもしたこともなかったサラマンダーははじめての女にすっかり尻にしかれてしまっていた。
当初の二人の立場はこの数年の間にすっかり逆転し、
ラニに罵倒され続けている間に、その高いプライドすらずたずたに砕かれてしまっていた。
サラマンダー「もうトレノも安全じゃねえみたいだ、ラニ。どっかに逃げるしかねえな?」
ラニ「あたりまえだってんだよ、このうすら馬鹿!
   トレノでも今ので5人目の刺客なんだから、あんたは数も数えられないほど馬鹿なの!?
   他の大陸に逃げるしかないでしょうが!
   ったく、いまさらあんたと別れてもどうせ私にも追っ手が差し向けられるのは分かってるし。
   ああ!眠い!!ちょっと一眠りするからちゃんと見張ってるんだよ!?」
サラマンダー「・・・・・分かった」

 

 

 

 

 

エーコの野心

417 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 00:20

時は少し遡って、フライヤがアレクサンドリア城に侵入した頃、リンドブルムの会議室ではトレノ遠征の為の軍議が開かれていた。

エーコ「今度の外征は、二方面に軍を展開する。ひとつはトレノ方面へ。もうひとつはプルメシア方面へ。
    トレノ方面の部隊の役目は、言うまでもなくトレノを制圧すること。これにはリンドブルム空軍三千を派遣。
    指揮は私自らが行い副将としてエリンを同行させる。プルメシア方面の部隊は国境を覗って、アレクサンドリア軍を牽制する事。
    プルメシアに侵攻する必要はない。こちらには陸軍二万を派遣しましょう。何か質問はある?」
将軍「空軍の兵士が少なすぎるのでは?」
エーコ「大丈夫よ、私が魔法の詠唱を行うまでの時間稼ぎが出来ればそれで充分だから。それとも…ガーネットに私の力が劣るとでも?」
将軍「滅相もありません」
エーコに睨まれた将軍は、蛇に睨まれた蛙のように怯える。
エーコ「ジャ魔法を使いこなせるようになった私と最先端の飛空挺、そしてラグナロクがあればリンドブルムが負けることはないわ」
エーコもガーネットやクイナと同様に、新たな力を手に入れていた。
しかも、エーコの場合は精神的な成長も相俟って、能力の増大は彼らの比ではない。
そして、心の深淵から沸き起こるドス黒い野心に駆り立てられていたのだ。
全てを滅するという野心に。
エーコは若くして悟っていた。
どんなに人との交流を深めても、心の奥底まで分かり合えることはないということを。
そして、人間はどこまで行っても、孤独であると言う事を。
だから、孤独の侘しさ、辛さを幼い頃からよく知っているエーコは、これらから人々を解放するために全てを滅ぼすことにした。
しかし、エーコは気付いていなかった。
所詮、この考えは永遠の闇からの受け売りに過ぎないということに。

 

 

 

 

 

ビビJr登場

420 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 00:42

>>370

ベアトリクスその後

ベアトリクス「とにかく、フライヤを追わなければ」
       異様にだるい体に鞭を打ち、手早く衣服を身につける。体に染み付いた
       男たちの精液の臭いが鼻をつき思わず涙がこぼれた。
ベアトリクス「今は泣いている時ではない」
       拳で涙をふき取り、フライヤの隠れ家からエクスカリバーを手に飛び出す。
       そこはアレクサンドリア城下町の裏通り。劇場の向かいだった。
       若い男たちは徴兵されたのか女、子供、老人の姿が目に付く。
ベアトリクス「生きていてフライヤ。すぐに行きます」
       足に力を入れ、走り出す。とその時だった。
       ドンッ!
????  「わぁっ! 気を付けなよお姉ちゃん」
ベアトリクス「すまない。急いでいるんだ」
       謝りベアトリクスは再び走り出そうとした。が、ぶつかってしまった相手の
       姿に足が止まってしまう。
ベアトリクス「あなた…もしかして」
       とんがり帽子に青いローブ。黄色く光る二つの瞳。間違いなかった。
ビビjr1号「ん…ああ! スタイナーのおっさんの奥さん!」
ベアトリクス「あなた…こんな所で何をしているの」
       問うと、ビビの息子は帽子を直してから沈うつな表情で言った。
ビビjr1号「ガーネット王妃を倒すんだ」
ベアトリクス「どうしてあなたが…」
ビビjr1号「ジタンが…ガーネット王妃を倒すんだって、仲間を増やし始めたんだ。
       みんなを戦わせる気なんだ。俺そんなの絶対にイヤだ! だから…
       俺がガーネット王妃を倒せばみんなが戦わなくていいと思ったから」
ベアトリクス「無茶だわ。あなた一人ではどうにもならない」
ビビjr1号「でも、俺はお父さんに言われたんだ! お前は一番上のお兄さんだから
       みんなを守らなくちゃいけないって!」
ベアトリクス「……」
ビビjr1号「だいじょうぶだよ。俺、ファイラだって使えるんだぜ」
       自慢気に小さな胸を張るビビの息子をベアトリクスは只黙って抱きしめた。
ビビjr1号「どうしたんだよ、おねえ…」
ベアトリクス「スリプル」
       ベアトリクスの腕の中で糸が切れた操り人形のように小さな体が動かなくなる。
ベアトリクス「ガーネット様。やはりあなたは間違っています」
       ビビの息子を抱き上げ、低く呟く。
       路地裏から城を見上げれば、シンボルである巨大な剣が夕日を受けて赤く輝いていた。
ベアトリクス「今すぐフライヤの元へ急ぎたいがこの子を送り届けねば」
       それに…ジタンに会わなければならない。きっと彼ならばガーネット様を止めて
       くれるはず。ビビの息子が言ったことが気になるが、とにかく会わないことには
       始まらない。
       薄情者と罵られようが受け入れよう。今は…クロマ族の村へ。
ベアトリクス「フライヤ…武運を!」
      
          こうしてベアトリクスは一路クロマ族の村へ…      


 

 

 

 

 

 

刺客

424 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 01:08

ラニ「ヒッ!」
ウトウトと眠りかけていたラニは殺気を感じて飛び起きた。
さすがは手練れの賞金稼ぎである。新たな刺客の気配を間一髪気取ったのだ。
刺客の振り下ろしたミスリルフォークがラニの頬をかすめ、床に突き刺さる。
ラニ「サ、サラマンダー!なにやってんのよ!?
   また敵が来てんじゃないのよ!!
   でも・・こいつは・・・ク族?」
刺客「おしかったアル!死ねアル」
刺客はなおもラニに対して攻撃の手をゆるめない。
ラニ「く・・・こいつ、今までの敵と違う!?強い!」
刺客が振り下ろした次の一撃がひるんだラニの武器をはねとばす。
ラニ「しまった・・・!」
刺客「・・・殺ったアル!!!」
彼の一撃がラニの眼前に迫った刹那、突如刺客の体が真横にふきとばされる。
刺客「だ、誰アルか!?」
サラマンダー「もう一匹、いたか。ガーネットの奴隷と化したというク族の刺客。
       すまん、ラニ。こいつの片割れに少し手間取ってな・・・」
ラニ「・・・・おせえんだよっ!!!このうすらデカ!!
   殺されるところだったでしょうが!!??
   ったく、使えないやつだねえ、このノロマ!
   さっさとこいつを片づけなっての!!」
サラマンダー「くっ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

438 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 02:18

書き込みがないので流れをまとめてみたクポ。
ガーネットは即位後暴君になりスタイナーを処刑。
ベアトリクスをも処刑しようとするが、逃げられる。
アレクサンドリアとブルネシアは交戦状態。
フライヤはガーネットに挑むもその部下のクイナに苦戦。
ジタンとミコトはアレクサンドリアに対抗するために黒魔術士軍団を編成。
エーコはリンドブルムにて覇権を伺う。その手下にバクーとエリン。
サラマンダーとラニはガーネットの刺客に追われている。

これゲームでやってみたいクポ。

 

 

 

 

 

 

 

お母様

444 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 03:12

「お母様」
漆黒の夜、ガーネットはブラネの墓の前に立っていた。

たまには、寝付きの悪い夜もある。
・・・力を持ちながら、一撃で滅ぼされた愚かな故郷・マダイン・サリ
死んだ二人の母。とくに、ブラネの死に顔は今でも脳裏に焼き付いている。
一時は強大な力を手にしながらも、女帝と恐れられたブラネの死は
じつにあっけないものだった。

露と消えた母の夢だけど
・・今となっては手に取るように母の気持ちがわかる。
すべてをこの手にしたい。
そして私にはその力がある。
召還士の血筋を持つ一人の少女が女王の地位に・・・それは偶然ではない。
「運命」だったのだ
ふふふ・・ははははは!!
ガーネットは
ふつふつと湧き上がる欲望にその身をまかせ体の奥底から震え上がった。
不安、恐怖、快楽、欲望がせめぎあい今のガーネットを作り上げた・・
やりたいようにやりなさい。ガーネットはその言葉を反芻した、
そう、私は間違っていない。
全てを手にする人間になる。私は滅ぼされる側の人間にはならない。
「・・・お母様はつめが甘かったのよ。私はあなたのようなヘマはしないわ。」
墓標を蹴り上げ、バラのリースが散った。
・・枯れたバラの花びらが風に舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

氷漬けの竜騎士

447 名前:まだ続けていいのか投稿日:2000/08/11(金) 03:23

ガーネット「フ・・・こうして見ると砂ネズミも美しく見えるというものよ。」
アレクサンドリア城大広間
単身ガーネットに挑みそして、その腹心クイナとの戦いに敗れたフライヤは
広間の石柱に串刺しにされ、しかもフリーズの呪いをかけられ
哀れ永久の氷漬けにされてしまった。大広間に装飾品として飾られてしまう。
ガーネットはうっとりと石柱に氷漬けとされた女竜騎士を眺めていた。
ガーネット「さて・・クイナ!クイナはおらぬか!?」
すぐさま影の様にクイナがガーネットのもとに現れる
クイナ「はっクイナはここに。」
不意にクイナは大広間の横に飾られているフライヤの氷漬けを見るや
得意調子で話し出した
クイナ「ほぉ〜よく出来てるアルな。こりゃあいい見せしめアル。」
ガーネット「もっとお前にそのオブジェを作ってもらわねばならぬ。「違う種類」のな。
フライヤはGトランスの完全覚醒には至らなかったが、もうその力に気付き始めておる者
は他に居るやも知れぬ。早急に、・・目覚めぬうちに・・消しておかねばならぬ。」
ゆっくりと玉座に腰掛けるガーネット
「まずは、以前我と共に戦いし者・・エーコ、サラマンダー、フラットレイ、
・・そしてジェノムのミコト・・・・・ジタン。」
クイナ「エーコのほうは・・もう覚醒寸前のとこまできてるみたいアルな。」
ガーネット「そのとおりよ。あ奴愚かしくも我が国に攻め入らんとしておるようじゃ。
ククク私が気付かぬとでも思うておるようじゃのう。」
クイナ「・・・次はエーコアルか?」
ガーネット「いや奴は私自ら手をかけねばなるまい。現時点で奴の能力こそ最も我等に
近いものあろう。かつて同じ一族としての彼女の力の大きさはあるいは私以上やも・・」
クイナ「ガ、ガーネット様それでは・・」
ガーネット「フッ只それは彼女がこのまま成長すれば・・の話だ。奴の力は今だ未熟よ。
その状態で今の私には勝つことは出来ぬ。だからこそ・・今のうちに・・・この私の手で
・・葬り去っておかねばなるまい!」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンドブルム・大公の間

449 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 03:55

リンドブルム城・大公の間。
身体に不釣合いなほど大きな椅子に腰掛けたエーコは、バクーと謁見していた。

エーコ「というわけで、バクー。あなたにはアレクサンドリアへの情報工作をお願いするわ」
バクー「ハッ、その件に関しましては我々タンタラスにお任せを」
バクーは、自信たっぷりにに大きな腹を震わせて、そう言った。
エーコ「ところでバクー。エクスカリバー2の行方はわかったの?」
バクー「あれは見つかりませんでした。ただ、エクスカリバーはベアトリクスが持っているそうです
    エクスカリバー2は実在すら怪しいような代物ですから、本当にあるかどうか…」
咎められると思ったバクーは、少し言い訳がましい口調で弁解した。
エーコ「エクスカリバーなどは必要ない。あの血塗られた女将軍にでもくれてやれ。
    私が求めるのはエクスカリバー2だ」
バクー「あの…どうして騎士でもないエーコ様が、エクスカリバー2を求めるので?」
エーコ「理由を聞かねば、動けぬとでも言うのか?」
エーコは冷ややかな声で、そう言う。
バクーは、その声を聞いて背筋に寒い物を感じた。
バクーのその様子を見て取ったエーコは、微かな笑みを浮かべて、
エーコ「まぁ、後学のために教えておこう。エクスカリバー2には最強の召喚獣ナイツオブラウンドが封印されているとの話を聞いたことがある。
    ガーネットを撃ち滅ぼすのに得ておきたいと思ってな。だが、エクスカリバー2の件は情報が入り次第で構わん。今は情報工作に専念せよ」
バクー「御意」
バクーは、恭しく頭を下げると、大公の間を後にする。
部屋から出たのを確認すると、エーコは、手を振って衛兵たちも下がらせる。
エーコ「…エクスカリバー2は見つからぬか。まずいな、このままではガーネットを滅ぼすのは難しい。
    だが、これで戦争を長引かせられると思えば悪いことばかりでもないか」
誰もいなくなった大公の間で、エーコはそう独りごちた。

 

 

 

 

 

 

 

ベアトリクスの秘密!?

450 名前:まだ続けていいのか投稿日:2000/08/11(金) 03:57

クイナ「ではガーネット様はどうするアル?リンドブルムに出陣なさるアルか?」
ガーネット「いや、ガキながら少々抜け目の無い彼女のこと、ブルメシア侵攻時の
今こそ攻め入り時と考えておるはず。まずはトレノ方面に出兵いたす腹積もりであろう。
・・・迎え撃つことになろうな。」
クイナ「エーコ如きワタシで十分アル。是非ともワタシにやらせて欲しいア・・」
クイナの言葉を遮るかのように
ガーネット「エーコは最早そなたの力では到底かなわぬ。」
クイナ「・・・・・・・・・・・・」
ガーネット「あ奴の恐ろしさは我々にない今だ発展途上の力。おそらく成長に伴い
今の奴の力は想像を遥かに越えるものになろう。・・・・が私にも召還獣がある。
しかも今だ奴の知り得ぬ最強のな。エーコはまだGトランスの存在を知ってはいまい。
今はただただ湧き上がる己の力に酔いしれておるに過ぎぬ。己の真の力の使い方すらわかっては
おるまい。」
ガーネットはゆっくりと玉座より立ちあがる。
ガーネット「クイナよ。そなたには他のGトランス覚醒保留者の抹殺、反逆者
ベアトリクスの「生け捕り」を命ず。」
クイナ「・・・?Gトラ戦士の抹殺はわかるアルが、ベアトリクスを生け捕りに・・アルか?」
ガーネット「そうだ。殺してはならぬ必ず生け捕るのじゃ。Gトラ抹殺の指令よりも
先ずこちらを優先させよ。行けぃっ!!」
クイナ「・・・?・・わかりましたアル。それでは・・」
風の様にその場より消え去るクイナ。ガーネットはバルコニーに出る。
ガーネット「・・・・まさか・・あのベアトリクスに・・あのような秘密が
隠されていようとは・・・・。あれを・・・手にすれば・・・私は・・・そう宇宙でさえも我が手に!」



 

 

 

 

 

 

ベアトリクスの決死行

456 名前:まだ続けていいのか投稿日:2000/08/11(金) 04:46

ジタンに会う為クロマの村に向かうベアトリクス。
その道中は決して楽なものではなかった。
山賊、湖賊の類の襲撃、さらにアレクサンドリアの追っ手、
はたまたガーネットが雇ったのだろうか賞金稼ぎのアサシンまでもが
次々と襲いかかる。
なんとかそれらを振り切りようやくリンドブルムのク族の集落に辿り着いた。
ここのフォッシル・ルー採掘場から外の大陸にいけると以前スタイナーから聞いていたのだ。
将軍職を奪われしかも今は反逆者として追われる立場のベアトリクスである。
以前の様に飛空挺レッドローズでひとっ飛びという訳にいかない。
必然的に陸路をとらざるを得ない。
ベアトリクス「はぁ・・はぁ・・ようやく・・着いたわ。後はここから
ガルガントに乗って行けば・・・。」
仲間もおらずたった一人で戦いつづけてここまで辿り着いた。
倒れこみたいほどの疲労感があるがここで休むのは危険だということはわかっている。
ク族の現在の長クイナはガーネットの腹心と知っているからだ。
ベアトリクス「・・長居は無用。早いところフォッシル・ルーへ向かわなければ・・」
茂みの中を歩くベアトリクス。遠目に採掘場入り口らしき者を見つけた。あそこだ!
駆け出すベアトリクス。外の大陸に行けばガーネットの眼も届きにくい。
追っ手もいなくなるだろうし楽になるだろう。・・・とにかく辛かった。
いくら最強の剣士といわれていたにしろ女一人でここまでなみいる敵を振り払い
ようやくここまで来たのだ。しかも「あんなこと」があったそのすぐ後で。
肉体も精神ももうボロボロだ。とにかく今はこの大陸を早く脱出したい
それだけだった。しかしその焦りは結果ベアトリクスの首を絞めることとなった。
最後の最後に仕掛けられていた罠。それに気がつく余裕はもはや今のベアトリクスには
無かったのだろう。

 

 

 

 

 


気づくと、そこは地下

469 名前:続けざまに続ける投稿日:2000/08/11(金) 07:26

まぶしい。それに・・・なんだろう・・・私は・・寝かされているのか・・?
・・・・・誰かの声が・・聞こえる・・
???「・・・・大丈夫なのか?・・・・・・もし・・・・・危険だ・・」
???「この・・・・・ならば・・・・・・内に・・・・」
???「・・・探しだすことは・・・・・・」
???「・・・・・・・・・・年か・・・・それまでは・・・・・・・・・・」
よく・・聞こえない・・ああ・・それに・・何だこの感覚は・・また・・意識が・・・


ベアトリクス「・・・・・・・・・・・!!!!」
気がつけば縛られていた。両手は縄で後手に。足には枷が嵌められている。
ベアトリクス「・・これは?・・そうか私は・・・」
ぼんやりする頭の中が次第に回復し今までの自分の記憶を思い出した。
フォッシル・ルーに辿り着く寸前茂みの中に仕掛けられていた落とし穴に見事に嵌まった。
しかも落とし穴の中にはスリプル草の粉末がたっぷりと入れられており
穴に落ちれば即気絶という仕掛けだった。そこからの記憶は無い。
ベアトリクス「・・ご丁寧なことだ。」
職業柄この様なトラップには慣れている筈の自分がこうあっさりと引っ掛かってしまうとは。
ベアトリクス「(どうか・・・してたんだな私・・・。)」
この最近自分には信じられない、また辛すぎる体験を一生ぶんくらい味わった。
心の余裕がなくなればまた冷静さも失う。あの罠はこうしたベアトリクスの心情を悟ってのものか?
ベアトリクス「・・それよりここは・・どこなんだろう?」
窓が無い所をみると・・・地下か?
コッコッコッ・・・・・・靴音がこちらに向かってくる。


 

 

 

 

 

 

 

 

謎の声

471 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 08:04

ミコトの指揮のもと、黒魔道士の増産は順調に進んでいた。
『近隣に敵対国が無いという地の利が幸いしたな』
ジタンは胸のうちで呟いた。アレクサンドリアの巨大な兵力の前では、
以前のクロマ村の兵力では虫けらのように踏みにじられていただろう。
まだ、アレクサンドリアに勝利するには到底及ばないが、少なくとも
時間を稼げるだけの兵力は整いつつあった。
『…ジタン』
ジタンの心に彼にしか聞こえぬ重々しい声が響いた。
「お前を呼んではいないぞ」
ジタンは如何にも興味が無いといった風に告げた。
『…何故、ミコトに黒魔道士の増産を任せた? 今のお前には黒魔道士は勿論、
より強壮な戦力をも生み出し得る力と技、そして知識があるではないか』
「…理由を作るためだ」
『理由だと?』
「ミコトにはこれからもっと働いてもらわなくてはならない。時として
苦い思いに駆られる事もあるだろう。しかし、いざと言う時に躊躇されては
かなわんだろう? だから『必要に迫られて』という言い訳と前例を用意して
やったまでの事だ。これであいつはこれからも俺の言う事に従うだろう。
自分のしている事に自己嫌悪を感じる事になろうともな」
『成る程な、確かに効果的かもしれん。だが危険な試みだぞ?
ミコトはすべてお前の思惑通りになるような甘い存在として調整してはいない』
ジタンの意識にそう言ったのを最後に『声』の気配は去って行った。
「…確かにそうかも知れないな。フフフ、あるいはあいつが俺の目的の
最大の障害になるのかも知れないな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意外な人物

473 名前:続けざまに続ける投稿日:2000/08/11(金) 08:14

ガチャッ扉がひらく。
ベアトリクス「・・・・・!あ、あなたはたしか前ク族族長であった・・」
クエール「・・そう、クエールアル。」前族長は静かにそういってベアトリクスの縄目を解く。
しかしベアトリクスは驚いていた。たしかク族前族長クエールは今の長クイナに暗殺されたと聞いていた。
世間では死んだ人となっているはず。しかしクエールに以前面識のあるベアトリクスだ。
目の前で自分の縄目を解いてくれている人物はクエール本人に間違い無い。
クエール「すまんアル。ワタシが行くまで気が付かれて勝手に抜け出されては危険だったアルからな。
不本意ながら縛らせてもらったアルよ。すまんアル」
ベアトリクス「・・クエール様はクイナに殺されたと聞きましたが。」
静かにベアトリクスが問う。縄を解きながらクエールが答える。
クエール「・・実はワタシにはこう見えてもほんの最近のことなら予知できる能力を持っているアル。
クイナがおかしくなってしまったのも実はわかってたアル。霧がなくなったあの日以来
クイナは何かにとりつかれてしまったアル。クイナとワタシが対立すればク族にも大きな被害が出るアル
だからワタシはクイナに毒殺されたふりをし地下に潜ったアル。」
ベアトリクス「・・クイナは何故あのように・・とりつかれたとは一体何なのかご存知でしょうか?」
クエール「それも最初予知しようとしたアルでも何かものすごい大きな力が働いてよく
見えなかったね。何とかワタシがみることができた大きな炎、目のくらむような光
それに飲み込まれる星・・なんだかとっても恐ろしかったアル。そして最後に見えたものが
・・・・・・・・なんとベアトリクスある。」
ベアトリクス「・・!!わ、私を!?」
クエール「あの落とし穴、実はワタシの仕掛けね。あのまま採掘場入ってれば必ず
ベアトリクス、クイナに捕まってたアル。ガーネット王女クイナに命じたらしいアル
ベアトリクス捕縛命令アル。もうクイナの手の者は世界中に飛んでお前探してるね。」
ベアトリクス「・・・・・何故・・何故私が・・・そういえば・・私はスタイナーが
殺された際ガーネット様に刃をむけた。しかし・・私を殺さなかった・・あれも・・一体・・」
クエール「どうやらベアトリクス。お前には何か重要な秘密あるみたいアルな・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

ベアトリクスの役目

475 名前:続けざまに続ける投稿日:2000/08/11(金) 09:16

ベアトリクス「・・・クエール様は何故私をここへ?」
クエール「・・・・・・ワタシはク族の運命によって動いているだけアル。
あの予知は、お前助けるそれク族の為そして世界の為。混乱が始まる世界にお前必要。」
ベアトリクス「・・・・・・・・・わかりません・・本当に・・一体・・私は!」
クエール「只言えること。お前自分ではわからないかもしれないが凄く大きな運命背負ってる
そして大きな大きな力もってるね。世界が今混乱に向かってるそれを静めるお前。これワタシの予知。」
ベアトリクス「・・・・・・・・・・・・」
クエール「ついてくるアルよ、ベアトリクス。」
ガチャ  部屋を出て行くクエール。
一体私は・・何者なのだろう?運命?大きな力?今のベアトリクスにはあまりにも唐突、
あまりにも謎めいた己の境遇に、今は只混乱する頭を静めること以外他に術は無い。


辿り着いた先はどこまでも続いていそうな一本のレール。そして1体のガルガント。
クエール「これは、この先にお前の行くべき場所待つ運命の道。フォッシル・ルーとは違う
ルートの秘密のレールアル。この先にお前の大きな運命待ってるアル。」
ベアトリクス「・・・・クエール様。最後にアレクサンドリアに単身向かわれたフライヤ殿は
今どうなっているのかわかることできませぬか?」
クエールはじっと目を閉じ語り出す・・
クエール「クイナの力を感じる光が未だ小さい赤い光を飲み込んだのが見えるアル。
・・・・でも赤い光は未だ消え去りそうになりつつも消えては無いアル。
果たして死んでいるのか・・それとも生きているのかよくわからないアル・・ただ・・
その弱い光に共鳴する光も見えるアル・・・果たしてその光は何の光なのか・・
・・・・・私に見えるのこれだけね。」
ベアトリクス「(・・・・・フライヤ殿。貴方が死ぬはずなんて無いッ。
私は・・信じてます。・・・きっと」

ガルガントに捕まるベアトリクス。それを見送るクエールが話しかける。
クエール「これからお前待つ運命過酷で辛いものばかりかもしれんアル。
しかしお前はお前の運命をただただ信じて進むしかないアル。
信じて進む道開けるこれク族も人間も同じ。ワタシもお前の運命を世界の運命を信じて待つアル。
・・・・・・クイナのこと、よろしく頼むアル・・・。」
ベアトリクスはエクスカリバー歯切れ良い音と共に引き抜き胸の前で
剣を捧げ持つそして刀身を軽く額に当てる。剣士としての「礼」の儀式。
ゆっくりとガルガントは走り始める。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

モーグリたちの秘密

476 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 09:52

『…ビビ…俺は今、お前が生きていれば必ず傷ついただろう事を
やっている。そしてこれからもまだまだ続けるだろう…だが……』
黒魔道士の村の墓地で一人佇んでいたジタンはそこまでで思考を
打ち切った。既にそんな感傷は捨てたのだ。そう自分に言い聞かせる。
しかし尚も疑念は晴れる事無く、ジタンの心の中で果てしなく
渦巻き続けるのだった。結局それを消してくれたのはジタン自身の
意思の力ではなく、外的な要因だった。
「例の連中から通信が入ったのか?」
ジェノムの一人の報告知に、ジタンの口元は昏い微笑の形を作り、
その心からひとまずは憂いが去った。

モーグリという種族は世界中何処にでもいる。前人未到の秘境から
王宮の中にまで文字通り何処にでもだ。にも関わらず、それを
不審に思うような人間はまずいないといってよかろう。物事に
こだわらない性格とユーモラスな外見が、彼らをして空気のような
存在となさしめているのである。それ故にモグネット本部が
数ヶ月前にジタンの手に落ち、世界中のモーグリが彼の私的な諜報員と
化している事にも人々は気づくことがなかった。そのおかげで、
ジタンのもとには世界中の最新かつ正確な極秘情報が継続的に
届けられていた。そしてそんな情報の中で彼が注目した事実の
ひとつに、リンドブルムにおけるぎくしゃくとした空気があった。
対外政策に消極的なシドから軍国主義的なエーコに政権が移り、
その好戦的な施政に不満を持つ者が着実に増加しつつあると
いうのである。これを利用し如何なる謀略を用いるか。
考えた末にジタンが出した結論は大規模な離間策であった。
内乱や暗殺は権力の頂点に立つ者が人知を越えた力を有する
リンドブルムにおいてはさほど有効な手段ではない。むしろ、
今後の戦争において重要な要素となるであろう飛空挺のパイロットや
技師たちを傘下に加える事で将来に備えて戦力を蓄え、同時に
リンドブルム軍の根幹とも言うべき飛空挺団の一部離反という
事実をもって人心に不安をもたらす事のが最良の方策であるという
結論に至ったのである。そして今まさに、ジタンにつく事を
決意した者たちが黒魔道士の村に向けて航行中との知らせが
届いたのであった。




 

 

 

 

 

 

 

 

生きていた男

484 名前:ななしさん@おなかいっぱい投稿日:2000/08/11(金) 15:11

姫さまがが、いつも正しいことをするとは限らない。
姫さまが何をやっても認めて、力になってあげようとするのは、正しいか、正しくないかを自ら判断する勇気することから逃げてしまっているのかもしれない…。

ベアトリクスとリンドブルクの将来について語りながら、何度も抱いた疑問。
姫さまの道が間違ったほうに進まないとも限らない。しかし、それは自分のようなものにわかるのだろうか。自分が間違った道だと思っても、実は深いお考えがあるのかもしれない。
ブラネさまのときは、自分は従うことしかできなかった。
自分では、何も考えなかった。
その後悔を、姫さまのときには活かさなければならない、そう思っていたから。
自分は自分が精一杯考えて、プルメシア侵攻に反対した。
それで命をなくすになら、むしろ誇りに思えた…はずだった。
しかし、自分には命よりも大切なものができてしまったのだ。
…ベアトリクス。

力が、体から溢れ出したのだ。あの瞬間。
首を落とされそうになった瞬間。
今までにかんじたことのない、激しい力。
どこをどう逃げてきたのかなど、まったく記憶にない。ただ、命が助かったことだけはわかった。

姫さま、自分はどうしたらいいのだろうか。
あなたは、本当に間違っているのか。
それとも、自分などには見えない、もっと先の事を見越して、今の行動をしているのか。
自分には、自分が正しいという確信は持てない。
だから、今はただひとつ。自分のなかで確信の持てることをしようとおもった。
自分なき今、きっと、矢面に立つであろう、愛しの女。
「ベアトリクスを救う」
それにのみ、自分は力を注ごうと、思う。

 

 

 

 

 

 

 

救援要請

490 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 17:55

「追撃を受けているのか?」
「…はい…我が艦……攻撃を……な…とか援…をお願…」
「こちらでも確認したわ、ジタン。友軍機2隻に対し追撃隊は
9隻…このままだと、こちらの領空に入る前に撃墜されるわ」
魔導レーダーの表示から目を離さず、
いつもの無感動な声で伝えるミコト。
「追撃隊の数が多い…本来なら既に撃墜されていても
おかしくないが…そうか…連中を適度に泳がせて逃亡先を発見し、
もろともに叩くという腹積もりだな…。エーコめ、賢しい真似を
してくれるぜ」
「どうするの? テレポッドでは高速移動する飛空挺に
転送するのは不可能だし、この距離から敵機だけを
狙い撃てるような魔法もないわ」
「例のものは?」
「駄目ね。やはり技術者の絶対数が少なすぎる。急ピッチで作業を
進めてはいるけれど、この村の生産力の低さは技術だけでは
補いきれるものではないもの」
「それを補う為にも、やはりあいつらはどうしても必要だな。
何としても確保しなけりゃならないって事だ」
「でもどうやって?」
「…やりたくは無いが、直接『記憶』から複製するしかない」
「…それは危険よ」
「分かっているさ。だが、不可能な事ではないはずだ。
俺はクジャの後継者として生み出された。
あいつができた事は俺にもできるはずだ。そうだろ?」
「……ジタン」

 

 

 

 

 

 

 

クリスタルとのリンク

491 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 17:57

クリスタルワールドでの決戦からガイアに戻ったジタンは、
自分の意識の一部がクリスタルとリンクしている事に気がついた。
ジェノムの特性なのか、恐らく同様の状態にあったクジャとの
戦いがもたらした産物なのか、負の意思の顕現たる永遠の闇に
対峙した時、極限まで高まった意思力がクリスタルに感応したのか。
真相はジタン自身にも分からなかった。ただジタンが
クリスタルの記憶を読み取る事ができるというのは
紛れも無い事実であった。
そこから得た遥かなる時の彼方の技術は、
ガイアのそれを大きく凌駕するものも少なくなく、
辺境の一小村をして大国に立ち向かうというジタンの計画の
大きな助けになっていた。魔導レーダーをはじめ、
いくつかの技術は既に実用段階に入っていたし、
現在もジェノムの技術者たちによって新たな技術の解析が進行していた。
これまでジタンは知識を引き出す以上の事を
クリスタルに求めなかった。クジャがクリスタルの記憶から
4つのカオスを作り出していた事からも分かるように、
『記憶』の中の存在を実体化させる事は決して不可能な話ではない。
そして『記憶』の中には、アレクサンドリアやリンドブルムを
易々と滅ぼし得るようなものも存在していた。しかし、巨大な力を
『記憶』から実体化させるには、自分自身が力ある存在でなくては
ならず、今の自分にはにはそのような途方も無い存在を使役するだけの
力は備わっていない事をジタンは自覚していた。それ故ジタンは
比較的消耗が少なくてすむ知識の獲得だけに『記憶』の利用を
自ら限定していたのである。しかしこの緊急時にあたり、
ジタンは自らに課した禁を破る事を決意した。友軍の援護も
さることながら、今の黒魔導士の村には9隻もの飛空挺に
効し得る力は無い。このままでは村が壊滅的な打撃を
受ける事は自明であった。この苦境を打開する為には、
最早手段はひとつしか残されていなかった。


 

 

 

 

 

 

不器用な感情

492 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 17:59

「どうしてもやるの、ジタン?」
答えは分かりきっているのに、ミコトはそう尋ねざるを得なかった。
常に論理的に行動していたかつてのミコトには
考えられない行動だった。ジタンの説得に応じ、テラの民の
道具としてではなく、自分の意志をもった一個の存在として
生きる決意をした時から、それまで希薄だった感情と言うものが
ミコトの中で少しずつ目覚め始めていた。幼い頃から感情への対処を
自然に身に付けていくガイアの民とは違い、ろくに対処法も知らぬ
ミコトは、感情を表に出して発散させる事すらも苦手で、それだけに
内にこもった感情のうねりは強烈なものがあった。
ミコトはクリスタルの記憶とそこから力を引き出すとい行為に
ついてを以前ジタンから聞いており、今度の試みの危険性についても
理解していた。その結果、ジタンを永久に失うかも知れないという
事実に考えが及んだ時、とてつもない不安感がミコトの心を
埋め尽くした。それはあらゆる無駄な行為を厭うミコトをして、
答えの分かった無益な質問をさせるほどの巨大な負の感情であった。
見た目にはいつものミコトと何ら変わらなかったが、
彼女の常ならぬ行動故か、あるいはその瞳の奥に揺れる何かを
感じ取ったのか、ジタンはニヤリと笑うとポンポンと軽く
ミコトの頭を叩き、いつもの自信に満ちた口調で告げた。
「いつかも言っただろ? おにいちゃんに任せときなって。
な〜に、今度もうまくやってみせるさ」
「お…にいちゃ…ん」
ぎこちない口調で、ミコトは初めてジタンをそう呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

モーネルの報告

495 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 18:22

リンドブルム・大公の間

???「エーコ…」
不意にエーコは後ろから声をかけられた。
これはエーコの良く知っている声。
そう、モーネルの声だ。
エーコが後ろに振り向くと、負傷したモーネルが立っていた。
エーコ「モーネル…どうしたのその傷は?」
モーネル「…ここに来る途中で襲われたクポ。…それよりも…大変クポ。リンドブルムの将校の5分の1はエーコに不満を持っているクポ。そして、一部の将校はジタンと内通しているクポ。これはモリスンが割り出した裏切り者のリストクポ」
モーネルからリストを受け取ったエーコは、顔を憤怒に歪めた。
エーコ「何てことだ! 軍人のくせに戦争に反対だと!
狩猟民族として勇ましかったリンドブルムの民は皆、宦官にでもなってしまったか!
しかも、目をかけてやってたエリンまで裏切り者だと! 許せん!」
モーネル「…エーコ、モーグリ達にも気をつけるクポ。マダイン・サリにいたモーグリ以外は、みんなジタンの僕になってしまったクポ」
エーコ「そう言えば、モリスン達はどうしたの? まだ、マダイン・サリにいるの?」
モーネル「モリスンも、チモモも、モチャも…、他のみんなは殺されてしまったクポ。
エーコに従う裏切り者として…」
それだけ言うと、モーネルはその場に崩れ落ちた。
エーコ「モーネル…? モーネル!」
だが、いくらエーコがモーネルの名を呼んでも、モーネルが再び眼をあけることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルメシア陥落

497 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 18:44

ブルメシア陥落!!今まで何とか凌ぎに凌いできたがアレクサンドリアの圧倒的軍事力の差の前に
ついにブルメシアは再び他国の蹂躙を受ける事となった。
ブルメシア兵、国民はパック王子の「再起を図り野に下り雌伏すべし」の指示に従い
陥落寸前に何とか脱出、被害の最悪は免れたのがせめてもの救いであった。
その際最後の最後までアレクサンドリア兵を引き付け脱出の時を稼いでくれたのは
王国最強の竜騎士フラットレイであった。その彼もついにブルメシアを脱出せざるを得なくなった。
無念であった。ようやく帰ってきた同族の故郷、ようやく自分の失った記憶を
一から作り直そうとした場所、そして・・生涯ともに生きこの国をたて直そうと彼女と誓い・・
そしてようやくそれを果たすことが出来ようとした時・・・・全てが理不尽に奪われ・・破壊されてしまった。
フラットレイ「ああ・・・・フライヤ・・無念だ・・すまぬ・・フライヤ・・」
絶望の逃避行。あの日アレクサンドリアの侵攻時、彼女と交わした約束・・・

フライヤ「レイ様。未だに信じられませぬがこの状況になってしまっては最早是非に及ばず。
私はこれよりアレクサンドリアに向かい事の真偽の程を確かめて来なければなりますまい。
これは・・これはきっと何かの間違い・・そう信じたい・・けれど・・」
フラットレイ「フライヤ、あのお方がこの様な事なさるお方ではないことそなたが一番存じておろう。
何かの間違いに決まっておる。そなたはあの方を信じよ。そなたの信ずる者は私も信じる。
そなたと2人でここまで歩みしこの新しきブルメシアはそなたが帰ってくる
その時まで必ずやこのフラットレイが命に代えて守り通してみせよう。お主は安心して
アレクサンドリアに向かうが良い。」
フライヤ「・・フラット・・・レイ様・・」
フラットレイ「そなたと新たに作りしこの思い出壊させはせぬ。私を信じよ。
・・・そして私も信じておるぞ・・フライヤ。」
フライヤ「・・レイ様!−−−−−−−−−−−−−−−」

降りしきる雨・・・フラットレイの流す無念の涙はその雨すらも隠しとおしてはくれない。
(フライヤ・・お前は今どうしているのだろうか・・・)
フライヤとの音信はあれから完全に途絶えたままだ。
フラットレイが目指しているのはフライヤの向かったアレクサンドリア。
(会いたい・・・今はただ・・お前に会いたい・・・・・)
雨は未だ止むことなく傷心の竜騎士の背中に突き刺さる。



 

 

 

 

 

 

スタイナーの逃避行

498 名前:ななしさん@おなかいっぱい投稿日:2000/08/11(金) 19:19

一方、スタイナー。

アレクサンドリアから何とか逃げようとするスタイナーは、
自分の体がいうことをきかないほどに疲労しているのに気づいた。
先の戦いの中で、トランス状態になったときも、
体はだるい状態になったものだったが、今回のこの疲労は、
比ではなかった。
ガーネットの刃から身を守ったときの自分の力は、
トランス状態のそれに似ていたことを思い出す。
「…しかし、発揮した力は数倍だったのである。
自分の体に、何か変化があるのか?」
そこまで考えたものの、これ以上思考を巡らす力は残っていない。
このまま、魔物に襲われでもしたら、いっかんの終わりである。
移動手段も、自分の足しかない。
こうしている間にも、
ベアトリクスのみに何か起こっているのではないかと思うと自分が情けなかった。
そして
「姫さま…」
ベアトリクスを守るということは、必然的にガーネットを敵に回すことだった。
その矛盾が、スタイナーにはつらかった。
割り切ったつもりでいても、やはり、ガーネットはスタイナーにとっては
かけがえのない存在なのだ。
心の迷いは、スタイナーのただでさえつかれきった体に重くのしかかる。
愛する女を守ること
それのみを遂行できなくなったのは、先の戦いの中で、広い世界を見、
たくさんの人々と心を通わせたからだった。
もし、昔のままのスタイナーだったら、こんなに悩むことはなかっただろう。
簡単に割り切ってしまっていたに違いない。
スタイナーの沈んだ目に、そのときモルボルの姿がぼんやりとうつった。
「いっそこのまま、死んでしまえばいい」
この先、生をまっとうしたとしてもガーネットとベアトリクスをともに守ることなど
ありえそうもない。
「なぜあの時死ななかったのか…」
スタイナーは、自嘲と諦めの混じった顔で、つぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

生への執着

499 名前:ななしさん@おなかいっぱい投稿日:2000/08/11(金) 19:36

モルボルが少しずつこちらに向かってくる。
明るくないことがわかっている未来なら、どうして好んで未来を
見ようと思うだろうか。
ベアトリクスよ、自分は先に行く。
姫さま…あなたは、自分の宝でした…。
その触手が、一本、また一本と、スタイナーの首に、手に、巻き付いていく。
息が苦しくなってゆく。ぼんやりと、ベアトリクスの顔が浮かぶ。
すまん。ベアトリクス。
自分はおまえを守るという約束を果たせなかった。
ベアトリクス。姫さまを。にくむなら。殺してもいい。
自分には、できなかったが。おまえは、いきて…ほしい。
そのとき、スタイナーのあたまに懐かしい声が響いた。
『おっさんも、モルボルに負けず劣らず口くさいぜ』
よくそうからかわれたものだ。失礼なやつなのである。
しびれる右手のラグナロクが動いた。モルボルの触手が何本か切れる。
…そうだ。ジタン。
あいつなら、あるいは。
あいつなら、姫さまを。
スタイナーは一筋の光を見た。
自分を変えてくれたジタン。
昔の自分なら、矛盾を抱きかかえず、
ひとつのこと目指して突き進んでいただろう。
しかし、それは何も考えないことと同じ。
いま、矛盾を感じることができるようになって、こんなに悩んではいるが、
それでも、何も考えないように生きるのよりはましだと思う。
悩まないことは、生きているのと同じ…。
だいたい、自分が姫さまにつかえることも、姫さまを殺すこともできず、
混乱しているのに、ベアトリクスにさせようとするなど騎士道に反する。
ベアトリクスのところに、ゆかなくては。
二人でジタンを探そう!
スタイナーの体に徐々に力が入っていく…


 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラットレイ、トレノに到る

503 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 20:26

フラットレイはブルメシアからの逃避行の末トレノの町に辿り着いた。
この町には訳アリの者が紛れ込んでもそうそう危険ではない貧民街がある。
(ここにならいるのかもしれない・・・・・・フライヤ・・)
さすがに今のままの格好ではブルメシア兵の落武者とバレバレなので用意しておいた
顔まで隠れるボロのローブを身に纏う。(これで安心なはずだ・・・)
町に入ると以前ここへ来た時よりもかなりの数のアレクサンドリア兵が町中に駐屯している。
町の者に話を聞くとどうやらリンドブルム軍がここへ攻め入ってくるかも知れないという事である。
フラットレイ「(なんてことだ・・・・・・・・)」
霧の晴れたあの時以来この大陸は3国全てが平和であった。「平和ボケし過ぎているのではないか」
とフラットレイをして余計な危惧をさせうる程、大陸は安定した時を送っていたのだ。しかし!
フラットレイ「(・・一体いつからこのようになってしまったのか・・)
世界中で戦乱の炎があがっている。今はブラネの時以上の乱世だ。
一体その原因は・・・今のフラットレイには思いつくことはできなかった。
只、今彼の頭にあるのは・・・行方知れずのフライヤ・・彼女に会いたい・・只それだけであった。
フラットレイ「(フライヤ・・・フライヤ・・・・)」
呟きながらボロを纏ったフラットレイは夕闇の町を歩き出す。


 

 

 

 

 

 

 

 

トレノの酒場にて

506 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2000/08/11(金) 21:30

ふらりと無意識にフラットレイは水辺にある酒場に入っていた。
散々今まで町中を歩き回ったが今のところ何の手掛かりも聞くことはかなわない。
町の声は、戦争に対する怯えに、貴族共も脳天気な駄弁ばかり。
中には「ブルメシア陥落万歳」などと聞き捨てならぬ事をほざいた奴もいて
よっぽど殴り倒してくれようかと思ったが、ここで騒ぎを起こす訳にいかず
唇を血が出る程噛み締めながら、その暴言を聞き流したりもした。
フラットレイ「あぁ・・疲れた・・」カウンターの片隅でそう本心を小声で呟きながら注文した杯を口にする。
背後のほうで仲間達と笑いながら話している成金商人共の駄弁の音が少々耳障りではあるが。

商人「どうです今回のオークションは?」
商人「いやぁもう今回も私の目にかなうモノはございませんな。あんなガラクタばかり
うちにはいて捨てるほどたまってますよははははは」
商人「それはそれは。ところで私は先日アレクサンドリア城でものすごいモノを見せてもらいましてな。」
商人「ほう?一体何を見せていただいたのです?」
商人「アレクサンドリア城へ何時もの様に上納金を納めに参りまして、ガーネット王女にお目どうりがかないましてな」
商人「ふむふむ。その王女が噂に違わぬ美麗人であったと?」
商人「いえいえ、まぁたしかに王女は確かに絶世の美麗人でありましたが、私の興味はその大広間に飾られていた
ある「装飾品」でしてな」
商人「装飾品・・ですか?」
商人「そうです。なんと!それは氷のようなものに入れられてまして、その中にはなんとまるで生きているかのような
人形が入ってましてな。あれは確か赤い服を着たブルメシアの民の形をしておりましたよ。ネズミ系の。なにやら身体に
槍のような物で串刺しにされているというのがまたなんとも美しいのですよ。少々グロテスクに見え無い事もありませんが。
いやあそれにしても本当にまるで生きてるようでしてなぁ、王女にまるで生きておるような美しい人形ですなぁと聞いたら
王女は笑って「生きているぞ」とか言ってましたがまさかねぇ〜よっぽど王女にお願いして
買取ろうかと思ったりしましたよ。いやぁあれはオークションじゃ30〜45万ギルは・・」
ガシャガシャガシャーン!!!
店中の人間がその音に驚き何事かと振り返る。
その先には先ほど駄弁を語っていた商人達のテーブルが真っ二つに割れ
上のものはぶちまけられ、そして、驚愕のあまり腰を抜かしてへたりこむ彼等の鼻先に
ランスオブカインの鋭い穂先を、憤怒の表情で突きつけている一人のブルメシア兵が立っていた。
ボロのローブは完全に捲くり下がり正体丸見えであるのも気が付かずフラットレイは商人達に恫喝する。
フラットレイ「・・・貴様等・・今なんと・・今なんと申したッ!!もう一度・・もう一度言うてみよぉっ!!!」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラニとエリクサー

507 名前:やばい、合流できるのか?投稿日:2000/08/11(金) 21:45

同時刻、リンドブルム南の大平原ではサラマンダーとラニがテントを張り、宿営していた。
二人はトレノを脱出し、リンドブルムに向かっていたのである。
トレノでは何とかガーネットの刺客を退けた二人だが、
サラマンダーが寝ずの番を怠ったとラニが罵ったために、二人の仲はさらに険悪になっていた。
あれから一緒に旅をしてはいるが、お互い一言も口を利いていない。
今夜もサラマンダーをテントに残し、一人月夜の平原を散歩するラニ。
ラニ「・・・あと少しでリンドブルムか・・・。
忍び込んででも、何とか飛空挺に乗り込んで別の大陸に逃げなければ・・・」
ラニはひとつため息をつき、刺客に付けられた頬のかすり傷に手をやる。
ラニ(まだちょっと痛いな・・・。
   あいつが、サラマンダーがちゃんと見張ってないから・・・)
ラニは足を止め、目をつぶって瞼ごしに月の光を受ける。
ラニ(・・・・・・でも。
   でも、あいつは確かに来てくれたんだよね。あたしを助けに。
   そして自分は傷を受けながらもあたしを守ることを最優先して・・・。
   あいつ、思ったより頼んないからずっとイライラしてたけど、あの時はちょっと言い過ぎたかな?)
ラニは上着のポケットをまさぐると、月の光に照らされてキラキラと輝く小さな小瓶を取り出した。
ラニ「良かった!まだ残ってたよ。最後の一つのエリクサー・・・。
   仕方ないわね、あいつに飲ましてあげようかな?
   これからもずっと一緒に旅をするんだから、へばられても困ってしまうからね」

そういうと彼女はエリクサーを握りしめ、
足をサラマンダーの待つテントに向けると気分も大分良くなって足早に駆け出した。

続く

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