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亡者たちの巣

92 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/01(金) 05:59

アレクサンドリア城は、腐臭が漂っていた。
アンデッド兵が体内から発する腐敗ガスの為である。
市街戦と空中戦の大勝で、士気が上がっていたリンドブルム兵は、アンデッド兵を恐れずに、突撃する。
が、自身の体が崩れる事を厭わずに襲いかかるアンデッド兵は、リンドブルム兵を返り討ちした。
アンデッド兵は、己の体が断たれても攻撃を止めないのである。
それどころか、口から腐敗ガスと腐った消化液を吐き出して、リンドブルム兵を怯ませる始末。
アンデッド兵は血の渇きを癒すために、倒れたリンドブルム兵の体液を吸い取る。
体液を吸われたリンドブルム兵は、アンデッドとなりかつて仲間であった連中に襲いかかる。
アンデッドが新たなアンデッドを生み出す。
その光景は正に地獄であった。
エーコ「…役立たずどもが。死人風情に何をてこずっているのか」
広間の端に立っていたエーコは、アンデッドに食われていく自軍の兵士たちを見て、ぽつりと呟く。
アンデッド兵「ヒ…ヒ…ヒ。チ…血をす…吸わせろ…」
腐った肉汁を滴らせている数十体のアンデッドどもが、エーコたちを取り囲む。
だが、エーコの脇を固めるアサシンたちが呪縛刀を一閃すると、半ば溶けている脳味噌を撒き散らして吹っ飛んでいった。
エーコ「ふぅ…。私の役に立たないなら、既に死んでいるも同じ。
    名誉の戦死を与えてあげるわ」
エーコは溜め息をついてそう呟くと、アンデッド兵と未だアンデッド化していないリンドブルム兵が戦っている大広間の中心にファイジャを放った。
巨大な火炎が大広間を紅く染め上げて焦がし、アンデッド兵とリンドブルム兵は、声も上げる間もなく炭化する。
エーコ「最初からこうすれば、早かったかな」
火炎を見ながらエーコがそう言うと、不意に火炎が消える。
そして、火炎のあった場所に、この城の主が立っていた。
ガーネット「相変わらず、騒々しい奴よ。
      大公になっても、育ちの卑しさは隠せぬか」
ガーネットは、黒い床に転がる炭化した屍を踏みつけながら、エーコに1歩1歩近付き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロウェルの悪あがき

106 名前:無理に続けて見た(笑) 投稿日:2000/09/01(金) 15:30

「も、もうダメだ……」
ロウェルは自分の人生の幕引きの音を聞いたような気がした。
「はッ、待てよ、ま、まだ間に合う……!」
「だッ誰か来……ッ!?…むぐッ!???」
室内の有様に人を呼ぼうとしたメイドは、突然躍りかかったロウェルによって口を塞がれた。
ロウェルはメイドの口を手で塞ぎ、扉の外に耳をそばだてる。
「………誰もまだ気付いていないな…………」
半ば自暴自棄となったロウェルは懐に抱えたメイドを見下ろした。
「む〜〜!……う゛〜〜!」
「こ、こら、静かにしてくれ、頼むから!」
「う゛ーーーー!!!むぐぅーーー!!」
メイドは必死になってもがいている。最早落ち着いて説得出来そうにもなかった。
「仕方ない……所詮血塗られた道(?)か……」
ロウェルは一つ息を吐き出すと、メイドの腰からウエストにかけて手を這わす。
「!!!???」
メイドは身体をびくんっと硬直させた。ロウェルは構わず続ける。
エーコの趣味なのか、リンドブルム城で従事するメイドの制服は、黒を基調としている。
その服の上に白のエプロンを着けるのだが、その漆黒と純白の取り合わせが
なんともいえず良い、と評判であった。この制服を目当てにメイド希望の
少女が殺到し、リンドブルム城の人事担当官は選考に難儀したものである。
……引き締まったウエストから、形の良い双丘へとロウェルの手はそれ自体が
違う生き物のように動いてゆく。
「うっ…………むっ……ん……〜〜〜〜」
メイドの少女はロウェルの手の動きに敏感に反応している。
身を振りほどこうと抗っていたが、ほどなくその抵抗も収まっていった。
ロウェルはメイドを見下ろした。年の頃は十七、八というところだろうか。
セミロングのブロンドの髪をツインテールにしている。やや小柄ながら、
出るところは出て、締まるところは締まっているその躰は、噂に聞く激烈な
採用選考を勝ち残っただけのことはあった。
白磁のようなその頬は、うっすらとピンクに染まっている。アーモンド型の
やや気の強そうな双瞳は、涙で潤んでいた。
「やっと大人しくなってくれたね」
ロウェルはメイドを抱えていた腕の力を緩めた。メイドは身体に力が入らないのか、
その場にかくんと崩れ落ちた。
「ふぅ……ひとまずは助かった………かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

タンタラスの秘密

110 名前:インタビュー〜色々な趣味〜 投稿日:2000/09/01(金) 19:44

おう、お前が俺を呼びだした記者か?
なんだ?タンタラスのことでなんでもいいから聞きたいだと?
なんだって今頃タンタラスの取材なんだよ。
タンタラス崩壊の噂が広がってホットニュースになっているだって?
そうかい、ご熱心なことだねえ、
確かに俺は元々あの劇団ではバイオリン奏者として加わっていたし、
結構やばい事まで知っているが、しゃべっちまうと俺の身があぶねえからなあ。
ん?5000ギル?冗談じゃねえ、それっぽっちで危険をさらせっていうのかよ。
7000?いやあケタが違うんだよなあ。
9000?値切るねえ、お前も。まあいい、それくらいで手をうっとくか。
タンタラスのなにが知りたいんだよ、メンバーの秘密についてだと?
ああ、秘密ねえ、確かにあいつらには暴露してほしくない秘密が多いなあ。
たとえば最近死んだって噂のブランクだがな。
あいつは昔からなかなかの男前だったなあ。
しっかりした性格といい、男気といい、団じゃずっとナンバー1だった。
もちろん女のファンも多いが、男だってあいつに魅了された奴は多い。
例えばマーカスなんかもずっとブランクのコレだったよ。
どこへいくにもつきまとってよ、あいつのご機嫌うかがっていたな。
二人で逢い引きしているところが見つかったのも一度や二度じゃなかった。
だが、ジタンほどブランクにハマっていた訳じゃなかったな。
そうだよ、あのジタンだよ。8英雄のジタン様さ。
本当だって。デマじゃねえ。
ジタンが入団したのはブランクよりずっとあとでよ、
あのころのジタンはずっと暗い性格でよ、何気なく優しく接したブランクに
惹かれちまってそのあとはゾッコンさ。
もうマーカスなんか目じゃねえ。

 

 

 

 

親玉バクーの秘密

111 名前:インタビュー〜色々な趣味〜 投稿日:2000/09/01(金) 19:45

劇場艇でもブランクの船室に一日中入り浸っていやがったよ。
ある日なんかブランクの機嫌をそこねちまったのか、
船室から追い出された事があったんだが、ジタンの野郎泣きながら
「お願いーッ!ここを開けてよーッ」
なんて一日中ドアを叩いていやがった。俺達は眠れやしねえ。
だからブランクがルビィとつき合いだしたって知った時は相当ショックだったようだ。
風呂場でカミソリで手首を切ったりしてよ、てめえは女か!ってバクーに罵られていたな。
ブランクは別に男じゃなきゃダメって奴じゃなかったからルビィでも良かったんだが、
まあジタンにとっては初めての失恋はきつかったようだな。
でもそこはそれ、あいつは若かったから立ち直りもはええ。
それからは女に対して興味が沸くようになって普通の生活を送るようになったし、
性格も明るくなってしまいにゃあガーネットを落とすなんざ、すげえ成長ぶりじゃねえか。
けど、それ以来、ルビィとは険悪な仲になっちまった。
アレクサンドリアでガーネットをさらって逃げるときも
ルビィをわざと置いてけぼりにしたって俺はにらんでいるがな。
ルビィについて?ああ、それを語るならバクーの話から始めなきゃな。
バクーってのは男色には一切興味がなかったようだが、実はまたこれが特殊な好みがあってな。
10歳以下の女じゃねえとナニがたたねえらしいんだ。
それで時々劇団に妙に幼い少女が入団していたことがあったんだ。
ルビィも7歳の時にタンタラスにスカウトされたクチでよ、
まあスカウトつってもタンタラス流に色々やり方があって
あいつの場合はお花畑で遊んでいる時にスリプル草をかがされて入団に合意したようだ。
つまりわかりやすくいうとラチってやつか?
まあバクーにしてみれば7歳と思えないほどの派手だったルビィの容姿と方言が気に入ったらしい。
まあそれでバクーはルビィを可愛がりもしたがさんざんおもちゃにしちまってよ、
ちょっとルビィも不安定な性格になっちまった。まあ、あいつも可哀想なやつだぜ。

 

 

 

ヤバ過ぎた話

112 名前:インタビュー〜色々な趣味〜 投稿日:2000/09/01(金) 19:45

さんざんもてあそばれたルビィだが、あいつが14歳になった頃にはバクーがもう飽きちまってよ、
退団をほのめかしたんだ。その時にかばってやったのが当時17歳のブランクでよ、
1年ほどで二人はつきあい始めたってわけだ。あのブラネ戦争が始まるまだ随分前のことよ。
ブランクとしちゃ、珍しくルビィに夢中になりやがって、ルビィも本気だった。
どうもブランクはルビィの特殊な性向が気に入ったようだったんだ。
ルビィはようやくバクーから解放されたわけだが、やはりトラウマは心に傷を残していて、
その結果異常なほどのマゾヒスト傾向になっちまったようだ。
縛られたり言葉責めで喜ぶは当たり前でよ、終いには単に殴られたり蹴られたりしても
大喜びしていたようだ。もっとも相手がブランクだから喜ぶのであって、
シナなんかが同じことしたら半殺しにされちまうがな。
そういやシナってのは女装が趣味ってのは言ったかな?
まあ俺達も気持ち悪いとは思っていたが、本人が満足なんだからしょうがねえ。
最近はやっていなかったみたいだけどよ。
ゼネロ、ベネロはまともかって?
さあ知らないねえ。
ただ、ゼネロは部屋に2,3匹の雌山羊を飼っていたし、
ベネロは病院の死体安置所でよく姿を見られている。若い女が死んだ時に決まってな。
二人ともなにをやっていたのかはしらねえよ。
おい!どこへいくんだよ!まだ話は終わってねえって。
まだ面白い話が山ほどあるんだぜ。
なに?やばすぎる?馬鹿野郎、俺の方がやばいってんだよ。
まあいい。金さえもらえりゃあな。
いっちまったか。
しかしこんな大金がいきなり手にはいるとはな。
俺のノゾキの趣味がこんなところで役に立つとはわからねえもんだぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異様な雰囲気

144 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/02(土) 02:14

その起源を知る者は、遍く幾星霜の時雨に溶かされ、大いなる流れの一滴となった。
伝承を語り継ぐ者もまた、時代の奔流が嘲笑うその影で、自らの詩を忘れてしまった。
だが、そこに残された武骨な抜け殻は、風化し行くその身を敢然と風雪に曝し、やがて新たな人を迎え入れる。
年月に、その身を滅ぼす事は出来なかった。だが、人間は、その意味をいとも簡単に打ち崩した。

饐えた空気に逐一反応しているのが自分だけだと言うことを、ハインはすぐに悟った。
視界の限りに横たわる黒い人々も、彼の横を歩くアルマシーと名乗った男も、
彼の様に顔を顰める事は無い。ただ、無表情だ。
ハインが男に連れられてこの建物の内部に入った時、誰もが一様に彼の顔を見た。
だが、そこに何の感情も宿っていない事は、幾つかの視線と交わってみた所で分かる。
自らが放つ臭いによって嗅覚を破壊され、その分少しだけ鋭敏になった視覚と聴覚が、
勝手に反応しただけなのだろう。
(・・・・・・)
彼の、酷く不鮮明かつ流動的な記憶の一端には、確かにこの場所があった。
ビビと言う名の自分が、誰かを追って、奥の方へ向かう映像。
薄暗い空間に、物珍しい装飾がぼんやりと浮かび、自らの感情に厳かな何かを射し入れた
この場所は、今、そんな彼の記憶に、奇怪な色を塗りたくっている。
(臭いとかそんなんじゃなくて・・・)
ボロを纏った老婆が、しきりに歯軋りをしている。
(この場所が、歪んで見える・・・)


 

 

 

 

 

難民キャンプ

146 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/02(土) 02:17

「ここはな・・・」
不意に、アルマシーが語り出した。
「今じゃ難民キャンプみたいなもんさ」
「難民・・・」
「トレノ、リンドブルム、アレクサンドリア・・・方々の人が、戦争を避けてここへ避難して来た。
 救いと、食料を求めてな。で、多くの人間が同じ様な事を考えたもんだから・・・このざまさ。
 配給される食料の奪い合い、戦争責任の追及と詰り合い、亜人差別、乱闘なんてのを毎日繰り返した挙句、
 今じゃ皆、こんな具合になっちまった」
「食べ物、無いの?」
「お前は大丈夫さ。子供には別の・・・」
「違うよ、外に行けば海とか森が」
「外には出せないんですよ」
その声は、横の方から、幾つかの足音と共に投げ掛けられた。
「モンスターがうろついていて危ないからね」
先程の番兵達と同じ格好をした数人の従者を従え、声の主はハインの前に立った。
「ベイガン様」
アルマシーが、狼狽したようにその名を呼ぶと、ベイガンはその精悍な頬をやんわりと崩した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Active Time Event】モーグリ

166 名前:【Active Time Event】モーグリ(前編) 投稿日:2000/09/02(土) 13:33

 【Active Time Event】モーグリ

 灰色の空の下、荒廃した大地の中を一直線に伸びる土灰色の空の下、荒廃した大地の中を一直線に伸びる土けむりがあった。土けむりの正体、それは、なんと、一匹のモーグリであり、かつて、ジダン達と共に世界を駆けまわったモグオだった。
 世界を救った8人の英雄達を陰で支えたモグオは、現在、ジダンを支えるモグネットの連絡員として活動している。

 トトトトトトトトトトトッ・・・、トトトトトトトトトトッ・・・、トトトッ・・・、トトッ・・・。
 一日で世界を周る事が出来ると謳われた自慢の足だったが、しかし、その足は、今は心なしか重そうに見えた。
 トット・・・、トット・・・、トット、トト・・・。
 モーグリは、やがて、速度を緩め、歩き、小川の流れる緑の草原の辺りで歩みを止めた。小川の近くで花が咲いている。
 花が何故か、ジダン達を連想させ、モグオは昔のジダン達との旅を思い出した。

 「いいじゃないか、気にすんなよ。」特に用もないのに、モーグリのたてぶえを冗談半分で勝手に吹いて、モグオを困らせたジダン。
 「もう、いいかげんにするクポ〜〜!」・・・よく喧嘩をした。もう来てやるもんかと何度、思ったことか。
 「いつもありがとう。」優しかったガーネット。髪をかきあげる仕種が可愛かったのを思い出す。
 「はい、これ、あげる・・・。」エーコが走るモグオをかわいらしく描いてくれた事もあった。土けむりをあげて一生懸命に走るモグオの絵。今でも、大切にしまっている。

 一緒に過ごした仲間とのことが、シャボン玉のように脳裏に浮かんでは消えた。大切な大切な思い出だった。そんな大切な思い出達は、今、互いに戦い、争っている。


 

 

 

モグオの叫び

167 名前:【Active Time Event】モーグリ(後編) 投稿日:2000/09/02(土) 13:35

 モグオは今、自分はひとりぼっちなんだと気付いた。あの頃、喧嘩しながらも心を通い合わせた仲間はもう、・・・いない。
 寂寥感・・・、わびしさ・・・、辛さ・・・。そんなものが孤独感と一緒に胸に突き上げてきた。夢は今は幻でしかない。
 生きるのが辛い時代だった。誰にとっても・・・。


 「クッ、クポッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 モグオは切なく哀しい叫び声をあげた。モグオのそんな叫びにも似た声に反応したのだろうか?空はポツリ、ポツリ、しとしととやわらかな雨音を大地に響かせはじめた。雨はモグオの顔にも当たり、涙となって流れ落ちた。

 思いを振り切るかのように、再び、走りはじめるモグオ。モグオの姿が山並みに消えると、小川のほとりからパシャンという音とともに何かが姿を現した。

 ウンディーネ、水の精霊だった。すると、これは彼女が降らせた雨なのだろうか?
 まさか、このちっぽけな精霊にそんな力はあろうはずが無い。
 しかし、ウンディーネは悲しそうな顔をあげて、モグオの去った方向をいつまでも見つめ続けているのだった。いつまでも・・・・。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執念深い獣

170 名前:更新遅れてすいません 投稿日:2000/09/02(土) 18:02

「奴のチョコボはいない様だな」
「今頃モグネット本部で震えているんじゃないか?」
無事イーファの樹を脱出した二人は剣の無事を確かめるとチョコボにまたがった。
「?」
不意に周囲に影が差す。
「上だ!」
二人が空を見上げると巨大な一匹の蛇が太陽からの光を遮っていた。
ズズゥ〜〜〜ン
二人の前方にタイダリアサンの巨体が舞い降りる。
「げ、追い掛けてきやがった」
再び舞い降りた悪夢を前に青ざめるスティルツキン。
「飛べるか…にしても執念深い…」
サラマンダーは軽く舌打ちするとチョコボから降りてタイダリアサンに視線を移す。
イーファの樹の内部で見た時よりも更に怒気をはらんでいる様に見える。
「グルルルル…」
喉を鳴らして威嚇するタイダリアサン。
そしてタイダリアサンは何の前触れも無く一声吠えた。
ゴゴゴゴゴ…
再び水の壁が現れ二人を飲み込まんと唸りをあげて迫り来る。
「やばい!地の利は向こうに有る、サラマンダー!?」
スティルツキンの言う通り二人の立つ広い平野にタイダルウェイブから逃れる術などは存在しなかった。
あせるスティルツキン、だがサラマンダーに動じるそぶりは無くむしろ余裕さえ感じられる。
「この地形だからこそ使える技も有る、俺の後ろに隠れろ!」
サラマンダーはルーンの爪を装着していない左の拳を高々と振り上げ渾身の気を込めて一気に振り降ろした!
「疾風!地烈斬!!」
サラマンダーの凝縮された気の力が疾風のごとく大地を走りタイダルウェイブを引き裂いていく。
キシャァァァ!
サラマンダーの放った気の刃はタイダリアサンを直撃するがタイダルウエイブとの相殺により
その威力はタイダリアサンの動きを止めただけに過ぎなかった。
「浅いか…だが狙いは定まった!」
腰を捻り構えを取り静かに気を高める、最大限に高めた気を右拳に宿らせ打ち抜く!
「波動撃!!」
サラマンダーの右拳が虚空を貫いたその瞬間!
ズッパァ〜〜ン
タイダリアサンの頭部は木っ端微塵に砕け散り断末魔の悲鳴を挙げる事すらかなわず大地に倒れ伏した。


撃破!?

171 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/02(土) 18:03

「やったか…」
今はもうピクリとも動かないタイダリアサン。
「ヒュゥッ大したもんだ、しかしそんな技が有るんならもっと早く使えって」
歓喜の声を挙げながらサラマンダーに歩み寄るスティルツキン。
「馬鹿を言え、あんな派手な技を狭い場所で使えるか…それにタメもいる」
「実戦には向いて無い、…所詮は大道芸だ」
折角の勝利の余韻もあくまで冷静なサラマンダーの態度に少々興醒めの感が否めない、
そんなスティルツキンも一時は死を覚悟した時のサラマンダーの様相を考えると少し安心もした。
「そんなもんかね、まぁいいそれよりサラマンダー」
「俺は契約以上の働きを以てお前を助けたんだからな?しかもお宝アイテムまで使ってだ!」
「その見返りとして後で依頼を受けた事情位は聞かせろよ」
何でも知りたがるのはトレジャーハンターの悪い癖か目を輝かせながらサラマンダーに詰め寄る。
「…しかた有るまい」
スティルツキンの押しに負けて渋りながらも申し出をうけるサラマンダー。
「そうこなくっちゃな!よお〜しその話をつまみに祝杯でもあげるか」
「とっておきのクポの実の蒸溜酒を開けてやる」
屈託の無い笑みをサラマンダーに向けるスティルツキン。
「…いや、それは遠慮させてもらう」
ブシュゥワァッ!
二人の会話に割り込む様に異音が轟く!
つい今し方倒したはずのタイダリアサン、その頭部から噴出する霧。
異音の正体はその霧が噴出する音だった。
「おいおい勘弁しろよ、いくら蛇のバケモンだからってしつこすぎるぜ」
霧はタイダリアサンの砕けた頭を形成し再び息衝きつつあった。
「…不死身か?」
サラマンダーは再び構えるが相手は頭を失っても再生する怪物である、
もはや万策つきたと思われたその時!
キュィィィン!
突然まばゆい光が辺りを包み込んだ。

 

帰ってきたギルガメッシュ

172 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/02(土) 18:04

「グゥッなんだ!?」
一瞬の出来事に目を隠すことも出来ず視力を奪われる二人。
ジュゥッ!
強烈な光に眩んだ目が徐々に回復するとそこにはすでにタイダリアサンの影も形も見られなかった。
「…何が起こった?」
辺りを見回しても何も無い、ただ先程までタイダリアサンが居た場所が黒く焼け焦げている事を除いて。
困惑する二人の上空に一隻の飛空挺が姿を表した。
「ハァッハッハッハァ〜!どぉ〜だギルガメッシュ砲の威力はぁ〜!!」
インビンシブル2の外部スピーカーから聞き覚えの有る声が響く。
「…この声は……」
「あいつの存在を忘れてたな…」
瞬時に来訪者の正体を察知する二人。
「こんなこともあろうかと俺様はインビンシブル2を取りに戻っていたのだぁ〜!」
「どぉ〜だまいったかぁ?真打ちは最後に登場するもんだと言っただろうがぁ〜!ギャ〜ハッハッハッハ!」
「…いたらいたでやかましい奴だ」
インビンシブル2を見上げながらつぶやくスティルツキン、その傍らで思案するサラマンダー。
「あの化け物を一瞬にして葬り去る程の威力を持った主砲か…ジタンの奴は何を企む?」
「フッ所詮俺には関わりのない事か」
インビンシブル2のワープ装置から2匹のモーグリが地上に降り立つ。
すると外部スピーカーから再びギルガメッシュの声が響く。
「お前らちゃんと剣は手に入れたな?ならばチョコボはモーグリにまかせて二人とも船に乗れい!」
「次の目的地はダゲレオだぁ〜!」
「クポ〜、チョコボはまかせるクポ」
そういうとモーグリ達はチョコボにまたがりどこへともなく走り去った。
「ダゲレオだと?黒魔導士の村じゃなくてか?」
「まぁ説明は中で奴にしてもらうとして、とりあえず船に乗ろう俺は疲れたぜ」
スティルツキンの言葉にサラマンダーは頷き二人はインビンシブル2に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、疲れた」

177 名前:学者スコットの日記より2 投稿日:2000/09/03(日) 00:40

(日付は破れていて読めない。)
・・・もう、疲れた。戦争により、研究の予算はまわってこないし、研究者も何人かが戦争へとかり出されていった。
明日、辞表を出して、故郷のトレノへ帰ろうと思う。
どうしてこんなことになってしまったのだか・・・。
どうしてこんな世の中になってしまったのだろう?
とりあえず、今日はこれまでにしよう。明日は早く身支度を整えねばなるまい。

かゆうま…

178 名前:学者スコットの日記より3(嘘) 投稿日:2000/09/03(日) 00:48

かゆい・・・うま・・・
かゆうま・・・・・

 

 

汚点

182 名前:フライヤの日記より(日付は不明) 投稿日:2000/09/03(日) 01:02

ああ・・・
嫌な夢を見た。
これで8回目じゃ。
寝るときに毎日ベッドの中身もだえてしまう。
やっぱりあれは失敗じゃった。
いま思えばかなり恥ずかしい。
しなければ良かった。
みんな忘れてくれているじゃろうか?
でも結構みんな記憶力よそそうじゃし。
ビビなど心の中でずっと思っていそうじゃ。
どうせみんな私のいないところでネタにしておるのじゃ・・・
でもまさかフラットレイ様まであのときいなかったじゃろうな。
見ていたかもしれぬ。
ああ、どうせ記憶失っているのならあの部分も忘れてくれい。
ああ恥ずかしい。
生涯の汚点じゃ。
いくらクレイラのピンチじゃからってあんな踊りおどらなければ良かった・・・・
もういっぺん寝よう・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耐えがたい苦痛

185 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/03(日) 01:31

ジタンはパラメキア艦内の私室で、およそ120時間ぶりの仮眠をとっていた。
ダリ駐留軍や白魔道士部隊との連戦、今後の作戦方針についての会議や、
その結果に基づく新作戦に向けての艦隊再編など、休む間も無い激務の連続をこなし、
ジタン自身はすぐにも次の計画に取り掛かるつもりだったが、憔悴した様子を見かねた
ミコトに懇願され、渋々と仮眠をとる事を承諾したのだった。

この忌まわしい戦乱の時代に、黒魔道士の村の指導者として決起して以来、ジタンは眠る事が、
いや、眠っている間に夢を見る事が耐えがたい苦痛になっていた。ある時は自分が手を下した、
あるいは自分の計画の犠牲となっていった者たちが延々と恨み言を並べ立てた。またある時は
ガーネットやエーコを屠った己が、恐怖の帝王として人々を虐げながら君臨し、死んだ筈のビビや、
ミコトまでもがそんなジタンの暴虐に愛想を尽かし、彼を見捨てて去って行くのを目撃した。
そして又、滅びの光景が鮮烈に夢の中で再現され、睡眠中に何度も目を覚ますのも珍しくはなかった。
しかし何よりも辛かったのは、かつてのすべてがうまく行っていた頃を夢に見る時であった。
今では想像もできない穏やかで明るい表情のガーネット。時には鬱陶しく感じた事もあるけれど、
エーコにまとわりつかれる日常をジタンは内心結構気に入っていた。滑稽な程のスタイナーの朴訥ぶりや、
予想外なトラブルを引き起こすクイナはいつも笑いの種を提供してくれた。苦しい時には、
気高い心を持つフライアや、自他共に厳しいサラマンダーに接する事で、心の箍が新たに引き締まった。
そして、在りし日のビビ…。

 

『連結』の崩壊

186 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/03(日) 01:31

時にはもっと昔、タンタラス時代の夢を見る事もあった。厳しくも暖かいバクーを父親とするなら、
ブランクはまさに目標とすべき兄のような存在であり、何でも気安く話せるルビィは姉のようなものだった。
シナの人形やコーヒーに対するマニアックなこだわりは正直って理解できなかったが、その情熱は
嫌いではなかった。マーカスやベネロとゼネロの兄弟は、まさしくかけがえの無い気心の知れた友だった。
そうした夢を見るたびに、そんな日々が二度とは戻らぬという現実の重さを改めて認識させられ、
同時に心の底では自分が未だに感傷に浸っているという事実を思い知らされ、果てしない自嘲と自己嫌悪に
かえって心労が募るのであった。
そんな事もあってジタンは、夢を見ないように、徹底的に体力を消耗するか、睡眠薬を使用するかして、
なるべく深い眠りにつくのが習慣となっていた。その甲斐あって仮眠に入ってすぐ、ジタンは夢の無い
深い眠りに引き込まれていったが、今回に限って異変が生じた。精神の深奥で前触れなしの激しい衝撃が
発生し、意識が一気に覚醒状態に引き戻されたのだ。
「…これは『連結』の崩壊…カイナッツォが…殺られたのか?」


侵入者

187 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/03(日) 01:32

ジタンは手近の通信装置でブリッジを呼び出した。
「エリン、カイナッツォの艦はどうなっている?」
「既に到着して、他艦と共に待機しています。テレポッドの使用許可を出したので、カイナッツォ様は
じきに本艦に見えると思いますが?」
「いかん! すぐに結界を再展開するんだ! あの艦に乗って来たのは敵だ!」
「り、了解!」
「か、艦長ッ! 転送室から緊急連絡が!」
通信機の向こうで、急を告げる士官の声が響いた。
「どうしたのッ!?」
「な、何者かの攻撃を…駄目です、通信が途切れました!」
「遅かったか…誰かは知らんがよくやってくれる!」
忌々しげに言うなり、ジタンは部屋を飛び出していった。

「しっかし大きい艦ね。ジタンの奴、いつの間にこんなの造ったんだろ? こんなのに襲われたら、
今のリンドブルム空軍じゃ持ちこたえるのは難しいんじゃない?」
「確かにそうかもな。だが、こうして中に入っちまえば脆いものだ。ジタンを殺るついでに、
この艦の中枢もぶち壊しておくとするか? そうすればエーコ様もお喜びになる」
そんな会話をしながら緊急警報が鳴り響く艦内の通路を走っている2人は、言うまでもなく
ルビィとシナであった。2人とも既にカイナッツォ戦での負傷がほとんど治癒しているあたり、
ゾディアックブレイブの底知れぬ力が窺えた。
「ん…ここは?」
通路を抜けた先は広大な空間だった。そこはどうやらレクリエーション用の施設らしかった。
人工的な空間の随所に、樹木や草花、小さな水路、自然光を取り入れる為の大きな硝子窓などが配置され、
計算された美観を形成していた。平常時は休息中の乗員たちの憩いの場となっているのだろうが、
緊急警戒態勢にある現在、その場所にはまったく人気がなく、緊急を告げる艦内放送と警報音のみが
虚しく響いていた。
「こりゃ贅沢な場所だな。少なくとも兵の待遇じゃクロマ軍は世界一かもな」
口笛を吹いてあたりを見回したシナは、木立の影で、ゾデアックブレイブの彼にすら
気配を感じさせる事無く立っていた人影を発見して目をむいた。
「…侵入者というのは、貴方たちね?」
その人影─ミコトは、氷のように冷たく鋭い眼差しをシナとルビィに向けた。


 

理由

201 名前:展開がまずかったら、無視してください 投稿日:2000/09/03(日) 04:24

ガーネットとエーコが大広間で対峙している頃、
ナタリーは、エーコの命を受けてアレクサンドリア城の地下を部下たちに捜索させていた。
ベアトリクスを捕らえる為である。
ナタリー「ベアトリクスは見つかったかしら?」
リンドブルム兵「いえ、未だ見つかりません」
ナタリーに話しかけられた兵士は、本当に申し訳なさそうな声で言う。
ナタリー「…そう」

エーコがベアトリクスを求めた理由。
それは、ベアトリクスが血塗られた聖天使を復活させるのに必要であったから。

ベアトリクスは、地上で最も血で穢れた人間。
その手で、数多の人間を斬り捨ててきた。
彼女が人を斬る理由は二つ。
ひとつは、多くの敵を殺して手柄を立てる為。
もうひとつは、己の剣技を研ぎ澄ます為。
だが、それらの理由は後付けで、彼女は単に人を切る快感に酔っていたのである。
血塗られた聖天使の憑代に、これほど相応しい人間は他にいない。

だから、エーコはベアトリクスを求めたのである。

 

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